北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

防衛予算二〇一九検証【1】平成31年度防衛省概算要求は5兆2986億円,防衛力大幅強化明示

2018-09-10 20:04:19 | 国際・政治
■防衛省概算要求5兆2986億円
 防衛省概算要求が発表されました、台風と地震で記事が遅れました、その概要を視てみましょう。

 平成31年度防衛省概算要求は5兆2986億円として提出、過去最高となりました。防衛省は来年度予算を“本年中に予定される防衛計画の大綱の見直し及び次期中期防衛力整備計画策定にかかる省内の検討状況を踏まえ、平成31年度概算要求を実施”としつつ“現実に真正面から向き合った防衛体制を構築することとし、防衛力を大幅に強化”としている。

 UH-X新多用途ヘリコプターの調達開始、新装備装輪155mmりゅう弾砲7門の取得、10式戦車6両と16式機動戦闘車22両の取得、F-35A戦闘機6機の取得、C-2輸送機とE-2D早期警戒機各2機の取得、30FFM型新護衛艦2隻と潜水艦の建造、そして巨額の予算を要し日本全土を核攻撃から防護する陸上配備型イージス-システム配備等が盛り込まれました。

 先端装備開発として、離島防衛の長射程装備に島嶼防衛用高速滑空弾の研究、高い費用から全国配備が実現しなかった反省を受け安価な多目的誘導弾システム-改の開発、潜水艦の水中行動能力強化を目指す潜水艦用高効率電力貯蔵-供給システムの研究、航空母艦脅威などに敵防空能力を突破可能なミサイルへ極超音速誘導弾の要素技術に関する研究等が並ぶ。

 防衛省は更に“優先分野への重点的な資源配分、少子高齢化等も踏まえた人的基盤の強化、研究開発の構造改革を含む技術基盤の強化、戦略環境の変化を踏まえた日米同盟の強化・諸外国との協力の強化”として同盟国や友好国との強化を掲げると共に“厳しさを増す財政事情を勘案”、という一見矛盾しそうな視点を提示し最大限の効率化を期しています。

 南西諸島を中心とした防衛上の厳しい現実をはっきりと認識し、従来の防衛力聖母の限界からはっきりと防衛力の大幅強化を行う事が目的と明示し、新領域の能力強化、海空領域の能力強化、弾道・巡航ミサイル攻撃対処能力の強化、機動・展開能力の強化、運用基盤の強化、人的基盤の強化、技術基盤の強化、平成31年度防衛予算はこうした視点を示す。

 新領域の能力強化、防衛省の定義としては宇宙空間や電子戦域とサイバー区間における防衛力、特に電磁波脅威への対処が示されています。海空領域の能力強化、航空優勢確保と海上優勢確保を念頭に脅威圏外からの対処を明示し率直に装備射程延伸を示しました。弾道・巡航ミサイル攻撃対処能力の強化、陸海空自衛隊の統合運用という視点を示しました。

 来年度予算の取り組みはさらに続く。機動・展開能力の強化、として平素から部隊の迅速かつ継続的な展開の実効性向上、という日本全土の部隊の中で平時の警戒と有事の際に即座に集約可能な体制を図るという視点です。運用基盤の強化、こちらは基地機能の航空攻撃から災害までに備える維持強化と燃料備蓄及び弾薬備蓄、装備可動率向上を示すという。

 時代変化への対応という印象ですが。人的基盤の強化としまして、優秀な人材を確保するとともに、女性の活躍やワークライフバランスの推進と予備自衛官等制度の充実という広報活動の充実や男女共同参画という視点で幅広い人材確保を目指しています。技術基盤の強化、先端的な防衛装備の質と量を確保と新装備のいち早い装備化が盛り込まれています。

 防衛大綱改訂を前に過渡期というべき平成31年度概算要求です。基本的な装備定数の変容が改訂前では未知数、思い切った調達が出来ないという状況にありますが、明らかに定数割れしている戦闘ヘリコプターの取得、停滞状態にある輸送ヘリコプターの去就、新編続く即応機動連隊を前に必要な装甲車調達皆無、概して問題を先送りした印象は否めません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G7X撮影速報】横須賀サマーフェスタ2018.最新潜水艦-砕氷艦-イージス艦(2018-08-04)

