北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

いせ明日神戸入港 最新ヘリコプター護衛艦の神戸港初入港

2012-02-09 19:08:15 | 海上自衛隊 催事

◆明日から来週月曜まで神戸寄港

 阪神基地HPによれば、明日、最新鋭護衛艦いせ、護衛艦さざなみ、とともに神戸港へ入港するとのことです。

Img_9020 呉に停泊する護衛艦いせ。満載排水量19000t、ヘリコプターの集中運用を行う上で最適な全通飛行甲板方式を採用した海上自衛隊最大の護衛艦として一番艦ひゅうが、とともに海上防衛の象徴的な一隻となっている護衛艦で、昨年3月に自衛艦旗授与式を経て就役、呉基地の第4護衛隊群第4護衛隊に所属しています。

Img_4033 いせ就役は2011年3月16日、歴史へ残る東日本大震災直後、福島第一原発が炉心溶解を続ける中にて横浜で就役、こちらは横須賀初入港の様子ですが、そのとなりでは炉心冷却資材の輸送として原子力災害派遣へ向かう艦艇が出港作業中、あの状況下で新護衛艦就役は生存者救出を除けば久々に祝うことのできるニュースでした。

Img_1606 昨年の大阪湾展示訓練では大阪港へ寄港、神戸港への寄港は今回が初めてとなります。ポートターミナルへ接岸しますので、三宮からポートライナーで一本。土曜日と日曜日には一般公開が行われ、神戸港接岸の向きによっては夜景撮影も行うことが出来るでしょう。

北大路機関:はるな

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対領空侵犯措置!本日ロシア機戦爆連合による三方向からの領空接近事案が発生

2012-02-08 23:09:48 | 防衛・安全保障

◆A-50警戒管制機・Tu-95爆撃機・Su-24戦闘爆撃機

 防衛省によれば本日2月8日、ロシア機による三方向からの我が国領空への接近事案があったとのことです。

Img_1333 航空自衛隊が戦闘機などを緊急発進させ対応したため、領空侵犯へは至りませんでしたが、その機種は多岐に及ぶものでした。A-50早期警戒管制機、Tu-95爆撃機、そしてSu-24戦闘爆撃機、文字通り戦爆連合による領空への接近であり、三方向から実施、かなり異例の事案と言えるやもしれません。

Img_1196 三方向、A-50早期警戒機は沿海州から一路隠岐島方面へ南下し日本海を周回飛行。Tu-95爆撃機は二機編隊がA-50に近接し竹島鬱陵島間を対馬方面へ飛行、続いて変針し隠岐島沖から順次日本海を能登半島秋田沖から北海道沖に展開、宗谷海峡上空を経てから北方領土上空を飛行し太平洋上へ進出、そのまま東北沖を東京へ向かう東京急行として飛行し伊豆大島東方海域で変針し宗谷海峡から日本海側へ戻る航路をとりました。

Img_1159 Su-24戦闘爆撃機は二機が東北方面へ各一方向から接近、最初の機体は沿海州方面から一路能登半島へ接近し能登半島沖にて針路を北へ転換して奥尻島沖から沿海州へ戻る針路をとり、続いての接近では沿海州から北海道奥尻島方面へ飛行し積丹半島沖から稚内沖へ日本海を北上して沿海州へ戻る航路をとり、基地へ戻ったよう。

Img_3230 Su-24は戦闘爆撃機ですが戦闘行動半径に東日本がほぼ入る航空機で、Tu-95は長距離爆撃機、A-50早期警戒管制機はこの方面で運用される事例が稀有な機体。防衛省は戦闘機などを発進させ、という発表ですから、E-767早期警戒管制機やE-2C早期警戒機の発進も行われたのでしょうか。文字通り三方向からの接近であり、防空識別圏へ管区を受け持つ小松基地、三沢基地、千歳基地、百里基地より戦闘機が緊急発進し対処したこととおもわれます。

Img_7184 中国の脅威が強調される今日ではありますが、南西諸島西方海域に限られる中国軍機に対してロシア機は日本周回を飛行する広い行動半径で領空への接近があり、広大な日本の領空は今日なお多方面からの領空への戦爆連合による接近という状況下にあることを物語っている顕著な事例といえましょう。

北大路機関:はるな

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普天間移設後の運用展望 在日米軍基地板付・厚木・座間・立川・三沢返還後の実例

