■三菱FACO閉鎖検討の衝撃
名古屋にて着々とF-35A組立が進む中、ロイター通信2月21日付報道にF-35戦闘機増備と併せて完成機輸入への転換の検討という報道がありました。

ロイター通信によれば関係者の話として、航空自衛隊は新戦闘機F-35Aについて旧式のF-15J戦闘機置き換へ25機程度の増加発注を行う検討を進めているとのこと。ここまでは既定路線で現在装備中の42機のF-35A製造の為に数百億円を投じて最終組み立て施設三菱FACOは建てません。しかし同記事では費用面から同施設の閉鎖を検討しているという。

三菱FACO閉鎖検討、これは意外でした。何故ならば三菱FACOは最終組み立て施設であり、ライセンス生産施設ではない為です。従ってアメリカ本土のフォートワース工場において組み立てる事となるのでしょうが、結局に日本で行うかアメリカで行うかの違いだけであり、その工程費用が日本国内に還元されるか、アメリカに支払われるかが違うのみ。

130億円と高価なF-35A戦闘機もアメリカで最終組立を行えば数十億円の費用を圧縮できると記事は指摘しており、画期的です。何が画期的かというと、130億円の現F-35A調達価格は日本が最後に生産した戦闘機F-2の初期費用と同じである為で、第4.5世代戦闘機のF-2よりも第五世代戦闘機であるF-35Aの方が安価に取得できるとの意味を持つからです。

110億円、数十億円という事で最低でも110億円という事となりますが、これはかなり無茶苦茶な費用です。何故ならば、アメリカ空軍はF-35Aを1996年のJSF計画以来開発費を高騰とつい活かされた部分も含め支払い続けていますが、日本はJSF開発計画に参加しておらず開発費負担を行っていない、従って日米のF-35価格差には開発費後分担金が載る。

イギリスはJSF計画副開発国としてアメリカに次ぐ開発費を負担していますが、F-35BかF-35Cか、イギリス将来空母計画が難航した2006年当時、F-35B戦闘機は一機一億ポンドであると説明されていますので、防衛省関係者の話が事実であれば日本は副開発国よりも安価に取得できるとの話となり、第三者に社員価格株主割引付で買えるというようなもの。

実際問題、非現実的な数値ではないか。三菱FACOはF-35Aの段階アップデート施設を兼ねており、メーカー定期整備も担う事となります。そしてFACOは最終組立の費用を利益として施設を維持しているのですから、最終組立機能を省いた場合収入源が無くなり、定期整備機能を現在の費用で維持できなくなります、結果的に総合費用で肥大しかねません。

F-15Eでさえ中東カタールと2017年12月に制約した契約では36機で6800億円、アフターサービス込の価格ですが、一機当たり188億円となっています。差額については現地しようとする諸費用も含まれていまして、実際問題、英語だけの整備マニュアルに米軍専門符丁の補給手配では飛ばせませんので、運用国受けの仕様改修とマニュアル等が必要です。

F/A-18Eですと2017年にカナダ空軍がボーイングと締結一歩前まで行った費用では、18機で、52億3000万ドル、邦貨換算5900億円です。これは予備部品費用や定期整備費用込ですが、一機当たり327億円でして、すべてメーカーサポートを受けた場合はこうなる。F-35の場合、三菱FACOがあれば機体分との差額が相応に還元されますが任せれば、こうなるという。

F/A-18Eは自衛隊次期戦闘機選定の候補として提示されていましたが、ボーイング社はF/A-18Eについてライセンス生産を行った場合でも当時のF-2戦闘機と同程度の費用で取得できるとの取得性を強調していたと云われており、事実であれば94億円から130億円、カナダ提示の327億円と比較したならば、国内基盤の重要性が際立って、分かるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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名古屋にて着々とF-35A組立が進む中、ロイター通信2月21日付報道にF-35戦闘機増備と併せて完成機輸入への転換の検討という報道がありました。

ロイター通信によれば関係者の話として、航空自衛隊は新戦闘機F-35Aについて旧式のF-15J戦闘機置き換へ25機程度の増加発注を行う検討を進めているとのこと。ここまでは既定路線で現在装備中の42機のF-35A製造の為に数百億円を投じて最終組み立て施設三菱FACOは建てません。しかし同記事では費用面から同施設の閉鎖を検討しているという。

三菱FACO閉鎖検討、これは意外でした。何故ならば三菱FACOは最終組み立て施設であり、ライセンス生産施設ではない為です。従ってアメリカ本土のフォートワース工場において組み立てる事となるのでしょうが、結局に日本で行うかアメリカで行うかの違いだけであり、その工程費用が日本国内に還元されるか、アメリカに支払われるかが違うのみ。

130億円と高価なF-35A戦闘機もアメリカで最終組立を行えば数十億円の費用を圧縮できると記事は指摘しており、画期的です。何が画期的かというと、130億円の現F-35A調達価格は日本が最後に生産した戦闘機F-2の初期費用と同じである為で、第4.5世代戦闘機のF-2よりも第五世代戦闘機であるF-35Aの方が安価に取得できるとの意味を持つからです。

110億円、数十億円という事で最低でも110億円という事となりますが、これはかなり無茶苦茶な費用です。何故ならば、アメリカ空軍はF-35Aを1996年のJSF計画以来開発費を高騰とつい活かされた部分も含め支払い続けていますが、日本はJSF開発計画に参加しておらず開発費負担を行っていない、従って日米のF-35価格差には開発費後分担金が載る。

イギリスはJSF計画副開発国としてアメリカに次ぐ開発費を負担していますが、F-35BかF-35Cか、イギリス将来空母計画が難航した2006年当時、F-35B戦闘機は一機一億ポンドであると説明されていますので、防衛省関係者の話が事実であれば日本は副開発国よりも安価に取得できるとの話となり、第三者に社員価格株主割引付で買えるというようなもの。

実際問題、非現実的な数値ではないか。三菱FACOはF-35Aの段階アップデート施設を兼ねており、メーカー定期整備も担う事となります。そしてFACOは最終組立の費用を利益として施設を維持しているのですから、最終組立機能を省いた場合収入源が無くなり、定期整備機能を現在の費用で維持できなくなります、結果的に総合費用で肥大しかねません。

F-15Eでさえ中東カタールと2017年12月に制約した契約では36機で6800億円、アフターサービス込の価格ですが、一機当たり188億円となっています。差額については現地しようとする諸費用も含まれていまして、実際問題、英語だけの整備マニュアルに米軍専門符丁の補給手配では飛ばせませんので、運用国受けの仕様改修とマニュアル等が必要です。

F/A-18Eですと2017年にカナダ空軍がボーイングと締結一歩前まで行った費用では、18機で、52億3000万ドル、邦貨換算5900億円です。これは予備部品費用や定期整備費用込ですが、一機当たり327億円でして、すべてメーカーサポートを受けた場合はこうなる。F-35の場合、三菱FACOがあれば機体分との差額が相応に還元されますが任せれば、こうなるという。

F/A-18Eは自衛隊次期戦闘機選定の候補として提示されていましたが、ボーイング社はF/A-18Eについてライセンス生産を行った場合でも当時のF-2戦闘機と同程度の費用で取得できるとの取得性を強調していたと云われており、事実であれば94億円から130億円、カナダ提示の327億円と比較したならば、国内基盤の重要性が際立って、分かるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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