■現在日本に空母は不要
現在日本に空母が必要かと問われれば必要性は薄く他に優先度の高い装備計画はあります、が、F-35Bは別です。
ひゅうが型護衛艦、いずも型護衛艦へF-35Bを搭載する必要はあるが、海上自衛隊へ航空母艦は必要ない。一見矛盾する視点と思われるかもしれませんが、海上自衛隊の空母保有構想とF-35B戦闘機搭載は区別して考える必要があります。F-35B戦闘機は統合打撃戦闘機計画JSFに基づきアメリカが多国間国際共同開発により完成させた新世代航空機です。
航空母艦、という定義は極めて曖昧で、かつて我が国では通信社でさえ数年前には、通常の護衛艦にスキャンーグル無人偵察機を搭載する事で航空母艦となり得る、と見解を示した事例がありますし、1973年にヘリコプター搭載護衛艦はるな、が竣工した際にはヘリコプター三機を搭載するヘリコプター空母、として説明した専門書さえあり、定義は曖昧だ。
ニミッツ級原子力空母や、日本に馴染み深いフォレスタル級空母、原子力空母エンタープライズ、アメリカのス-パーキャリアーを念頭に考えた場合、日本に虚空母艦は必要か、と問われるならば、必要性は薄い、といえるでしょう。必要であっても維持費用と艦載機、一隻だけで5000名の人員とF-35C戦闘機等50機を搭載し、流石に配備は出来ません。
F-35B戦闘機は中国海軍のJ-15戦闘機を圧倒する能力があります、ステルス性と運動性能を両立する飛行制御装置技術を両立させなければステルス機は開発できず、また、実戦におけるミサイルや航空戦闘という各種脅威と作戦遂行能力を統合化したプロジェクトマネジメント能力が無ければ無理、中国はステルス機を開発できてもステルス戦闘機は難しい。
F-35Bは、そして垂直離着陸が可能である為、満載排水量一万トン程度の全通飛行甲板艦船により運用する事が可能ですが、J-15戦闘機はソ連製Su-27戦闘機が原型であり、F-15戦闘機以上の大型機である事から、スキージャンプ台という形状の飛行甲板か、350mの滑走距離が必要です。こうしますと、基本満載排水量四万トン以上の大型艦が必要となる。
佐世保基地のヘリコプター搭載護衛艦いせ艦上にF-35Bの運用能力が加わるならば、勿論それが常時運用されているのではなく、代替滑走路の一つとして運用される場合も含め、中国海軍の航空母艦は無視する事が出来なくなります、油断していますと遠距離からJSM巡航ミサイルにより無力化される可能性があり、示威行動の実施さえ圧砕されかねません。
この視点から、制海艦や戦力投射艦という航空母艦と設計が共通する艦艇の多様化を念頭に考えますと、その必要性は、というよりも戦力投射艦としての要件も制海艦としての要件も、海上自衛隊へ配備されている護衛艦ひゅうが型、護衛艦いずも型は満たしていまして、艦載機として航空戦闘能力を有する機種を配備するか否か、という部分に収斂するでしょう。
ヘリコプター搭載護衛艦、と定義される護衛艦ひゅうが型以降の全通飛行甲板型護衛艦ですが、厳密には回転翼航空機以外の運用能力を有しています、それはアメリカ海兵隊が運用するMV-22可動翼機の発着実績です。MV-22は回転翼航空機ではなく、パワーリフト機という区分、発着スポットが既に甲板に配置されており、格納庫収容も実施しました。
違いは何か、航空母艦とヘリコプター搭載護衛艦の相違点について気になるところです。航空母艦の一例にインヴィンシブル級航空母艦を提示した場合は、相違点が難しくなります、イギリス海軍が対潜巡洋艦として3隻を建造し、2014年まで運用していました、基準排水量は16000t、満載排水量20500tで、ひゅうが型護衛艦よりも一回り大型の母艦だ。
インヴィンシブル級はシーハリアー攻撃機5機、シーキング対潜ヘリコプター12機を標準艦載機とし、長さ152mと幅19mの格納庫に搭載、必要に応じハリアー攻撃機を15機搭載し防空任務へ充てるなど、任務に応じ艦載機の編成を転換していました。元々の設計が対潜巡洋艦であり、海軍戦略の変更に対応して航空母艦となっています、ひゅうが型と似る。
しかし、空母航空団を運用するアメリカ海軍のスーパーキャリアーのような能力は有しておらず、基本的に欧州と北米の船団護衛におけるソ連超音速爆撃機への対策と、攻撃型原潜からの防護が想定されており、イギリス海兵隊の展開を支援するコマンドー空母として、運用が想定されています。要求仕様通りの対潜巡洋艦の転用としては充実した能力ですね。
対潜巡洋艦としては充実した能力ですが、アメリカ海軍のスーパーキャリアーであれば一隻で中小国の空軍力を凌駕する航空戦力を有し、数隻でイラク侵攻等一方面の空軍力を圧倒できる能力がありますが、インヴィンシブル級では十隻集めようとも、代替にはならない。しかし、この一点でポテンシャルを失うものではなく、そもそもの用途が違う訳です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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現在日本に空母が必要かと問われれば必要性は薄く他に優先度の高い装備計画はあります、が、F-35Bは別です。