2012-02-07 22:38:23 | 国際・政治

◆国際情勢変化に備えた返還後利用の重要性

普天間飛行場返還後の運用ですが、規模を縮小し自衛隊と国土交通省の共用飛行場とする方式が最も妥当だと考えます。

Img_1943本日新聞各紙の朝刊に在沖米軍機能の岩国移転案が出されました。実のところ、日本側が提示した嘉手納以南米軍施設弁全面返還要求について普天間飛行場移設先建設と併せて行う日米合意に対して、日本側は普天間問題に関係なく先行返還を、即ち日本側は合意を履行しないがアメリカ側へは履行を求めるという手前勝手な提示もありましたので、微調整は致し方ない、と考えていたのですが岩国へは厚木から第五空母航空団が移駐予定、移駐は司令部機能のみとのことでしたが、収容できるのか、と素朴な疑問も。他方、海兵隊の一部フィリピン駐留案が出まして、実のところ海兵隊海外移転先で唯一、台湾海峡有事への対処を考えた場合フィリピン北部だろう、と過去に記載していたものですから、この国名は驚きました。こちらは詳細を調べ、再度記事としましょう。
Img_1565さて上記の通り在沖米軍機能の一部岩国移転という話が出ていますが、本日は普天間の話題。日米交渉において普天間という飛行場設備を完全に失う可能性を示唆しての代替基地建設という問題が交渉の難航と固定化を指向してしまうわけでして、普天間飛行場は自衛隊による南西諸島防衛用設備として、また国土交通省を中心に海上保安庁の航空機を受け入れ、また那覇空港滑走路における緊急事態に際しては受け入れ飛行場としての機能を有する、この方式が一つの落としどころになるのではないでしょうか。
Img_13711971年6月25日の日米合同委員会、参考となりえる事例として、この40年ほど前の決定が普天間問題の解決策を示唆する重要な先例となりえます。日米合同委員会では、板付基地、厚木基地、キャンプ座間、立川基地、三沢基地の全部もしくは一部返還が決定されました。主として横田基地へ米軍基地機能の集約が意図されたのですが、三沢基地や厚木基地などは米軍からの返還後、最終的に全ての米軍部隊の撤収も視野には含まれており、他方国際情勢の緊迫化に際しては再度再検討する、という視野に基づくものでした。こちらの方が完全廃止よりもリスクが薄い。
Img_2757日本政府は、この問題について交渉を円滑に進展させるべく提示した方策は当時の防衛庁と運輸省へ移管する、というものです。三沢基地は米軍部隊に対して航空自衛隊が北部航空方面司令部を展開させていましたが、米軍部隊の撤収から軍事的空白を回避するべく暫定的に百里基地よりF-104一個飛行隊を展開、続いて約半年後に航空自衛隊八戸基地より第81航空隊を移転させ三沢基地維持の方針を提示、小牧基地の第3航空団を展開させ基地機能を維持させ、新冷戦に伴う米ソ関係激化に際しては米空軍F-16飛行隊を受け入れる基盤を残していました。
Img_7788厚木基地、米海軍部隊が撤収したのちに海上自衛隊は航空集団司令部を下総航空基地より厚木へ移転、海上自衛隊航空集団の拠点としての厚木航空基地となり下総航空基地よりS-2F対潜哨戒機を運用する第14飛行隊が移転しました。米海軍部隊の撤収はヴェトナム戦争における米軍北東アジア戦略の転換が背景となり決定したものですが、1973年には再度見直され、空母ミッドウェーの横須賀前方展開が決定、その空母艦載機の受け入れ基地として厚木航空基地が再度注目されることとなり、海上自衛隊が重油王な吉として運用していたからこその基地機能維持が情勢変化を見越した返還に対応できたことを物語るものと言えましょう。
Img_2807立川基地については、横田基地への集約によって返還が実現しました。この立川基地は砂川事件として在日米軍の合憲性が争われた事例が思いこそされるでしょうが、首都圏における米軍基地反対闘争の焦点というような位置づけにありました。この返還が実現したのも、宇都宮駐屯地より第1師団第1飛行隊、東部方面航空隊のヘリコプター部隊が移駐し、続いて東部方面航空隊司令部機能が移駐したことで駐屯地として飛行場機能は維持されました。立川基地は完全返還され横田基地へ集約は実現したのですが、現在は政府の立川広域防災基地がおかれ、首都直下型地震などのような官庁街や都庁を含めた首都機能が完全に麻痺した状態においては政府機能が暫定的に移る、非常に重要な機能を有しています。集約と共に機能を残す、という返還前の計画がかなり意味を持っていたところ。
Img_3683板付基地は、現在の福岡空港です。運輸省に完全移管され第二種空港となっていますが、この1971年の米軍基地としての返還が背景にあります。こちらも福岡空港として運用されていますが、有事の際には米軍が運用する、という朝鮮半島有事をにらんだ施設として維持されているわけです。普天間ですが、那覇空港と交代するかたちで、板付が実施したような方式は採れないでしょうけれども、基地機能を維持する、という前提により移設を促すという方式は普天間問題についても両立できるでしょう方式と言えないでしょうか。
Img_1426普天間の代替飛行場を必要とするのは移設が迫られているからです。海外に移設しないのは台湾海峡や朝鮮半島を睨むうえで必要であるからです。基地反対派は、まさか抑止力低下を誘致しているわけではないでしょう、何故ならば抑止力が低下すれば最終的に地域が不安定化し、沖縄周辺での武力紛争の可能性が高まるからです。下手をすれば第二次沖縄戦、ということにもなりかねません。特に中国との関係が今後良好化し永続的に推移する、といういわばソ連崩壊のような劇的な転換が予測できない以上、普天間の重要性は大きくは変化しないでしょう。
Img_2498また、移設を促すとしても海上空港方式を採る名護市の新飛行場には不安要素が残り、ここがさらに建設が難航しているからこそ、移設そのものを見直して普天間固定化、という選択肢が有力となってしまう実情があり、それならば、普天間移設後の普天間飛行場の維持方針を提示することが、固定化を防ぐ選択肢となるやもしれません。米軍基地反対、夜間飛行反対、この二点については少なくとも平時においては自衛隊施設や国土交通省飛行場として使用される限り担保されます。学校授業への支障は行事日や試験事案に配慮することが防衛省施設であれば可能になります。宜野湾市はリゾート開発などを構想しているようですが、現実的な普天間基地の再利用方式を今後考えることも必要なのではないでしょうか。

