■特報:世界の防衛,最新論点
オーストラリア陸軍は人員規模では陸上自衛隊よりも少ないものの装甲車両では遥かに量も質も量がしており、日本も人命が大事ならば最低限この程度は必要だと考えます。
オーストラリア軍はLAND-400PHASE3次期装甲戦闘車としてドイツ製リンクスKF-41の最終審査を開始しました。オーストラリア軍は韓国製K-21装甲戦闘車輸出仕様とリンクスKF-41を比較検討しており、リンクスKF-41はドイツのラインメタル社製、試験車両3両が2020年12月からオーストラリアへ送られ、12カ月間に渡る評価試験を実施中です。
ラインメタル社はリンクスKF-41装甲戦闘車450両を133億米ドルで供給する計画で、AICオーストラリア産業開発会社を筆頭に合弁会社を含め現地生産や現地整備を実施、運用期間は40年と見積もられています。これによりオーストラリア陸軍は兵員3万5000名規模ながらアメリカ製M-1A1AD戦車を併せ卓越した機械化戦力を保有する事となるでしょう。
リンクスKF-41装甲戦闘車はラインメタル社がプライベートベンチャーにより開発しユーロサトリ2018にて発表した際新世代の装甲戦闘車、基本重量34tですが装甲モジュール重装甲型が50tと主力戦車並の防御力を有し、車幅3.6mにエンジン出力も1140hpと主力戦車並、兵員8名と乗員3名を輸送しラインメタル/エリコン35mm機関砲を装備します。
■KF-41豪州での運用基盤
外国製装甲車両であっても現地雇用や現地整備の基盤は確実に構築される時代です。
オーストラリア軍のLAND-400PHASE3リンクスKF-41装甲戦闘車運用基盤について。オーストラリア軍は今回導入する装甲戦闘車を少なくとも2060年代まで運用しますが、この為の運用基盤のオーストラリア国内構築も進められています。これは産業基盤維持を重視するオーストラリア政府の意向に対しラインメタル社が最大限配慮した為でもあります。
ラインメタル社はクイーンズランド州レッドバンクにMILVEHCOEラインメタルミリタリーヴィーグルセンターオブエクセレンスを新設し、可能な限り現地生産を実施するとともに、AICオーストラリア産業開発会社が調整しオーストラリア軍向けLターレット砲塔を製造、電装品や火器管制システムに増加装甲と履帯など協力企業は100社に達します。
リンクスKF-41装甲戦闘車に先んじてオーストラリア軍はラインメタル製ボクサー装輪装甲車を偵察用装甲車として採用し、ラインメタル社は既にMILVEHCOEでの現地生産に参画しています。オーストラリア軍は韓国製K-9自走砲も採用しましたが現地生産は無く、車体性能と同時に、装甲車体系をラインメタル社製とし、効率化が評価された構図です。
■豪州のボクサー装甲偵察車
装甲偵察車として、先行して配備が開始されているボクサー装輪装甲車については練成訓練が進んでいます。
オーストラリア陸軍はボクサー装輪装甲車による集成訓練を実施しました。ボクサー装輪装甲車はオーストラリア軍がLAV-25軽装甲車の豪州仕様ASLAV軽装甲車の後継として採用されたもので、訓練はクイーンズランド州タウンズビルフィールド演習場を中心にASLAVからの転換訓練を受けている陸軍第12軽騎兵連隊第2大隊が実施しています。
ボクサー装輪装甲車はドイツのラインメタル社がオランダのPWV社と共同開発したモジュール式装輪装甲車で、基本車体は25.2t、歩兵用モジュールを装備した場合は33t、720hpのディーゼルエンジンが103km/hを発揮します。ドイツではプーマ装甲戦闘車より地域紛争向きとされ30mm機関砲塔搭載型が開発、オーストラリア仕様にも採用されています。
ASLAV軽装甲車後継として採用されたボクサー装輪装甲車は、オーストラリア軍に257両が配備される計画で、ASLAVよりも遥かに大型化していますが、防御力や不整地突破能力は格段におおきく、また乗員の五感に頼る事が多かったASLAVと比較し、ボクサー装輪装甲車は格段に高度な電子機材とデータリンク能力を有していると現場では評価されました。
■高性能電動自転車の偵察
陸軍が電動自転車を第一線で運用すると聞きましたら皆様はどう思われるでしょうか、電動自転車の発達は凄いようです。