2018-09-09 20:16:20 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■米海軍イージス艦ベンフォード
 横須賀サマーフェスタ、後篇です。米軍基地ではロナルドレーガンとブルーリッジが一般公開、しかし、吉倉桟橋でも米海軍イージス艦が。

 横須賀サマーフェスタ、本年は吉倉桟橋にてアメリカ海軍駆逐艦ベンフォードが一般公開されていました。朝現地の友人からは試験艦あすか一般公開も行われていると通信を頂きましたが、静岡は清水港いずも一般公開を探訪しての後ですので出遅れてしまいました。

 アーレイバーク級ミサイル駆逐艦ベンフォード、DDG-65,海軍の主力、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の15番艦として1996年に竣工しました。イージス艦としては舞鶴基地が母港の海上自衛隊の護衛艦こんごう型三番艦みょうこう、と同世代の水上戦闘艦ですね。

 1998年にイージス艦みょうこう、が北朝鮮の長距離弾道ミサイル実験を日本海海上で探知しますとイージスBMDというイージス艦による弾道ミサイル防衛技術の開発が開始される事となり、ベンフォードも2009年までにイージスBMD対応能力の改修を受けています。

 横須賀サマーフェスタでは、アメリカ海軍艦艇が一般公開される年度も稀にありまして、過去にも乗艦見学する機会に恵まれているのですが、127mm単装砲とイージスシステムを撮影できるという機会、毎年ではありませんので本年は当たり年だった、といえましょう。

 満載排水量8362t、全長153.9m、全幅20.1m、海上自衛隊のイージス艦こんごう型よりもひとまわり小型ですが、LM 2500-30ガスタービンエンジン四基により最高速力31ノットを発揮し、航続距離は20ノットの巡航速度で4400浬という性能を有しているとのこと。

 アーレイバーク級ミサイル駆逐艦は80隻近くが既に建造されている第二次世界大戦後最も成功したアメリカ海軍の駆逐艦です。一方、アメリカ製の駆逐艦ですが高度なイージスシステムを搭載し建造費は諸外国の水上戦闘艦よりも非常に高く輸出などは実現していない。

 フライトⅠとよばれるアーレイバーク級の初期型に類別されるベンフォードですが、ヘリコプターは搭載していません。フライトⅡA以降からアーレイバーク級にもヘリコプター格納庫とLAMPSのSH-60BかMH-60R哨戒ヘリコプターが搭載されるようになっています。

 ベンフォードは名誉勲章叙勲のエドワードクライド-ベンフォード三等衛生水兵の名を冠した駆逐艦です。ベンフォード三等衛生水兵は海軍衛生兵、父親は太平洋航路の一等機関士、船乗りでしたが、父親は1942年に大西洋航路にてドイツ軍に殺害される事となりました。

 潜水艦U-107の雷撃により乗船が撃沈、エドワードクライド-ベンフォードはこの時11歳でした。彼はこの五年後の1949年に海軍入営、イリノイ州グレートレイウス海軍衛生学校に進み海軍衛生兵となりました。海軍衛生兵は艦隊勤務の他に海兵隊衛生兵の任務を担う。

 ベンフォード三等衛生水兵は第3海兵師団、現在沖縄に駐留する師団で北東アジア地域最大の米軍抑止力の一翼を担っていますが、この第3海兵師団に配属され朝鮮戦争に従軍します。朝鮮半島で第1海兵師団へ転属、仁川上陸作戦後の北上にも衛生兵として従軍しました。

 しかし、平壌北方のバンカーヒル高地にて熾烈な白兵戦となり、重迫撃砲の斉射で穿たれた着弾地にて負傷者第一線救護中、ベンフォード三等衛生水兵は負傷兵へ投げ込まれた敵の手榴弾数発を受け何発かは投げ返しましたが限度があり、負傷兵を庇って戦死しました。

