そのまんま東・東国原は病院・医師過疎化容認論者

2008-02-20 06:25:52 | Weblog

 昨19日夜7時からのNHKニュースでの民主党と全国知事会共催の道路特定財源の是非をめぐる公開討論のコーナー。

 菅直人民主党代表代行「道路特定財源というものが国土交通省と場合によっては道路族と言われるような人が、つまりその力によって配分していて、公平・公正なルールがない形で来ている、という、そういうことの現れではないか。公平・公正、透明性の高い形で決めるルールをですね、一緒になって考えてもらいたい」

 「道路族と言われるような人」とは菅直人が自民党の古賀誠と二階を引き合いに出して「顔を見るからに道路利権だけは放さないという決意が表れている」と以前発言していた、いわゆる「利権顔」した面々を指すのは間違いない。道路利権で地元のボスにのし上がり、当選回数を重ねて自民党のボスの列に加わった連中のことである。この手のボスに対してボス度が高いほど周囲はペコペコと頭を下げる儀礼を同時進行させながら「センセイ、センセイ」と呼ぶ習わしの待遇を与えてボスをボスたらしめている。たらしめられているセンセイ方はハッタリだけで持っている高待遇だから、悪い気分はしないに違いない。

 そのまんま東・東国原「まずは特定財源をきちっと確保して安定的にですね、あのー、この、将来亘って、エー、確保しないと、道路っていうのは安定的、継続的にできないと。一般財源化するのであれば、車を所有、あるいは使用する人だけじゃなくて、一般から広くもらわなければいけないです。つまり、課税根拠がなくなる」

 東国原の言っているように確かに「課税根拠がなくなる」。だからと言って、「一般から広くもらわなければいけない」ということは決してない。主として道路から利益を受けるのは今後とも車使用者であることは変わりはないのだから、応分の受益者負担は止む得ないし、不足分は道路建設で今まで負担はせずに受益一方となっていた道路族が政治献金で、道路官僚が天下りで、ゼネコンが談合で得ていた不当利益を排することと、何よりも不必要に豪華な道路を造るムダを排する絞りに絞った道路建設計画を初めとしてすべての予算のムダを省く予算の有効化の遣り繰り算段の創造性を先ずは身につける訓練を行うべきだろう。

 何しろ予算のムダ遣いと公金の個人的流用は日本の政治家と官僚のメタボ体質となってまでいるのだから、その体質が持つ毒性を対外に排出してスッキリとスリム化しなければ何も始めまらない。自民党の利権顔だって、リメイクすることはできまい。

 麻生福岡県知事「民主党さんの案はですね、一見よさそうに見えるんですけども、道路体系としてはですね、これはもう一番基幹のところはやらないという予算構成になってしまう。これはですね、対策になっていない。是非私どもはやはり暫定税率ぐらい維持させてもらいたい・・・・」

 「これはですね」、具体的な説明「になっていない」。京都大学を卒業しているなら、もう少し具体的、明確に議論を展開してほしい。

 東国原「菅さんはよく、道路はできたけど、病院に医師がいなくなったら、いないんだったら、道路を造る意味はないとおっしゃいますけども、違うんですよ。医師がない所から医師のある所に患者を運ぶために道路は必要だっていうのが観点なんですよね、私たちは」

 これは東国原が宮崎県内で地元勢力を集めて開催した「暫定税率廃止に断固反対」の総決起大会(15日)で主張していたことの繰返しである。

 「ガソリンを25円下げることの経済効果を野党さんはあまりおっしゃっていない。野党さんは道路ができてもお医者さんがいなければ何もならないとおっしゃいますが、お医者さんのいる遠い所からいない所へ運ぶために道路は必要なんですよ」

 16日の当ブログ記事≪道路特定財源一般財源化は日本の緩んだ政治・緩んだ官僚体制を目覚めさせる電気ショック≫でも書いたことだが、東国原が言っていることは道路建設最優先政策であり、病院の過疎化・医師の過疎化容認政策の主張であるとも言える。そうでなければ、「医師がない所から医師のある所に患者を運ぶために道路は必要」だとする正当性は成り立たなくなるからだ。

 逆説するなら、病院・医師が充実していれば、患者を運ぶ必要はなくなって、道路も必要でなくなるという奇妙なことになる。

 地方自治体の長として道路建設を必要としたとしても、病院と医師の確保も同時進行で進めなければならない政策であろう。「医師がない所から医師のある所に患者を運ぶために道路は必要」とする論法は詭弁に過ぎない。

 ここでお笑いネタを一つ。

 救急隊の隊長「患者を乗せて病院に連絡を次々と取ったのですが、連絡を取るだけで3つの病院から断られてしまったから、直接ぶつかるしかないと思って押しかけたのです。でも、外科専門の医師がやめていってしまって対応できない、緊急手術中で受け入れることできない、当直医が専門外だから、引き受けるわけにはいかない、看護師不足で救急患者の受け入れは当分休ませてもらっているといった理由で7つの病院から断られて、宮崎県内高速道路を隅々まで走った挙句、やっと11箇所目の病院でオーケーを貰ったのですが、治療遅れで助かりませんでした。でも、利権顔した道路族のセンセイに高速道路をお造りになっていただいたお陰で一般道路を走るよりも11箇所目の病院に到着するまでに1時間は早く着くことができました。そうでなかったら、救急車の中で息を引き取られることになったと思います。治療が間に合わなかったとは言え、病院のベッドの中で息をお引取りになられたことは患者さんにとってせめてもの幸いだと思います。誰だって搬送途中の救急車の中で息を引き取りたくはないでしょうから。何もかも利権顔した道路族センセイのお陰です。今後とも医師がない所から医師のある所に患者を運ぶために高速道路を活用したいと思います。宮崎県内で手当てできなければ、高速道路さえつながっていれば鹿児島までだって長崎までだって、九州中どこへでも走らせます」

 東国原「民主党さんは対案を出してほしい。具体的な対案を出していないです。我々に見える案を出してほしい。そしてそれを議論の遡上に載せてほしい」

 女性アナの解説「東国原知事は記者会見で菅代表代行とは地方の道路整備が遅れている現状認識では一致できたと思う。その一方で民主党は道路特定財源を廃止した後、具体的な道路整備計画を示していなく、今日の討論に参加してみても、信用できないという思いは変わらなかったと述べました」

 菅直人(記者会見)「私たちはこの問題で国民に信を問うだけの価値がある問題だと思っておりますけども、国会での議論もさらに推し進めたいと、こう考えております」

 高速道路が走っている地方の病院に働く医師・看護師は仕事が過酷であったり給与が安かったりしたら、安心してより待遇のいい都市の病院に移ることができる。病院不足・医師不足・看護師不足を高速道路が患者搬送の役目を担って補ってくれるからだ。

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