明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



作家をその作品的世界の中で撮影してきたが、考えてみると、特定のタイトルのもとに制作したのは、江戸川乱歩と三島由紀夫くらいである。泉鏡花にしても、金沢で撮影したが、だからといって特定の鏡花作品をイメージしていたわけではない。 内田百間と平行して川端康成を作っている。睡眠薬によって眠る少女を、あの鷹のような目で見つめる川端『眠れる美女』と、女の片腕をコートの内に隠し持ち街角に立つ川端『片腕』が浮かんだ。 曖昧にでなく、作者を作中の主人公もしくは登場人物の一に人する、ということに決めれば、遠慮なく谷崎自身を瘋癲老人にすることも、三島を『愛の処刑』の教師にすることも可能であろう。そこでこれから特定のタイトルを決め、各作家1、2点づつ作ってみようと思っている。いずれ個展も開催する。
本日はKさんは登場しない予定であったが、昼にすでに会っている。大ファンであるT屋のかみさんが、しばらく店に出ていなかったが、今日は会えたと上機嫌である。「さっきから何回同じ話してんだよ!」。夕方、K本に行く、というのを放っておいたが、川端の頭部の制作がスムーズに進んで私は機嫌が良い。後でKさんとK本の常連とT千穂で合流した。 K本のご常連は当ブログを読んでいただいているようだが、どうも愛嬌のみが先行してしまっているようで、カワウソに角砂糖の如しでチヤホヤしてしまっている。これはひとえに、シャレにならないことは書かないという、私の自己規制のせいである。確かに見た目は愛嬌があるが、模様に騙されるパンダファンではいけない。 K本の常連と別れた頃には、Kさんのエンジンもかかってしまっている。そこから2軒。もう一軒行くというので別れ、私は口直しに別の店へ。そこにKZのコンビ。私は口直しに来ているのだ。他の話にしようといっているのに閉店までKさんの話である。途中店長がKさんが通る、と警告してくれたので、みんなで身を潜めた。 今日も今日とてこの調子であるが、本日良かったことといえば、美人女刺青師に名刺をもらったことである。いずれ谷崎の『刺青』について語り合うこともあるだろう。 実に良い終り方である。

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