北大路機関:はるな

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二方面作戦の陸上自衛隊国際任務 ハイチ派遣部隊長期化と南スーダン派遣緊迫化

2012-02-06 22:43:57 | 防衛・安全保障

◆南スーダン情勢悪化でロシア軍撤退方針

防衛省によればハイチ派遣国際救援隊の指揮官に新しく第25普通科連隊長の野村悟1佐が就くとのことです。
Img_9756国際連合ハイチ安定化ミッション:MINUSTAH、自衛隊の参加は当初2010年11月30日まで、という計画の上で部隊派遣が行われましたが、2010年11月に期間を2012年1月31日まで延長することが閣議決定されました。このため、もう間もなく帰国行事が行われるのだ、と思っていたところ、今年1月20日に新しい閣議決定が為され、2013年1月31日までの派遣期間延長が決まりました。
Img_4627自衛隊ハイチ派遣は人員規模で350名ではありますが、本部管理中隊150名、派遣隊本部30名、施設器材中隊90名、施設中隊80名。交代要員の訓練や待機を考えたならば、実質一個普通科連隊に匹敵する人員が必要な任務であり、何故ハイチ安定化がここまで長期間に及んでいるのか、見通しの甘さはもう少し事後検証されるべきではないでしょうか。
Img_4555南スーダン派遣、国連南スーダン共和国ミッション:UNMISSへ自衛隊の派遣が開始されました。南スーダン派遣へは施設大隊330名、支援調整所要員40名、加えて海上自衛隊から支援へ輸送艦一隻と人員170名、航空自衛隊より補給へ輸送機部隊が派遣され170名、こちらの派遣規模もかなりの規模と言え、南スーダン派遣とハイチ派遣、人員規模もさることながら補給支援の負担が過去の派遣任務と比較し大きいといえるでしょう。
Img_4557他方で、ハイチPKOとともに実施される南スーダンPKOは安全面の問題がかなり深刻です。南スーダンUNMISSへは、現在ロシア軍が輸送ヘリコプター8機と兵員120名を派遣し空輸支援任務を行っていますが昨年11月にヘリ部隊が攻撃を受け、この攻撃は南スーダン治安部隊からのものであったため、再発防止措置が徹底されない限りロシア軍は撤退する、と公言していました。
Img_0313そして1月17日にロシアのガディエフ外務次官はヘリコプター部隊の撤退を決定、ロシア軍であっても安全確保が難しく撤退せざるを得ないという実情が浮き彫りになっています。派遣されている8機のヘリコプターはMi-8/Mi-17で、自衛隊のCH-47よりも一回り小さいですが乗員24名と機外吊下能力4t、特筆すべきは57mmロケット弾発射機を搭載し戦闘輸送任務にも対応する生産数10000以上の傑作多目的ヘリコプターです。
Img_0885実は国連は南スーダンへ自衛隊のCH-47輸送ヘリコプターの派遣を何度も要請してきています。防衛省が派遣に反対している理由は、ヘリコプターをアフリカへ展開させ、整備基盤を構築すると共に運用基盤を維持する、という任務は専守防衛を念頭に海外派遣を基本的に考えなかった自衛隊では不可能であるとの判断からでしたが、今回のロシア撤退決定を機に、更に強い要請が行われるのでしょうか。
Img_8285こうしたなか、実はスーダン派遣は非常な軽武装で行われる、ということが発表されています。スーダンでは昨年末から部族衝突が繰り返し発生しており、既に十万以上の国内難民が発生、更に国境を接するスーダンでも食糧危機が進行中であり、難民の発生が新しい国境地域の緊張要素になっています。
Img_6746この問題については国連は速やかな支援策が行われなければ20万以上の飢餓難民が発生するとして警告しています。治安の回復と難民支援が望まれるところですが、その能力が無いから日本がわざわざアフリカまで行くのでして、しかも独立間もない南スーダンでは神の抵抗軍をはじめ武装勢力が多数潜伏しており、極めつけは南スーダン軍の訓練が不十分で国連部隊であっても攻撃を仕掛けてくる事例があり、このあたりも不安要素として大きいですね。
