北大路機関

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【EOS-M3特報】富士総合火力演習二〇一七,AAV水陸機動車&16式機動戦闘車の初参加

2017-08-27 22:43:10 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■富士総合火力演習二〇一七
 富士総合火力演習二〇一七、中国が紀伊半島沖へ爆撃機編隊を飛行させ、北朝鮮がミサイル三発を日本海に撃ち込む緊張下で実施されました。

 本日、静岡県の東富士演習場畑岡地区において富士総合火力演習が行われました。特筆する点は陸上自衛隊に配備されている最新鋭のAAV水陸両用車が初公開された点でしょう。玖珠駐屯地祭や福岡駐屯地祭に続く一般公開で、本州での一般公開は今回が初となります。

 富士総合火力演習は富士教導団を中心に2400名の人員と、戦車等80両の車両、そして航空機20機が参加し実施されました。今回はEOS-M3カメラにて撮影した写真を速報にて紹介します。15-45mmレンズですので、EF28-300mmのEOS7D程の写真は撮れません。

 広報演習という位置づけですが、27日の本番で使われた弾薬は36t、ミサイル等をすべて含め費用にしておよそ2億9000万円に上るとのことでした。戦車の射撃一発にも膨大な費用を要していますが、現代戦闘に対応できる能力を保持する必要性と併せ広報を展開する。

 島嶼部防衛を主眼とした例年の展示と並び、東富士演習場の一部を離島に見立て、演習を行っており、併せて自衛隊が進める創設以来最大の変革という、従来の北方脅威への対処に併せ南西脅威への対処を行う統合機動防衛力整備の一端を演練した展示となりました。

 実弾射撃を公開する富士総合火力演習は、広報演習としての側面があり、前段演習と後段演習に分かれ、前段演習は自衛隊主要装備を紹介します。遠距離火力と中距離火力に近距離火力とヘリコプター火力及び対空火力と戦車火力の順番に射撃などを行い紹介されます。

 統合機動防衛力整備として注視すべきは、従来の富士総合火力演習では後段演習とに分かれており、島嶼部防衛という中国の海洋進出を念頭とした我が国離島への攻撃への対処を行うというここ数年の傾向が、水陸機動車や機動戦闘車の参加にて強められた点でしょう。

 16式機動戦闘車も今回戦車教導隊第4中隊へ配備され、初の機動展示を行いました。装備実験隊から管理替えで演習に参加している為射撃は行いませんでしたが、16式機動戦闘車、量産車は早ければ九月中旬にも富士教導団戦車教導隊への配備が開始される、とのこと。

 大規模着上陸を想定した従来の富士総合火力演習では、対機甲突撃破砕射撃による敵攻撃衝力の骨幹たる機甲戦力の撃砕を通じての攻撃前進の阻止から、反撃と戦果拡張へ、という展示となっていましたが、島嶼部防衛の展示では離島の要点再確保、となっていました。

 北海道の第7師団より第71戦車連隊が90式戦車を今回派遣していました。第4戦車大隊が支援に当っているという話もありましたが、第4戦車大隊の74式戦車は見当たらず、AAV水陸両用車は第4戦車大隊の車両が玖珠から展示参加した、という事なのかもしれません。

 AAVは年度末に新編の水陸機動団主要装備となっており、数年内に52両導入される新装備です。米軍正式名称のAAV-7両用強襲車ではなく、AAV水陸両用車、という名称が自衛隊での正式名称で、増加装甲や機銃にMk19擲弾発射器等も搭載した完全装備での参加です。

 16式機動戦闘車16MCVは、新編される機動連隊や偵察部隊へ配備される、というもので、戦車大隊へ配備されるとの言及はありませんでした。装甲防御力などは多数の見学者の関心事となっていましたが、基本は戦車ではないので運用が違う、という強調で説明されています。

 後段演習は島嶼部防衛を主眼としたのは6年連続との事で、侵略を受けた離島の要点を確保し反撃と奪還を実施、戦果拡張へヘリコプターの大編隊が戦車部隊と装甲部隊の前進を支援すると共に戦果拡張へ、此処で状況終了のラッパが高く響き、状況終りとなりました。

北大路機関:はるな くらま
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