オーストラリア軍は偵察用電動自転車とボクサー装輪装甲車の協同を試験中である。オートバイ斥候と異なり、偵察用電動自転車からは大きな騒音や放熱は無い。偵察用電動自転車はボクサー装輪装甲車に搭載され、隠密偵察が必要と判断された場合には斥候兵が装甲車から下車し、音響ステルス性に優れた偵察用電動自転車により直接目視の偵察を行う。
第24軽騎兵連隊第2大隊が試験を行う。ボクサー装輪装甲車はオーストラリア軍がLAV-25軽装甲車の豪州仕様ASLAV軽装甲車の後継として導入を開始しているが、車体は高い防御力と機動力とともに遥かに大型となっている。この為に偵察用電動自転車が採用された構図だ。斥候兵はボディーアーマーと小銃など限られた装備を携行し身軽に任務に当る。
電動モペット、電動自転車とは言うものの最高速度90km/hと航続距離100kmという比較的高い性能を発揮している、これは日本の道路交通法でいう電動モペットに当り、動力補助の電動モーターではない、ペダルを有しているがバッテリー消耗時の補助動力として用いるペダルを有する電動バイクと云うべき装備だ。評価試験は2021年内いっぱい行われる。
■リンクスCVS,豪州独自開発
運用基盤と共に現地生産に取り組むリンクスはオーストラリアで独自発展を開始するようです。
オーストラリアのラインメタルディフェンスオーストラリア社はリンクスCVS戦闘支援車を開発しました。オーストラリアは老朽化したM-113装甲車後継にLAND-400PHASE3次期装甲戦闘車としてドイツ製リンクスKF-41を採用しましたが、リンクス装甲戦闘車の派生型が開発国ドイツラインメタル社でなくオーストラリアで開発されたこととなります。
リンクスCVS戦闘支援車は5tクレーンと排土板及び遠隔操作銃搭RWSを搭載しており、戦闘工兵任務に装甲回収車や最前線補給と野外整備等に当るもの。ラインメタルディフェンスオーストラリア社は450名を直接雇用しており、下請け企業を含め、日産自動車など外国自動車メーカーすべてが撤退したオーストラリアでは重要な製造業となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
オーストラリア陸軍は人員規模では陸上自衛隊よりも少ないものの装甲車両では遥かに量も質も量がしており、日本も人命が大事ならば最低限この程度は必要だと考えます。
オーストラリア軍はLAND-400PHASE3次期装甲戦闘車としてドイツ製リンクスKF-41の最終審査を開始しました。オーストラリア軍は韓国製K-21装甲戦闘車輸出仕様とリンクスKF-41を比較検討しており、リンクスKF-41はドイツのラインメタル社製、試験車両3両が2020年12月からオーストラリアへ送られ、12カ月間に渡る評価試験を実施中です。
ラインメタル社はリンクスKF-41装甲戦闘車450両を133億米ドルで供給する計画で、AICオーストラリア産業開発会社を筆頭に合弁会社を含め現地生産や現地整備を実施、運用期間は40年と見積もられています。これによりオーストラリア陸軍は兵員3万5000名規模ながらアメリカ製M-1A1AD戦車を併せ卓越した機械化戦力を保有する事となるでしょう。
リンクスKF-41装甲戦闘車はラインメタル社がプライベートベンチャーにより開発しユーロサトリ2018にて発表した際新世代の装甲戦闘車、基本重量34tですが装甲モジュール重装甲型が50tと主力戦車並の防御力を有し、車幅3.6mにエンジン出力も1140hpと主力戦車並、兵員8名と乗員3名を輸送しラインメタル/エリコン35mm機関砲を装備します。
■KF-41豪州での運用基盤
外国製装甲車両であっても現地雇用や現地整備の基盤は確実に構築される時代です。
オーストラリア軍のLAND-400PHASE3リンクスKF-41装甲戦闘車運用基盤について。オーストラリア軍は今回導入する装甲戦闘車を少なくとも2060年代まで運用しますが、この為の運用基盤のオーストラリア国内構築も進められています。これは産業基盤維持を重視するオーストラリア政府の意向に対しラインメタル社が最大限配慮した為でもあります。
