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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

F-15SE サイレントイーグル まずは実証機の飛行が最初

2009-03-25 19:00:59 | 先端軍事テクノロジー

◆イーグルをステルス化!?

 ボーイングが発表した、F-15のステルスバージョン、サイレントイーグルが、いま一部で話題である。先ほど、小生もこの話題について、少し議論したのだが、少し書いてみたい。なお、東海道本線のグリーン車車内から書いているので、コネタ扱いということで、ひとつ。

Img_8751  現在、航空自衛隊は、次期戦闘機として、老朽化したF-4EJ改の後継機を選定中である。また、その次期戦闘機F-Xは、概ね40機程度の配備が見込まれているものの、将来的にはF-15Jの初期の機体で、近代化改修に対応していない機体についても、代替する可能性があることから、世界の戦闘機メーカーからも一目置かれている計画ではある。

Img_9870  今回、ボーイングが提案したF-15SEは、来月にでも専門誌の表紙を飾りそうなデザインである。写真のF-15J近代化改修機とは、異なり、ステルス性を付与させることを目的としたものである。F-15にコンフォーマルタンクを装備させ、そのコンフォーマルタンク内部にミサイルを格納することで、レーダーの反射面積を低減させ、加えて、垂直尾翼についても、ななめに角度をつけることにより、レーダーの反射を極力抑えたもの、とする構想のようだ。機体に搭載されるレーダーも充実したものを搭載でき、イーグルにステルス性を付与させることで、航空自衛隊が必要としている戦闘機の水準にF-15を押し上げよう、というもののようだ。

Img_9892  一見、魅力的な提案に見えるF-15SEであるが、まだ、モックアップが発表されただけのペーパープランであるということは忘れてはならない。この種の未完成装備は、例えば航空自衛隊が初めてバッジシステムを導入した際、未完成であるが見積もりが最も安かったメーカーのものを選定したことがあった。しかし、開発がその後に難航し、導入した際には当初見積もりの三倍の費用を要した、ということがあった。このように、実証機も飛行していない装備に、興味を示すことは、大きなリスクがある。加えて、興味を示した場合、開発費を“共同開発”というようなかたちで要求してくる可能性も高いことを忘れてはならない。

Img_0495  航空自衛隊は、現在、F-15Jの近代化改修計画を推進しているが、これは目下のところ、おおむね良好である。既存のF-15Jから、部品を付け替える、ということで、SE改修が出来るならば、これは検討してみる価値があるかもしれない。他方で、F-15SEは、本日後継機が決定しても遅いくらいに老朽化が進んでいるF-4EJの後継機には、間に合いそうにない。仮に、F-4EJの後継機として、充当し、それで調達が終了となるような高価な戦闘機、もしくは、それ以外の理由によりF-15Jの後継機には、別の機体を必要とするような機体がF-Xで選定されないかぎり、航空自衛隊が配備する機体としては、やや、難ありといわざるをえない。F-15SE,90年代に初飛行していれば、また違った対応もあったのだろうが。

HARUNA

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コメント (6)
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