Img_6789_2南スーダンUNMISS派遣部隊、9mm拳銃84、89式小銃297、MINIMI分隊機銃5、軽装甲機動車若干と車両計160両。ハイチ安定化ミッションMINUSTAH派遣部隊、9mm拳銃54、89式小銃305、MINIMI分隊機銃7、軽装甲機動車20を含む車両150、こういった定数が出されていました。
Img_4534もちろん、軽装甲機動車を除けば装甲車両は皆無で、南スーダン派遣部隊がどの程度軽武装であるのかを示す数ですが、住民暴動程度の脅威であるハイチ派遣部隊よりも武装勢力が存在し隣国が有力な機甲部隊にて圧力をかけてくるスーダン派遣の方が、若干火力が小さくなっている、というところをご覧ください。
Img_4424防衛省では南スーダン派遣部隊の警護はルワンダ軍が実施するとして安全性を強調しましたが、ルワンダ軍は自衛隊がPKOに展開し難民支援を行ったところ、続いてカンボジア軍が担当するという話になり、しかしカンボジアは日本がPKOで建国支援したところではないか、と不安になっていたところ。
Img_5285現在は田中防衛大臣の答弁によればバングラディシュ軍が担当するとのこと。ううむ、装甲化された一個普通科中隊や戦車小隊を派遣したほうがもう少しいいのでは、とも。同時に、発表が二転三転する、ということは緊急時の自衛隊警護について明確に決まっていないのではないか、という不安に帰結します。
File0845更に不安なのは、緊急時以外の警護部隊は決定していても暫時変更され、実際の緊急事態に際しては自衛隊の警護部隊が居なくなってしまうのではないか、という状況、特にロシア軍の撤退などとともに俯瞰するとこうした危惧は捨てきれず、しれならば自衛隊から戦車を派遣するか、むしろ陸上部隊派遣の見合わせと自衛隊機に加えチャーター機による物資空輸支援を行った方が、とも。
Img_7982しかし、最大の不安は現状の厳しい現状を政策決定者である首相が正しく認識しているのか、防衛大臣が緊急時に転じた場合の必要な措置を取れるのか、ということでもあり、こちらの方は現場が免職覚悟の政治判断を行わなければならないような状況にならないことを切に祈る次第としかいえません。
Img_0437ここまでの二方面国際任務、しかもアフリカと中米という遠隔地での任務が拡大し、今後も継続するならば、輸送艦と輸送機による支援体制の拡充、輸送艦8隻程度と輸送機についても大きく拡張する必要がありますし、緊急時に派遣部隊が最悪の状況に陥らないように、と考えますと、やはりAH-64D戦闘ヘリコプターを当初計画の60機程度、中央即応集団所要と教育所要を含め72機程度調達してもいいのでは、とも考えてしまうところです。
Img_0805ともあれ、自衛官の生命がかかっている問題です。海外派遣の広域化を行うならば部隊編制と人員充足率とともに展開能力を見直し、危険な地域への派遣を行うならば装備密度と近代化の前進と共に武器使用、特に火力行使の面での見直しを行うことは急務である、と考えますがどうでしょうか。

北大路機関:はるな

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自衛艦の収容能力 津波火山噴火等大規模災害・在外邦人救出任務への備え

2012-02-05 20:32:56 | 防災・災害派遣

◆はるな型・しらね型収容力は800名

1982年、30年前の話ですが防衛庁海上自衛隊は有事や災害における場合と広報人任務における海上自衛隊艦艇への便乗者数を発表しています。

Img_2910 あと護衛艦が10隻あればあの災害でどれだけ救えた、もしくは次の地震でどれだけを救えるか、数字としては防災を考える必要上関心を持たなくてはなりません。即ち、護衛艦に定員以上どれだけ乗艦できるのか、この数値は例えば大規模災害において災害救助法に依拠した地域避難命令が発せられた場合や海外での武力紛争に際しての邦人救出任務等が挙げられます。

Img_9945 人数だけですが、定員以上の便乗は基本として避けるべき、としつつ広報行事などでは一定の手回り品と共に乗艦しますので、災害時の避難での手回り品も含めて考えることが出来るでしょう。特に展示訓練や観艦式などでは実際に行動し、空包発射や航空機発進などを行いますので、この数字はこの人数分だけ、大規模災害時にどれだけの国民を安全に保護できるのか、という問いに答えることとなるでしょう。

