baptismは「洗礼」であるし、『若い読者のための宗教史』を訳している時には何度も遭遇した。アメリカはキリスト教が深く浸透した国であり、文化人の文章にはキリスト教と聖書に関連する語や概念がいたるところに見られる。手前味噌だが、『若い読者のための宗教史』はそのあたりがよくわかるので、ぜひ多くの人に手に取っていただきたい。
現在、翻訳中の本にもbaptismという語が出て来た。
The International Hotel’s heavy reservation traffic, healthy casino business, and headline-grabbing series of shows provided a baptism in positive public relations. Its early financial returns were sensational. International Leisure stock steadily climbed. Kirk’s original 82 percent ownership, held by his Tracy Investment Company, had been worth a modest $16.6 million before the hotel opened. It jumped to $180 million on the strength of steady profits at both the International and the Flamingo.
「インターナショナル・ホテルの高い部屋の予約率、健全なカジノ経営、各公演がマスコミに取り上げられることで、積極的な広報活動が展開できた。初期の利益は目を見張るものとなった。インターナショナル・レジャーの株価は着実に上昇した。トレーシー投資会社名義でカークがもともと所有していた82パーセントの株式は、ホテル開業前は1660万ドルほどの時価だった。それがインターナショナル・ホテルでもフラミンゴでも安定した利益が出ていることを受けて、1億8000万ドルに急上昇したのだ」
provided a baptism in positive public relationsなので、直訳すれば、「積極的な広報活動に洗礼をもたらした」ということだが、日本語で「洗礼」というと「はじめての大きな試練」の意味で使われることが多く、ちょっとマイナスのイメージがあるかもしれない。ここでは「試練」というよりは、「促進」「祝福」といったプラスのイメージの言葉を使うのがいいかもしれない。要するに、「高い部屋の予約率、健全なカジノ経営、そして各公演がマスコミに取り上げられることで、積極的な広報活動が展開できた」という意味になるだろう。ただ、lost translationであることは否めない。
21匹のネコがさっくり教える アート史
アートが分かると美術館にいくのがますます楽しくなるよ💕
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21匹のネコ🐈ちゃんが世界のアートの旅へ連れて行ってくれます。
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