ラインメタル社はクイーンズランド州レッドバンクにMILVEHCOEラインメタルミリタリーヴィーグルセンターオブエクセレンスを新設し、可能な限り現地生産を実施するとともに、AICオーストラリア産業開発会社が調整しオーストラリア軍向けLターレット砲塔を製造、電装品や火器管制システムに増加装甲と履帯など協力企業は100社に達します。
リンクスKF-41装甲戦闘車に先んじてオーストラリア軍はラインメタル製ボクサー装輪装甲車を偵察用装甲車として採用し、ラインメタル社は既にMILVEHCOEでの現地生産に参画しています。オーストラリア軍は韓国製K-9自走砲も採用しましたが現地生産は無く、車体性能と同時に、装甲車体系をラインメタル社製とし、効率化が評価された構図です。
■豪州のボクサー装甲偵察車
装甲偵察車として、先行して配備が開始されているボクサー装輪装甲車については練成訓練が進んでいます。
オーストラリア陸軍はボクサー装輪装甲車による集成訓練を実施しました。ボクサー装輪装甲車はオーストラリア軍がLAV-25軽装甲車の豪州仕様ASLAV軽装甲車の後継として採用されたもので、訓練はクイーンズランド州タウンズビルフィールド演習場を中心にASLAVからの転換訓練を受けている陸軍第12軽騎兵連隊第2大隊が実施しています。
ボクサー装輪装甲車はドイツのラインメタル社がオランダのPWV社と共同開発したモジュール式装輪装甲車で、基本車体は25.2t、歩兵用モジュールを装備した場合は33t、720hpのディーゼルエンジンが103km/hを発揮します。ドイツではプーマ装甲戦闘車より地域紛争向きとされ30mm機関砲塔搭載型が開発、オーストラリア仕様にも採用されています。
ASLAV軽装甲車後継として採用されたボクサー装輪装甲車は、オーストラリア軍に257両が配備される計画で、ASLAVよりも遥かに大型化していますが、防御力や不整地突破能力は格段におおきく、また乗員の五感に頼る事が多かったASLAVと比較し、ボクサー装輪装甲車は格段に高度な電子機材とデータリンク能力を有していると現場では評価されました。
■高性能電動自転車の偵察
陸軍が電動自転車を第一線で運用すると聞きましたら皆様はどう思われるでしょうか、電動自転車の発達は凄いようです。
オーストラリア軍は偵察用電動自転車とボクサー装輪装甲車の協同を試験中である。オートバイ斥候と異なり、偵察用電動自転車からは大きな騒音や放熱は無い。偵察用電動自転車はボクサー装輪装甲車に搭載され、隠密偵察が必要と判断された場合には斥候兵が装甲車から下車し、音響ステルス性に優れた偵察用電動自転車により直接目視の偵察を行う。
第24軽騎兵連隊第2大隊が試験を行う。ボクサー装輪装甲車はオーストラリア軍がLAV-25軽装甲車の豪州仕様ASLAV軽装甲車の後継として導入を開始しているが、車体は高い防御力と機動力とともに遥かに大型となっている。この為に偵察用電動自転車が採用された構図だ。斥候兵はボディーアーマーと小銃など限られた装備を携行し身軽に任務に当る。
電動モペット、電動自転車とは言うものの最高速度90km/hと航続距離100kmという比較的高い性能を発揮している、これは日本の道路交通法でいう電動モペットに当り、動力補助の電動モーターではない、ペダルを有しているがバッテリー消耗時の補助動力として用いるペダルを有する電動バイクと云うべき装備だ。評価試験は2021年内いっぱい行われる。
■リンクスCVS,豪州独自開発
運用基盤と共に現地生産に取り組むリンクスはオーストラリアで独自発展を開始するようです。
オーストラリアのラインメタルディフェンスオーストラリア社はリンクスCVS戦闘支援車を開発しました。オーストラリアは老朽化したM-113装甲車後継にLAND-400PHASE3次期装甲戦闘車としてドイツ製リンクスKF-41を採用しましたが、リンクス装甲戦闘車の派生型が開発国ドイツラインメタル社でなくオーストラリアで開発されたこととなります。
リンクスCVS戦闘支援車は5tクレーンと排土板及び遠隔操作銃搭RWSを搭載しており、戦闘工兵任務に装甲回収車や最前線補給と野外整備等に当るもの。ラインメタルディフェンスオーストラリア社は450名を直接雇用しており、下請け企業を含め、日産自動車など外国自動車メーカーすべてが撤退したオーストラリアでは重要な製造業となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)