Img_2724 はるな型しらね型800名、いしかり250名、いすず300名、あやなみ、むらさめ、ちくご型350名、やまぐも、みねぐも型400名、あきづき、はつゆき型450名、あまつかぜ、たかつき型600名、たちかぜ型700名。・・・、はるな型、もう除籍されています、殆ど除籍されている護衛艦か先代の型ばかりですが、しらね型800名はつゆき型450名、というのは一定の参考になるかもしれません。

Img_1884 潜水艦あさしお型45名、うずしお型50名、ゆうしお型55名。練習潜水艦を含め全て除籍されているのですが、潜水艦であっても便乗という形での救助が想定できるものであった、というところでしょう。掃海艇は7号型20名、たかみ、はつしま、おおつ型100名、はやせ350名、そうや450名、掃海母艦や機雷敷設艦は大きく艦型が替わっていますが、掃海艇は概ねこんなところ。

Img_2183 輸送艦みうら型600名(輸送艇非搭載時800名)、あつみ型600名、ゆら型200名。輸送艦と言っても、はるな型と同程度、というのは大きさの違いを差し引いても意外ですね。哨戒艇19号10名、魚雷艇11号型70名、みずとり、うみたか型100名。哨戒艇という区分が消滅して久しいですが、魚雷艇と水雷艇の乗員は概ね現在のミサイル艇に相当します。

Img_7455 練習艦かとり550名、海洋観測艦すま型200名、あかし300名、ふたみ450名。敷設艦むろと750名、潜水艦救難艦ちはや、ふしみ250名、試験艦くりはま200名、訓練支援艦あづま350名。砕氷艦ふじ1000名、しらせ1400名。砕氷艦は先代ですが、この時点で海上自衛隊最大の排水量があり、その収容力も最大、ということがわかるでしょう。

Img_2533 補給艦はまな850名、さがみ1000名。補給艦は現在のものよりやや小さく、最新のものよりも非常に小さいですが、この収容力は凄い。他に特務艦艇として高速型9名、特務艇86号、87号、はやぶさ型100名、はるかぜ型300名、つがる型400名。特務艦という区分がありませんから、こちらは参考ということで掲載しました。

Img_7569 潜水艦や海洋観測艦、敷設艦に補給艦は広報行事に用いられることが基本的に無く、海上幕僚長が認めた場合に限り広報に供せられる、ということですがこうした数字でした。ううむ、4000tはつゆき型でこの人数ですから、この制定時に就役していなかった護衛艦あさぎり型、それに満載排水量で6000tを超える護衛艦むらさめ型、たかなみ型、あきづき型ですと600名程度、というところでしょうか。こんごう型、あたご型の艦型と収容力は難しいところですが、ひゅうが型、おおすみ型は2000名近くを収容できるかもしれません。

Img_2346 大規模災害、これは東日本大震災を見る限り有事、という言葉での説明に匹敵します。こうした観点から、艦艇数を見ますと、年々削減される艦艇数等はそのまま有事における救える人命に直結し、予算不足と人員不足はそのまま稼働率に直結します。財政再建に聖域はない、という考え全般には賛同しますが、艦艇数と稼働率がどのような状態で次の大規模災害へ向かうのか、国民の生命を仕分けるような施策は、避ける政府を選びたいですね。

北大路機関:はるな

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T-1-VTOL試験機計画 科学技術庁の幻に終わった国産垂直離着陸技術実証航空機

2012-02-04 15:28:15 | 先端軍事テクノロジー
◆1970年代の国産ジェット練習機VTOL改造計画
F-35Bが開発中止の危機を脱したようですが、相変わらずF-35計画全般は停滞、そうした中で今回は日本独自の垂直離着陸機計画を見てみましょう。 週末なので少し夢のある話です。

Img_7956そんなことまで進んでいたのか、という話題ですが、1971年に科学技術庁は国産のT-1練習機を基本としたVTOL機の開発を計画していたとのことです。計画ではVSTOL機ではなく垂直離着陸を行う航空機として開発される計画で、一方主脚の構造からSTOL機への発展要素は一応確保されていたとのこと。防衛庁は関係なく、科学技術庁航空宇宙技術研究所が主体となって開発する計画だったようです。

Img_8015副題にT-1の改造計画と記しましたが、新造になったことでしょう。構想では四発機として開発される機体で、T-1練習機は後退翼を採用していますが、国産VTOL機計画では通常のテーパー翼構造が採用される計画だった模様。胴体部分が特に中央部分についてエンジンの搭載に向け大きく再設計され、搭載エンジンはT-1練習機に搭載されていたJ3-3エンジンの派生型であるJR-100系統を搭載する計画とのことでした。
Img_79361 1970年代、まだ高度経済成長期にあった日本ですから、しかし、T-1でのVTOL試験に成功していたらば、最終的にT-2のような超音速飛行が可能な航空機のVTOL型とか、可能性はあったのか、円谷特撮のような視点を持ってきてしまいます。むしろ小松左京的、か。

