明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



青森より活魚がクール宅急便にて到着。この魚は作中、かなり重要な役目をになっている。めったに釣れないというし、最後は粘土で作ることも考えないではなかったが、潔癖症の鏡花自身は苦手なくせに、捕えられ血をしたたらせる描写がリアルである。河童が人間に対し意趣返しにその魚を使おうと企むので、血だらけの不気味な姿であることは重要である。そこで実物にこだわったのだが、めったに釣れない巨大魚の、網にかかる小型サイズを販売している東北のサイトを見つけた。難関をクリアしたつもりでいたが、そろそろ問い合わせを、と思ったら、稼働中に見えたサイトは反応がなく、電話も通じない。更新履歴を見ると、どうやら震災の影響が伺われ、廃業もしくは移転したらしい。諦め切れず、さらなる検索の末、青森の鮮魚店を見つけた。毎日の入荷状況が画像でアップされており、件の魚も入荷している。さっそく問い合わせると、これからがハイシーズンだ、との頼もしい返事。7月に入ったらという条件で注文した。 本来は背景を予め完成させておき、それに合わせて撮影するべきであるが、先の事情もあったので、入荷と共に送ってもらった。 入手してあった血糊は糊感が魚の血の感じではなく、食紅を調合して作った。 色々なポーズをさせられてしまった魚だが、落語の『らくだ』を想い出させた。



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