 ハリーSトルーマン大統領が議会名誉勲章を故ベンフォード三等衛生水兵へ授与すると共に、海軍善行章、韓国大統領部隊褒章勲章、大韓民国戦争勲章、国連勲章等を授与されています。そして名はアーレイバーク級ミサイル駆逐艦の艦名として受け継がれた訳ですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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北海道胆振東部地震:厚真町大規模土砂崩落捜索,北海道大停電復旧とJR北海道部分運行再開

2018-09-08 20:00:54 | 防災・災害派遣
■北海道大停電復旧すすむ
 北海道胆振東部地震、大停電の復旧は進みますが、その爪痕は大きいようです。

 苫小牧港へ海上自衛隊の砕氷艦しらせ、が災害派遣へ入港しました。しらせ艦上には南極観測支援へ強力な物資輸送力と航空機運用能力が備えられ、今災害派遣任務では7日より給水支援と入浴支援を実施、特に震源地に近い地域ではいまだに断水が続くため、入浴支援は歓迎されているとのこと。この他、医療設備や給電設備の開放も行っているとのこと。

 北海道胆振東部地震、NHK本日1526時報道によれば、21人死亡、11人心肺停止、8人安否不明、となっています。北海道厚真町では土砂崩れにより17名が死亡、苫小牧市、むかわ町、新ひだか町、札幌市清田区、以上各市町村でそれぞれ1名の方が亡くなりました。心肺停止の方は厚真町で11名、行方不明の方も8名、共に土砂崩落地域で発生しています。

 厚真町は震度7、北海道内で震度7が観測されたのは史上初でした。同町近傍には過去一万年間に富士山と同程度で同頻度の大規模噴火を繰り返す樽前山があり、町内山間部は崩れやすい火山性土壌の表層が広がり、震度7の激震により2kmの範囲内で地滑り状に崩落した事が被害を拡大したと考えられています。行方不明者捜索は警察自衛隊等により続く。

 無人偵察機による被災地偵察を今回自衛隊が災害派遣では初めて実施しました。厚真町において陸上自衛隊は13機の無人偵察機を導入し、行方不明者捜索を強化しています。特に多数の行方不明者を捜索する厚真町では今後雨量が増す可能性があり、行方不明者捜索を強化すると共に土砂流失状況や倒木の概要の把握は二次被害防止の観点から重要でしょう。

 上富良野町と標津町で震災関連死と思われる2名の方が亡くなりました、原因は一酸化炭素中毒です。NHK7日2207時報道によれば共に玄関に自家発電機が置かれていた。道内全域が停電し、自家発電機が必要でした。家庭用自家発電機は騒音が大きい機種があり、周囲に配慮しての結果でしょう。しかし、騒音よりも安全上充分換気を行う必要はあります。

 札幌液状化被害、今回の震災では厚真町土砂災害と並び札幌市内でも住宅被害が発生しています。札幌市清田区里塚では液状化による道路被害と住宅の沈下や傾斜被害などが生じ、道路の陥没も発生しています。ただ、液状化による住宅傾斜は復旧可能で、例えば東日本大震災千葉県液状化被害でも復旧は広範に行われました、希望をうしなってはいけません。

 大規模停電はNHK本日0421時報道によれば99%の地域で解消したと北海道電力が発表しています。北海道全域295万戸が停電するという過去に例のない事態に対し復旧が進み、本日0200時の時点で300万kW電力を、道内火力発電所と水力発電所、東北電力からの融通により確保しており、道内295万戸中292万2000戸において電力供給が回復しました。

 苫東厚真発電所、北海道で稼動中最大165万kWの発電能力を持つ石炭火力発電所が震源地に近い厚真町に在り、此処が震度7の激震に非常停止した事で北海道内電力供給が一斉に停止しています。北海道電力総発電量は795万7000kW、しかし207万kW、最大の発電所である泊原子力発電所が東日本大震災以降、政治的要請で停止したままとなっている。

 石狩湾新港発電所として総出力171万kWの火力発電所が建設中、2019年内にはLNG一号炉が57万kWの出力で発電を開始し、2030年までに171万kW発電を見込む。今回の胆振東部地震は厚真町土砂災害という局地災害でしたが、厚真町の火力発電所被害が道内全域に及びました。泊原発を新発電所稼動の2030年まで限定で稼働継続していれば、とも。

