無文元選禅師は元王朝が危ないという情報を得て、日本から来ていた他の僧と帰国することにした。そして東シナ海で嵐にあう。観音経を唱えていると半僧坊が現れ、船を導き、無事九州に着いたということになっている。その場面のため、霊力を発する半僧坊を、船のへさきか帆柱の先に立たせようと考えた。当時の帆はムシロだったようだが、嵐の場合は帆を下ろすだろうし、帆柱を倒すこともあったらしい。ただの円柱では船に見えないのではないか?となればへさきか。最近手がけているモチーフは、性質上、昔手がけられていなければ、以後手付かずのモチーフが多い。だからといって、やり過ぎは慎まなければならない。ただ無背景の中に立たせるべきか。と午前中は思っていたが、ヘソ下三寸辺りのもう一人の私が黙っておらず、今この段階で、雷鳴轟く中、帆柱の先にすっくと立つ半僧坊、とスペクタクルな画に気が変わっている。
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