◆国会答弁中突如行方不明のステルス大臣では困る
毎回お世話になっている方からお教えいただきまして、田中防衛大臣と自民党の佐藤代議士との参院予算委員会での質疑にて大臣の資質を疑う発言が多々あることを知りました。
そもそも事の発端は31日の国会答弁で南スーダンPKOについての答弁で言い間違いと事実誤認を続けた上に審議中に田中大臣が無断退席し答弁が停滞、自民党の脇山陰国会対策委員長に、閣僚が突然行方不明になるなど前代未聞、と批判されたところで、そんなことがあったのか、と驚き情報を集めました次第、突如行方不明になるステルス防衛大臣などナンセンスですからね。
1月24日から31日にかけての参院予算委員会に自民党から佐藤正久代議士が田中防衛大臣との質疑が行われたのですが、佐藤代議士の在沖米軍抜きに在日米軍全体の抑止力維持はあり得るのか、との質問に対して田中大臣は沖縄の自衛隊と米軍だけでは不十分、との答弁を出しました。
質問は在沖米軍抜きに在日米軍全体の抑止力についての質問ですから、沖縄の米軍と自衛隊、という回答は意味不明ですし、韓国軍は有事の際に在韓米軍の指揮下に入るのですが自衛隊は在日米軍の指揮下にあるわけではないので自衛隊と在日米軍の主力が沖縄に展開しているならば、この答弁に意味はあるのですが、問題は在沖米軍の抑止力であり、自衛隊についての言及など焦点がずれた答弁となっています。これで大丈夫なのでしょうか。
しかし、次の質疑にて日本語の理解力に問題があるのではないか、というものが出てしまいました。続いて佐藤代議士の沖縄普天間基地移設先の名護市環境評価書について、信書であるのだから宅配便にて送ることは郵便法違反ではないのか、という質疑に対して田中防衛大臣は、沖縄で混乱が起きないように信書を宅配便で送りました、と答弁です。
信書は宅配便に同封することはできません、佐藤代議士は此処を違法なのではないか、としているのですが。信書、郵政事業民営化に際して総務大臣から特定信書郵便事業免許が一部民間会社に対しても出されているのですが、宅配便での信書は配達が法律上できないのですまた、ヤマト運輸宅急便約款にも信書は引取り拒絶できるとされています。ここが論点なのですよね。
この問題について、沖縄での混乱を防ぐために親書で宅配便で送った、というのは、そもそも信書を宅配便で送ったのは違法ではないか、という質問に完全に違った答弁となっており、会話が成立していないことになります。当然ですが、予算委員長からも質問に答えるよう注意を受けていました。
2月1日、衆議院予算委員会に置いても同様の事例があります。小池百合子自民党代議士の質疑、近代化を進める中国軍へ対処するための米軍新戦略ジョイントエアシーバトル構想について防衛大臣は理解しているのか、という質問に対して、田中防衛大臣は我が国としても動的防衛力を強化してゆく、と答弁したわけです。
ううむ、防衛省は米軍を動かしているわけでもないですし、米軍がどのように近代化しようとしているのかを理解しているかを問うているのに、自衛隊も動的防衛力を強化してゆく、という答弁は、完全に意味を為していません。このほかについては存じません、の連続、なにか語学力に壁のある学生同士の国際会議みたいですね。事務方が防衛大臣へメモを渡そうとしたところ小池代議士からメモを渡さないで応えてほしい、と発言、この結果が以上の通り。
小池代議士は第二代防衛大臣を務めていますし、安倍内閣時代は国家安全保障問題担当首相補佐官、二年間に渡り沖縄北方担当大臣も歴任しています。その小池代議士は、中国の膨張へ日米での対処について防衛大臣へ質疑し、存じません、と言われるようでは何を聞けばいいのか、と批判しています。
これまで認識の相違や事実関係の誤認という意味での失言は多く聞くのですけれども、しかし基本的な理解力を欠いている状態での質疑応答、となりますと、もちろん前代未聞で防衛大臣として不適格、としたいのですが、国会答弁は記録され永続的に残るものですから、逆に恥ずかしくはないのか、と心配さえも交えて思えてきてもしまいます。現時点でこれでは遠からず問責決議や更迭の可能性も。
列挙すればほかにも事例はあるのですけれども、一川大臣の時点で首相から軽視されているという位置づけになっている防衛大臣の職、しかも適正以前の問題という現状を考えるならば失言から、例えば機密漏えいにあたるような不祥事、奇しくも連れ添っておられる田中真紀子代議士が外務大臣時代に9.11米本土同時多発テロに際して米国務省機能の緊急移転先をパニックに陥り口走ってしまった事例があるのですが、痛手とならないように身を引くべきでは、と考える次第です。
北大路機関:はるな
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