江戸川乱歩の時も昨年の三島の個展でもそうだったが、私の場合、人形と人物を共演させることが多い。全部人形にしない理由は色々ある。ストーリー物で登場人物が多いときなど、私の作品は人形劇の人形のように動くわけではないので、場面ごとに全員制作していたら大変である。その点、ポーズを自在に変えられる人間を使うと画面に動きが出しやすい等々。 『乱歩 夜の夢こそまこと』では俳優の市山貴章さんに、私がジャズシリーズを制作している頃から、個展に来て頂いている縁で、明智小五郎役をやってもらい、市山さんの紹介で、女優の仲根映里さんに『白昼夢』で首をちょん切られる女房役をやってもらった。ちょん切られた首が不細工では話にならない。その他人間椅子では女流義太夫三味線奏者の鶴沢寛也師匠にもお願いし、顔を出さない役では友人知人にも出てもらった。 そして今回もキャスティングを考えなくてはならないのだが、今回は手近なところで済みそうであり、水面下では、すでに交渉を開始している。私の作品に登場し、印刷物にまでなってしまって長生きはするもんだ、と思っていただければ有り難いことである。ただ目星だけ付けてまだ話していない人物が、自分のこととは知らず、当ブログを見て笑っている可能性がある。なにしろK本の常連だけで候補者は二人いるからである。私がただ漫然とK本に、アルコール消毒に出かけていると思ったら大間違いである。 登場回数の多いKさんは、主人公に行動パターン、性根が似ていると書いた。しかし主人公まで実物を使ってしまっては、造形作家として怠慢ということになるであろう。
過去の雑記
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