■F-35B,洋上防空と九州防空
南九州新田原基地へのF-35B飛行隊新編構想、しかし鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地ではなく宮崎県の航空自衛隊新田原基地へ。

さてその前に本記事作成中に気になる情報が。ロイター通信昨日2月21日付記事によれば、防衛省関係者の話として航空自衛隊は現在調達中のF-35戦闘機を更に25機程度追加する方針を示したとの事で、事実とすれば現在調達中の42機に加え合計67機のF-35Aが配備される事となります。この25機はF-15J戦闘機の後継であり、更に75機を開発を検討している国産機で代替する検討を行うという。

国産戦闘機を数年間で管制させる事になり、F-2戦闘機後継機をF-15J後継機に前倒しする技術的見通しが気になるところですが、併せて、同記事は現在の三菱名古屋FACOでの最終組立を割高であるとして取りやめる可能性を示し、現在1機130億円で取得のF-35Aを1機あたり数十億円程度安価に取得するという、主開発国イギリスが1機1億ポンドで取得するF-35以下に圧縮したい構えとのこと。

三菱FACO閉鎖の示唆とは、契約中断という我が国の悪い癖が出ているようで呆れますが、OH-1観測ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターン調達中断の経験から、三菱FACO建設費は既に別枠で計上されており、この税金を無駄にするという視点で、なお調達費を圧縮できるのならば、選択肢にはなり得るのでしょう。この記事についてはロイター通信記事のみ、詳細は後日改めて検証しましょう。

新田原基地へのF-35B配備報道ですが、F-35AとF-35Bの最大の相違点は垂直離着陸能力の有無です。全長は同じ、垂直離着陸機構を搭載する分、F-35BはF-35Aよりも燃料搭載能力が限られ、F-35Aの航続距離は2200kmですがF-35Bは1670kmに留まる。しかしレーダーや電子装備は同一、エンジンは共にF-135系統、整備互換性は非常に高いのです。

F-35A戦闘機の配備開始により、F-35B戦闘機を運用する障壁は非常に低くなりました。ただ、将来的にF-35B戦闘機の能力を考えた場合、海上自衛隊の護衛艦へ配備する意義というものは低くはありません。現代の海上戦闘はミサイル射程の長大化により対艦対空とも交戦距離が年々長大化しており、その上で如何に索敵を行う情報優位を得るかが重要だ。

ヘリコプター搭載護衛艦艦上からのF-35B戦闘機運用、これは事実上の護衛艦の空母運用となります。F-35Bには敵のレーダーに捕捉されないステルス性を有し、索敵でも高機能レーダーAPG-82の他に電子複合監視装置EO-DASシステム等、レーダー波を出さずに、つまり相手に感知される事無く索敵する能力があります。艦上運用は情報優位に繋がる。

海上自衛隊は対水上戦闘において艦砲と対艦ミサイルという選択肢を有します。艦砲射程は30km、近年の水上戦闘艦は第二次世界大戦中に主流であった対水上戦闘用の長魚雷は搭載せず、対艦ミサイルがその攻撃の主力となっています。海上自衛隊は国産のSSM-1とハープーン艦対艦ミサイルを採用しており、射程は150kmから200km程度となっています。

地球は丸く電波は直進しますので、護衛艦のマストに搭載されているレーダーは水平線の向こうを見る事は出来ません。すると護衛艦のマストからは艦船を目標とする場合に50km程度しか見通せないのです。この為、護衛艦は哨戒ヘリコプターを飛行させ索敵を行うのですが、相手に広域防空艦、イージス艦やターター艦同等の防空艦がいれば生き残れない。

日米やNATOの対艦ミサイルは200kmが標準ですが、中国ロシアのミサイルは300km以上の対艦ミサイルが標準となりつつあります、これは1970年代に開発されたハープーンミサイルが西側の標準となり、ミサイルの規格が確立し、本体部分に搭載出来る燃料から射程の上限が決まるのに対し、PJ-10やS-1000,YJ-62等、ロシア中国にその成約が無いため。

戦闘機としてではなく艦上固定翼哨戒機としてF-35Bを搭載出来れば、射程で既に大きく限られた日本の水上戦闘能力を最大限発揮が出来る。海上自衛隊には過去に固定翼艦載機という区分が存在し、S-2対潜哨戒機という機種が、母艦は整備に至りませんでしたが、存在していました。この艦上固定翼哨戒機という区分で、F-35Bがあれば高い抑止力となる。

勿論F-35Bについて、中距離弾道弾攻撃や巡航ミサイル攻撃により航空自衛隊基地の飛行場施設が破壊された場合においての分散運用も念頭としていると報じられ、垂直離着陸能力を有するF-35Bは、必要であれば鹿屋航空基地、高遊原分屯地、宮崎空港、鹿児島空港と多数ある九州南部や離島の飛行場等へ分散し、粘り強く防空戦闘を展開可能となります。

しかし、新田原基地の現在のF-15一個飛行隊という体制では、増大する九州南部方面への中国大陸からの国籍不明機接近増大への対処能力について限界が指摘されます。中国爆撃機は九州沖を越え紀伊半島沖まで進出、脅威は無視できません。海上自衛隊の艦隊運用への資する点も大きいのですが、喫緊の課題としては新田原基地強化の優先度が高いのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
南九州新田原基地へのF-35B飛行隊新編構想、しかし鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地ではなく宮崎県の航空自衛隊新田原基地へ。