Img_9322国産VTOL機としては、JR-100を搭載する垂直離着陸実験機フライングテストベットVTOL-FTBが挙げられるのですが、VTOL-FTBはあくまで浮揚試験を行うための機材であり、乗員1名は搭乗可能であり、JR-100エンジン二基を搭載していますが全備重量は2000kg、浮揚時間は僅か10分で、機体は鋼製骨組み、実用航空機とは言い難いものでしょう。

Img_4863_1対して、開発される計画であったVTOL機は、胴体部分に四基のJR-100を搭載し、四基のうち三基を浮揚用エンジンとして、一基を推進用エンジンとして用いる計画であったとのことです。実際のところ実機が開発されることなく計画が終了したため航続時間などは不明ですが、乗員1名が搭乗する有人機としての開発になっていたようで、実用機に近づいたといえるかもしれません。

Img_9490同時期に科学技術庁航空宇宙技術研究所は、推力4.5tという比較的優秀なファンジェットエンジンの開発を行っています。たとえばF-104やF-4といった戦闘機に搭載されていたJ-79エンジンは推力が6.7t、国産の4.5tは実現しても遠くは及びませんけれども継続していればどうなっていたのか、見てみたいところでした。
Img_1781こちらのエンジンが戦闘機に搭載できるようなものなのか、というところはもう少し資料を集めてみたいところですけれども、日本の国産戦闘機開発という観点での論点で必ず最大の障壁となるのが戦闘機用低バイパス比高出力エンジン、科学技術庁の技術開発であってもC-1改造の飛鳥という事例がありますから、進展していたら日本の国産戦闘機開発という視点は変わっていたものとなったかも。

Img_7925_11974年頃に技術的成果を確認する計画だったようですが非常に残念なことに途中で中断しています。技術的限界と1973年の石油危機が関係したのか、それとも垂直離着陸機という航空機の趨勢は普及しないという判断の上での中断なのか、もう少し資料を集めてみたいところなのですが、実現していれば日本の航空宇宙産業に実機をもう一つ置くことが出来たかもしれません。

Img_2109無論、これを組み合わせて実用的なVTOL航空機を、という安直な考えはできませんし、フランスがミラージュⅢ戦闘機を原型としたバルザックⅤ超音速実験機を、ドイツがF-104原型の実験機による試験の末に独自設計のVFW-VAK-191BVTOL戦闘攻撃機の試作研究を行い、同時期にイギリスがハリアーの開発を行っていますが実用化に至ったのはハリアーのみでした。
Img_9819_1ただし、技術的成果を求めて遮二無二開発へ邁進していたという当時の熱意は伝わってくるようです。技術開発は長期的視野に依拠して行う必要があり、成果が出る迄の多額の予算は中々事業評価に反映しにくいものがあります。また、開発されたものの仕様が要求に合致しているのかという問題、開発が長期化すると共に要求や運用方法が変化してしまう、ということもあるのですが、技術史のあまり知られていない一幕として、興味は尽きません。

北大路機関:はるな

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東京地裁 川崎重工へPL法に基づき防衛省に2億3000万円支払いを命令

2012-02-03 12:06:38 | 防衛・安全保障

◆東富士演習場AH-1S対戦車ヘリ墜落事案

国は保護されるべき弱い消費者なのか、少々不可解な判決が出されましたので本日はこの話題を掲載しましょう。

Img_23222012年1月30日の東京地裁判決で川崎重工は国に対して2億3000万円の支払いを命じられました。2000年に東富士演習場において訓練中の対戦車ヘリコプターAH-1Sが墜落事故を起こし乗員二名が重傷を負うという事案が発生しましたが、防衛省はエンジンを製造した川崎重工に対しエンジンに欠陥があったとしてPL法に基づく2億8000万円の損害賠償請求を行っています。

Img_0768AH-1S対戦車ヘリコプターは、富士重工がライセンス生産の主契約企業であり川崎重工がエンジン部分のライセンス生産を担当しているのですが、設計に欠陥があったとするならば、AH-1Sを開発したアメリカのベルヘリコプター社、もしくは搭載するT-53-L-703エンジンを設計したライカミング社を訴えるべきだとも思うのですが、それ以前の重大な問題があることを忘れてはなりません。

Img_2663PL法は元来企業に対して弱い立場にある消費者を保護する目的を持っていますから、そもそも企業に対して国は弱い保護されるべき消費者とはならず、当然棄却されるものだと考えていたところ、東京地裁は先行する欧米の法律とは異なり、日本のPL法は消費者だけを対象としていない、という点から川崎重工に対して2億3000万円の支払いを命じる判決を出しました。 立法する国が弱い消費者としてPL法に基づき損害賠償を要求、少し構図が不自然に思うのは気のせいでしょうか。

