先週編集者より、あと一週間でおおよそできていないと困るといわれていた。なにしろ肝心の鎮守の杜の姫神様、翁、河童のパートができていなかったから当然である。姫神様の着彩を終えたのが昨日であった。 そんな時、良い物が手に入ったとメール。K本で一杯だけ、と出かけると東京駅のドーム内の壁に使われていた20センチほどのレリーフであった。前回いただいたのは某所の座紋付きの瓦である。妙な物を組み込んで台無しにした昭和期の物が一部売り出されたが、いただいたのは震災後の再建時に作られた物で、素朴な味わいはまったく別物である。東京駅のレリーフは、さっそく撮影に使わせてもらった。 河童と翁は連日怒濤の進撃で、ブログやフェイスブックで画像の極一部をトリミングしてアップしていたが、姫神様の撮影は昨日と今日の二日間で終了。追いつめらないと出てこない何かが湧きでて河童の三郎に続いて姫神様も空中を浮かぶ。手塚治虫以来であろう。 5時に風濤社。完成した異界の者共を披露する。編集者というものは気持ちが顔に出る人が多いようで、制作中や撮影の立ち会い時にニコリともしないのでそういう人達だと思っていたら、完成すると変わる。つまり私からどこか“アテにならない感”が出ているのではないかと少々気にしているのである。フィリピンパブのフィリピーナに私の面相を「苦労ガ足リナインジャナイ?」と評されたことと無縁ではないと踏んでいるが、自分ではどこをどう改善して良いのか判らない。とにかく今の所、完成作を一刻も早く見せて安心させるしか方法がない。そしてようやく担当者から笑顔。付き合いが長い編集者だが、やはり先週は思いっきり不安だったことが判った。 プリンターで出力した物を糊付けして蛇腹状になった物を床に広げる。なるほど、こうするとモニターでは見えない部分が見えてくる。それにしても長い。私の一年間である。梅雨時の夕刻が主な舞台であるから、手前の導入部はしばらく黒っぽい。編集者が流れを見ながら。ここに河童の表情が欲しいですね。ここには◯とか。「それだけ?もっと作るものないの?」寂しい。 まだ完成には至っていないがこの調子だと9月刊行ということになるようである。
過去の雑記
HOME