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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

訃報:軍事評論家 江畑謙介 氏 享年60歳 最も尊敬する軍事評論家

2009-10-12 22:16:07 | 北大路機関 広報

◆御冥福をお祈りします

 軍事力とは、兵器とは、外交との関係、世界政治への連動。当方の専門分野である国際政治、公法分野の研究でも直接の関係は大きくないものの、忘れてはならない知的背景の一つ。

Img_0495  日本を代表する軍事評論家である、江畑謙介氏が10日、千葉県内の病院にて心不全で亡くなった。享年60歳。ジェーンの日本特派員として、江畑氏の論述は、古いジェーン年鑑を書架から引き出したときにも、みつけることができる。NHKの軍問題や戦争勃発の際などの解説などでも知られる方だ。

Img_8636 工学博士ならではの視点で、兵器の特色から軍事全般まで、深い知識に裏打ちされた判りやすい解説、そして分からないことは分からないという謙虚さは、見習わなければならないなあ、と思いつつ、尊敬していた方の一人。軍事力の最大の責務は戦争を抑止することにある。兵器とは人が命を託して用いる道具。などなど、当方の価値観に大きく響いた言葉を残されている。

Img_2609  本日、岐阜基地航空祭を見学し、その帰路の名鉄電車車内にて、その訃報を知った次第。本当に驚いたが、NHKお昼のニュースにて、報道されたとのこと、情報は確かだった。さて、江畑謙介氏、現在、書架に並んでいる氏の著書は、ざっと数えただけで30冊、さがせばさらに出てくるはずだが、それだけに衝撃は大きい。

Img_1377  軍事というものは、職業などで軍事に関係する人や、軍事に興味を持つ人だけが、前者は公的に、後者は私的に興味を持てばいいというものではなく、選挙民が投票行動に際して、その予備知識として有していてもいいのではないか、と考える上で、氏が著書のみならずNHKを通じて、その知識普及に寄与した事の重要性は、大きいの一言に尽きる。

Img_6687  氏は、独自の防衛観に基づき、“日本防衛のあり方”、“日本の防衛戦略”など、体系的な整合性を提案する内容の著書を発表するとともに、並木書房などから、軍事に関しての最初の知識に触れる著書も発表、改訂を重ねた“米軍再編”では、世界規模の米軍再編を俯瞰した上で日本での米軍再編のあり方を投げかける著書を世に送り出しており、近年は、“軍事とロジスティクス”として、後方支援の分野から軍事の基盤を解説した著書を発表している。

Img_3120  軍事そのものの、兵器そのものの知識よりも、様々な異なる分野の関心を深める際に軍事の知識が必要とされる場合、知的背景に必要な軍事に関する知識と軍事そのものの、兵器そのものの知識は、異なる一方で、総合的包括的な理解が必要な前者を理解する上で、氏の著書のポテンシャルは大きい。逝かれたことは、心から惜しむとともに、さらに深くご冥福をお祈りしたい。

HARUNA

コメント (8)
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