菅首相、「消費税」発言原因の支持率低下に敏感に反応した記者会見なのか(3)

2010-06-22 11:04:00 | Weblog

 
【質疑応答】――(記者発言では、「オー」、「アー」、「イー」・「エー」抜き。消費税に関する質疑応答のみ抜粋)

(記者)

 TBSの緒方です。総理は先ほど冒頭発言でも税制改革についてお触れになりましたけれども、次の衆院選後の消費税増税では、税率に関して、自民党が掲げた10%を一つの参考にするというふうにおっしゃいました。これは党の公約という認識でよろしいのでしょうか。

 また、この総理発言をめぐって、民主党内から参院選への影響を懸念することが出ておりますほか、国民新党の亀井代表が消費税増税の方針が正式に決まれば、連立離脱の自体もあるとしています。党内や国民新党の理解をどのように得ていくお考えでしょうか。

(菅総理)

 まず、あのー、私が申し上げたのは、エー、早期にこの問題についてですね、超党派で議論を始めたい。・・・その場合に、エ、参考にすべきこととして、自民党が、提案されている10%というものを、一つの参考にしたい。こう申し上げた、わけであります。そういった意味で、そのこと自体は、公約と受け止めていただいて結構ですが、それはあくまでこのマニフェストに、申し上げたように、こういう方向での議論を始めたい。そのことについて、エ、その努力は、当然のこととして、参議院の選挙後にはやってまいります。

 また同時に、エ、では、アー、それまで何もしないで、エー、いるのかということになれば、エー、先だっての記者会見でも申し上げましたように、ニセン、エー、2010年度内には、アー、この問題についての一つの、オー、考え方を、オー、民主党としても、まとめていきたい。

 ですから、何かあの、この選挙が終わったら、すぐ何か、あのー、すぐに消費税を引き上げるようなですね、そういう間違った、メッセージが、もし国民の皆さんに伝わっているとすれば、それは、全く間違いでありまして、まさに参議院選挙が終わった段階から、この問題を、本格的な、アー、形で議論をスタートさせたい。それを、ヲー、公約という言い方をされるなら、まさに公約とおとらえいただいても、結構であります。

 また、あのー、国民新党の、オー、中でいろいろな意見が出ていることは、アー、聞いておりますけれども、ま、選挙のマニュフェスト、オー、になると、エー、それぞれの党が、それぞれの独自性を、これまでも出してきた、わけでありまして、そういう点では、アー、今回の問題もですね、例えば夫婦別姓なども、ア、国民新党は、ア、反対だということを、明確にしておられますので、それは、選挙に於ける主張が、異なるということと、オー、ま、政権離脱ということは、私は若干の、オー、違いがあるのかなと、このように思っております。

(記者)

 産経新聞の船津といいます。先ほどから話になっている消費税の議論、我々からすると突然消費税という言葉が出てきたような感じがするんですけれども、そもそも総理、所信表明演説のときには消費税ということは言っておられなくて、国会を閉じた後のマニフェストの発表でいきなり消費税という言葉を出されて、国会論戦を避けたようなタイミングでの方針表明のように思えるんですけれども、この点いかがでしょう。

(菅総理)

 まず、昨年の12月の、税制大綱の中に、ま、当時、イー、税制調査会会長は藤井財務大臣でありましたが、その中にも消費税を検討するということは入っております。その後、私が財務大臣になり、税制調査会会長になった中では、エ、特に所得税、法人税、消費税についてもしっかり議論してほしいということで、専門家の、アー、皆さんを中心に議論を進めていただいてまいりました。

 エー、そして、エー、このマニフェストについては、まあ、自民党が出された時期と、そう、大きく違わないと思いますが、ぎりぎりの、オ、党内調整を、する中で、先程、オー、申し上げたような形の、表現をしたわけでありまして、決して、アー、消費税ということがですね、突然に出てきたとは、いうふうには、私はこの経緯を、踏まえても、思っておりません。まさにマニフェストに沿った中で、その扱いについて、私から申し上げたということであります。

(内閣広報官)

 それでは、外国プレスのディッキーさん、どうぞ。

(記者)

 フィナンシャルタイムズのミュア・ディッキーと申します。総理は、選挙のすぐ後、消費税が上がるということはないですが、一番早いのはいつごろ上がると思いますか。

 それと、世論調査には結構消費税が上がることに反対の有権者がいると見えますが、そういう反対の有権者のことは、どれぐらい心配でしょうか。よろしくお願いします。

(菅総理)
 
 ま、これは、アー、玄葉政調会長もですね、テレビ討論などで、エー、言っておられますように、イー、勿論超党派での、オー、協議というものがどうなるかということ。更には、アー、逆進性を緩和するためには、複数税率を入れようと思えばインボイスというものの準備が必要になります。還付という形を取ろうと思えば、エー、やはり番号の、導入が、必要になります。ま、番号などについても、オー、既に検討は開始しておりますけれども、それを、最終的に設計し、エー、実現するまでには、やはり、2年とか3年という、時間が必要に、一般的にはなりますので、それを考えればですね、余程早くても、どうなんでしょう、オー、余り私が、アー、日程を区切るのは、好ましくないかと思いますが、少なくとも、オー、これから、2年、3年、あるいはもう少しかかるのではないかと思っております。


(内閣広報官)

 予定の時刻が迫ってきております。手短にお願いしたいと思います。そちらの方で、五十嵐さん、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の五十嵐(女性記者)です。今、総理は元気な日本を復活させるというふうにおっしゃいましたけれども、例えば消費税を10%上げても、総理御自身が御指摘されたように、社会保障の穴埋めにしかならないで、成長戦略を進めるのはなかなか難しいのではないかという指摘があります。総理御自身としては、最終的に税率としては何%ぐらいまでを確保した方がより強くできるとお考えでしょうか。

 また、今度G20で財政再建と成長の両立を訴えるということですけれども、消費税上げについては国際公約として方向性をしっかり打ち出すお考えはおありでしょうか。

(菅総理)

 あのー、ま、消費税の議論の中でですね、エー、、私もこの場でも申し上げたんですが、その前提になっている現実というものを是非、国民の皆さんにも、御理解をいただきたいと思うんです。決して私は、増税がいい、消費税を引き上げることがいいと言って、いるんではないんです。そうではなくて、今は、税金ではなく、赤字国債、でもって、多くの社会保障、に関わる費用が賄われている。その結果、GDP比170、180%を超える、ウー、いわゆる債務残高が、累積しているわけです。

 この状態を、同じように、毎年、赤字国債、一部建設国債を含めてですね、発行していって、果たして持続可能性があるのか。あと100年持続できるということを、どなたか保証してくださるんであれば、それはそういう道筋もあるでしょう。しかし、もし持続できなかったときに何が起きるかというのは、これは、ギリシャの例を見ても、まず起きることは、アー、福祉の切り下げであり、場合によっては人員整理であり、あるいは、アー、給与の引き下げであるわけでありまして、そういう、ことにならないために、強い財政を復活するにはどうするかということを、申し上げているんです。

 ですから、何か、あのー、オー、新しいものをですね、その、オー、新たに、こう、どんどん、買うためにですね、といいますか、使うために、エー、こう、上げたいという、ウー、ように、もし、イー、誤解をいただいているとすれば、そうではなくて、現在、既に、例えば、予算総則、ウー、の例、例と言いましょうか、ことを出せば、もともと、消費税で、ま、高齢者に関わる福祉の費用は、賄うという、充当するということに、一応、なっているわけですが、実際にかかっている費用は17兆円かかっています。しかし、今の消費税で、国分で約7兆円。ですから、その差額の10兆円は、実質的には赤字国債で毎年それを埋めているわけですね。そういう形で、継続できないとしたら、どうするんですかということを申し上げて、いるわけです。

 ですから、そういう意味で、エー、まず、そうした認識を、共有できる皆さんと、しっかり議論を、したい。ま、その議論の一つの、オー、材料としてですね、自民党から提案されている、10%というものを一つの参考にしていこう。こういう考えです。

(内閣広報官)

 予定の時刻が迫っておりますが、最後の一問ということで受けたいと思います。どうぞ。

(記者)

 日本経済新聞の藤田です。今のお話に関連してですが、2011年度予算の新規の国債発行額について、先ほど総理は44.3兆円を超えないように全力を上げるとおっしゃいましたが、具体的に来年度予算をどのような方針で編成されるお考えなのか。

 それから、消費税の具体的な引き上げについては、今後2~3年をかけてとおっしゃいましたが、その前に国民に信を問うというお考えはあるのかどうか。それをお聞かせください。

(菅総理)

 来年度の、ま、予算について、ま、1つはですね、新成長戦略、・・・というものを。ヲー、汲み上げ、ましたから、これは単にウィッシュリスト的に扱うのではなく、ウー、どの分野に財政投入すれば、どういう、成長が、アー、見込めるか。エー、つまりは、最も成長という観点から効果の高いものをですね、エー、判断する。そういう基準として、エー、この成長戦略を、特に、エー、マクロ経済部分、については、位置づけたところであります。

 そういった意味ではですね、従来の予算編成がややもすれば、こういう、えー、まあ、ウー、力のある政治家が言っているからとか、こういう団体が言っているからとかですね、あるいは天下り先を、守るためとか、別の要素で財政配分が、ア、されていた面が相当程度あったと思いますが、エー、この次の予算、私の内閣ではですね、成長ということを一つの、大きな軸に置いて、勿論、他の部分が全くなくなるわけではありませんが、成長ということを大きな柱に置いて、予算編成に、当たりたいと思っております。

 えー、ま、基本的には大きな税制改革を、やるときには、やはりそういうものが、まとまった段階で、国民の皆さん、にですね、判断する機会を、ヲー、持ってもらうというのは、私は必要なことであろうと、こう思っております。

(内閣広報官)

 それでは、時間がまいりましたので、これをもちまして、記者会見を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。

(菅総理)

 どうもありがとうございました。

 発言していることの殆んどはこの記者会見の冒頭で「新内閣のスタートと、通常国会の閉幕に当たって、エー、国民の皆さんに、エ、こういう形で、私の考え方を、お伝えする機会が得られたことを、大変うれしく思っております。」と言っているものの、代表立候補記者会見や総理大臣記者会見、所信表め演説、マニフェスト発表記者会見の発言のほぼ同じことの繰返しとなっている。

 自分が種を撒いた内閣支持率と党支持率の下落を自ら刈り取るための記者会見と見ると、撒いた種の訂正もしくは再確認を迫る箇所が存在することになる。

 マニフェスト発表記者会見では、消費税の逆進性に関しては、「ここに書かれたものをもう少し私の言葉で噛み砕いて言いますと、既に消費税について、政府税調の方で、議論を始め、始めていただいておりますけれども、今年度内、2010年度内に、そのあるべき税収や、あるいは逆進性対策、を含む、この消費費税に関する、改革案を、取りまとめていきたい、今年度中の、とりまとめを目指していきたい、と考えております」――

 あるいは「税率や逆進性対策を含む、改革案を取り纏めると同時に他党とも議論を呼びかける」と言っているのみで、複数税率や税の還付方式には直接触れていないが、この記者会見では、「消費税の持つ逆進性を改めるために複数税率、あるいは税の還付といった方式についても、併せてしっかりと、議論をしていきたい。このように、考えております」と初めて直接的に触れている点はまさしく訂正もしくは再確認を迫る箇所に当たる。

 また、消費税の法案提出時期に関してはマニフェスト記者会見で、「幅広い、合意が、得ることができれば、超党派で、法案を提出し、成立を目指していくことになります」と言ったことに対して、参院選で勝利したら、それを以て民意を得たとして法案を提出するのか、次の衆院選で信を問うのかと記者から具体的な日程を問われても、「基本的には大きな税制改革を行う場合は、予め実施する前に国民のみなさんに信を問うというか、その内容を判断をいただくいうことは本来あるべき道だと、こう思っております」と一般論・原則論で逃げて誤魔化したが、この記者会見では次のように言っている。、

 「消費税については、参議院の選挙が終わった中で本格的な議論をスタートさせたいと思っております」

 「何かこの選挙が終わったら、すぐ何かすぐに消費税を引き上げるようなですね、そういう間違ったメッセージがもし国民の皆さんに伝わっているとすれば、それは全く間違いでありまして、まさに参議院選挙が終わった段階から、この問題を本格的な形で議論をスタートさせたい。それを公約という言い方をされるなら、まさに公約とおとらえいただいても、結構であります」――

 要するに私が公約としていることは参院選後に消費税に関する本格的な議論をスタートさせることであり、参院選挙には関係ないことだとし、具体的年数としては、「最終的に設計し、実現するまでには、やはり2年とか3年という時間が必要に一般的にはなります」と言って、一般論・原則論で逃げていたことを訂正、やはり来月の参院選には一切関係ないことだとしている。

 こうみてくると、どうしても自身の「自民党税率10%参考」発言が撒いた支持率下落の種を自身で刈り取るための記者会見に思えて仕方がない。

 尤もここで訂正・再確認の例として出した発言はどちらも質疑に対する応答の中での発言だが、マニフェスト記者会見で受けた記者の質疑にほぼ重なっている。

 当然内閣支持率と民主党支持率を下落させた消費税発言だから、似た質問を受けることは十分に予測できたはずである。

 いわば予めこの手の質問を予測して冒頭発言の中では自分から発言せずに記者に言わせて受け答えする形式に持っていき、自らの「消費税」発言が招いた支持率低下に敏感に反応した記者会見だと悟られないように謀ったことは十分に疑うことができる。

 まあ、どうでもいいことだが、記者会見を「オープンにすることは非常にいいが、取材を受けることで政権運営が行き詰まるという状況も何となく感じている」と記者会見に強い警戒心を働かせていながら、そのことに反して自身の発言がどういう影響を与えるのか、他の政策とは比較にならない影響が生じることは誰もが承知している特に消費税に関する発言でありながら、それを見抜く先見性を欠いていたと言えることだけは確かである。

 前任者同様、あるいは自民党政権の歴代首相のように自身の発言に対する危機感能力を欠いていたと言い換えることもできる。


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菅首相の「自民党消費税10%」相乗りを読み解く

2010-06-21 09:52:22 | Weblog

 悪い頭で読み解いてみようと思う。
 
 6月17日午後、菅首相は民主党代表という立場で党のマニフェストを発表する記者会見を開催。記者会見の模様は「プレスクラブ - ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局」の動画から、消費税に関する場面のみを抜粋。

