◆海上自衛隊アフリカ沖へ
海上自衛隊は、海上警備行動命令を受け、ソマリア沖において活発な活動を繰り返している海賊の取り締まりを行うべく、昨日、護衛艦二隻が呉基地を出航した。
出航式典に参加していないので、呉基地の旗艦というべき、第四護衛隊群旗艦、ヘリコプター護衛艦ひえい(はるな型)の写真にて代用。ソマリア沖海賊対策事案では、13日に、麻生総理大臣らが出席し、安全保障会議が開かれ、ソマリア沖に護衛艦を派遣することが正式に決定した。これを受けて、浜田防衛大神は、海上警備行動を発令し、海上自衛隊に護衛艦の派遣を命令した。
14日、呉基地において行われた出航式典において、麻生総理大臣は、ソマリア沖アデン湾において海賊事案が急増していることは周知の事実である、とした上で、任務を果して全員無事に帰国することを心から祈念します、と訓示した。これに対して、派遣部隊指揮官の五島浩司1佐は、国民の大きな期待に応えられるよう、厳しい環境でも集中力を切らさず、部隊一丸となって任務を完遂します、と挨拶した。ソマリア沖に派遣される護衛艦「さざなみ」、「さみだれ」は、昨日1400時に広島県の呉基地から出航した。二隻の護衛艦は、早ければ四月上旬にもアフリカ沖に到達し、海賊対策任務に就くとのこと。
海賊対策について、自衛隊法に基づく海上警備行動を発令する形で対応しているが、13日の閣議では、新しく「海賊対策法案」が閣議決定された。海賊対策法案の概要は、海上自衛隊が護衛を行う対象を外国籍を含むすべての商船を含めるとしている。自衛官の武器使用基準は、正当防衛と緊急避難を原則とし、加えて警告を無視しての接近する海賊船に対する停船させるための射撃を認める、としている。買う続対策法案は、実施計画の国会報告を義務づけているほか、新たに“海賊罪”を設け、海賊行為を行った者に対しては無期もしくは五年以上の懲役を科す、としている。
今回の、ソマリア沖海賊対策事案について、最大の問題は、インド洋対テロ海上阻止行動給油支援任務のように、出口戦略が確立されていないということで、収束するまでの期間、海上自衛隊は護衛艦を遠くアフリカ沖に恒常的に展開させる必要があることに加えて、この派遣がいつ終了するかが、展望できないということである。
海上自衛隊の護衛艦は1995年防衛大綱改訂以来、一貫して削減される傾向にあり、遠からず護衛艦定数の見直しか、派遣規模の縮小かが議論される時期が来るのでは、ともいえる。他方で、今回の任務では、海賊は駆逐艦や潜水艦を持っている訳ではないので、護衛艦が搭載する対潜兵装や対空ミサイル、対艦ミサイルなどは、使用する機会は無いとおもわれる。防衛大綱に定められた護衛艦定数とは別枠で、ヘリコプターと艦砲などを搭載した比較的軽武装で、長期航海に向いている居住性を備えた外洋哨戒艦、というようなものが将来的に整備されることが検討される、ということもあるかもしれない。なお、海上自衛隊の今回のソマリア沖派遣では、隣国のジプチを活動拠点とするとのこと。
HARUNA
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