Img_3164PL法が定める消費者に国が含まれる、これは解釈として相当無理があるように見え、これが通るとするならば川崎重工としては防衛用航空機を無理な運用により事故が生じたとして国家賠償法による請求を行う、もしくは憲法29条の財産権に基づき国による賠償請求は無効という論理も通ることになってしまうのですが、どうでしょうか。 そして欠陥がある、という部分ですがどの程度の、また自衛隊の用法は通常の航空機とは異なる運用が為される、という部分を差し引いても明確な欠陥だったのか、関心があるところ。

Img_4689もちろん、エンジン部分に重大な欠陥がある、という可能性は捨てきれませんが、こちらも程度の問題でしょう。このあたり、例えば製造した川崎重工にどの程度責任があるのかについて、もう少し情報を集めたいと思います。そもそも運用当事者と開発製造者の距離がある日本においては、仕様書以外の運用面での適合性は疑われる部分もあるのが実態ですし、これが通るならばそもそも一般に供される航空機とは全く次元の異なる用途である防衛用航空機に対して、参画することに対しては非常なリスクが生じてしまいます。
Img_4713繰り返しますが、航空法に依拠して運用していた場合でも避けられないような明確な欠陥があった、というならば話は別です。しかし、こうした無理を通そうとするん防衛省側の論理に依拠すれば、先日の三菱電機への監査や、かなり前の富士重工戦闘ヘリコプター発注中断など、国内の防衛産業に対して無理難題を突き付けているように見える同じ防衛省、よく生産分担も納期も機体価格も性能も不明なアメリカ製戦闘機を決定したものだなあ、と驚くばかり。

Img_9403そもそも、製造期間が不明確であり発注に一年空くこともある中、生産ラインを維持し下請け企業に対しても生産基盤維持を求め、こうした中でほとんど営利を求めることが許されず、維持費と人件費と貴重な工場の稼働率を最低限をさらに下回る中で維持されている、いわば企業の社会的貢献の一形態として、自腹を切っている状態です。この言いがかり的な要求というものは、保護すべき産業を逆に廃業か撤退に追い込む愚行であり、国としては防衛産業と手を切ってどう防衛を成り立たせる算段があるのか、非常に不可解、というのが正直な印象です。川崎重工としては防衛省に対して、防衛用航空機であっても、”危険な状態での使用はお止め下さい”と明記する以外自衛策は無いようにも思います。

北大路機関:はるな

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田中防衛大臣 失言を超えた答弁へ問題理解力と閣僚としての資質に疑い

2012-02-02 22:53:35 | 国際・政治

◆国会答弁中突如行方不明のステルス大臣では困る

 毎回お世話になっている方からお教えいただきまして、田中防衛大臣と自民党の佐藤代議士との参院予算委員会での質疑にて大臣の資質を疑う発言が多々あることを知りました。

Img_8935 そもそも事の発端は31日の国会答弁で南スーダンPKOについての答弁で言い間違いと事実誤認を続けた上に審議中に田中大臣が無断退席し答弁が停滞、自民党の脇山陰国会対策委員長に、閣僚が突然行方不明になるなど前代未聞、と批判されたところで、そんなことがあったのか、と驚き情報を集めました次第、突如行方不明になるステルス防衛大臣などナンセンスですからね。

Img_0867 1月24日から31日にかけての参院予算委員会に自民党から佐藤正久代議士が田中防衛大臣との質疑が行われたのですが、佐藤代議士の在沖米軍抜きに在日米軍全体の抑止力維持はあり得るのか、との質問に対して田中大臣は沖縄の自衛隊と米軍だけでは不十分、との答弁を出しました。

Img_1930 質問は在沖米軍抜きに在日米軍全体の抑止力についての質問ですから、沖縄の米軍と自衛隊、という回答は意味不明ですし、韓国軍は有事の際に在韓米軍の指揮下に入るのですが自衛隊は在日米軍の指揮下にあるわけではないので自衛隊と在日米軍の主力が沖縄に展開しているならば、この答弁に意味はあるのですが、問題は在沖米軍の抑止力であり、自衛隊についての言及など焦点がずれた答弁となっています。これで大丈夫なのでしょうか。

Img_0155 しかし、次の質疑にて日本語の理解力に問題があるのではないか、というものが出てしまいました。続いて佐藤代議士の沖縄普天間基地移設先の名護市環境評価書について、信書であるのだから宅配便にて送ることは郵便法違反ではないのか、という質疑に対して田中防衛大臣は、沖縄で混乱が起きないように信書を宅配便で送りました、と答弁です。