 菅直人民主党代表「中でも、強い経済、強い財政、強い社会保障、この、三つの、点について、特に申し上げておきたいと思います。つまり従来は、経済、景気をよくしようとすれば、そのときは赤字国債を出しても仕方がないと言い、あるいは社会保障は、負担という言葉で、どちらかと言えば(右手を上げたり、左手を上げたり、ジェスチャーたっぷり)、経済成長の足を引っ張るものだと、看做されている。そして財政というものは、財政を健全化しようとすれば、それは景気に逆にマイナスになるという、言われ方、あるいは社会保障を頭を押さえるという言われ方を、して、この経済と財政を、社会保障は、それぞれが、対立するものだという、ふうに、多くの場合受け止められ、あるいはみなさん方もそういう視点から、報道されていた面も強かったと思います。

 私はこの根本的な見方を、変えなければ、日本の再生はない。このように思っております。つまりは、言うまでもありませんけれども、経済成長する中で、勿論、税収とか(右手を大きくぐるぐる回す)、社会の中の雇用とか、そういった自殺が増えるのも、景気が悪くなったときに自殺がたくさん、増えるわけでありまして、そういう問題が、連動しているわけであります。

 そういう意味では、単にスローガンとして、この三つを並べただけではなく、今日もこの直前に、新成長戦略の、オ、会議をやった、明日閣議決定をいたしますが、経済成長についても、この半年余り、しっかりと議論し、それを具体化する道筋を、定めることができました。

 また財政運営戦略、中期財政フレームについても、来週早々には、その内容を、きちっとみなさんにお示しをする。

 ま、社会保障については、これまでも具体的な形で、色々提起をしてきた、ア、でありまして。そういった、単にスローガンとしてこの三つを並べたのではなく、その三つの経済と、財政と社会保障というものが、どのように(再び右手を大きくぐるぐる回す)好循環をつくるということができるか、それがまさに、この新成長戦略などを含めた政策体系であって、それのエキスが、このマニフェストだと。是非このようにご理解をいただきたいと思います。

 ま、その中で、それぞれ申し上げたいんですけれども、時間の制約もありますので、みなさん方が特に注目、をされている点について、私の、オー、方から、アー、少し、補足をさせていただこうと思っています。

 それは8ページの、強い財政の中にあります、エー、早期に、結論を得(う)ることを目指して消費税を含む、税制の抜本に関する協議を超党派で、開始しますという、このことの、オー、持っている、ま、考え方、プランというものについて、申し上げたいと思います。

 (今までの力強い滑らかな口調が失せて、慎重な物言いとなる。トーンも低くなる。)

 まあ、国民のみなさんにとって、税というのは、やはり、負担という、形で、重いものがあります。ですから、本来なら、エ、税の、オー、より大きな、負担をお願いするというのは、できれば政治家にとっては、そうしたくない、そうしない、で、済む、ことが、ある意味、望ましい。あるいは、その方が、有難い、という思いが、率直なところあります。

 しかしご承知のように、今の日本の財政の状況は、アー、債務残高がGDP比で、180%を超え、この間の、水準で国債発行を続けていれば、あと、数年、3年4年という数年の間には、GDP比で200%を超えることが、確実だという、そういう状況に今日本が、あるということを、これは多くの国民のみなさんも、ご理解をしていただいていると思います。

 そして特に、あのギリシャの財政破綻から、始まる、ヨーロッパの動揺は、問題が決して、対岸の火事ではなくて、我が国自身が、このことをしっかりと、財政再建を取り組まなければ、例えば、IMFといった国際機関が、我が国の主権と言うべき、財政運営に、それこそ、箸の上げ下ろしまで、エー、コントロールするようなことにもなりかねない。過去に於いて多くの国が、そういう経験をし、社会が非常に荒んだということも、あるわけでございます。

 そういう意味で、我が国が、国、そして国民のみなさんが、そして私たち政治家が、自分たちの、他国に頼らない、自分たちの力で、財政再建を、ヲー、実現をする。強い財政をつくるが、つくることが、同時に、強い財政、強い社会保障をつくる、こういう道筋に持っていくために、消費税について、これまでも議論を長くタブー視する傾向が、政治の社会でありましたが、ここでは思い切ってですね、このマニフェスト、今申し上げたような形で、書かせていただいたところであります。

 そして、ここに書かれたものをもう少し私の言葉で噛み砕いて言いますと、既に消費税について、政府税調の方で、議論を始め、始めていただいておりますけれども、今年度内、2010年度内に、そのあるべき税収や、あるいは逆進性対策、を含む、この諸費税に関する、改革案を、取りまとめていきたい、今年度中の、とりまとめを目指していきたい、と考えております。

 併せて、超党派の幅広い、合意を目指す努力を、行っていきたいと思います。

 なお、当面の税率については、自由民主党のが、提案されている、ジュウ、10%という、この、数字、10%を、一つの、参考とさせていただきたいと、考えております。

 そして幅広い、合意が、得ることができれば、超党派で、法案を提出し、成立を目指していくことになります。

 しかし、超党派での、そうした法案提出が困難な場合は、民主党が中心になって、改革案を、取りまとめていく。エ、つまりは、超党派での、オ、議論を、オー、しっかりと、していきたいと思っておりますが、それが、ア、うまくいかなければ、永久に、エー、議論を進めないというのではなくて、エ、そのときは、民主党として、エー、・・・中心となって、取り纏めていきたい。このように考えているところであります。

 エー、そういうことで、今回の、マニフェストの基本的な、アー、強い経済、強い財政、強い社会保障、そして、最も国民のみなさん、あるいは、マスコミのみなさんが、アー、関心を持たれている、この消費税の扱いについて、エー、私の、オー、考え方、あるいは民主党としての考え方を、申し上げさせていただいて、私からの、オー、説明とさせていただきます。

 どうもご清聴ありがとうございました」

 (質疑)――記者会見では質問者が新聞社名、あるいはテレビ局名と自身の名前を告げる慣例となっているが、質問自体を重要視しているからなのか、殆んどが低い早口の声で適当に片付けて聞き取れないことが多い。テレビで生中継する場合もあるし、インターネットで動画に自由にアクセスできる場合もある。質問の内容次第でどこの誰の質問なのか宣伝になると思うのだが、そういった宣伝意識はないようだ。

 ――(名乗りは聞こえない。)消費税に関してですが、10年度中に、あるべき税率を固めるということですが、その法案、実際の引き上げ時期をどう考えているのか。かつて財務大臣時代に選挙を経てから、あのー、上げるべきだとおっしゃったこともありましたが、選挙を経てからという考え方なのか、それとも、衆議院を経ないでも、もう参院選で信を問えば、もう上げてもいいという考えなのか、そこの辺をちょっと。

 菅代表「まあ、基本的には、大きな税制改革を行う場合は、アー、予め、実施する前に、国民のみなさんに、エー、信を問うというか、その内容を、判断をいただくいうことは、ア、本来あるべき道だと、こう思っております。

 ですから、今申し上げたように、エー・・・あのォー・・・、今年度、中に、イー、税率や逆進性対策を含む、改革案を取り纏め、ると、同時に、エー、他党とも、オー、議論を呼びかけると。ま、そいう中で、それが順調に進むのか、アー、それによっても、その後の展開は、変わってくると。

 ただ永久にですね、エー、そういった超党派の話し合いが、アー、始まる、あるいは進むまで、あるいは何もしないでということではないという意味で、どうしてもある段階まできて、超党派での、合意は難しいということになれば、あー、民主党中心で、エー、最終的な案を取り纏めて、いくと、オー、こういうことになります」

 ――あの、日経ビジネスの・・・・(名前は聞こえない)と言います。今の状況の関連なんですが、エー、確認なんですけども、エー、自民党の方で10%という目安を一つ出して、民主党の方も10%と、いうことでよろしいんでしょうか。

 菅代表「今申し上げましたように、エー、10%と、う、案を出されているというのは承知しておりまして、ま、私共ですね、ま、一つの大きな参考にさせていただきたい、このように考えています」

 ――読売新聞の黒見(?)と申します。時期についてもう一度確認なんですが、超党派での話し合いがうまくいった場合には、エー、衆議院選前でも引き上げはあり得るということで、超党派の話し合いがうまくいかなければ、衆院選で消費税の引き上げを民主党案として問うというお考えでよろしいでしょうか。

 菅代表「ま、先程も申し上げたように原則的には、ア、大きな税制改正を行うときには、エ、それが実施される前に、国民のみなさんに、えー、判断をいただくことが必要だと思っています。

 ただ、その進め方なり、段取りについてはですね、エー・・・・どういった、アー、政党なり、議員のみなさんが、エー、そうしたことに、一緒に議論に参加をし、合意形成を図るれかによって、エー、早い段階で図れれば、物事が早く進めることができますし、それが難しければ、やはりそれなりに時間がかかるという意味で、エー、何年度からどうしますということはですね、エー、いうことは難しい、イー、ということで、先程申し上げたような説明を、ヲー、いたしたところでございます」

 カメラマンからの要請で、三脚に立てた民主党の参院選用ポスターの前でマニフェストを手ににこやかな顔でポーズを作る。


 菅代表は「強い経済・強い財政・強い社会保障」は「スローガンとして、この三つを並べただけではない」とニ度も強調しているが、「スローガン」かどうかは結果が証明すること、あるいは結果によって証明させるべき事柄であって、仕上げを御覧(ごろう)じろとすべきを、それができなくてスローガンでないと何度も断らなければならないのは、「スローガン」と受け取られるのではないかという自信のなさからくる、その裏返しとしてある不安がどこかにあるからではないだろうか。だから、どうしても言葉の数が多くなってくどくなる。一度言ったことを何度も繰り返すことになる。

 あるいは「強い財政・強い経済・強い社会保障」という言葉自体を言葉で以って実現できるかのようにこれでもか、これでもかと説明している。

 要するに言っていることを信じろ、信じろと言葉を尽くしている印象だが、いくら言っていることを信じろと言葉を尽くしたとしても、言っていることに具体性を与えることができるわけではなく、それを可能とするのは偏に今後の行動性、取り組みようにかかっているはずだが、そのことにかける強い意志を感じることができない。

 衆院選のマニフェストをあれこれ修正した前科から、その二の舞と把えられかねない恐れがトラウマとなっていて、その後ろめたさから、「スローガン」ではない、「スローガン」ではないと強調しなければならない、前科に対する反射性も働いているのかもしれない。

 重厚な声質、議論するときの攻撃性からすると指導力・統率力に優れているように見えるが、言葉数の多さ、くどい言い回し、同じ言葉の繰返しからはぐいぐい引っ張っていく、あるいは統率していく指導力・統率力を感じ取ることはできない。だから、結果責任に賭けようとする強固な意志を演じることができないのではないのか。

 「消費税について、これまでも議論を長くタブー視する傾向が、政治の社会でありました」と言っているが、自身はタブー視しない、挑戦することを意味し、強い決意表明でなければならないはずだが、言葉で言っているのみで、言葉からはそういった強い意志を窺うことができない。

 6月11日の総理大臣所信表明演説では、「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現を、政治の強いリーダーシップで実現していく決意です」と述べている。

 また、マニフェスト発表の消費税に関わる発言の冒頭でも自身で触れているが、「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現」を言い、「日本の再生」にイコールさせている。

 「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現」を「強い」という言葉まで冠していることに対応して、当然、「政治の強いリーダーシップ」は欠かすことはできず、消費税増税が「強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現」に向かわせる一つの重要なアイテムと計算しているなら、消費税増税に向けた政治行動に於いても、「政治の強いリーダーシップ」は必要不可欠な絶対条件となる。

 「日本の再生」を実現させ得るかどうかは偏に「政治の強いリーダーシップ」にかっかていると自ら宣言したのである。

 ところが、「当面の税率については自由民主党が提案されている10%という、この数字、10%を、一つの参考とさせていただきたいと考えております」と言っている。この言葉に日本の政権を担っている与党としての「政治の強いリーダーシップ」を看取することができるだろうか。

 与党の立場上、消費税増税に関わる世論誘導の主導権を握らなければならない地位にいながら、自民党の「10%を、一つの参考にさせていただきます」と野党自民党に準ずる位置に立たせたことにも現れている「政治の強いリーダーシップ」の欠如ではないだろうか。

 このことを端的に象徴する言葉が、「当面の税率については」の「当面」という語であろう。消費税増税は中低所得層にとっては直接的には生活に打撃となる政策であることを考えるなら、自民党の「10%」案を基準に議論を重ねるという経緯を考えているにしても、民主党自身が検討を重ね、ある程度の確定性と永続性を持たせて弾き出した数値ではなく、「当面」という形で、しかも「参考」という与党にあるまじき受け身姿勢で税率を出されたのでは無責任に過ぎる。

 こういったことも「政治の強いリーダーシップ」を菅自身も民主党自体も持たないことから、そのことに反する、税率の非自律的算定であろう。

 例え検討を重ねて自民党と同じ10%となったとしても、使い道を同じ社会保障予算に限定するにしても、医療・介護だけではなく、介護、医療、雇用、年金等の各種保険、障害者福祉、児童福祉、母子福祉等の社会福祉等々、どう優先順位をつけるか、どこに重点を置くかの内容に違いが出てくるはずである。余りにも安易な「当面の税率」であり、自民党の「10%」参考となっている。

 さらに言うと、記者との質疑応答で、記者が参院選で勝てば、消費税増税の信を得たとして増税するのか、前以て衆院選で信を問うのかの質問に対して、消費税を説明したときの言葉をくどくどと繰返すことと、「大きな税制改革を行う場合は予め実施する前に国民のみなさんに信を問うことが本来あるべき道だ」とする原則論で逃げたところにも、「政治の強いリーダーシップ」を感じることはできない。

 尤も6月18日のぶら下がり記者会見で「10%」の根拠を具体的に説明している。

 《「消費税10%、自民の考え方同じ」―18日の菅首相》asahi.com/2010年6月19日0時46分)

 ――昨日のマニフェスト発表会見で、消費税率について自民党が掲げる10%を一つの参考にすると発言した。この10%の根拠は何か。社会保障など必要な金額を積算した上での数字か、それとも自民党が言っているからなのか。

 「あの、元々ですね、予算総則というのがあって、もう10年ぐらい前からですね、予算総則では、消費税の国の分は、あの、福祉の、特にあの、高齢者にかかる費用に充てるというのが決まってるんですよ。で、それが今、5%の現行消費税で言えば、国の分が約7兆なんですね。ま、しかし、実際に、あのー、充てることになっている高齢者の福祉にかかるものが、約17兆かかってるんです。ですから、現在でも10兆ぐらい、そこに充てるとされてるものに足らないんですね。で、まあ、これはあのー、毎年、あのー自然増とか、あるいは社会保障の、より強化で増えていく数なもんですから、それを念頭に入れて考えるとですね、やはりこの程度の財源が必要になると、そういうことで申し上げたんです。で、あの、自民党の資料もよく見てみました。ま、自民党の考え方もほぼ同じような考え方で、やはり、あのー、福祉について、あの、予算総則を超えて必要なものがあるので、その程度の税率になるということも書いてあって。ま、考え方の基本は、その部分でも同じですね。

