明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



GYAOで藤田敏八の『八月の濡れた砂』(71)を久しぶりに観る。日活がロマンポルノに移行する直前の作品である。始めて観たのは高校生の頃、今はなき銀座『並木座』であった。学園ドラマ『飛び出せ!青春』の先生役の村野武範が不良高校生で、ドラマで不良生徒役だった剛たつひとが真面目な同級生で違和感があった。そんな時代である。テレサ野田は鮮烈であったし、地井武男は後に散歩を面白がるようにはなるとは見えず、原田芳雄はいかがわしい神父。コソドロの山谷初男も絶好調である。エンデイングの石川セリの歌にもシミジミ。 しかしこの映画も『旅の重さ』や『青春の蹉跌』あたりとともに、お目当ての作品とカップリングで散々観させられウンザリしたものである。小津安二郎の『東京物語』を始めて観たのもここだったが、当時葛飾の田舎からわざわざ銀座まででてきた高校生が観るには耐え難く、イライラして途中で出てしまった。『仁義なき戦い』を観ていて、一緒に観ていた小学校からの友人が、山城新伍を「こいつ白馬童子だぜ」。大川橋蔵だと思いこんでいた私は軽いショック。そんな懐かしいことを想いだした。

吉本興行社長像制作再開。表紙用に制作したが、本体が御本人の元に行くことになった。作っていない靴の部分など作らなければならなかったが、河童本制作のせいで遅れていた。 ラストオーダー前に、夕食代わりにT千穂へ。飲酒状態のK2さん現る。とっとと帰ればいいものを、毎日グズグズとなかなか帰ろうとしない。雨が降っても公園で寝てしまうし、休みの日は山に出かける。いったい何が家にいるというのか。とにかく恐ろしいという本人の談である。私はそんなK2さんに刻まれた深い皺に魅せられ今回の本に登場願った。 若い頃に性欲や手作り料理に負けた男達の奏でるブルース。酒場は哀切のメロディでやかましい。

過去の雑記

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