◆タンカーは全長333m、米駆逐艦は右舷に損傷
バーレーンに司令部を置く米第五艦隊によれば12日未明、ホルムズ海峡において商船三井のタンカーオトワサンと米ミサイル駆逐艦ポーターが衝突したとのことです。
ポーターはDDG-78,アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の28番艦として1999年に就役、五年前に我が国の海運会社が運行するケミカルタンカーへの海賊攻撃事案に際し出動、海賊船を撃破する戦果を挙げていますが、その日本が運行する大型タンカーと衝突した、というのは、事故とはいえ、非常に残念なことでした。
ホルムズ海峡ではイラン核開発への経済制裁への反発を契機とした緊張から米海軍はバーレーンの第五艦隊により警戒を続けています。このホルムズ海峡は世界のタンカーの多くが通行する重要海峡であり、加えて海峡幅は33kmであり、潮流もあるため交通量に対し難所として知られています。衝突はポーター右舷側、艦橋基部の舷側に損傷があり、こんごう型であれば、食堂と通路がある場所、でしょうか。
衝突したオトワサンは全長333mと原子力空母ジョージワシントンと同じ全長に当たり全幅60m、喫水20.417mです。川崎造船で建造され2005年に就役、載貨重量は302477tのダブルハル構造タンカーで川崎HAN-B&W-7S80MC-Cディーゼルエンジンにより巡航速度15.55ノットを発揮するタンカーです。
オトワサンは、ダブルハル構造により事故発生時の海洋汚染防止対策を施した構造で、これが功を奏した形ですが、マラッカ海峡通峡可能で我が国主要バースへ接岸可能な最大規模の載貨重量を誇る大型艦です。大型艦とミサイル駆逐艦の衝突ですが、犠牲者が無いことは今回のタンカーの大きさを見れば幸いでした。運行会社としては、事故が再発しないようしなければなりません。
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