 ――増税分の使途は、社会保障に限るということか。

 「いや、元々そういう考え方になってるんです。あの、しかし今は足らないから、それ以外の税収でまかなってるわけです。ですから、もっと言えば、税収が足らなければ赤字国債でまかなっているわけです。それが、今のような形で考えれば、少なくとも、ほぼ、その総則ですでに言っているように、高齢者にかかる福祉の費用を、おー、新しい税率のですね、消費税で、ほぼまかなえるようになるということです」 ――

 ここでは「予算総則では消費税の国の分は特に高齢者にかかる費用に充てるというのが決まってる」と言っているが、高齢者の福祉に当てるとしても、介護医療や高齢医療とこれらに対応させた介護保険、高齢医療保険などの分野に分かれる。例え「新しい税率でほぼまかなえるようになる」にしても、自民党消費税政策とすべての中身まで事細かく一致するわけではあるまい。 

世論調査を見ると、国民は消費税増税に賛成が僅かに上回るものの、ほぼ賛否相半ばしている。 

《参院選連続世論調査―質問と回答〈6月12・13日〉》asahi.com/2010年6月13日23時18分)によると、消費税に関する賛否は次のようになっている。

◆消費税の引き上げに賛成ですか。反対ですか

  賛成   49

  反対   44

 菅直人の「自民党10%」相乗り発言後の調査である、《首相「消費税10%」評価48%・評価せず44%》YOMIURI ONLINE/2010年6月20日22時50分)でも、題名が既に示しているように極めて近い数字を出している。

 対して自民党の消費税10%増税公約への評価についていは――

 「評価する」 ――55%
 「評価しない」――37%

 要するに両党の消費税増税公約に国民は共に賛成が上回るということなのだろうが、自民党支持者に高額所得者がより多く占めていると考えるなら、そのことに対応して5%から10%に上がっても困らない生活者の存在が「評価しない」37%に対して「評価する」55%の格差となって表れたと見ることができないわけではない。低所得者に向かう程、賛成できない状況にあるはずだ。私などは特に賛成できない貧乏人ときている。

 国民世論の僅かでも上まわる消費税増税に対する抵抗感の喪失に安心したものの、それが僅かであることから参院選への影響を考えて、税率で自民党と同じ土俵に上がれば、横並びなら、例え国民の反撥・反感を受けたとしても、二分できるのではないか、二分する形で和らげることができるのではないかといった計算からの、「政治の強いリーダーシップ」を発揮できないことも手伝って「自民党10%」に相乗りしたように思えて仕方がない。

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菅首相の「辛光洙釈放要望書署名」釈明に見る“認識”

2010-06-20 11:00:39 | Weblog

 《政府が拉致対策本部 首相「主権侵害そのもの」と北を非難》MSN産経/2010.6.18 11:10)

 記事は政府が6月18日午前に首相官邸で拉致問題対策本部(本部長・菅直人首相)第2回会合(菅内閣発足後は初)を開催したこと、挨拶に立った菅首相が6月10日に拉致被害者家族と面会したことに触れて、「家族の方々の30年以上にわたる、言葉に言い尽くせないご苦労を直接感じた。拉致は主権侵害そのもので、断じて容認できない」と述べ、解決に向けた決意を示したことを伝え、最後に、〈首相は過去に日本人拉致の実行犯、辛(シン)光洙(ガンス)元死刑囚の助命嘆願書に署名したことがあるが、14日の衆院本会議では「間違いだった」と謝罪している。〉と論評抜きで簡単に伝えている。

 要するに何も批判していないが、拉致問題に関する過去・現在間の態度の違い、二重態度を暗に指摘したのだろう。

 「助命嘆願書」なるものの存在と、それに土井たか子や田英夫が証明したということはうろ覚えに記憶していたが、かつての菅直人国会議員が署名していたとは初耳であった。

 社民党は自らの党HPに1997年から2002年10月に入るまで北朝鮮の拉致を「根拠がない」と否定する論文を掲載し続けていた程に北朝鮮シンパの様相を呈していたから、土井たか子や田英夫の署名は納得できた。

 この記事だけでは14日の衆院本会議でどんな遣り取りがあったか分からないから、《衆議院インターネット審議中継》のHPにアクセス、どうせ自民党辺りの野党からの質問だろうと当りをつけて、自民党で質問に立ったのは谷垣総裁と菅原一秀の二人のみ、総裁直々には品位に関わるから質問はできないと踏んで、菅原一秀のビデオを聞いてみた。ビンゴ――
 
 ――北朝鮮の脅威・危険、拉致問題との関連で、次の質問を行う。

 菅原一秀「ところで、菅総理は過去に、日本人の拉致実行犯である、辛光洙(シン・ガンス)死刑囚の、釈放要望書に署名しております。現国会議員で、署名したのは、総理ともう一人、千葉法務大臣であります。この件に関し、総理はのちに、知らなかったと応えておりますが、でも直前に、マスコミでも報道され、国会でも取り上げられたにも関わらず、知らなかったとどうして言えるんでしょうか。

 日本のトップと、法を扱う最高責任者が、共に拉致実行犯の釈放書にサインをしていたというのは、極めて重要な問題であり、これで本当に、拉致問題の解決は前に進むのでしょうか。総理、いつ如何なる状況で、なぜ署名したのか、その理由をお聞かせください」

 菅首相「エー、辛光洙元死刑囚の釈放要望書への署名についてご質問をいただきました。ま、この問題は、アー、かつて、安倍総理が、安倍長官時代に、NHK討論会の場でも、質問をされ、また、最近では、あ、岸参議院議員とか、エー、参議院の委員会の場でも質問され、私からアー、しっかりとお答えをさせていただきましたが、今日もわざわざご質問をいただきましたので、経緯を申し上げておきたいと思います。

 エー、かなり以前なんですけれども、エー、全斗煥大統領が来日をされるという前に、在日韓国人であった、みなさんの中で、韓国で民主化運動をやっていて、逮捕され、死刑の判決を受けた方などが、おられた、アー、ところ、当時の社会党土井たか子委員長がですね、そういう、ウー、在日外国人で、大学生などで、そういう、ウー、その、民主化運動で、逮捕された、死刑判決を、人を、助命嘆願をしたいという趣旨で、エー、関係する社会(党)はもとより、公明党、そして当時私は、社民連という政党におりましたが、社民連のみんなに声を掛けられた、アー、と記憶しております

 ま、当時社民連は田英夫さんが、アー党首で、私はまだ1年坊主か2年坊主の頃でありましたが、アー、そうした趣旨だということを、そうした、つまりは、在日韓国人の民主化運動によって逮捕された人に対する、ウー、釈放要求だという趣旨でありましたので、署名をさせていただきました。

 その後、その署名、あのー、対象の中に、エー、工作員の辛光洙が入っていたという、ことで、これは私が、十二分、ジンビン、確かめ、えー、ることができなくて、署名したことは、ア、これは私の間違いでありまして、そのことについては、従来から、間違いであったことを、オー、反省をいたして、いるところであります」

 結論から言うと、質疑・答弁を聞く範囲内では、状況証拠でしかないが、菅原議員が要望書への署名を取り上げるまでの答弁は雄弁に展開していたが、答弁がこの問題に入った途端に、「エー」、「アー」、「オー」を連発、声の調子も低くなり、答弁にスムーズさを失ったことと、菅原一秀議員が「マスコミでも報道され、国会でも取り上げられ」ていたと言っていることからすると、当時「1年坊主か2年坊主」だった菅議員は辛光洙のことを知っていながら、土井たか子同様に北朝鮮自体を善なる存在、韓国の盧泰愚大統領を軍事独裁政権の朴正煕の片割れの軍人出身だとして悪なる存在と看做し、拉致だけではなく、韓国での辛光洙の逮捕理由であるスパイ容疑自体を認めていなかったことから、賛同者の一人に名乗り出たといった疑いが濃い。

 在日韓国人でありながら、韓国で民主化運動を行い逮捕され、死刑判決等を受けた民主化運動死刑囚等の助命要望を目的とした助命嘆願書だったが、その死刑囚の中に辛光洙も入っていたということなら、そのことだけを簡潔に答弁すれば、事は片付くはずだが、そうはせずに、「私はまだ1年坊主か2年坊主の頃で」と弁解しているが、これは自身がまだ世間を知らない若輩者、政治の世界に疎くて周りの状況が十分に理解できていない新人に過ぎなかったと、いわば自身を無知に近い状態に置いた弁解であって、これは明らかに、だから無理はなかったとする罪薄め、責任逃れの意識を込めた発言であり、そのように言う必要があったということを裏返すと、どうしても辛光洙に対する認識の違いがあったと見ざるを得ない。

 また、「署名の対象の中に工作員の辛光洙が入っていたということで、私が十二分に確かめることができなくて、署名したことは私の間違いでありまして」と言っているが、これはどちらかと言うと自身の確認能力そのもの、確認方法そのものに責任を置かずに迂闊さ・不注意に重点を置いた「私の間違い」としている物言いであって、「私はまだ1年坊主か2年坊主の頃で」といった弁解と併せ考えると、同じように罪薄め、責任逃れの意識を込めているように思える。

 社民党の土井たか子が主となって 「在日韓国人政治犯の釈放に関する要望」を提出したのは1989年7月である。インターネットで調べたところ、この要望書を提出する1年4カ月程前の1988年3月26日の参議院予算委員会がその質疑応答の中で既に北朝鮮の日本人拉致疑惑と辛光洙を絡めて取り上げている。菅原議員が「国会でも取り上げられた」と言ってることの中にこの質疑応答も入っているのだろう。

 日本共産党のHPが、《参議院予算委員会での橋本敦議員の質問(抜粋)》として記録に残している。     

 当時の菅直人議員が「まだ1年坊主か2年坊主の頃」だったとしても、この参議院予算委員会での質疑応答の事実を知っていたなら、確実に認識の違い――北朝鮮を善なる存在、盧泰愚韓国を朴正煕の軍事独裁体制を引き継ぐ悪なる存在と看做し、辛光洙のスパイ容疑での逮捕も、死刑判決も韓国当局がデッチ上げた捏造と見る、一般の認識との違いが誘導することになった署名だったと言うことができるのではないだろうか。
 
 最初に2002年10月に入るまで北朝鮮の拉致を「根拠がない」と否定する論文を社民党のHPに載せていたと書いたが、「月刊社会民主」97年7月号掲載の社会科学研究所・北川広和著作の《食糧援助拒否する日本政府》である。

 土井たか子はこのHPを削除する2002年10月まで北朝鮮を善なる存在、日本人拉致問題は日本政府のデッチ上げと見ていたのだろう。

 菅直人にしても、社民党HP削除の2002年10月に至るどの時点までか分からないが、土井たか子が持っていた認識に組みしていたということではないのか。

      
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日本の教育支出の現状と子ども手当

2010-06-19 08:22:30 | Weblog

 今年中に中国に抜かれて、世界第2位の座を中国に譲ることが確実視されてはいるが、今のところ日本はどうにか経済大国世界第2位の地位につけている。

 ところが政府支出に占める教育支出の割合が先進27カ国中最下位だという。

 《「日本は家計の教育費負担大きい」文部科学白書が特集》asahi.com/2010年6月18日14時59分)

 文科省のHPで調べたところ、《教育指標の国際比較 平成22年版》となっているが、最終統計年は2006年、「国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率」、あるいは「一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率」として出ている。

 記事は冒頭次のように解説している。

 〈文部科学省は18日、同省の取り組みをまとめた冊子「文部科学白書」を発表した。「リーマン・ショック」以降の不況によって教育費の負担感が高まっていることを背景に、同省の白書としては初めて教育費問題を特集。「日本は国際的にみて家計の教育費負担が大きく、公的支出が少ない」と強調したうえで、「教育に十分な資源を振り向けることが喫緊の課題」とうたっている。 〉

 統計内容についていは――

 子ども1人が幼稚園から高校まで公立、大学は国立に通った場合、約1千万円の負担。すべて私立なら約2300万円。

 この負担割合だと、子ども2人が私立大学に通っている場合は勤労世帯の可処分所得の2分の1超を教育費が占めることになるそうだ。

 平均化処分所得がどのくらいかインターネットで調べたところ、次の記事に出会った。(一部抜粋参考引用)

 《2009年勤労者の可処分所得は前年比実質3.2%減[マネー]All About》(掲載日:2010年02月23日)
2009年は夏以降急激に雇用環境が悪化し、冬のボーナスは支給されれば御の字といわれるほどでした。1年間の勤労者世帯(2人以上の世帯)の所得は激減しました。「平成21年家計調査」から、実収入や可処分所得、黒字率などをご紹介します。

 可処分所得マイナス1.9%

「平成21年家計調査(平均)」(2010年2月16日総務省発表)によると、勤労者世帯の月平均実収入は名目4.6%減(実質3.1%減)の464,649円、うち可処分所得は名目4.7%減(実質3.2%減)の383,960円でした。

 勤労者世帯のうち2人以上の世帯の月平均実収入は518,226円で、可処分所得は427,912円(実収入の約82.6%)でした。2009年と比較すると、月平均実収入は3.0%減(実質1.5%減)、可処分所得は3.4%減(実質1.9%減)です。これは、夏のボーナスの支給額が8%減、冬のボーナスの支給額が9.5%減と激減したこと、残業が減ったこと、の影響です。〉

 2人以上世帯の月平均可処分所得427,912円から2分の1超を教育費が占めるとして計算すると、20万円以上が教育費に取られることになる。

 記事はは次に白書から教育支出に占める私費と公費の負担割合の国際比較を紹介している。

 大学などの高等教育段階では、先進国平均=私費3割、公費7割に対して私費7割、公費3割と世界第2位の経済大国、金持ニッポンのイメージからは考えられない見事な逆転現象となっている。

 死んだ蛙が巨大な生白い腹を見せて黒く濁った水に浮かんでいるような尋常ではない日本の姿を予感させる。

 政府支出に占める教育支出の割合は先進27カ国中最下位の名誉を担ったものだという。記事は最後に、白書は〈公的支出の少なさを示すグラフをいくつも載せて、「不況で苦しい家計に教育費が重くのしかかっているが、公的支出は手薄」という日本の現状を浮かび上がらせている。〉と解説している。

