◆海洋政策研究財団・防衛省共催
本日、観艦式付帯行事として行われた海洋安全保障シンポジウムに出席してまいりました。シンポジウムは、海洋安全保障のための国際協力、海洋の安全確保に向けた取り組み、の二部構成。
二部の方は学部生向けの内容でしたが、第一部の方は、ソマリア沖での海賊対処における多国間協調が、他の分野へスピンオフするという可能性を挙げられており、欧州安全保障協力会議を基点とした複合レジーム論に基づくレジームの相互作用を研究する当方には、新しいモデルの可能性を提示した興味深い内容でした。海賊対処に関する諸協定を取りまとめた枠組み条約方式の、もしくはより拘束力の緩いソフトローとしての原則宣言でも、将来的に他の分野の信頼醸成に寄与する部分は大きいのだろう、という期待も抱ける内容。
特に欧州安全保障協力会議などは、ヘルシンキ宣言とうう原則宣言がレジームを形成し、他の全く異なるレジームに好影響を及ぼしたことにより、結果的に冷戦構造の緊張緩和に、かなりの部分で下支えとなった点を踏まえれば、海賊対処に関する国際協調は、ある程度、平和戦略的な視野から観る必要があるのだろう、と。今回のシンポジウムは、護衛艦ひゅうが艦内で実施されるという異例のもので、様々な所でのシンポジウムに参加してきましたが、基地ではなく、護衛艦の艦内で実施される、というのは稀有なのでは、と思った次第。
海洋政策研究財団と防衛省が共催の今回の会議は、埠頭に同時中継されていたとのことですが、第一部には、拓大教授の森本敏先生、在日米海軍司令官のリチャード・D・レン少将、英国大使館国防武官ギャレス・デリック海軍大佐、ジェームズ・アワー教授、慶応義塾大学の阿川尚之教授、外務省総合政策局の石井正文参事官、防衛省防衛政策局の高見澤将林局長、海幕防衛部長の武居智久海将補がパネラーとして参加、意見や実情などを通じて議論した。
HARUNA
[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]