 JR北海道は道内全域停電を受け7日一杯全線で運休していましたが、本数を限定し新函館北斗までの北海道新幹線が運行再開、札幌市と新千歳空港を結ぶ快速エアポートも午後には本数を減らし運行を再開しました。NHK本日0919時報道によれば、JR北海道は今朝から札幌小樽間など近郊路線、また新函館北斗から函館までの在来線運行を再開しました。

 旭川や帯広、札幌と函館を結ぶ在来線特急は本日8日も終日運休しました。JR北海道本日1630時の運転計画では、運転再開が普通列車及び快速列車限定で、札幌近郊が札幌岩見沢間と札幌小樽間と札幌新千歳空港間、函館近郊が函館新函館北斗間、旭川近郊が旭川上川間と旭川名寄間、以上が本数を減らし再開、旭川名寄間だけが通常運行となっています。

 在来線運休は、函館線の新函館北斗から旭川まで岩見沢札幌間を除く全線、室蘭線の長万部岩見沢間、日高線の苫小牧鵡川間、学園都市線の札幌新十津川間、石勝線の南千歳夕張新得間、根室線の滝川東鹿越間間、花咲線の釧路根室間、釧網線の釧路網走間、宗谷線の名寄稚内間、石北線の上川網走間、富良野線の富良野旭川間、留萌線の深川留萌間、です。

 旭川や帯広と釧路に函館と札幌、道内の大動脈が鉄道で寸断されています。9日の運転計画は1900時時点で発表されていませんが、在来線の寸断は観光業や農林畜産業へ影響を及ぼしています。特に新千歳空港から札幌小樽以外の主要な観光地への鉄道が運休し、停電影響から高速バス運行も限られる事から旭川はじめホテルキャンセルが相次いでいるという。

 高速道路について、道内を走る日高自動車道が地震影響により鵡川IC日高厚賀IC間で通行禁止となっていますが、NHK本日1201時報道によれば北海道開発局発表として明日9日午前中に通行可能になるとのこと。また鉄道について、札幌市営地下鉄と札幌市電の運行は再開されており、170万都市である道都札幌の市内交通は復旧しつつあるようです。

 全壊家屋30棟、NHK本日0716時報道として北海道庁の発表によれば厚真町19棟、安平町で6棟、むかわ町で5棟、以上30棟が地震で全壊しました。半壊家屋や一部損壊建築物は32棟、北広島市と札幌市に被害程度不明の損壊建物が13棟あり、損壊建築物は少なくとも45棟、安平町では町内の早来神社拝殿が倒壊、予定されたお祭りが中止となりました。

 余震について。NHK本日0657時報道によれば気象庁発表として本日0600時までに震度4が3回、震度3が18回、震度2が37回、震度1が67回観測されています。また、震度七の揺れにより一部堤防や山間部に地割れが発生している可能性があり、胆振地方では現在も断続的に降水量が確認されている事から降雨による土砂災害へ警戒が必要となります。

 電力供給について。不幸中の幸いというべきでしょうか、99%の電力供給再開に漕ぎ着けた本日は土曜日、企業活動が平日程大きくありません。しかし、NHK1907時報道によれば、世耕経済産業大臣の発電として、現在火力発電所により346万kWの発電量を北海道内で確保しているが発災前ピーク時383万kWよりも一割不足していると現状を説明しました。

 老朽火力発電所を今回の震災に併せ緊急稼動させているため、過負荷による老朽施設故障の危険性もあります。道内最大の苫東厚真発電所はタービン施設に損傷があり、復旧に一ヶ月程度を要する為、経済産業省としては現時点で計画停電については言及していない、ものの、週明けから北海道内の企業や家庭へ20%程度の節電を呼びかける事としています。

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平成三〇年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.09.08-09.09)

2018-09-07 20:09:23 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 台風21号、非常に大きな被害があり、そして昨日の北海道胆振東部地震、皆様ご無事でしたでしょうか、そんな中ですが今週の行事紹介です。