 「教育に十分な資源を振り向けることが喫緊の課題」ということなら、マニフェスト(政権公約)に掲げ、政権を取って国民との契約とした以上、その契約を果たすためにも何が何でも子ども手当23年度2万6千円の全額支給を行うべきではないだろうか。財源不足などと言っていられない。他の予算を削っても振り向けるべきだろう。

 統計を取って、日本の教育費は世界の現状と比較して、こういったお粗末な現状にありますと分析するだけでは政治とはならない。単なる情報提供で終わる。政治の役目は統計上の不足分を解決して国民の生活向上及び社会の向上に資することにあるはずだ。

 それともこの文科省白書は文科省の予算獲得のための宣伝を趣旨としていることから、こういった危機感露骨な内容になったということなのだろうか。

 参考までに上記《教育指標の国際比較 平成22年版》から以下の統計を参考までに記載。

 《国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率》(2006年) (%)

   初等・中等・高等教育  高等教育   全教育段階 
   以外の中等後教育
     
    公財政 私費 合計  公財政  私費 合計 公財政 私費 合計
     支出  負担     支出    負担    支出   負担
 
日本   2.6  0.3  2.8   0.5   1.0  1.5 3.3  1.7  5.0

米国   3.7  0.3  4.0  1.0   1.9   2.9  5.0  2.4  7.4

OECD  3.4  0.3  3.8  1.0   0.5   1.5 4.9  0.8  5.8
各国平均

 「一般政府総支出に対する公財政支出学校教育費の比率」(2006年)

   初等・中等・高等教育 高等教育 全教育段階  
    以外の中等後教育

日本    7.0         1.7      9.5      

米国   10.0       3.9    14.8

OECD   9.0        3.1    13.3
各国平均 


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マニフェスト(政権公約)を国民との契約から政策ガイドラインに変質させた民主党の面々

2010-06-18 09:50:06 | Weblog

 マニフェスト(政権公約)とは政権政党選択、あるいは第一党選択の判断を国民に委ねる際、委ねる判断の基準として国民に約束する政策集であり、公約という性質上、政権を取った場合は国民との契約の形を取るはずである。また、そういった形を取らなければならないはずである。

 政権を取った場合に国民との契約の形を取らなければ、公約とは言えまい。契約という形を取るから、国民はマニフェストが掲げる政策を基準に政権を担ってその政策を実現して欲しい政党の立候補者に投票する。例え参議院選挙のように政権選択選挙ではなくても、政権担当実現への前準備として第一党を占めて欲しい、あるいは政権党の政権運営が遅滞なく実現できることを願ってマニフェストを投票の基準とする。

 少なくともこの形が理想の民主的な選挙形態であろう。当てにもならない公約、当てにもならない国民との契約であるなら、政権政党選択の基準、あるいは第一党選択の基準を失う。投票の基準を失うということである。いつどこで修正されるか分からないとなったなら、政策判断の基準さえ失う。

 民主党は中学生以下の子どもに月額2万6千円の「子ども手当」支給という政策をマニフェストに掲げて昨年9月の総選挙に臨んだ。いわば2万6千円「子ども手当」の契約を政権を取った場合を条件として国民に持ちかけた。国民の側からの政権選択がその契約を成立させる要件となる。

 多くの国民が「子ども手当」政策を基準に民主党に政権を託して政権と国民との間の契約を成立させるべく一票を投じていったはずである。そして民主党に政権選択して、その契約を成立せしめた。

 農業従事者の多くは「農業戸別所得補償」の契約を成立させるために民主党に投票したことが「農業戸別所得補償」政策を通した政権担当の原動力となったはずである。政権を担当しなければ、契約は白紙となるからである。

 このようにマニフェスト(政権公約)に掲げた各政策を基準として集まった票が全体としての大量得票の姿を取ったはずである。

 このような構造を逆説するなら、政権を担当することによってマニフェスト(政権公約)に掲げた各政策は国民との間の契約としての実体を持つことになる。

 勿論、国民から見た場合、最初から契約として交わしたくない政策というものもある。契約として交わしたい政策と交わしたくない政策の差引き、交わしたい政策がより多く上回ったマニフェスト(政権公約)を提示した政党に、その契約を成立させる要件となる政権選択を託すべく票が流れて、政権選択という結果が生まれるはずである。

 参議院選挙の場合は次の総選挙で政権選択を託すためにその前準備として、あるいは政権党が政権運営をスムーズにこなせるよう第一党を託そうとする比較多数の国民の意思が働いて第一党という結果が生まれる。

 ところが、民主党は政権獲得前に掲げた国民との契約となるマニフェスト(政権公約)の内、主たる政策、目玉として掲げた政策を政権担当後に変更、国民との契約を変質させた。

 契約の変質は政権選択、もしくは第一党選択の基準を曖昧にする、あるいは基準を破棄する行為に当たる。

 公約は守られることを前提としている。守られない公約は自己矛盾でしかない。守ることのできない国民との契約など許されるだろうか。公約が変更されるなら、何を基準に政権政党を選択していいのか分からなくなる。

 政党は基本的には守ることのできる公約の提示を義務づけられているはずである。それが政治政党を組織する者が使命として負うべき責任であり、結果に対する責任への備えでもあろう。

 ところが民主党ばかりか、多くの国民までがマニフェスト(政権公約)の変更、国民との契約違反を許している。

 《参院選連続世論調査―質問と回答〈6月12・13日〉》asahi.com/2010年6月13日23時18分)

 〈参院選に向けて朝日新聞社が6月12、13の両日実施した全国世論調査(電話)〉――

 ◆今年度から月額1万3千円で始まった子ども手当についてうかがいます。民主党は去年の衆院選のマニフェストで、来年度からは満額の2万6千円の支給を公約していましたが、長妻厚生労働大臣は「財源の確保が難しい」として、満額の支給はしない考えを示しました。満額の支給をしないことに賛成ですか。反対ですか。

 賛成  72
 反対  21

 《NHK世調 内閣支持率61%》NHK/10年6月14日 19時15分) 

 ◆子ども手当について、長妻厚生労働大臣が、来年度以降、満額に当たる子ども1人当たり月額2万6000円を支給するのは難しいという考えを示したことをどう思うか尋ねたところ、

  「大いに納得できる」  ――40%
 「ある程度納得できる」 ――30%
 「あまり納得できない」 ――15%
 「まったく納得できない」――10%
 
 「賛成」とした72%、あるいは 「大いに納得できる」と「ある程度納得できる」とした70%の国民は、マニフェスト(政権公約)として掲げた各政策を判断材料として政権選択、あるいは第一党選択の主たる基準とすべきを、その変質を許すことで、その基準を国民の側から放棄したことになる。

 国民との契約を政党の側からばかりか、国民の側からも契約でないとすることになる。

 そして両者のこのような態度は今後とも公約の変質を許す素地となり、変質を招く事態を生じ入れることになるに違いない。

 また、公約の変更を許すなら、次の選挙のとき、何を判断材料に政権政党を、あるいは第一党を選択していいのかの基準を失うことになる。いや、政党の側も、国民の側も自ら基準を捨てることになる。 

 民主党は昨17日、参議院選挙のマニフェストを公表した。マニフェスト(政権公約)の変質、あるいは国民との契約の後退を許す世論調査に元気づけられたのか、「修正」、「見直し」と言っているものの、実質的には国民との契約の後退・変質であることに後ろめたさがあるからなのか、この部分に関する発言に時間を割いていた。

 枝野幹事長の発言のあと、玄葉光一郎政調会長がマニフェスト(政権公約)の概要を述べる発言があった。「プレスクラブ - ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局」から、マニフェスト(政権公約)の違約、国民との契約の後退・変質に関する説明に関してのみ抜粋。(「エー」、「おー」は抜いて文字化)

 玄葉「私から概要についてお話をさせていただきたいと思います。その前に総論的なポイント、若干幹事長と重なるかもしれませんけれども、いくつか申し上げたいと思います。

 一つはこのマニフェストに最後のところでありますけれども、できたことと、できなかったこと、これを客観的に事実として書かせていただいているということが一つの特徴だと思います。

 それともう一つは、昨日も本会議で申し上げたのですけれども、マニフェストと言うのは生きものであり、常に手入れが必要なものだというふうに認識をしております。従って、環境や状況の変化に柔軟に対応することが重要だということで、改めるべきは改めると言う観点から書かれているということです。


 さらに誤解のないように申し上げれば、基本的には総選挙マニフェストというものがあって、それを見直しのチャンスという位置づけ、補完するものであるというのが参議院選挙のマニフェストの位置づけだということでございます。

 従って基本的な考え方、例えば、教育、子育て、医療、地域、そういったものを重視をしている、それが総選挙のマニフェストの一つの特徴だったと思いますけれども、そういった基本的な考え方が変わったわけではありません。それを変えずに、しかしながら、ご存知のように財源の問題、つまりは大幅な税収減がある。あるいはムダの削減はギリギリまでこれからも目標を高く掲げて続けますけれども、残念ながら目標に届いていないという、財源の問題が生じている。

 従って、新規政策を一部抑制をし、且つ強い経済のための成長戦略というものをかなり詳細に亘って書き込み、且つ財政健全化、強い社会保障をつくるためにも財政健全化が必要であるという観点で財政健全化に触れているというのが大きな特徴だというふうに思います。・・・・」

 次は菅民主党代表。同じくマニフェストの変更部分に関する発言のみ文字化。

 菅直人「私自身が国民のみなさんに強く訴えたいと思って、このマニフェストに合わせて盛り込んでいただいたことについて申し上げたいと思います。

 何と言っても昨年9月の衆議院選挙で私は民主党が多くのみなさんに支持をされたのは、やはりこの20年に亘る日本の閉塞状態、それは経済に於いてもそうでありますし、自殺者の数が3万人を切らなくなって、かなり長くなっている。そういう問題でも、そうでありますし、いろんな意味でそういった閉塞状態が続いている。

 これを何とか変えて貰いたいという国民のみなさんのエネルギーであったと思います。数年前にはそのエネルギーが小泉総理を誕生させ、あるいは郵政選挙というものがありました。しかしそれが結局のところ何も変わらなかったという、その失望の中から今度は新しい民主党政権をつくって、この閉塞をまさに打ち破って貰いたい、私はその気持をしっかりと鳩山内閣から引き継がなければならない。

 この意識が第一でありまして。勿論、先の衆議院選挙で掲げたマニフェストについて、やれることはやってまいりましたし、またこれからも引き続き取り組むべき問題も、たくさんあります。

 一方では多少の、あるいは大幅な修正が必要になったものもありまして、それについては率直にその理由を述べてご理解をいただく、こういう基本的な姿勢で臨んでいるところであります。
・・・・」

 玄葉政調会長にしても菅直人民主党代表にしても、言っていることはマニフェスト(政権公約)として掲げた政策は内容が「修正」される、あるいは「手直し」される場合があり、政権政党選択の、あるいは第一党選択の判断材料にはならない、基準とはならない、国民との間の契約として成立させるだけの内容を備えていないと言っているに過ぎない。

 要するに民主党は党を挙げてマニフェスト(政権公約)に対して「修正」、「手直し」を原則づけたのである。

 10の恩恵を約束していながら、それを7に下げる、6に下げるということなのだから、契約としての性格を備えていない不完全な内容となるということだけではなく、その不完全さに応じて、当然、契約するに値しない対象と化す。

 極端なことを言うと、政権を取るためにはウソが許されるということになる。

 勿論、玄葉政調会長は「基本的な考え方、例えば、教育、子育て、医療、地域、そういったものを重視をしている、それが総選挙のマニフェストの一つの特徴だったと思いますけれども、そういった基本的な考え方が変わったわけではありません」と前以て逃げの手を打っている。

 「教育、子育て、医療、地域」は他の政党も重視している政策であって、お互いにこれこれを重視していますでは政策の優劣の比較基準とはならない。

 玄葉政調会長は「社会保障をつくるためにも財政健全化が必要であるという観点で財政健全化に触れているというのが大きな特徴」と言っているが、これは自民党にしろ、他の与党にしろ言っていることで、政策の重視が政策の優劣の比較基準とはならない何よりの証明となる。

 時代時代で優先的に解決が要求される重視政策というものがある。それが長年に亘って重視政策であり続けるのは解決を見ないまま先送りされているからだろう。待機児童問題、少子化問題、地方格差、地方の高齢化の問題等々。どの政党も重視しなければならない、だがなかなか有効な解決策を見い出せずにいる古くて常に新しい政策となっている。

 いわば重視政策とは一つの政権の失政から生じたものであっても、政党自らが重視するというよりも、殆んどが外からの、多くは社会からの要請を受けて取りかかる形を取るゆえに他の政党と重視政策が重なることになる。 

 違う点は解決の優先順位をつけることぐらいであろう。

 となると、問題は何が障害となって重視政策となって立ちはだかっているのかの課題把握能力と把握した課題をどう克服、解決し、どういう手順で理想の形に持っていくのかの解決能力が問われているのであって、その道筋を示してそれら能力の有無の国民の判断を仰ぐ材料がマニフェスト(政権公約)であり、それを介して国民は政権政党選択、あるいは第一党選択の基準とし、最終的にマニフェスト(政権公約)を政権党と国民との間の契約に持っていくべきかどうかの最終決定を示すという手順を取るはずだが、そもそもの判断の基本的基準となるマニフェスト(政権公約)自体を「生きものであり、常に手入れが必要なものだというふうに認識をしております」「環境や状況の変化」に応じて変わる変数扱いとし、それを前以ての原則としているでは政権政党選択、あるいは第一党選択の基準としようがなくなる。

 玄葉は「さらに誤解のないように申し上げれば、基本的には総選挙マニフェストというものがあって、それを見直しのチャンスという位置づけ、補完するものであるというのが参議院選挙のマニフェストの位置づけだということでございます」ともっともらしげに言っているが、そういうことなら、参院選挙のマニフェストの「見直しのチャンスという位置づけ」が次の総選挙のマニフェストの位置づけとなって、「見直しのチャンスという位置づけ、補完」が総選挙と参議院選挙の間を行ったり来たりすることになる。

 尤も見直し、補完で衆議院選挙と参議院選挙の間を行ったり来たりしているようでは、国民は民主党政権を早々に見捨てることになるだろう。

 玄葉は「大幅な税収減」を政策変更の主たる理由に挙げている。民主党は野党時代から自民党政権の空港の需要予測が過大であったため、あるいは高速道路の過大な需要予測を基にカネをかけた道路建設に走ったがために空港や高速道路の現在の赤字経営を招いていると批判していたが、リーマンショックを受けた金融不安から生じた税収減を逆に過小評価して予算を組んだ見通しの甘さ、先見性のなさが招いた予算の縮小規模簿でもあったはずである。

