◆183系86両のうち46両を新型に
旧国鉄時代の車両多数を運用するJR西日本では、その老朽化が問題となっているが、このたび、新しい新型車両の導入計画をJR西日本西福知山支社が発表した。
287系新型特急が置き換えるのは、旧式化した183系特急車で、183系特急車そのものは、雷鳥にも運用されている485系の系譜にある特急なのだが、デザインと共に老朽化が進んでいることもあり、特急料金をとり運用する以上、ほかのJR時代特急と遜色ないサービスと速度が求められていた。
現在、JR西日本には183系特急車が86両運用されているが、このうち46両が新型の287系に置き換えられる構想である。導入は、2011年春ごろから特急きのさき、特急北近畿、に充当されている183系が287系に置き換わることとなっており、山陰本線、舞鶴線、福知山線での運用に充当される。
287系の形状は、北陸本線のサンダーバードや、しらさぎ、として運用されている681系や683系の貫通車に丸みを持たせた形状となっており、貫通扉を有することにより、併結運転などに際しての柔軟性を確保する。形状のほかに車内や機器に関しても681系、683系のコンセプトを活かした車両となるようだ。
新しく導入される287系の内装は、タンゴディスカバリー号などの特急と比べてもそん色なく、車椅子対応乗降口の設置、様式お手洗い設備を有するとともに座席スペースも183系より拡大され、681系683系の心地よいリクライニングシートと同様のものが配列されるのにくわえ、グリーン車全席と普通車の一部にモバイル用コンセントが置かれるとのこと。
惜しむべくは、展望車などの観光特急らしい設備を有しない点で、オーシャンアローとして知られる283系やスーパーはくと、のHOT7000のような流線形の優美な姿ではなく、681系や683系、空港特急はるか、の281系のように、ビジネス特急然としたデザインが採用されることだ。なお、個人的には、183系になかった自販機が設置されるかに興味がわく。
287系が新しい時代の新型特急として重視されているのは安全性で、福知山線脱線事故を教訓に、万一の衝突事故や脱線事故を想定、JR西日本の特急としては初めて衝突事故に際しての衝撃吸収構造を採用して安全対策とすることとなっている。一方で、振り子式制御装置の有無について言及されておらず、搭載されるならばカーブの多い山陰本線や福知山線、舞鶴線の大幅な運行時間短縮に寄与するだけに関心が深まるところである。
485系特急雷鳥が、順次683系のサンダーバードに置き換えられており。北陸新幹線金沢開業後に恐らく余剰となるだろう681系と683系を金沢、福井と北陸新幹線が進む順次に支線用に改修され、転用されるものと考えていたのだが、このたびの新型車両導入計画の発表、古きよき車両の引退は心惜しいものがあるが、新しい車両の息吹を見守りたい。他方、まいづる号はどうなるのだろうか。
HARUNA
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