北大路機関

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三菱機動装甲車-東京九州フェリーターミナルにて目撃情報,次期装甲車選定のパトリアAMVへの優位性を考える

2022-10-05 07:00:40 | 日記
■話題の自衛隊新型装甲車
 三菱機動装甲車、見てみたいもので幸運というのはどのあたりで決まるのだろうと呟いたらば隣の芝は青いと言われてしまいました。

 三菱重工が開発中の“機動装甲車”が東京九州フェリーのターミナルにて目撃され写真を撮影した方のSNS投稿が話題となっている、昨日こちらのコメントなどでお教えいただきました。撮影された写真は検索しますとすぐ見つかりましたが、三菱重工の16式機動戦闘車車体を応用した派生型、APC型と機関砲塔を備えたFV型が夜景に映えていました。

 機動装甲車は、96式装輪装甲車の後継として開発され、フィンランド製パトリアAMV装甲車と共に競合している車輛です。96式装輪装甲車については、兎に角安価という利点がありますので、御本家フィンランドがAMV装甲車とともに安価なパシ装甲車を並行調達している通り、耐爆車両や汎用装甲車としてハイローミックスすべきと考えているのですが。

 完成度が高い、こういうのが率直な印象です。実はDSEI-JAPAN2019においてこの機動装甲車の原型車が三菱重工により展示されていたのですが、16式機動戦闘車の車体をそのまま転用しただけの安普請な車両にみえまして、何か不採用となった60式装甲車原型で不採用となった小松製作所の56式装甲車Ⅰ型のような無理矢理の形状という印象でしたが。

 東京九州フェリーのターミナルにて撮影された車体を見る限り完成度は高く、三菱重工はありあわせの車体でパトリアAMVに挑むというものではなく、真剣に装甲車として開発している事が読み取れました。パトリアAMVはアフガニスタンで実証された非常に高い防御力の実績と稼働率、IEDと重機関銃とRPGの同時攻撃に耐えた実績が利点といえます。

 16式機動戦闘車の改良型を将来開発する可能性を残すならば機動装甲車、防御力と共に水陸両用性能などを評価するならばパトリアAMV,というのが率直な印象でしょうか。パトリアAMVの利点をもう一つ加えると浮行性能があり、例えば津波被災地の長期浸水地域などはそのまま踏破できるのですね、水害で水没した街路を踏破する事もできるでしょう。

 将来改良する余地はあるのか、こう前述しましたのは、16式機動戦闘車も遠からず120mm砲の搭載を迫られる時代が来るためです。この種の装備の鏑矢は、まあフランスのAMX-10RCや南アフリカのロイメックなどはありますが、装輪戦車と讃えられたのがイタリアのチェンタウロです、これは装甲偵察車ではなく第二世代戦車の後継という位置づけ。

 チェンタウロは105mm砲を搭載していましたが、その車体を応用しフレシア装輪装甲戦闘車が開発、この際に車幅を拡張した為、このフレシアを逆に機動砲に再転用したのがチェンタウロ2なのですが、主砲は105mmから120mm砲となりました。当初はユーロサトリ国際装備展に出された程度でしたが、2021年にイタリア軍がその採用を決定しました。

 APFSDS弾よりも現在世界ではHEAT-MP弾の開発が主流です、これは戦車以外の標的を想定したものなのですが、戦車に対しても威力は大きく、MP弾の特性として初速による威力減衰が限定的です。すると低圧砲でも意味があるのですね、国産装備の将来発展性を考えるならば120mm砲型機動戦闘車を見込み、まず装甲車を国産とする選択肢も、あるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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Unknown (軍事オタク)
2022-10-05 16:34:09
何故ほぼ同じコンセプトの車体を2社で分けて2機種装備する可能性があるのですかね?
そんな国はほかに無いのでは?
返信する
フィンランド (はるな)
2022-10-06 08:33:00
軍事オタク さま おはようございます

同じと言われましても相互互換性はなく、フィンランドのパシとAMVのような区分けを構成していると考えます

アメリカのMRAP調達やフランスのサーバルとPVP同時調達、ストライカードラグーンとスーパーAV,重なるといえば重なるが用途が違うものの別々同時調達は、調べてみると案外見つかります
返信する

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