ひゅうが型護衛艦、いずも型護衛艦へF-35Bを搭載する必要はあるが、海上自衛隊へ航空母艦は必要ない。一見矛盾する視点と思われるかもしれませんが、海上自衛隊の空母保有構想とF-35B戦闘機搭載は区別して考える必要があります。F-35B戦闘機は統合打撃戦闘機計画JSFに基づきアメリカが多国間国際共同開発により完成させた新世代航空機です。
航空母艦、という定義は極めて曖昧で、かつて我が国では通信社でさえ数年前には、通常の護衛艦にスキャンーグル無人偵察機を搭載する事で航空母艦となり得る、と見解を示した事例がありますし、1973年にヘリコプター搭載護衛艦はるな、が竣工した際にはヘリコプター三機を搭載するヘリコプター空母、として説明した専門書さえあり、定義は曖昧だ。
ニミッツ級原子力空母や、日本に馴染み深いフォレスタル級空母、原子力空母エンタープライズ、アメリカのス-パーキャリアーを念頭に考えた場合、日本に虚空母艦は必要か、と問われるならば、必要性は薄い、といえるでしょう。必要であっても維持費用と艦載機、一隻だけで5000名の人員とF-35C戦闘機等50機を搭載し、流石に配備は出来ません。
F-35B戦闘機は中国海軍のJ-15戦闘機を圧倒する能力があります、ステルス性と運動性能を両立する飛行制御装置技術を両立させなければステルス機は開発できず、また、実戦におけるミサイルや航空戦闘という各種脅威と作戦遂行能力を統合化したプロジェクトマネジメント能力が無ければ無理、中国はステルス機を開発できてもステルス戦闘機は難しい。
F-35Bは、そして垂直離着陸が可能である為、満載排水量一万トン程度の全通飛行甲板艦船により運用する事が可能ですが、J-15戦闘機はソ連製Su-27戦闘機が原型であり、F-15戦闘機以上の大型機である事から、スキージャンプ台という形状の飛行甲板か、350mの滑走距離が必要です。こうしますと、基本満載排水量四万トン以上の大型艦が必要となる。
佐世保基地のヘリコプター搭載護衛艦いせ艦上にF-35Bの運用能力が加わるならば、勿論それが常時運用されているのではなく、代替滑走路の一つとして運用される場合も含め、中国海軍の航空母艦は無視する事が出来なくなります、油断していますと遠距離からJSM巡航ミサイルにより無力化される可能性があり、示威行動の実施さえ圧砕されかねません。
この視点から、制海艦や戦力投射艦という航空母艦と設計が共通する艦艇の多様化を念頭に考えますと、その必要性は、というよりも戦力投射艦としての要件も制海艦としての要件も、海上自衛隊へ配備されている護衛艦ひゅうが型、護衛艦いずも型は満たしていまして、艦載機として航空戦闘能力を有する機種を配備するか否か、という部分に収斂するでしょう。
ヘリコプター搭載護衛艦、と定義される護衛艦ひゅうが型以降の全通飛行甲板型護衛艦ですが、厳密には回転翼航空機以外の運用能力を有しています、それはアメリカ海兵隊が運用するMV-22可動翼機の発着実績です。MV-22は回転翼航空機ではなく、パワーリフト機という区分、発着スポットが既に甲板に配置されており、格納庫収容も実施しました。
違いは何か、航空母艦とヘリコプター搭載護衛艦の相違点について気になるところです。航空母艦の一例にインヴィンシブル級航空母艦を提示した場合は、相違点が難しくなります、イギリス海軍が対潜巡洋艦として3隻を建造し、2014年まで運用していました、基準排水量は16000t、満載排水量20500tで、ひゅうが型護衛艦よりも一回り大型の母艦だ。
インヴィンシブル級はシーハリアー攻撃機5機、シーキング対潜ヘリコプター12機を標準艦載機とし、長さ152mと幅19mの格納庫に搭載、必要に応じハリアー攻撃機を15機搭載し防空任務へ充てるなど、任務に応じ艦載機の編成を転換していました。元々の設計が対潜巡洋艦であり、海軍戦略の変更に対応して航空母艦となっています、ひゅうが型と似る。
しかし、空母航空団を運用するアメリカ海軍のスーパーキャリアーのような能力は有しておらず、基本的に欧州と北米の船団護衛におけるソ連超音速爆撃機への対策と、攻撃型原潜からの防護が想定されており、イギリス海兵隊の展開を支援するコマンドー空母として、運用が想定されています。要求仕様通りの対潜巡洋艦の転用としては充実した能力ですね。
対潜巡洋艦としては充実した能力ですが、アメリカ海軍のスーパーキャリアーであれば一隻で中小国の空軍力を凌駕する航空戦力を有し、数隻でイラク侵攻等一方面の空軍力を圧倒できる能力がありますが、インヴィンシブル級では十隻集めようとも、代替にはならない。しかし、この一点でポテンシャルを失うものではなく、そもそもの用途が違う訳です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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