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防衛省、対領空侵犯措置戦闘機緊急発進に関して平成24年度第1四半期実施状況を発表

2012-08-08 22:57:10 | 防衛・安全保障

◆経空脅威は流動的、南方脅威鈍化と北方脅威激増

 防衛省は7月26日、航空自衛隊による対領空侵犯措置戦闘機緊急発進実施状況について平成24年度第1四半期の現状を発表しました。

Img_2485 対領空侵犯措置任務緊急発進、防空識別圏へ近づく国籍不明機へのいわゆるスクランブル発進ですが全体としては第1四半期で82件と、これは2011年第1四半期の58件、2010年第1四半期の65件、2009年第1四半期での59件、2008年第1四半期の47件と比較し、増加傾向にあることがわかります。

Img_7836 この数字を各航空方面隊毎に見てゆきましょう。北部航空方面隊は39件、中部航空方面隊は12件、西部航空方面隊は12件、南西方面航空混成団は19件となっています。中国の脅威が叫ばれる昨今ではありますが、北部航空方面隊の正面に当たるロシア機の比重が起きいことがわかるでしょうか。

Pimg_7860 航空方面隊別の過去五年間とを比較します。三沢の北部航空方面隊は第1四半期で39件で、2011年第1四半期の20件と比較し大幅増加であり、2010年第1四半期の33件、2009年第1四半期の23件、2008年第1四半期の29件と比較しても回数が多く、特に昨年の同時期の二倍近い回数です。

Img_90_00 入間の中部航空方面隊では、第1四半期12件に対し、2011年第1四半期は4件でしたので実に三倍となったことがわかります。ただし、2010年第1四半期の16件、2009年第1四半期の13件、2008年第1四半期の10件と比較した場合、むしろ昨年度が低調であったを示し、通常の水準に戻ったことがわかります。

Img_8712_1 西部航空方面隊は、第1四半期は2件でしたが、2011年第1四半期での2件と比べ六倍に増大しました。この数字は2010年第1四半期の4件、2009年第1四半期の7件、2008年第1四半期の6件と比べても非常に多く、これは南西諸島から北上する中国機と長距離飛行を行うロシア機や朝鮮半島情勢との関係があるのでしょうか。

Img_0540 南西方面航空混成団ですが、こちらは昨年比で唯一大きく減少しました。第1四半期は19件で全体的には多いのですが、2011年第1四半期は実に32件ありましたので、大きな現象です。この数字は2010年第1四半期の12件、2009年第1四半期の16件と比べればやや増という範囲です。2008年第1四半期は2件だったのですが。

Iimg_1930 しかし、南西方面航空混成団は戦闘機一個飛行隊を基幹とする部隊を以て編成されていますので、北部航空方面隊の四個飛行隊、中部航空方面隊の四個飛行隊、西部航空方面隊の三個飛行隊と比べれば戦闘機一機当たりの緊急発進任務回数や訓練への負担は非常に大きいことは言うまでもありません。

Img_0024 全体的には第1四半期あたりの緊急発進は過去五年間で最も多くなっており、昨年緊張が薄かった空域での緊張増大は、経空脅威の流動性を示すものと言えます。他方で、北方脅威は昨今忘れられがちではありましたが、件数としては依然と最大規模であり、警戒を怠ることが出来ない端的な事例と言えるでしょう。

北大路機関:はるな

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コメント (1)
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