 三沢基地航空祭2018、日曜日に開催されます。F-35戦闘機が初の飛行展示を行う、航空自衛隊第五世代戦闘機時代幕開けを告げる航空祭として注目の行事といえるでしょう。三沢基地第三航空団は北方からの脅威へF-2戦闘機2個飛行隊が国産対艦ミサイルASM-2と共に備えていましたが、航空自衛隊最初のF-35部隊として臨時F-35飛行隊を編成しました。

 北部航空方面隊司令部の置かれる三沢基地、本年はF-35戦闘機が間違いなく主役となる三沢基地航空祭ですが、勿論F-2飛行隊も華麗な飛行展示が期待でき、E-2C早期警戒機飛行隊も展開しています。また米空軍第35戦闘航空団F-16の参加や米軍機展示も期待できます。気になる胆振東部地震影響ですが三沢基地ツイッターによれば開催予定とのことです。

 木更津航空祭2018、本年の木更津駐屯地祭は木更津駐屯地創設50周年記念行事、9日0830時から開門となります。第1ヘリコプター団と第4対戦車ヘリコプター隊の駐屯地として、CH-47輸送ヘリコプター、UH-60JA多用途ヘリコプター、AH-1S対戦車ヘリコプター、EC-225特別輸送ヘリコプター、LR-2連絡偵察機、OH-6D観測ヘリコプターが配備される。

 CH-47輸送ヘリコプター32機を集中する第1ヘリコプター団は米陸軍第101航空旅団と並び世界最大規模の空中機動力を誇ります。胆振東部地震による影響ですが、現在のところ木更津駐屯地HPには中止に関する情報は掲載されていません。ただ、陸上自衛隊最大の空中輸送力を有する部隊である為、状況次第で行事内容が変更の可能性はあるでしょう。

 小倉駐屯地創設62周年記念行事、第4師団隷下の第40普通科連隊が駐屯しています。軽装甲機動車、82式指揮通信車、高機動車、120mm重迫撃砲を装備する師団普通科連隊です。第40普通科連隊の所属する第4師団は3月末の師団改編により第4特科連隊が西部方面特科連隊へ、第4戦車大隊が西部方面戦車隊へ、廃止改編され方面直轄となりました。

 師団改編は更に近年にも第4偵察隊が第4戦闘偵察大隊へ拡大改編を受ける事となっています。ただ、方面隊より担当中隊として戦車が、担当大隊として特科大隊が配置されるといい、小倉駐屯地祭へも方面直轄となった10式戦車等が参加することでしょう。必要に応じ師団へ方面隊部隊を配置する改編後の普通科連隊運用を垣間見るいい機会といえますね。

 平成三〇年度自衛隊記念日観閲式、今週末に行われる行事ではなく来月に開催される自衛隊記念日行事ですが、情報が陸上自衛隊HPに掲載されていました。今年度は昨年度の自衛隊記念日行事である航空観閲式、米空軍B-2爆撃機参加予定と期待されたものの悪天候で中止という初の自衛隊記念日行事中止、陸海空持ち回りで海上自衛隊が実施予定でした。

 自衛隊観艦式二〇一八、本来であれば本年大々的に相模湾にて海上自衛隊観艦式が挙行される筈であったのですが、諸事情から中央観閲式が朝霞駐屯地において執り行われるとの報道があり、その公式情報待ち、という状況でした。今回陸上自衛隊HPに平成三〇年度自衛隊記念日観閲式として開示され、公式に観艦式が中止となった旨伝えられた訳ですね。

 北海道胆振東部地震、NHK報道によれば死者11名、7名心肺停止、安否不明者22名、となりました。今回の地震災害、発災から十時間近く北海道全域の停電という状況となり影響は広域化しましたが、最大の被害は震源地に近い厚真町での大規模土砂崩れという局地災害で、安否不明者の多くは土砂災害に巻き込まれた可能性があり捜索が急がれています。

 大規模停電は順次復旧中でJR北海道の列車運行も再開され、本日午前中東京を0936時に出発の新幹線はやぶさ11号より北海道新幹線の運行が再開されました。在来線も1300時より札幌と新千歳空港を結ぶ快速エアポートが本数を減らし運行を再開し、札幌市電や札幌市営地下鉄の運行も再開、信号復旧により北海道中央バス等、一部路線で再開しました。