 玄葉の言っていることはすべて国民との契約を破ったことを如何に正当化しようか図る狡猾な口実、詭弁に過ぎない。

 菅直人にしても、「先の衆議院選挙で掲げたマニフェストについて、やれることはやってまいりましたし、またこれからも引き続き取り組むべき問題も、たくさんあります。

 一方では多少の、あるいは大幅な修正が必要になったものもありまして、それについては率直にその理由を述べてご理解をいただく、こういう基本的な姿勢で臨んでいるところであります」
と言っているが、「やれることはやってまいりました」は、やれないことはやってまいりませんの逃げ口上を含む余りにも無責任な物言いで、マニフェスト(政権公約)として掲げ、政権を取って国民との契約の形に持っていった以上、掲げたことはすべて実現させることが結果責任のはずである。

 マニフェスト(政権公約)の変更、国民との契約内容の変質は結果責任の放棄にもつながると言うことである。

 結果責任の認識なくして、「マニフェストと言うのは生きものであり、常に手入れが必要なものだというふうに認識をしております」と「手直し」、「修正」を原則づけたなら、民主党が掲げた「強い経済・強い財政・強い社会保障」にしても、マニフェスト(政権公約)の原則に則って常に「手直し」、「修正」を運命づけることになって、足許の定まらない政策実現となるに違いない。

 もしマニフェスト(政権公約)に対して「手直し」、「修正」等の変質を原則づけるなら、マニフェスト(政権公約)と言わずに「政策ガイドライン」と名付けるべきだろう。

 そうすれば、結果責任を取らなくてもよくなり、日本の政治の無責任体質と心地よくマッチすること間違いなしである。

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菅新首相は「沖縄独立論」で沖縄県民を唆して鳩山前首相のように打っちゃりを食らわすのか

2010-06-17 05:53:58 | Weblog

 《菅首相「基地問題どうにもならない」「もう沖縄は独立した方がいい」と発言 喜納参院議員が暴露》MSN産経/2010.6.15 23:57)――
 
 菅新首相が昨年9月の政権交代直後、一議員ではなく、副総理・国家戦略担当相の任に就いていた身で、平和運動家であり、「Wikipedia」が「ウチナー・ポップを代表する音楽家と紹介している、62歳の民主党の喜納昌吉(きな・しょうきち)参院議員(党沖縄県連代表)に次のように語ったと、鳩山前政権末に記した自著《沖縄の自己決定権-地球の涙に虹がかかるまで》未来社)で明らかにしているという。

 インターネットで調べたところ、発行日は2010年5月31日、鳩山前首相が辞任表明したのは6月2日午前開催の民主党の両院議員総会。

 記事が著作に書いてあると紹介している菅新首相の発言。

 「基地問題はどうにもならない」

 「もう沖縄は独立した方がいい」

 記事は次のように解説している。

 〈喜納氏は政権交代後、沖縄の基地問題に関して菅首相と交わした会話を紹介。喜納氏が「沖縄問題をよろしく」と言ったところ、首相は「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と漏らし、最後は「もう沖縄は独立した方がいい」と言い放ったという。〉――

 このような菅新首相の沖縄観に対する喜納氏自身の著書の中で明かしている感想も記事は記している。

 「半分ジョークにしろ、そういうことを副総理・財務相であり、将来首相になる可能性の彼が言ったということ、これは大きいよ。非公式だったとしても重い」――

 そして記事自体の論評。

 〈首相は23日に沖縄訪問を予定しているが、就任前とはいえ、国土・国民の分離を主張していたことは大きな波紋を呼びそうだ。〉――

 喜納氏は自身のTwitter、《kinashoukichi》で菅発言について次のように書いている。

 〈菅さんの発言は、総理就任以前のものだ。菅さんは総理に就任して決定権を持った。菅さんなら、沖縄県民が望む未来像を描いてくれるかもしれない。一国ニ制度も含めて、沖縄の自立、独立を国民的に議論する時期がきたのだと思う。〉(6月16日午後2時ごろのツイート。)

 喜納議員をしてこうまでも期待を抱かせた以上、「ジョークで言ったに過ぎない」と逃げることができるだろうか。もしジョークだとした場合、それを真に受けた喜納議員自身を悪者とすることになる。ジョークを真に受けた愚か者だとすることになる。

 私自身はかねてから「沖縄独立論者」で、いわゆる“沖縄の独立のススメ”をブログなどに書いているが、例え副総理・国家戦略担当相といった閣僚の身であっても、「沖縄独立論」を掲げるのは本人の思想・信条としてあるものだろうから、一向に構わないと思う。政治家である以上、それを政治的に具体的な形に持っていくかどうかにかかっている。

 勿論、内に秘めた思想・信条と言うものある。だが、沖縄選出の国会議員に、「もう沖縄は独立した方がいい」と口にした。

 ロシアとの間で帰属問題が膠着状態となっている北方四島にしても、本来的な原住民はアイヌ人なのだから、アイヌ独立国家としての返還を求めるべきだが私自身の考えで、アイヌ人への返還という形を取ることによって、膠着状態に一石を投じる大きなキッカケになると信じている。

 但し、菅直人の「沖縄独立論」には問題が二つある。その一つは、喜納議員をして〈菅さんなら、沖縄県民が望む未来像を描いてくれるかもしれない。一国ニ制度も含めて、沖縄の自立、独立を国民的に議論する時期がきたのだと思う。〉と期待を抱かしめたように、その他大勢の沖縄県民に期待を抱かせた場合である。

 2007年実施の沖縄県民を対象とした調査であるが、琉球大の林泉忠(リム・チュンアンティオン)准教授らによる「沖縄住民のアイデンティティ調査2007」「琉球新報」記事――《政府の施策、68%「不満」 沖縄アイデンティティ調査07》(2007年11月29日)が伝えている。

 「沖縄独立」の是非を巡る沖縄住民の見方

 「独立すべき」      ――20.6%
 「独立すべきではない」  ――64.7%
 「沖縄住民が決めるべき」 ―― 0.8%

 となっていて、「独立すべき」は4分の1に満たないが、

 「沖縄住民のアイデンティティの基本構造」

 「沖縄人」    ――41.6%
 「日本人」    ――25.5%
 「沖縄人で日本人」――29.7%

 となっていて、沖縄人であることにアイデンティティを置いている人数が41.6%、沖縄人であることを主体として日本人でもあることをアイデンティティとしている人数が29.7%。両者を合わせると、濃淡の差はあっても、沖縄人であることを意識している人数が70%を超える。

 「日本政府の沖縄に対する姿勢」

 「友好的」            ――15.3% 
 「どちらかというと友好的」    ―― 6.7%
 「友好的ではない」        ――64.7%
 「どちらかというと友好的ではない」――10.9%
 「どちらとも言えない」      ――15.3%

 「政府の沖縄施策に満足しているか」

 「満足」             ―― 9.9%
 「どちらかというと満足」     ―― 8.0%
 「どちらとも言えない」      ―― 8.5%
 「満足していない」        ――56.5%
 「どちらかというと満足していない」――11.8%

 過去2年の調査も踏まえた林准教授の分析。

 「時には沖縄人と日本人の間に葛藤(かっとう)する姿も見られるが、沖縄人はあくまで日本人という枠組みの中で存在することで安心感を覚えているようだ」

 記事は最後に沖縄県民の独立意識に関して次のように解説している。

 〈沖縄独立の是非をめぐっては独立に否定的な人は64・7%に上るが、一方で20・6%が独立を支持している。否定派は経済的理由を最大理由に挙げ、独立派は「政治的・経済・社会的、歴史的経験が本土と違う」ことを挙げた。〉――

 例え「独立すべきではない」が64.7%の大勢を占めていたとしても、あるいは林准教授が言うように、「沖縄人はあくまで日本人という枠組みの中で存在することで安心感を覚えているようだ」としても、日本政府に関する調査結果は何かしらのキッカケによって独立への期待を十分に抱かせることになる、日本及び日本政府に対して否定的意思の表れを示している。菅直人の「沖縄独立論」が独立への期待に火をつけるキッカケにならないとは限らない。

 少なくとも音楽家としても平和運動家としても他の沖縄人にそれなりの影響力を持っているだろう喜納議員をして、「菅さんなら、沖縄県民が望む未来像を描いてくれるかもしれない。一国ニ制度も含めて、沖縄の自立、独立を国民的に議論する時期がきたのだと思う」と言わしめているのである。

 問題の二つ目は、菅新首相の「沖縄独立論」が沖縄の新たな進路へのアプローチとして沖縄住民に期待を抱かせた場合、菅直人が総理大臣就任後も自身の「沖縄独立論」を沖縄の将来性に関わる自らの確固たる思想・信条として受け継ぐかどうかである。

 「ジョークだ」と逃げた場合は何をか況(いわん)やであるが、昨日のブログに書いた、6月14日の衆議院本会議代表質問で、社民党重野議員から首相の過去の安全保障観の追及を受けて、「国際状況の変化」と「内閣総理大臣として就任し責任を持った立場」上の変化を口実に安全保障観の変化に整合性を持たせたように、「国際状況の変化」が沖縄に独立問題が持ち上がった場合、東アジアの安全保障に悪影響を与える要因になるからと、立場に関しては総理大臣になったからと自らの「沖縄独立論」を封印する可能性を捨て切れない。

 安倍晋三自民党元首相のように国家主義者でありながら、首相に就任するや自らの国家主義的主張を封印し、その象徴行為となっている靖国参拝まで封印したようにである。

 菅新首相が自らの「沖縄独立論」を「国際状況の変化」と総理大臣という立場を口実に封印した場合、鳩山前首相が米軍普天間飛行場の移設を「国外、最低でも県外」と言って沖縄県民に期待を持たせながら、「国外、最低でも県外」は党の公約ではなく、自身の党代表としての発言に過ぎないと変節を演じて県内移設に舵を切り、沖縄県民を失望させのと同じく、同じ打っちゃりを食らわすことになるだろうことは容易に想像できる。

 そうなった場合の沖縄県民の政治不信はこれまでの政治不信に屋上屋を架すことになって、測り知れない無力感を与えるに違いない。

 民主党で2代続いた総理大臣がそれぞれに沖縄県民の政治不信を高めることを功績としたといったことになりかねない。

 もしもそういった大記録を樹立することになったなら、日本の政治史に記録し、後世の記憶としなければならない。

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菅首相の沖縄に対する「負担軽減」の約束は順序が逆ではないか

2010-06-16 09:19:59 | Weblog

 菅首相が昨15日午前、仲井真沖縄県知事と会談した。仲井真知事の上京に合わせて首相側が要請して実現させた会談だと、《「辺野古は困難」菅首相と初会談の仲井真知事》YOMIURI ONLINE2010年6月15日11時38分)が伝えている。

 会談時間は約30分間。記事が伝えている両者の発言を拾ってみる。

 仲井真知事「共同声明は遺憾だ。実現は極めて難しい」

 仲井真知事「県民は、民主党政権が掲げた県外、国外(移設)に希望を込めていた。日米共同声明でまた辺野古へとの方向が出て、期待が失望に変わった」

 菅首相「日米共同声明は踏襲する」

 菅首相「沖縄の負担軽減については誠心誠意取り組みたい」

 その上で、23日に就任後初めて沖縄を訪問する意向も伝えたという。

 〈首相は先に応接室に入って知事を待ち、会談後は、同席した仙谷官房長官らと共に官邸のエントランスホールまで知事を見送る配慮を見せた。〉――

 これは沖縄からしたら、配慮違いと言うものであろう。配慮の履き違え。国外・県外の配慮こそが沖縄に叶う配慮となる。市民運動家出身を勲章としているだけあって、人の気持を読み取る能力に優れているようだ。

 仲井真知事にしても、エントランスホールまで見送られる配慮に気持を擽られて、そのお返しに辺野古移設を受入れましょうとなる程、柔な人間ではあるまい。

 同じ菅・仲井真会談を伝えた《菅首相、沖縄知事と会談 日米合意踏襲と負担軽減伝える》asahi.com/2010年6月15日12時44分)

 仲井真知事「『少なくとも県外』と言った民主党に対する県民の期待は失望に変わった。日米合意は遺憾で、(辺野古移設の)実現は極めて厳しい」

 「asahi.com」記事は菅首相の直接の言葉は何も書いていない。「YOMIURI ONLINE」記事とほぼ同様に、〈沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をまとめた先の日米合意を踏襲するとともに、沖縄の負担軽減に取り組む考えを表明。〉と伝えたうえで、〈仲井真氏が普天間移設とは別に米兵が関係する事件事故についても「大幅な軽減に取り組んでほしい」と要望したのに対し、首相は応じる意向を示した〉と会談内容の一端に触れている。

 「YOMIURI ONLINE」記事は触れていないが、菅首相の沖縄訪問の23日は沖縄慰霊の日(沖縄全戦没者追悼式)に当たり、仲井真知事もこれを歓迎したと書いている。

 訪問日を沖縄慰霊の日に決めたのも相手の気持を擽る配慮なのかも知れない。石とか卵とかを投げつけられないように気をつけるべきだろう。

 「asahi.com」記事の“配慮”は次のよう描写になっている。

 〈約30分間の会談には仙谷由人官房長官らも同席。首相が応接室に先に入り知事を出迎える配慮を見せた。〉――

 会談後の仲井真知事の発言――

 仲井真知事「普天間は危険な飛行場。そのまま置いておくのはおかしい。なるべく早く返還してもらうことが元々のスタートだ。政府が責任を持ってきちんと解決してもらうのが筋だが、どうまとめていこうとしているのか、よく分からない」――

 菅首相は「広く開かれた政党を介した国民の積極的な政治参加」を謳い上げているが、その最重要・不可欠な要件が情報公開でありながら、相手をして「よく分からない」と言わしめる情報公開に徹している。いわば沖縄に対しては全然「広く開かれ」ていない不透明な政党、「広く開かれ」ていない不透明な政権となっている。政治に参加したくても、参加できないこの不透明な状況が逆に沖縄県民の反対意志を強固にしている一因となっているに違いない。

 この「よく分からない」不透明政治発言は「毎日jp」記事――《菅首相、沖縄知事と会談 日米合意踏襲と負担軽減伝える》(2010年6月15日 11時24分)も簡単に伝えている。

