明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



検索してドライアイスの入手先を調べる。キロ単位で買って、そのうち撮影に使いたいと考えている。 ドライアイスを買うのは20年ぶりくらいであろう。一度書いたことがあったかどうか。  高校時代の友人と3人で友人の家の別荘に行った時のこと。別荘の浴室は、こじんまりとではあるが岩風呂風になっている。そこで、蝋燭を灯して酒を飲みながら、怖い話でもしようじゃないか、ということになった。どうせこういうことは、言い出しっぺは私に決まっている。さらにこの面子を考えると、たいした怪談が語られるとは思えない。だったらせめてムードだけでも出そうと、わざわざ街の菓子店でドライアイスを入手。 風呂場に酒を用意し、蝋燭のほのかな灯かり。浴室の床を低く覆う白煙。準備万端である。人が見ていない所では、馬鹿々しい方が楽しい。 話はしばらく進んだが、気がつくと私を含め、全員が徐々にだが浴槽からせり上がってくる。のぼせたわけではない。と思ったら蝋燭の火が突然消えた。「息苦しくないか?」ドライアイスから二酸化炭素が出ていることを誰も知らなかった。これはどうも危ない、と浴室から煙をすっかり出した。さて再開となったが、妖しく揺れる白煙がなくなってみると、高校の同級生が3人、狭い浴槽で見詰め合って何をしている、と我に返り、お開きとなった。 先日DVDで東宝映画1000本記念の『日本誕生』(59’)を見たが日本武尊の三船敏郎が死ぬシーンで、倒れたところを白煙が覆う。世界の三船だって苦しいはず。早く場面を換えてやれよ、とつい思った。 ドライアイスはそのうち、逢魔が時、屋外撮影で使うつもりでいる。はたして上手くいくものであろうか。

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