 電力供給再開、本日1400時までに半数に当る154万3000戸で電力供給が再開、北海道電力は本日中に300万kWの発電量を確保したい方針とのこと。ただ、発災前の電力ピーク時は380万kWであり、節電が呼びかけられています。電力回復に併せ本日より千歳空港の運行が再開、また北海道エアシステムは札幌市内丘珠空港へ臨時便を運航しています。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・9月9日:三沢基地航空祭2018…http://www.mod.go.jp/asdf/misawa/
・9月9日:木更津駐屯地創設50周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/crf/heridan/
・9月9日:小倉駐屯地創設62周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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北海道胆振東部地震(平成三〇年胆振東部地震)震度七道内観測史上初,山岳崩壊と道内全域停電

2018-09-06 20:00:18 | 防災・災害派遣
■北海道全域に災害救助法適用
 本日0308時に発生した北海道胆振地方を震源とするマグニチュード6.7の地震、北海道厚真町の地震は気象庁が観測情報を計測した結果、震度七の揺れが発生していたことが判明しました。

 平成三〇年胆振東部地震、気象庁は今回の北海道胆振地方東部地震を平成三〇年胆振東部地震と命名しました。震源地は北海道胆振地方中東部で震源の深さは37km、今回の地震は震源地付近で大規模な土砂崩れ、山岳崩壊としか表現できない規模の土砂災害を及ぼすと共に北海道全域が停電し、停電により鉄道や道路交通へ影響が生じ、この点で前例がない。

 震度7が北海道で観測されたのは初となる。北海道南西沖地震、1993年7月12日に発生したマグニチュード7.8では奥尻島で震度6が観測され、2003年9月26日に発生した平成十五年十勝沖地震はマグニチュード8.0で最大震度は新冠町や静内町と浦河町や鹿追町等で震度6弱、1968年の十勝沖三陸沖北部地震はマグニチュード7.9で最大震度5でした。

 5名死亡4名心肺停止31名行方不明、本日1700時時点で北海道庁や北海道警が発表しました。死者は厚真町で複数、むかわ町、新ひだか町、札幌市、以上で1名が死亡しました。厚真町では2kmに渡り震源付近の山間部が大規模な土砂崩れを引き起こし、山体崩壊というべき被害に同町の吉野地区と富里地区と幌内地区で31名の行方不明者が発生、現在捜索中となっている。

 厚真町の山岳崩壊、山間部の森林が広範囲にわたり地滑りの様に剥け崩落しました。熊本地震における南阿蘇町と似た様相で、原因は不明ですが厚真町は震源付近であると共に山間部は近傍の千歳市樽前山噴火に伴う火山性地形であることから、有史以前も含め巨大噴火が繰り返し火山砕屑物や火砕堆積物等が表層部ごと地震にて崩落した可能性があります。

 第7師団、今回の地震は東千歳駐屯地に司令部を置く機甲師団管内で発生しました。北海道知事からの自衛隊への災害派遣要請を受け、第7師団は初動として4000名規模の災害派遣を開始、順次派遣規模を拡大し本日正午ごろには4900名を現場へ派遣しました。自衛隊の任務は土砂崩れ被災地での道路啓開、被災地での給水支援、電力供給等多岐に登ります。

 北部方面隊に加え隣接方面隊支援として東北方面隊の増援が決定し、明日朝にも仙台港より輸送艦おおすみ、により施設科部隊装備を北海道へ派遣する方針とのことです。また防衛省では経済産業省や厚生労働省との調整により、北海道内の大規模な停電に対し、電源車等給電装置の輸送支援も検討しているといい、当面は2万5000名規模の派遣を行う。

 北海道全域の停電、未曽有の事態です。地震発生の本日0308時より昼過ぎまで約10時間に渡り停電するという状況は北海道電力発足後では初めてではないでしょうか。停電は北海道経済を完全に停滞させ、JR北海道は全線で架線や信号機と券売機を含めた全ての施設が停止し、路線バスさえ信号機停止により運行できない状況、停電が最大問題といえます。

