北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛省、南西諸島警戒強化へRQ-4無人偵察機の新中期防衛力整備計画での取得を検討

2012-08-19 22:50:00 | 防衛・安全保障

◆今度こそ実現?現中期防計画時でも導入は検討

 政府の18日における発表によれば防衛省は2016年度以降の中期防衛力整備計画へ米国製RQ-4無人偵察機の導入を検討しているとのことです。

Rimg_7526 これは横田基地上空を飛行する米空軍のU-2偵察機ですが、RQ-4はこのU-2と同等の高度15000mから19000mの高高度を飛行し、情報収集任務に当たる航空機です。特に無人機という特性を活かし、RQ-4は36時間の連続監視飛行が可能で、その光学センサーは100km以上の距離での監視飛行が可能という極めて高性能なもの。

Rimg_8420 航空自衛隊ではRF-4戦術偵察機の後継機としてRF-15の開発を進めていたのですが、伝え聞くところでは戦術偵察機運用を熟知しないメーカーが仕様書に従い競争入札を落札したのですが仕様書の仕様通りの設計では戦術偵察機としての運用に耐えないとの判断が為され、契約は中止、後継機なきRF-4が運用を継続中です。

Img_3305 主として防衛省では、南西諸島方面におけるP-3C哨戒機による監視飛行任務やRF-4での戦術偵察飛行任務を行うとのことです。しかし、この場合RQ-4を導入するとして海上自衛隊が運用するのか航空自衛隊が運用するのか、情報伝送と遠隔管制システム構築を含めれば非常に大きな費用を要するため、これは実のところ難しい問題に違いありません。

Rimg_9724 無人機の導入に当たって、我が国の航空法は未だ無人機を遠隔操作型有人機に当たるのかラジオコントロール機の一種であるかの明示が無く、前者であれば航空機と見做せず後者であれば危険であるため飛行場付近を飛行できないとのこと。この問題を航空自衛隊ではグアムに航空自衛隊基地を構築し、此処から運用するという方式を模索しているようです。

Rimg_8623_1 実はRQ-4は2010年10月2日の共同通信報道において現在の中期防衛力整備計画に導入を盛り込む計画があったのですが、RQ-4は機体価格も高価なのですがそれ以上に無人機ということで管制設備や情報伝送設備の費用が高く、結果的に導入されませんでした。東日本大震災までに導入されていれば、もちろん運用を行うことは無理だったでしょうが、残念の一言に尽きるというものでした。

Yimg_0995 今回のRQ-4導入計画は今月3日に行われた森本防衛大臣とアメリカのパネッタ国防長官との会談において南西諸島における広域監視体制の基盤を日米共同で構築するという主眼の元で討議されたとのことですので、今回こそはRQ-4導入はある程度現実味を持っているといえるかもしれません。

Rimg_2546 他方、これで偵察機はひと段落、と思うかもしれませんが、近接航空支援や航空阻止任務に用いる戦術偵察機や戦術偵察任務と高高度無人偵察機は根本的に運用する環境が異なるため、航空自衛隊が上記運用を継続するのであれば、戦術偵察機の任務、既存戦闘機への偵察ポッド搭載を含め検討する必要はあるでしょう。

北大路機関:はるな

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