Img_1463 信書は宅配便に同封することはできません、佐藤代議士は此処を違法なのではないか、としているのですが。信書、郵政事業民営化に際して総務大臣から特定信書郵便事業免許が一部民間会社に対しても出されているのですが、宅配便での信書は配達が法律上できないのですまた、ヤマト運輸宅急便約款にも信書は引取り拒絶できるとされています。ここが論点なのですよね。

Img_0770 この問題について、沖縄での混乱を防ぐために親書で宅配便で送った、というのは、そもそも信書を宅配便で送ったのは違法ではないか、という質問に完全に違った答弁となっており、会話が成立していないことになります。当然ですが、予算委員長からも質問に答えるよう注意を受けていました。

Img_3030 2月1日、衆議院予算委員会に置いても同様の事例があります。小池百合子自民党代議士の質疑、近代化を進める中国軍へ対処するための米軍新戦略ジョイントエアシーバトル構想について防衛大臣は理解しているのか、という質問に対して、田中防衛大臣は我が国としても動的防衛力を強化してゆく、と答弁したわけです。

Img_0250 ううむ、防衛省は米軍を動かしているわけでもないですし、米軍がどのように近代化しようとしているのかを理解しているかを問うているのに、自衛隊も動的防衛力を強化してゆく、という答弁は、完全に意味を為していません。このほかについては存じません、の連続、なにか語学力に壁のある学生同士の国際会議みたいですね。事務方が防衛大臣へメモを渡そうとしたところ小池代議士からメモを渡さないで応えてほしい、と発言、この結果が以上の通り。

Img_3285 小池代議士は第二代防衛大臣を務めていますし、安倍内閣時代は国家安全保障問題担当首相補佐官、二年間に渡り沖縄北方担当大臣も歴任しています。その小池代議士は、中国の膨張へ日米での対処について防衛大臣へ質疑し、存じません、と言われるようでは何を聞けばいいのか、と批判しています。

Img_1548 これまで認識の相違や事実関係の誤認という意味での失言は多く聞くのですけれども、しかし基本的な理解力を欠いている状態での質疑応答、となりますと、もちろん前代未聞で防衛大臣として不適格、としたいのですが、国会答弁は記録され永続的に残るものですから、逆に恥ずかしくはないのか、と心配さえも交えて思えてきてもしまいます。現時点でこれでは遠からず問責決議や更迭の可能性も。

Img_9632 列挙すればほかにも事例はあるのですけれども、一川大臣の時点で首相から軽視されているという位置づけになっている防衛大臣の職、しかも適正以前の問題という現状を考えるならば失言から、例えば機密漏えいにあたるような不祥事、奇しくも連れ添っておられる田中真紀子代議士が外務大臣時代に9.11米本土同時多発テロに際して米国務省機能の緊急移転先をパニックに陥り口走ってしまった事例があるのですが、痛手とならないように身を引くべきでは、と考える次第です。

北大路機関:はるな

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南スーダン情勢 スーダン難民流入最大50万の可能性と国境地域の情勢悪化

2012-02-01 21:40:36 | 防衛・安全保障

◆先週だけで1000人が南スーダンへ流入

南スーダン情勢に新しい不安要素、難民流入の可能性です。そして、スーダンとのパイプラインにおいて不安要素があり、原油供給が停止されました。

Img_1961自衛隊が派遣されている南スーダンへ難民流入の危険、国連世界食糧計画:WFPによればスーダンの国内情勢悪化から、今後二ヶ月から三ヶ月間の間に食糧事情が悪化し、最大で50万の難民が隣国南スーダンへ流入する可能性があるとし、これに対しアメリカ政府は既に警告を発していますがスーダン政府が何も手を打たないことから情勢が悪化していると発表しました。

Img_8874WFPによれば、この危機を回避するために南スーダンへ270万人分の緊急食糧援助計画を立て食糧の集積に当たっていますが、既に先週だけで1000人以上がスーダンと南スーダンの国境を越えて流入しており、難民流入は国境の治安を著しく悪化させる危険性があります。

Img_7507 南スーダンPKO派遣が開始され、本隊派遣間近ですが、危険要素は他にもあります南スーダンは。産油国であり、パイプラインを通じてスーダンへ輸出していますが、スーダン政府がパイプライン使用料不払いを理由に原油を差し押さえ、これに反発した南スーダンが原油供給を停止しました。

Img_4467 原油供給停止はスーダンへの圧力となるのと同時に南スーダンにも貴重な外貨獲得源を喪失することになり、国境の緊張は高まる要素ばかりです。この場合、PKO任務が復興支援を超えた任務とならないのか、戦闘の危険性はどの程度低く推移するのか、国連と日本政府は、特に武器使用において制約がある自衛隊を派遣するのですから十分な連携が必要です。

北大路機関:はるな

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