 北海道電力需要は直近の5日ピーク時で380万kWとのこと。最大の火力発電所はタービン施設等に損傷が確認された為、発電能力の回復は一週間かかる事から経済産業省と北海道電力は、出力25万kWの砂川火力発電所を再稼働、東北電力からの海底電気ケーブルを用いて最大60万kWの電力供給を行い、政府によれば今夜中に100万kWの供給を目指す。

 伊達と知内の火力発電所の復旧は明日7日にも実施され、明日には290万kWの供給を行えるよう政府と北海道電力及び全国の電力会社各社は取り組んでいるとのこと。砂川火力発電所の再稼働により、札幌市と旭川市や名寄市の電力供給が部分的に再開し、札幌中心部では信号機が点灯、大通公園札幌テレビ塔デジタル時計も再稼働を開始したとのこと。

 経済産業省では北海道全域の停電に対し、自家発電用燃料の輸送に本州島からの燃料輸送に自衛隊協力を検討するよう大臣指示が出されると共に、病院や上下水道どの病院で電力が不足するのか厚生労働省と調整し連携するよう命令、砂川火力発電所運転再開により札幌中心部と旭川一部へ送電が再開されたとはいえ、未曽有の停電へ対応が急がれています。

 北海道電力によれば1600時の時点で復旧が進み、札幌市と旭川市と苫小牧市に室蘭市及び安平町等28自治体の一部地域32万9000戸で電力供給が再開、残る停電は260万戸です。奈井江火力発電所と知内火力発電所の再稼働を今夜中にも完了させる方針で、経済産業省によれば今夜中に水力発電所発電と合せ120万kWの道内供給再開を目指す、とのこと。

 泊原発外部電源喪失、最大の懸案は本日1300時過ぎにすべて復旧しました。冷温停止中の原発も原子炉燃料棒は崩壊熱を放出し続けており冷却停止となれば暴走し最悪の場合は炉心融解まで達します。外部電源は元々三系統六回線あり、今朝の地震発生後0325時には六回線全てが寸断、非常用電源で冷却を続けましたが一応一系統一回線が復旧、引き続き復旧作業中です。

 札幌市は1995年阪神大震災における神戸市のような大規模な被害は今回発生しておらず幸いでした。札幌市内では清田区の丘陵地の盛り土住宅街において液状化現象による被害が生じ、道路陥没などが札幌市北区で発生しまして、住宅被害もかなりのものとなりましたが、市街地が広範被災する阪神大震災神戸市長田野のような大火災は今回起きていません。

 交通復旧について。JR北海道は本日すべての列車を始発から運休しています。正午過ぎまで稚内から函館まで北海道全域が停電し、架線や信号機を動かせず、又停電により踏切遮断器等が下りたままとなり自動車通行へも影響が生じていました。JR北海道では明日正午まで全列車運行中止を決定、今後電力供給を待って安全確認の後運行再開を行うとのこと。

 新千歳空港、飛行場機能は維持されていますが本日全便運休となりました。ターミナルビル管理会社である新千歳空港ターミナルビルディングはターミナルビルの天井落下や手荷物管理システムの停止により、千歳空港への電力供給が再開された場合でも、システム点検などが必要である事から、運航再開まで更に半日を要追記するものと見通しを示しています。

 【2330時追記】空港再開について、NHK報道によれば新千歳空港は夕刻から電力供給が回復し、本日2130時頃、停電から回復する事となり通常電力へ切り替わったとの事です。当初は電力回復から旅客機運行再開まで半日程度を要するとしてきましたが、航空各社は電力供給回復を受け今夜中に運航スケジュール調整を行い、明日7日から運行再開を目指しているとのこと。

 停電について経済産業省は今夜中に120万戸分にあたる150万kWの発電を達成する方針とのことで、政府も明朝までに100世帯分の電力供給回復の方針で様々な施策を進めています。北海道電力は保有する25台の電源車を主要な病院等の社会インフラ維持へ充てると共に全国電力各社から150台の電源車確保を進めており、明日中に35台が到着する見込み。

