安倍支持率低下と復党説明

2006-12-12 07:49:52 | Weblog

 「説明不足」と見るか、〝説明不可能〟と見るか。

 今朝(06.12.12)の朝日新聞に内閣支持率が先月11月調査の53%から47%に落ち込んだという世論調査の結果を伝える記事が載っている。低下理由の一つとして関連記事(『黄信号 官邸の説明力』)で、「安倍内閣の支持率が報道各社の世論調査で軒並み50%を切り始めた。『復党問題』について安倍首相の『説明不足』を指摘する声が80%にのぼり、支持率低下の背景には首相官邸の『説明能力』の不十分さがあるとの見方が出ている。安倍政権の看板の一つが『広報戦略』とされてきただけに、首相官邸では危機感が募っている。(東岡徹)」としているが、果して安倍首相は郵政造反議員復党問題で「説明不足」を犯したのだろうか。

 新聞・テレビがさして関心を持たず、報道が少ない裏で進行した政策ではない。報道各社が連日、ニュースの時間はもとより、ワイドショー、報道関連番組と朝から晩までこれもかと取り上げていた問題である。安倍首相の「説明」を待たずとも、報道各社の洪水のような情報提供で「説明」は国民は十分過ぎる程に受けていた。それ以上の説明はなかっただろう。来夏の参院選目的であること。それも青木幹雄参院議員会長に強要されての復党容認であること。国民はそのような「説明」をマスコミから受けてしまった。

 当然なことに安倍首相にとって自分の立場に不利となる説明ばかりであった。安倍首相としたら、不利を有利に変えるには、報道各社が流す「説明」を否定し、国民が肯定できる「説明」を試みる必要があったが、試みなかったのは、その姿勢が不足していたからではなく、試みることができなかった、いわば〝説明不可能〟だったと言うことだろう。

 「元々の仲間と一緒にやることになった」といった文脈の説明を誰が信じるだろうか。仲間を自分の方から切っておいて、「元々の仲間だから」は通用するはずがない。

 説明しようと思えば、いくらでもその機会を与えられる立場にいる。説明の言葉をいくらでも用意できるなら、いくらでも説明し、「説明不足」に陥ることはないだろう。拉致問題では、「対話と圧力」を機会あるごとに説明していた。それで人気を獲得してきた経緯がある。自己に都合よく働く事柄に関しては、誰もが饒舌となり、都合の悪いことには寡黙となる。それが人間の自然な理である。

 今回の道路特定財源の政府・与党合意に関しても、合意後にテレビに出ている自民党関係者は安部擁護にあたふたしている。そのように擁護しなければならない姿勢・言葉自体が合意内容の十分過ぎる説明となっている。

 〝擁護〟とは擁護の対象(安倍首相)を庇い守ることを言う。庇い守らなければならないとは、何とまあ苦しい事情ではないか。安倍首相に説明しろと言っても、説明不可能なことだろう。

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