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ウクライナ情勢-ロシア軍対砲兵戦の遅さという弱点と使い始めたスターリンク衛星のトレツク大規模市街戦への影響

2024-10-23 07:00:33 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 特科部隊の迅速な陣地変換や市街地を想定した近接戦闘訓練など自衛隊の訓練体系が無駄ではなかったという事が皮肉にもウクライナの戦況で判明している。

 ロシア軍は対砲兵戦の遅さが問題である、これはISWアメリカ戦争研究所が10月12日付ウクライナ戦況報告において、ロシアのミルブロガー発言を引用したものです。ウクライナ軍の砲兵陣地を確認した場合でも、対砲兵戦闘としてこの砲兵陣地へ砲撃を加えるのに二週間から四週間かかり、そのうちにウクライナ軍は陣地変換しているという。

 対砲兵戦は、陸上自衛隊の場合で陣地侵入から射撃まで数分、効力射を加えるのに数十秒、その後陣地変換を行い、要するに火砲は砲撃を加えれば音響やレーダーにより位置が暴露することから動かない状況でいることが最も危険であるとして、頻繁な陣地変換を継続することが生存するための唯一の方法であると考えられています。

 ロシア軍は対砲兵戦にランセット、自爆用無人機を多用していますが、これは同時に砲兵による対砲兵戦が時間的に成り立たないことの裏返しでもある。自爆用無人機は対砲兵戦いがいにあらゆる任務に必要であるため、ここで大きく損耗することの問題点を軍事ブロガーが指摘しています。なおここでいうブロガーとは従軍記者をしめしている。■

 トレツクでは大規模な市街戦が進行中である、ISWアメリカ戦争研究所10月12日付ウクライナ戦況報告によれば、ロシア軍はクピャンスク南東のステポヴァノヴォセリヴカ南東とザポリージャ州西部のロボティね北西近郊において漸進していますが、目下の最大の焦点はトレツクとなっていると分析しています。

 トレツクでの戦闘についてウクライナ軍のルハンスク作戦集団報道官ポポフ大佐の発表によればロシア軍は現在トレツク東部を占領しているとしています。この情報についてISWは入手可能な画像情報などからロシア軍は市街地の少なくとも38%を占領していると分析していますが、市内の戦線はかなり流動的となっているとも指摘している。

 スターリンク衛星による通信をロシア軍も利用している、ISWはワシントンポスト紙で報じられたウクライナ軍指揮官の発言を紹介しており、これによりロシア軍は砲兵射撃の精度を向上させ、また指揮系統を通信hにより維持することに成功していると発言しています。トレツクでの前進にもこの通信環境が影響していると分析しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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