明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



古典的な東洋、日本画を見ていると、写し、描き継ぎながら、変化を続けてきたことが判る。 40年前、架空の黒人ミュージシャンで個展を始めた。私が頑なだったのは、楽器はカタログなど参考にしたが、肝腎の人形部分は好き勝手に制作した。人体デッサンなどやったこともなく、人間は本当はそうなっていないかもしれないが、そう思い込むには理由があり、それが私の個性である、と考えそれまで自分の中にあるものだけで制作することを貫いていた。私が怖れたのは、一度入った物は出て行かない、ことであった。今に至れば、半分当たっているが、半分は大間違いであったが。 例えば盲目のギタリストがいる。他人と比較出来難いせいで、とんでもなくユニークな弾き方をする人がいる。盲目でなくても個性的な弾き方をする人もたまにいるが、いずれもその奏法が音に表れ、その弾き方でなければ出ない音がする。 何でも学べば良いという物ではなく、身に付いてしまって取り返しが付かなくなった人は多いだろう。特に今の時代身を守るのは大変である。もっとも自分の内側だけを相手にしていると、気が付いたら寒山拾得などを手掛けるハメに陥ったりする。個人的にはなるべくしてこうなった、と感心しているけれども。

 



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