明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



雷鳴轟く嵐の風景は、頭の中ではおおよそ制作方法は考えた。イメージとしては滝沢馬琴辺りの絵草紙のスペクタクルシーンである。雷は小学生の時描いた、キングギドラが吐く光線やメーサー砲のレーザー光線の要領で描く。 光と影の芸術から肝心の陰影を排除して、鎌倉時代の嵐の東シナ海で、袈裟をまとった天狗状の人物が、帆柱の先端に立って霊力を発揮している場面を写真作品にしようとしている。 陰影が出ないように撮影して切り抜いて貼り付けるだけなので、こんなことなら、と思わなくもないが、ここに至るために、端折って済ませることは一つもなかった。光やレンズの作用の助けが使えない分、被写体の出来が成否を決めることになり、私の原点は人形制作だったことも思い出させてくれている。禅的モチーフに至っていることが、また不思議で、このための手法とさえ思う。

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