 仲井真知事「まだどういう道筋でまとめようとされるのかよく分からない」

 仲井真知事「民主党は『少なくとも県外』と(昨夏の衆院)選挙やその後も言ってきたが、共同声明で『辺野古』の方向が出て県民の期待が失望にものすごく変わってしまった」

 菅首相「(沖縄の)負担軽減については政府として誠心誠意、努力したい」

 会談終了後の閣僚懇談会。

 菅首相「官房長官を中心に内閣一体で取り組んでいきたい」

 古川元久官房副長官の首相が23日に沖縄県主催の沖縄全戦没者追悼式に出席することを踏まえた同15日午前の記者会見での発言。

 古川元久官房副長官「まずそこから、首相はじめ内閣として沖縄の皆さんと一緒に負担軽減について努力したい」

  首相が戦没者追悼式でいくら深々と頭を下げたからといって、いくら言葉巧みに戦前から戦後にかけて沖縄が払った犠牲・苦労を語ったからといって、それで辺野古に基地を受入れましょうとなる程、沖縄県民も仲井真知事と同様、気持が擽られるような柔な人間ばかりではないはずだ。

 大体が負担軽減についての努力を菅首相が戦没者追悼式の日の沖縄訪問を出発点として、「まずそこから」始めるとしていることにしても、菅首相が仲井真知事と会談、「沖縄の負担軽減については誠心誠意取り組みたい」と意思表示することにしても、順序が逆ではないだろうか。
 
 沖縄に対して「負担軽減」を言う前に負担引受け先を探し、決定してから、軽減の総量を見せて、これだけの負担軽減を図ることができますと言って相手に納得してもらうのが順序であり、それが誠意ある態度であろう。

 沖縄側にしても、具体的な軽減量をテーブルの上に乗せて見せて貰わないことには、話のしようがないはずだ。

 徳之島への訓練の一部移転でさえも、徳之島の町自治体も町民の大多数にしても反対し、負担引受けが決定していない状況にある。鳩山前首相が全国知事会を開いて負担引受け自治体の申し出を要請しても、橋下大阪府知事一人が、大阪府民はどういう態度に出るか分からないが、要請に応えたのみであった。

 負担を引受ける先が決定していない先から、当然、どのくらい負担軽減を図ることができるか分からないうちに、バカの一つ覚えのように「負担期限」を振り回して納得させようとしている。不確実を確実を装って高額金融商品の購入を持ちかける詐欺商法紛い同然のことをしていることとたいして変わらない。

 例え時間がかかろうが、普天間飛行場代替施設建設期限(=普天間返還期限)の2014年が切れようと、先ずは負担引受け先を探して、どのくらいの負担ができるか示してから、沖縄を訪問するなり、交渉に入るのが順序であろう。

 それとも2014年が近づくのを待って、それでは普天間の危険を野放し状態にさせることになるぞ、危険除去には辺野古への移設しかないぞと、普天間の危険を逆手に取って、無理やり辺野古移設を納得させる手に出るつもりでいるのだろうか。

 負担軽減の総量の提示もできない、沖縄側の辺野古案反対の姿勢を変えることもできない。そのために普天間返還が先延ばしされることになって基地危険の状況がそのまま続くことになるというなら、普天間駐留部隊の縮小を図ることで危険の除去も図るべきだろう。

 民主党が掲げる「国民の生活が第一」、菅直人が掲げた「最小不幸社会」(=不幸を最小に抑える社会)という約束に合致させることになる。

 勿論、負担軽減の総量を提示できたからといって、その総量に納得して辺野古案を受入れる保証はない。だが、交渉の順序が逆であることだけは確かである。

 最後に6月14日、菅総理所信表明演説に対する衆議院本会議で行われた代表質問から、菅総理大臣ではなく、国政に関わる政治家個人としての基本的な安全保障観を窺うことができる社民党重野安正議員の質問と対する首相の答弁を参考のために「衆議院インターネット審議中継」HPから普天間問題に関する質問と答弁のみを文字化してみた。

 重野安正「(冒頭部分略)さて、社民党は、この8ヶ月間、連立与党の一翼を担い、生活再建、生命を大切にする政治の実現のために、奮闘してまいりました。沖縄問題についても、国外、最低でも県外という、鳩山総理の言葉を支持し、政権発足に向かって結んだ3党合意に基づき、沖縄県民のフタイ、負担軽減の立場で、全力を傾けてまいりました。

 しかし、地元の合意も、3党の合意もないままに、日米合意を先行させ、しかもその日米合意及び閣議決定には、またもや辺野古に新たな基地を建設すると、明記しました。問題の解決に大きな期待を寄せていた沖縄県民を裏切り、公約違反の閣議決定への署名を拒否した我が党の福島党首は、鳩山総理より罷免されました。

 社民党は生活再建、道半ばでもあり、これから本格的に、取り組む課題が多く残っておりましたが、沖縄県民、政権3党、アメリカという、三つの合意を前提とする、鳩山首相の国民への約束を裏切ることは、できないとの思いから、政権離脱を決定いたしました。

 今後は、政党の、政治の品質保証役として、菅新政権のよい政策は応援するし、悪い政策にはブレーキをかける立場で、厳しく、政治をチェックしていくことを、先ず以って表明いたします。

 ――(中略)――

 重野安正「社民党の1丁目1番地である、普天間基地問題について、お伺いいたします。鳩山総理は、普天間基地の問題と政治とカネの問題を、辞任の理由に挙げました。いわば普天間基地問題での公約、違反が、総理辞任の大きな要因であります。私たちは鳩山総理に、5月末決着に拘るべきではない、再三求めてまいりましたにも関わらず、米軍、普天間飛行場問題を米国の意向に添った形で、決着させ、自らは辞任しましたが、沖縄切捨てで加担した、3人の担当閣僚が再任されています。前総理と共に、大きな責任があるはずであります。なぜ再任されたのか、お伺いいたします。

 さて、総理は、政治学者である松下圭一先生に学んだ市民自治の、思想が原点であると言われています。市民自治とは、市民が公共社会の主体であり、公共社会を管理するために政府をつくるという意味であります。平和的生存権を謳い、また地方自治を重視する、憲法の規定を踏まえれば、例え防衛や安全保障までの重要問題であっても、住民が自ら意思表示できることを憲法の地方自治の本旨に合致するものであることは言うまでもありません。

 市民自治が原点であるならば、また地域主権と言われるのであれば、アメリカとの合意ではなく、先ず沖縄県民の意思、地元の合意が尊重されるべきではないですか。総理の明快な答弁を求めます。

 また、総理自身も過去、1998年、海兵隊は沖縄に駐留する必要はない。装備だけ沖縄に置き、兵隊はグアム、ハワイ、米本国など、後方であってもアジア安保の空白にはならない。2001年、海兵隊をなくして、訓練を米領域内に戻す。日本は米国の51番目の州、小泉首相が米国の51人目の、州知事でになろうとしている、と発言。

 2003年、第3海兵遠征軍のかなりの部分を国内、国外を問わず、沖縄から移転すべきだ。2006年、沖縄は基地をなくしていこうという思いがある。普天間飛行場を含め、海兵隊を米国などのグアムに、移転するチャンスだ、などと一貫して、基地の海外移転を訴えております。

 総理はその場の思いつき、でも、リップサービスでもない、政治家として、私の責任として述べたものである、とまでホームページに書いておられます。海兵隊が沖縄にいなければならない理由は特別にはない。アメリカ国内に戻ってもらうべき、北朝鮮の状況や、日米の財政状況が変わってきているな中で、沖縄にとって重い負担になっている沖縄海兵隊の、日本国外移転について、真剣な検討が必要、
とおっしゃっておられました。

 普天間基地移設問題で辺野古に新基地を造る、日米合意、閣議決定を踏襲するのではなく、沖縄に、新たな基地は要らない、という沖縄県民の願いを真摯に受け止め、もう一度真正面から、アメリカと交渉すべきであると考えます。

 にも関わらず、総理にショウリ、就任するや、間髪を入れずにオバマ大統領に電話を入れ、日米合意に基づき、実現を図ることで、一致したとのことであります。過去の発言と違和感を感じます。

 古い政治との決別には、金権体質や利益誘導型政治の一掃に加え、対米追従外交からの大胆な転換が含まれているはずであります。最低限、日米協議の遣り直しと、閣議決定の見直しを強く求めます。総理自身、沖縄県民の声に謙虚に耳を傾け、改めて国外、県外の可能性を検討するお考えはありますか。

 あとは、まさか、実行できるかどうかにかかっています、と言うのは、地元の合意のないまま、日米共同声明、及び閣議決定の内容を実行することではないと思いますが、総理、如何ですか。(後略)」

 菅首相「エー、普天間問題を担当した、閣僚の再任について、エー、ご質問がありました。先月の日米安全保障会議に於ける合意との関係で、関係閣僚が、アー、そのまま、アー、再任したということについて、でありますけれども、エー、他の議員の方にも申し上げましたように、私は、アー、アー、この、三、閣僚含めてですね、エー、適材適所を基本にして、エー、任命をさせていただきました。

 ま、このー、日米安全保障会議に於ける合意、は、普天間飛行場の移設、返還と一部海兵隊のグアムに移転等を、実現し、沖縄の負担軽減を前進させるため、日米両国政府で合意した、ものであると認識しております。

 残念ながら、沖縄県民のみなさんのご理解を得られたとは言えませんけれども、今後真摯な対話を通して、地元のご理解を得られるように尽力をしたいと、考えております。

 エー、米国との合意ではなく、地元との合意を尊重すべきとのご質問であります。エ、本年5月28日、日米合意を踏まえるという、原則については、マ、これは、政府と政府、国と国との合意でありますので、エ、しっかりと守っていきたいと思っております。また、同日の閣議決定でも、強調されたように、沖縄の負担軽減に尽力することも、併せて、エー、頑張っていきたいと思っております。

 このような原則の元、今後、移設計画や負担軽減の具体策について、沖縄県を始め、地元の方々に誠心誠意説明し、理解を求めてまいる所存であります。

 (毎日繰返される分かりきった伝言を読み上げるような感情の篭っていない機械的な早口で原稿を読み上げていく。)

 県外、国外移設の可能性について、ご質問をいただきました。我が国周辺の東アジア、アー、安全保障環境には最近の朝鮮半島情勢、などに見られるとおり、不安定性、不確実性が残っております。従って、海兵隊を含む、在日米軍の、抑止力は安全保障上の観点から極めて重要だと、認識をいたしております。

 エー、他の議員の方々からのご質問にありましたが、エー、私は色んな発言をしていることを、その発言があったこと、そのものを否定するつもりはありません。エー、と同時に、エー、この国際状況の変化、というものを、併せて、考える中で、エー、内閣総理大臣として、就任し、エ、責任を持った立場で、今の状況を、考えた中で、ただ今申し上げましたように、エー、在日米軍の抑止力は、安全保障の観点から、極めて、重要だと、いう認識を、ヲー、持っていることを改めて、申し上げたいと、このように思っております。

 (相変わらす毎日繰返している同じ連絡事項を事務的に伝えるような熱の篭っていない口調の答弁となっている。)

 従って、米国との再交渉や、閣議決定の見直しを、行うつもりはありません。まあ、あの、すべてをですね、対米追従外交、オー、からの、脱却というふうに、おっしゃるんですけれども、私は、この対米追従外交からの脱却ということを考えるときには、――

 (老眼鏡を外し、原稿を見ずに重野議員の方を見、言葉に熱を込めて喋り出す。半ばムキになった口調となっていく。)

 自分たち自身が、この国をどういう国でありたいか、自分たち自身がこの国に対してどういうところまで責任を持つのか、私が敢えて、所信表明で、エー、亡くなられた永井陽之助先生の『平和の代償』という本を、ヲー、挙げたのはですね、そういうことについてしっかりした、アー、国内の、状況が、なければ、なかなか、アー、他国に対して、しっかりとしたものが言えなくなるということを、私自身が長年感じておりましたので、そのことを申し上げたことも、ここで、エー、改めて申し上げておきたいと、このように思います

 財政健全化の答弁に移る。

 まるで安全保障に関わる自身の過去の発言を誤魔化すためにムキになって、「この国をどういう国でありたいか、自分たち自身がこの国に対してどういうところまで責任を持つのか」云々を持ち出したように聞こえた。

 菅直人が考える、「この国をどういう国でありたいか、自分たち自身がこの国に対してどういうところまで責任を持つのか」の安全保障に関わる自発的責任体制が、菅直人の過去の安全保障観と駐留米軍と自衛隊を並存させた現在の日本の安全保障に関わる責任体制をつなぎ、そのことに整合性を与える合理的な理由となっているのだろうか。

 菅直人は過去、米軍抜きの日本の安全保障観を持っていた。そのような安全保障観に則った安全保障体制の「国でありたい」と自発性を持ってすることも可能であるし、そのような安全保障体制で自発的に「この国に」「責任を持つ」とすることも可能だからである。

 もし、自身が思想としていた過去の安全保障観が「最近の朝鮮半島情勢」や「国際状況の変化」によって変質したと言うなら、現在の安全保障体制を枠組みとした、「この国をどういう国でありたいか、自分たち自身がこの国に対してどういうところまで責任を持つのか」の安全保障観に至った思想上の経緯を述べて、納得を得るべきではないだろうか。

 そうしたとき初めて、国民に思想変遷の整合性を印象づけることができる。

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普天間移設問題、早くも沖縄を見捨てた国内世論

2010-06-15 06:54:03 | Weblog

 朝日新聞が6月8、9両日実施の全国緊急世論調査(電話)。《菅内閣支持60%、不支持は20% 朝日新聞世論調査》asahi.com/2010年6月9日23時0分)

 コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式による全国有権者対象の調査。世帯用と判明した番号は1865件、有効回答は1088人。回答率58%。

 菅内閣支持・不支持はさておいて、・・・・

◆沖縄にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設問題についてうかがいます。菅首相は、普天間飛行場を沖縄
 県名護市に移設するとした、日本とアメリカ両政府の合意を踏まえて対応するとしています。菅首相のこ
 の姿勢を評価しますか。評価しませんか。

 「評価する」 ――49%
 「評価しない」――26%

 「日米合意」どおりの解決を「評価する」が「評価しない」の約2倍となっている。

 6月8、9日毎日新聞が実施した緊急全国世論調査。《毎日新聞世論調査:菅内閣、支持66% 「投票先」民主41%》毎日jp/2010年6月10日

 普天間飛行場の辺野古移設は?