さてその前に本記事作成中に気になる情報が。ロイター通信昨日2月21日付記事によれば、防衛省関係者の話として航空自衛隊は現在調達中のF-35戦闘機を更に25機程度追加する方針を示したとの事で、事実とすれば現在調達中の42機に加え合計67機のF-35Aが配備される事となります。この25機はF-15J戦闘機の後継であり、更に75機を開発を検討している国産機で代替する検討を行うという。

国産戦闘機を数年間で管制させる事になり、F-2戦闘機後継機をF-15J後継機に前倒しする技術的見通しが気になるところですが、併せて、同記事は現在の三菱名古屋FACOでの最終組立を割高であるとして取りやめる可能性を示し、現在1機130億円で取得のF-35Aを1機あたり数十億円程度安価に取得するという、主開発国イギリスが1機1億ポンドで取得するF-35以下に圧縮したい構えとのこと。

三菱FACO閉鎖の示唆とは、契約中断という我が国の悪い癖が出ているようで呆れますが、OH-1観測ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターン調達中断の経験から、三菱FACO建設費は既に別枠で計上されており、この税金を無駄にするという視点で、なお調達費を圧縮できるのならば、選択肢にはなり得るのでしょう。この記事についてはロイター通信記事のみ、詳細は後日改めて検証しましょう。

新田原基地へのF-35B配備報道ですが、F-35AとF-35Bの最大の相違点は垂直離着陸能力の有無です。全長は同じ、垂直離着陸機構を搭載する分、F-35BはF-35Aよりも燃料搭載能力が限られ、F-35Aの航続距離は2200kmですがF-35Bは1670kmに留まる。しかしレーダーや電子装備は同一、エンジンは共にF-135系統、整備互換性は非常に高いのです。

F-35A戦闘機の配備開始により、F-35B戦闘機を運用する障壁は非常に低くなりました。ただ、将来的にF-35B戦闘機の能力を考えた場合、海上自衛隊の護衛艦へ配備する意義というものは低くはありません。現代の海上戦闘はミサイル射程の長大化により対艦対空とも交戦距離が年々長大化しており、その上で如何に索敵を行う情報優位を得るかが重要だ。

ヘリコプター搭載護衛艦艦上からのF-35B戦闘機運用、これは事実上の護衛艦の空母運用となります。F-35Bには敵のレーダーに捕捉されないステルス性を有し、索敵でも高機能レーダーAPG-82の他に電子複合監視装置EO-DASシステム等、レーダー波を出さずに、つまり相手に感知される事無く索敵する能力があります。艦上運用は情報優位に繋がる。

海上自衛隊は対水上戦闘において艦砲と対艦ミサイルという選択肢を有します。艦砲射程は30km、近年の水上戦闘艦は第二次世界大戦中に主流であった対水上戦闘用の長魚雷は搭載せず、対艦ミサイルがその攻撃の主力となっています。海上自衛隊は国産のSSM-1とハープーン艦対艦ミサイルを採用しており、射程は150kmから200km程度となっています。

地球は丸く電波は直進しますので、護衛艦のマストに搭載されているレーダーは水平線の向こうを見る事は出来ません。すると護衛艦のマストからは艦船を目標とする場合に50km程度しか見通せないのです。この為、護衛艦は哨戒ヘリコプターを飛行させ索敵を行うのですが、相手に広域防空艦、イージス艦やターター艦同等の防空艦がいれば生き残れない。

日米やNATOの対艦ミサイルは200kmが標準ですが、中国ロシアのミサイルは300km以上の対艦ミサイルが標準となりつつあります、これは1970年代に開発されたハープーンミサイルが西側の標準となり、ミサイルの規格が確立し、本体部分に搭載出来る燃料から射程の上限が決まるのに対し、PJ-10やS-1000,YJ-62等、ロシア中国にその成約が無いため。

戦闘機としてではなく艦上固定翼哨戒機としてF-35Bを搭載出来れば、射程で既に大きく限られた日本の水上戦闘能力を最大限発揮が出来る。海上自衛隊には過去に固定翼艦載機という区分が存在し、S-2対潜哨戒機という機種が、母艦は整備に至りませんでしたが、存在していました。この艦上固定翼哨戒機という区分で、F-35Bがあれば高い抑止力となる。

勿論F-35Bについて、中距離弾道弾攻撃や巡航ミサイル攻撃により航空自衛隊基地の飛行場施設が破壊された場合においての分散運用も念頭としていると報じられ、垂直離着陸能力を有するF-35Bは、必要であれば鹿屋航空基地、高遊原分屯地、宮崎空港、鹿児島空港と多数ある九州南部や離島の飛行場等へ分散し、粘り強く防空戦闘を展開可能となります。

しかし、新田原基地の現在のF-15一個飛行隊という体制では、増大する九州南部方面への中国大陸からの国籍不明機接近増大への対処能力について限界が指摘されます。中国爆撃機は九州沖を越え紀伊半島沖まで進出、脅威は無視できません。海上自衛隊の艦隊運用への資する点も大きいのですが、喫緊の課題としては新田原基地強化の優先度が高いのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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