 「進めるべきだ」   ――51%
 「進めるべきではない」――40%

 朝日調査程の差はないが、それでも「日米合意」賛成が11ポイント上回っている。

 6月11日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという朝日と同じ方法で行った「NHK世論調査」――《NHK世調 内閣支持率61%》(10年6月14日 19時15分)

 調査対象1832人、65%に当たる1185人から回答。
 
 菅内閣を「支持する」 ――61%
     「支持しない」――23%・・・・はさておいて、

 菅総理大臣がアメリカ軍普天間基地の移設問題について沖縄県名護市に移設するとした日米合意に基づいて進めるとしたうえで、沖縄の負担軽減にも全力をあげたいとしていることへの評価

 「大いに評価する」  ――16%
 「ある程度評価する」 ――47%
 「あまり評価しない」 ――21%
 「まったく評価しない」―― 7%

 合わせて63%が「日米合意」どおりの解決に賛成している。

 対して沖縄県民。

 《在日米軍再編:普天間移設 沖縄県民、辺野古「反対」84%--合同世論調査》毎日jp/2010年5月31日

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を同県名護市辺野古周辺に移設する日米合意を受け、毎日新聞と琉球新報が5月28~30日実施した沖縄県民対象の合同世論調査。 

 09年10~11月前回合同調査。鳩山由紀夫首相が「最低でも県外」を唱えて政権を取り、普天間の県外・国外移設を模索していた時期。

 自民党政権時代に日米両政府が合意した辺野古への移設計画について――

 「賛成」――20%
 「反対」――67%

 今回合同調査――

 「賛成」―― 6%
 「反対」――84%

 鳩山内閣の辺野古回帰をベースとした「日米合意」を受けて賛成が減り、反対が増えている。

 当然内閣支持率に連動している。

 内閣支持率
 
 「支持する」 ―― 8%(前回63%)
 「支持しない」――78%(前回16%)

 民主支持層だけを見ても、64%が鳩山内閣を支持せず、辺野古移設に76%が反対。

 沖縄への米海兵隊の駐留について、宜野湾市では「必要ない」が85%(県全域71%)に達し、米軍基地についても「撤去すべきだ」が75%(県全域41%)――

 沖縄県民のこの意識といわゆる本土の人間の意識とのこの激しい落差は当事者と非当事者の立場から生じている落差でもあるだろうが、以前は当事者と非当事者がそのまま正直に距離を取った関係にあったわけではなく、沖縄県民と当事者意識を共有していたことが各メディアの世論調査から分かる。

 いわば、菅新内閣が発足した途端に沖縄を見捨てたのである。あるいは熱しやすく冷めやすい正体を早くも見せたと言ってもいい。

 《NHK世調 内閣支持率21%》NHK/10年5月10日 19時45分)

 5月7日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で実施した世論調査――

◆沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐって、鳩山総理大臣が沖縄県外への全面的な移設を断念し
 、県内に機能の一部を残す考えを明らかにしたことを評価しますか。

 ▽「大いに評価する」  ――3%
 ▽「ある程度評価する」 ――21%
 ▽「あまり評価しない」 ――35%
 ▽「まったく評価しない」――34%

 「あまり評価しない」と「まったく評価しない」が69%も占めている。それが同じNHKの6月の調査では逆にほぼ近い数値の63%が「日米合意」どおりの解決に賛成し、「あまり評価しない」と「まったく評価しない」合わせて28%となっていた。

 これは当事者意識共有の69%から28%への離反を示すものであろう。

 5月29、30の両日実施した朝日世論調査でも同じ傾向を読み取ることができる。《内閣支持、最低の17% 朝日新聞緊急世論調査》asahi.com/2010年5月30日22時25分)

◆沖縄にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設問題についてうかがいます。鳩山内閣は、飛行場を沖縄県・
 名護市・辺野古に移設する一方で、沖縄の基地負担の軽減に取り組む政府方針を決めました。この政府方
 針を評価しますか。評価しませんか。

 「評価する」 ――27%
 「評価しない」――57%

 57%の当事者意識共有が6月8、9両日実施調査時点では31ポイントマイナスの26%の激減となっている。1週間かそこら経過しただけで、当事者意識の大部分を投げ捨てている。

 読売新聞社が5月29~30日実施の全国世論調査(電話方式)でも、当事者共有意識はかなり強固なものがあったことを示している。

 《内閣支持19%、首相「退陣を」59%…読売調査》YOMIURI ONLINE/2010年5月31日01時33分)

◆移設先を明記し、訓練の県外移転を拡充し、鹿児島県・徳之島の活用を検討するなどとした日米合意につ
 いて――

 「評価する」 ――30%
 「評価しない」――58%

◆日米合意は沖縄県の基地負担につながるか――

 「軽減につながる」――19%
 「そうは思わない」 ――69%

 58%から69%が沖縄県民と当事者意識をほぼ共有していた。

 《「首相辞任を」過半数 世論調査、内閣支持率19%》47NEWS/2010/05/30 19:10 【共同通信】)

 普天間の県内移設を評価するか

 「評価しない」――66・1%
 「評価する」 ――25・4%

 《内閣支持続落22%、「首相は退陣を」63% 日経世論調査》日本経済新聞電子版/2010/5/30 22:06)

 沖縄の米軍普天間基地を名護市辺野古周辺に移設する政府方針について――

 「評価する」 ――21%
 「評価しない」――66%

 このように見てくると明らかに分かることだが、1週間かそこらで沖縄を見捨てたのである。以前共有していた当事者意識が多くの人間の間でウソのように消えてしまった。

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鳩山内閣4、5月官房機密費3億支出は沖縄辺野古と徳之島の移設容認に向けた買収工作費か

2010-06-14 07:41:03 | Weblog

 民主党は参院選過半数を制して国民新党を連立から篩い落とし、外国人地方参政権付与法案と夫婦別姓法案を成立させるべき

 民主党鳩山前政権が22年度に入った4月2日4月28日5月25日と各1億円ずつ、計3億円を1カ月の間に内閣官房報償費(官房機密費)として支出。鳩山首相が辞任表明したのは最後に1億円支出した5月25日から8日後の6月2日の民主党の両院議員総会。

 《政府答弁書、機密費、今年度すでに3億円引き出す 鳩山前内閣》MSN産経/2010.6.11 17:54)

 〈今年度の官房長官取り扱い分の機密費は約12億3千万円。〉であり、〈予算計上された1年間の機密費のうち、4月と5月の2カ月ですでに4分の1近くが支出されていた。〉と書いている。

 これは共産党の塩川鉄也衆院議員の質問主意書に対する菅内閣に移った11日の閣議決定の答弁書によって明らかにされたものだそうだ。

 記事は、〈支出分3億円のうち、使用されずに仙谷由人官房長官に引き継がれた機密費の残高については、答弁書は「内閣の政策運営に支障を及ぼす恐れがある」として明らかにしなかった。〉と書いている。

 鳩山内閣が支出した2009年度分の官房機密費の未使用分、残額1621万9082円を4月26日に国庫に返納したと平野官房長官自身が明らかにしているのだから、今回は隠しておく必要があったということなのだろう。

 これが6月3日の民主党代表選出馬会見で菅直人候補が「民主党を国民に信頼されるクリーンな政党にしていきます」と誓った「クリーン」な隠し立て、情報非公開というわけである。

 平野博文官房長官は3月10日の衆院内閣委員会で内閣官房報償費(官房機密費)を鳩山内閣が発足した昨年9月から今年2月までの半年間に毎月6千万円、計3億6千万円を国庫から引き出していたことを明らかにしている。

 《官房機密費3億6千万円引き出し 民主政権発足後》asahi.com/2010年3月10日18時34分)

 (支出理由)

 平野「必要と思ったから」

 (使途について)

 平野「相手様のあること。情報の収集、使い道を明らかにすることで、国益を損なうことはあってはならない」

 平野や鳩山といった存在自体が国益を損なってきた。

 鳩山内閣発足の昨年9月から今年2月までの半年間に毎月6千万円。年度末の3月の支出はなかったようだ。

 《鳩山政権/官房機密費 3億5000万円/塩川氏に答弁書 09年度分使用認める》しんぶん赤旗/2010年05月16日09時23分)

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員の質問主意書に対して5月14日の閣議決定した答弁書では記事によると、〈平野博文官房長官の請求で国庫から同長官に支出された2009年度の官房機密費(内閣官房報償費)計3億6000万円〉となっていて、鳩山内閣発足の昨年9月から今年2月までの半年間に毎月6千万円、計3億6千万円と同じ額となっているから、3月の支出はなかったことになる。

 既に触れたが、平野長官が請求しながら未使用分の残額1621万9082円は4月26日に国庫に返納したと記事は書いている。

 〈この結果、09年度の官房機密費予算総額(12億3021万1000円=官房長官扱い分)のうち、新旧両政権が使用した総額は11億9378万918円に上ることが判明。両政権ともに請求せず、国庫から支出されなかった残額(2021万1000円)と平野氏の返納分を合わせても、未使用残額は3643万82円(同予算総額の2・9%)に過ぎ〉ないと記事は解説している。

 確かサラ金のテレビコマーシャルだったと思うが、「正しい使い方をしましょう」というのがあったと思う。

 鳩山政権発足後の09年度分の官房機密費が3月抜きの6ヶ月間で几帳面に月々きっかり6千万円ずつで合計3億6千万円。ところが年度が変わった4月、5月に入って、4月2日4月28日5月25日と金額は違えど、これも几帳面に支出ごとにきっかり1億円ずつ、3億円も支出している。

 上記「しんぶん赤旗」が記事の最後で、〈09年度の官房機密費をめぐっては、総選挙で政権交代が決まった2日後の昨年9月1日に、麻生政権当時の河村建夫官房長官が2億5000万円を支出し、旧政権が事実上“持ち逃げ”したことが塩川議員の追及で判明。鳩山政権も毎月6000万円を支出するなど、新旧両政権によって使途も明らかにされずに“食い物”にされた実態が明らかになっています。〉と書いているが、鳩山辞任後の3億支出なら、麻生政権同様の“持ち逃げ”と言えないことはないが、残念ながら辞任前の“食い物”となっている。

 前の年の9月から翌年2月まで平野らしくない几帳面にきっかりと月々6千万円の予定調和を大胆に破る4月2億、5月1億の平野には何となく似つかわしい胡散臭さを与える支出は何に使われたのだろうか。

 4月、5月は普天間移設問題と重なる。地元・連立政権・日米の三者合意の09年12月末決着が翌年3月末決着に先送り、3月末決着が5月末決着に先送り、4月に入っても5月末決着が困難視されていた。そして5月末決着を日米合意のみの不完全な5月末決着で終わらせた。

 当然昨年の12月以前から今年の5月末にかけて打開を図るための激しい工作が行われたに違いない。そのことは報道から知ることができる。
 
 《普天間移設:官房長官が徳之島町議5人と会談》毎日jp/2010年5月12日 21時51分)

 5月12日夜の鹿児島市内のホテルで鹿児島県・徳之島町の町議5人と会談したことを伝える内容の記事であるが、この会談をセットすることになった経緯を、沖縄からの徳之島への訓練の一部移設に4月18日の島民反対集会が象徴しているように徳之島の自治体も住民も強硬に反対していることに平野官房長官が危機感を強め、島には海兵隊誘致による政府の振興策に期待する声も一部にあったことから島内の「移設柔軟派」に(あの細い目を目一杯苦労して見開いたかどうかは分からないが)着目したからだとしている。会談に参加した町議には移設容認派も含まれていたと書いている。

 と言うことは、5人の中に移設反対派の町議、あるいは中間派の町議もいたことになるが、説得工作に当たるべき対象を容認派と反対派、それぞれに別個に扱う段階にきていたはずだが、いきなり容認派とばかりでは何かと勘繰られるから、全員を容認派で揃えることはしなかったということなのだろうか。

 平野長官の徳之島の町議との接触はこれが初めてではなかった。記事は次のように書いている。

 〈政府は昨年11月以降、徳之島にパイプを持つ民主党の牧野聖修衆院議員を島に派遣して地元町長らの感触を探ってきた。平野氏も独自に移設柔軟派と接触を繰り返し、4月下旬にも都内で一部町議と秘密裏に会った。今回の町議との会談も、3町長の中では穏健派とみられる高岡秀規・徳之島町長を通じて申し入れた。しかし、出席者は徳之島町の町議だけで、定数16のうち5人どまり。政府側の対応に、島内では「一本釣りで勝手にやっている」=町田喜男(まちた・きお)徳之島町議会議長=との反発が広がっている。〉――

 牧野聖修の昨年11月以降からの島派遣の説得工作が徳之島に於ける大勢意見とはなっていないことは4月18日の島民反対集会や3町長の反対姿勢が証明していることで、当然、容認派、柔軟派を核に移設反対派に対するより激しい切り崩し工作が必要になったことは十分に窺うことができる。切り崩し工作には飲ませる・食わせることから握らせるまで現ナマを付き物とする。

 平野長官にしても移設柔軟派との接触を繰返す必要に迫られていた。その一つが4月下旬の都内での一部町議との秘密裏会談。

 そして地元での手始めが5月12日夜の鹿児島市内のホテルでの徳之島町町議5人との会談。5月15日鹿児島市を再訪、徳之島関係者との会談。翌5月16日朝の基地移設推進の地元団体代表ら14人との会談――立て続けに接触、受入れに前向きな人物を介して移設反対から移設容認への宗旨替え狙った工作に出ている。

 5月16日朝の会談で宗旨替えの目玉としたのが、会談相手の基地移設推進の地元団体代表側が提示したという形を、多分取らせた「7項目の地域振興策」であろう。

(1)徳之島3町合計で約250億円の借金(公債)棒引き
(2)航路・航空運賃を沖縄並みに抑制
(3)燃料価格を沖縄・本土並みに引き下げ
(4)沖縄県が対象の黒糖製造工場への交付金を鹿児島県にも適用
(5)医療・福祉・経済特区の新設(健康保険税の免除)
(6)奄美群島振興開発特別措置法の所管省庁を国土交通省から内閣府へ移す
(7)看護学校、専門学校の設置 

 鳩山首相も5月4日と5月23日に沖縄を訪問、知事や名護市長を会談、辺野古移設受入れを要請している。

 こういった表の動きと併行させて、4月下旬の都内での一部町議との秘密会談もその一つである、表の動きよりも激しい裏の動き――説得工作から買収工作までが展開されていたことは容易に想像できる。

 こうも考えられる。沖縄、徳之島の移設反対の機運が高まるに比例して反対機運を賛成機運に何が何でも変えなければならない工作資金を大量に必要とするようになった。勿論、鳩山内閣の浮沈に関わることだから、現ナマが飛ぶ激しい買収工作が繰り広げられたことも容易に考えることができる。

 それが最終的に4月、5月の3億円となったのではないだろうか。

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菅直人所信表明演説に欠けているいくつかの認識

2010-06-13 09:28:01 | Weblog

 菅新首相が11日午後、衆院本会議で行った就任後初の所信表明演説文章を首相官邸HPから読んでみた。読んだ感想を気づいたところだけおおまかに書いてみることにした。おおまかとは、おおまかに批評する力しかないことからの“おおまか”――

 演説全体を通してすべて素晴らしい言葉に満ち満ちていたが、言っているとおりに実現できるかどうかは北朝鮮拉致問題で、「国の責任に於いて、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします」と同じ運命にある。目的に向かって全力を尽くすことが目的を果たすことの保証行為になるとは限らないからだ。

 先ずは「政治とカネ」の問題に関わる消えない疑惑、普天間問題の迷走を主たる原因とした前首相の辞任を取り上げて、自身も内閣の一員として加わっていながらこういった状況を防げなかったことの責任を訴えてから、「前総理の勇断を受け、政権を引き継ぐ私に課された最大の責務、それは、歴史的な政権交代の原点に立ち返って、この挫折を乗り越え、国民の皆さまの信頼を回復することです」と信頼回復を誓った。

 失礼にもついつい、次に信頼回復を誓う首相は誰だろうかと頭に思い浮かべてしまった。

 信頼回復を誓ってから、「私の政治活動は、今を遡ること30年余り、参議院議員選挙に立候補した市川房枝先生の応援から始まりました」と、民主党代表選立候補演説でも触れていた同じフレーズの繰返しとなる自身の政治活動の始まりを述べ、以後の政治活動を過去の実績として列挙している。

 6月5日のブログにも書いたことだが、扱う政治課題も過去と現在では同じ姿をしているとは限らず、社会や国を取り巻く状況も当時とは違うはずだから、過去の実績が今後の成果に結びつく保証はなく、本人も「むすび」で「これまで述べてきたように、私の内閣が果たすべき使命は、20年近く続く閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させることです。その道筋は、この所信表明演説で申し述べました。後は実行できるかどうかにかかっています」と言っているようにあくまでもこれから先、目標とする政治をどう取扱い、どういう成果を上げるか、結果が問われ、そこにすべての責任を置く「政治は結果責任」に縛られているはずだから、過去の実績は新聞・テレビ、雑誌等のマスメディアに任せるべきを、自らの見るべき誇りとして掲げているのは“結果責任”意識に向けたシビアさが不足しているように思えて仕方がない。

 官僚主導政治からの政治主導政治への変革、そして広く開かれた政党を介して国民が積極的に政治に参加し、国民の統治による国政――国民参加による国民主権の政治を実現すると言っている。

 一つの政治政党が「広く開かれた」状況を提供するもしないも、「国民が積極的に政治に参加」できるかできないかも、すべては情報公開にかかっている。政治の中身を知らしめる詳細・徹底した情報公開が国民と政治の媒介を唯一可能とする。これを手段として、国民は真の意味で政治に参加可能となる。

 隠し立てされたなら、国民は政治に参加したくても、参加する手立てを失う。

 情報公開こそが国民が政治に参加する手立てだということである。

 しかし菅直人は「情報公開」を逆転させた意味で認識している。「無駄遣いの根絶と行政の見直し」の項目で、「行政の密室性の打破も進めます。私は、1996年、厚生大臣として薬害エイズ問題に力を注ぎました。当時、厚生省の事務方は、関連資料は見つからないという態度に終始しました。これに対し、私は資料調査を厳命し、その結果、資料の存在が明らかになりました。この情報公開を契機に、問題の解明や患者の方々の救済が実現しました。情報公開の重要性は、他の誰よりも強く認識しています。前内閣においては、財務大臣として、外務大臣とともに日米密約の存在を明らかにしました。情報公開法の改正を検討するなど、今後も、こうした姿勢を貫きます」と過去の実績への誇りと共に情報公開に触れているが、この情報公開は隠し立てしたこと、秘密扱いにしたことを明らかにする意味の把え方であるが、この情報公開では20年30年後の後付の参加となる。

 政治への国民参加は進行形を要件としなければ、単に報告を受ける形となって、真の参加とはならない。政治の進行に併行させて隠し立てしないこと、秘密扱いとしない情報公開でなければ、進行形の政治参加とはならない。

 菅直人にはこの認識がないようだ。例えばある内閣が退陣して20年、30年経過してから、その内閣が使用した官房機密費の詳細を情報公開法によって知らされたからといって、学者やマスメディアに関わっている人間には興味はあっても、一般国民にはどれ程の意味があるだろうか。国民が何ら関与しない場所で既に執行された、誰も責任を取らない政治行為で終わる。

 国民の関与(=政治参加)と政治の責任の所在を決定づけるためには進行形を取った情報公開でなければならない。

 「戦後行政の大掃除の本格実施」(=無駄遣いの根絶、省庁の縦割り排除、行政機能向上、天下り禁止等々)、「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」及び「責任感に立脚した外交・安全保障政策」と、成果を確約するかのように次々と掲げるが、確約された成果以前の約束の提示に過ぎず、それが絵に描いた餅で終わるかどうかは、「後は実行できるかどうかにかかっています」が常に試されることになる。

 国民は「実行」を見守り、世論調査や選挙を通してその評価を下す。これらの行為すべてが政治への参加となる。

 「『強い経済』、『強い財政』、『強い社会保障』の一体的実現を、政治の強いリーダーシップで実現していく決意です」

 我々はどう「一体的実現」を図っていくか見守り、その成果次第で結果責任を判定する。見るべき成果がなければ責任を問い、見るべき成果を上げた場合は、責任を果たしたと評価する。

 「『強い経済』の実現」では、安定した内需と外需の創造、富が広く循環する経済構造を掲げている。「グリーン・イノベーション」、「ライフ・イノベーション」、「アジア経済」、「観光・地域」を「新成長戦略」と名づけて成長分野に掲げ、「我が国の未来を担う若者が夢を抱いて科学の道を選べるような教育環境を整備するとともに、世界中から優れた研究者を惹きつける研究環境の整備を進めます」と謳っている。

 日本から特にアメリカに頭脳流出する原因が自由な研究環境の希求となっている。これは日本は自由な研究環境にはないことの裏返しとしてある頭脳流出なのは言うまでもない。大学の研究室に於ける人間関係が“徒弟制度”と言われるように、上は下を従わせ、下は上に従う権威主義の構造を取っていて、自由ではないことを指す。

 このような人間関係は行動面のみならず、発想、考え方の面に於いても上からの従わせる強制力が往々にして働き、下の者の発想、考えを抑圧し、上の者の創造性の支配下に置く傾向を取りやすい。

 いわばこのことを嫌って、自らの創造力を自由に解き放つことができる自由な研究環境を求めて自らの頭脳を流出させるという選択を取ることになるのだろう。

 また、「世界中から優れた研究者を惹きつける研究環境の整備」を言うなら、日本人の人間関係を律している権威主義の行動性を排して、日本自身が自由な研究環境を提供する場とならなければならないはずだ。

 このことが頭脳流出を停止させ、逆に頭脳流入を図る有効な手立てではないだろうか。

 「雇用・人材戦略」の項目で、「ディーセント・ワーク、すなわち、人間らしい働きがいのある仕事の実現を目指します。女性の能力を発揮する機会を増やす環境を抜本的に整備し、『男女共同参画社会』の実現を推進します」と言っているが、「女性の能力を発揮する機会を増やす環境」にしても、「『男女共同参画社会』の実現」にしても、それを阻んでいるのは日本人の行動様式・思考様式となっている権威主義の派生形の一つである、女性を下の位置に置き、男性を上に位置させる日本の伝統文化としている男尊女卑意識、男女差別意識であって、元となる権威主義の排除を心がけなければ、法律である程度強制できても、主体的・自発的な男女共同参画も男女機会均等も実現させることはできないに違いない。

 菅直人にはこの発想にしてもないようだが、私自身の把え方が間違っているとしたら、菅直人は、あなたは正しい、ということになる。

 いずれにしても、結果としての成果がどういった姿・形を取るかである。

 「人材は成長の原動力です」と言っていることに関しても、個々の人材同士がそれぞれが所有する知識・情報を自由に闘わせて新たな知識・情報として高度な段階へと発展・創造させていくプロセスが「成長」の要素となり得るはずで、知識・情報を有機的に自由に闘わせるについても、人材同士のそもそもの人間関係が自由な関係でなければならない。そこに上下に律する権威主義の人間関係が入り込んだら、自由な議論を阻害することになる。

 また人材を「成長の原動力」と位置づけるためには日本人だけの人材の活用では似た者同士、限界が生じる。「世界中から優れた研究者を惹きつける研究環境の整備を進めます」と言っているように外国からの「人材」の導入も必要となる。彼らが所有する知識・情報と日本人が所有する知識・情報をお互いが刺激し合い、同じく有機的に自由に闘わせ合って新たな知識・情報として高度な段階へと発展・創造させていくプロセスも必要となる。

 外国人地方参政権付与法案の国会上程に手間取っているようでは、外国人人材の有効な活用は望めないかもしれない。
 
 「『一人ひとりを包摂する社会』の実現」の項目では、社会的な人と人との支え合いが、「我が国では、かつて、家族や地域社会、そして企業による支えが、そうした機能を担ってき」たが、それが急速に失われて社会的排除や格差の形を取って現れているとして、「『孤立化』という新たな社会リスクに対する取組み」を掲げているが、家族や地域社会、企業が担ってきたとする人と人との支え合いは、殆んどが身内主義に則って成り立ってきた支え合いであろう。だから日本の社会は他処者排除という行動性を成り立たせ、今以てそれを引きずっている。

 家族は家族で固まり、地域は地域で固まり、企業は一つの企業で固まり、他は排除する。国全体で言うと、日本人は日本人で固まり、外国人は排除する。こういった身内主義に終始してきた。国を基準とした日本人身内主義から日本人優越意識が生じている。

 あるいは逆に日本人優越意識を根拠として日本人だけで固まる身内主義に徹する。

 身内は大事にし、他は疎かに扱う態度は自らが所属する身内を上に置き、所属しない身内を下に置く上下関係の価値観からの態度であって、権威主義の思考性・行動性から派生した意識による。

 こういったあらゆる身内主義からの解放を伴わなければ、「『一人ひとりを包摂する社会』の実現」は覚束ない。

 外交に関しては、「国民の責任感に立脚した外交」を掲げている。日本の外交のためにどういった責任感を国民に求めているかと言うと、「この国をどういう国にしたいのか、時には自国のために代償を払う覚悟ができるか。国民一人ひとりがこうした責任を自覚し、それを背景に行われるのが外交であると考えます」と言っている。

 菅首相は昨12日夕、首相就任後初の街頭演説を都内で行い、同じ趣旨の発言をしている。

 《菅首相「外交には代償も」 普天間念頭、初の街頭演説》47NEWS/2010/06/12 18:52 【共同通信】)

 菅首相「国民が多少の代償を払っても国を守り、育てようというのが外交の力だ。国民がどれだけ国の在り方に責任を持とうとしているのかで決まる。外交とは内政だ」

 「国のことは自分で責任を持つという思いの強さがあれば、米国、中国に正面から向き合うことができる。外交を立て直そう」

 街頭演説は民主党の参院選に向けた活動だそうで、記事は枝野幹事長の発言も伝えている。

 枝野幹事長「日本の閉塞状況を打ち破るためには時計の針を後ろに戻すわけにはいかない。これまで培ってきたものを菅首相の下で国民生活(の向上)につなげる」――

 鳩山前首相も首相当時の5月26日のぶら下がりで普天間問題に絡めて同じような発言をしている。

 「この国はこの国の人々で守るという、それは、すべての国にとって当たり前の発想だと思います。それが今の日本にはない、そのことを自然でいるかどうかという発想は、私は、国民の皆さん一人一人、やはり根底の中には持ち続けるべきではないかと、そのように思っています」

 どちらの発言にしても、国民は国は自ら守るという責任感に立った安全保障意識に欠けているという趣旨となっている。

 この両者の発言に大きく抜けているものがある。
 
 国民をどうリードするかも政治の力であり、政治の責任である。外交も内政も政治の力如何によって決まるが、このことも自分たちが目指す外交・内政に国民をリードする部分が大分含まれているはずである。そして政治家がその責任を果たすかどうかにすべてがかかっていく。

 国民をどうリードするか、自らの責任としなければならない自らの政治能力、リーダーシップ(指導力)を抜きに国民だけの責任を求めている。この認識は矛盾してないだろうか。

 直接的に安全保障意識に欠けている、欠けていると訴えても、意識涵養にはつながらない。安全保障はどうあるべきかの言葉を発信し、国民を納得させる力量が求められているはずだ。

 政治家自身がそういった言葉を持たないからだろう、北朝鮮の日本人拉致問題にしても、普天間移設問題にしても、前者は「一刻も早い帰国に向けて全力を尽くします」の決まり文句、後者は「日米合意を踏まえつつ」、「沖縄の負担軽減に尽力する覚悟です」の決まり文句で終わらせ、どのような成算を持って解決に向けて展開していくのかの具体的な言葉を何も示すことができない。

 最後に「むすび」をおまけつきで全文紹介。

〈これまで述べてきたように、私の内閣が果たすべき使命は、20年近く続く閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させることです。その道筋は、この所信表明演説で申し述べました。後は実行できるかどうかにかかっています。

これまで、日本において国家レベルの目標を掲げた改革が進まなかったのは、政治的リーダーシップの欠如に最大の原因があります。つまり、個々の団体や個別地域の利益を代表する政治はあっても、国全体の将来を考え、改革を進める大きな政治的リーダーシップが欠如していたのです。こうしたリーダーシップは、個々の政治家や政党だけで生み出されるものではありません。国民の皆さまにビジョンを示し、そして、国民の皆さまが「よし、やってみろ」と私を信頼してくださるかどうかで、リーダーシップを持つことができるかどうかが決まります。

私は、本日の演説を皮切りに、順次ビジョンを提案していきます。私の提案するビジョンを御理解いただき、是非とも私を信頼していただきたいと思います。リーダーシップを持った内閣総理大臣になれるよう、国民の皆さまの御支援を心からお願いし、私の所信表明とさせていただきます。〉――

 すべて「後は実行できるかどうかにかかってい」いる。自ら言ったことは詳しく記憶しておかなければならない。「政治家の言葉は重い」と言われる所以である。
 

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