 携帯電話基地局、長期化する停電により影響が生じ始めています。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク各社の携帯電話が北海道内で繋がりにくくなっている、本日2232時NHK報道がりました。元々携帯電話基地局は停電時に非常用電源で交換を維持しますが、既に発災から19時間近くを経ており、携帯電話各社は移動基地局と発電装置手配を進めています。

 札幌市清田区での液状化と見られる現象、当初は水道管破裂と報じられていましたが1420時NHK報道によれば専門家の分析として液状化現象であると報じています。その専門家の話として今回液状化現象が発生した清田区里塚では過去の1968年と2003年に発生した十勝沖地震などでも同地では液状化現象が発生しているとのこと。JR北海道運転再開について、明日午後から北海道新幹線運行再開を目指し調整中との事、在来線運行再開見通しは立っていない。

 石狩低地東縁断層帯、政府地震調査委員会は警戒を続けてきました今回の震源地付近に存在が確認されている石狩低地東縁断層帯と今回の地震震源を慎重に検証した結果、今回の地震は石狩低地東縁断層帯を原因とするものではないとしており、一方今回の地震発生により周辺の断層帯が地震を起こしやすくなったとして、特に注意を要するとしています。

 平成三〇年北海道胆振東部地震と命名した気象庁は、石狩低地東縁断層帯も含め今後一週間程度震度七程度の地震に注意するよう呼びかけています。また気象庁では今後震源地となった地域付近では降雨が予想されており、揺れの強かった地域では家屋倒壊と土砂災害などの危険性が高まっているとして、地震活動や雨の状況に注意するよう呼びかけました。

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【防災速報】北海道地震M6.7:道央道南被害道内全域停電,千歳空港閉鎖とJR北海道全運休

2018-09-06 07:00:07 | 防災・災害派遣
■北海道で震度六強
地震に関する速報です。第一報として本日0700時に速報を掲載し、1215時に記事を大幅に補強しました。

北海道で地震が発生しました。第二北大路機関で情報集積中で、順次北大路機関防災情報として情報は随時更新されます。本情報は大規模災害時の流言飛語防止の観点から、全てNHK報道、NHK中継での政府公式会見、中央省庁公式情報、以上を情報源として掲載しています。第二北大路機関では本日0605時の第一報以降順次情報を掲載中ですが、以下に1200時時点での情報をまとめました。

地震発生から現時点1212時時点で九時間が経過しています。そこで、現在の情報という事でNHK報道をまとめました。現地の現時点の写真を撮影できないため、第一報の最初の二枚は航空自衛隊千歳基地の、まだ以降の写真は被災地を警備隊区としている陸上自衛隊第7師団の写真と共に紹介しています。現在自衛隊は、4000名規模の災害派遣を実施中で2万5000名体制まで拡大し対応すると政府が発表しました。

本日6日0308時、北海道安平町付近を震源とする震度6強の地震が発生しました。安平町付近と記載したのは気象庁地震計が震源地付近で機能停止となっている為です。この安平町は札幌市から90kmの距離にあり、新千歳空港のある千歳市から東南に20km、夕張市から真南に70km、フェリー等が入港する苫小牧市から北東に50kmの立地にあります。

土砂崩れが人命に関わる最大の被害です。厚真町とむかわ町では詳しい地震データが入っていません。厚真町では大規模な土砂崩れが町内三箇所で発生しているほか、厚真町では町内の山間部吉野地区と富里地区と高丘地区で土砂崩れが発生、NHK1035時報道では32名、NHK1100時の報道では39名と多数の行方不明者が出ており、救助活動が展開中です。

土砂崩れの要因ですが火山性地形が考えられる。厚真町付近には火山爆発指数5の大噴火を1739年に起こした千歳市の樽前山があり、過去一万年に五回のプリニー式噴火を引き起こしています。これは富士山宝永噴火と同規模で、周辺地形は火山堆積物の上に植生が広がる地形で、直下型地震で火山性地形の表層部が一斉に地すべりを起こした可能性がある。

震度を市町村ごとに挙げますと、震度6強が安平町、震度6弱が千歳市、震度5強が札幌市北区、苫小牧市、江別市、三笠市、恵庭市、長沼町、新ひだか町、震度5弱が函館市、室蘭市、岩見沢市、登別市、伊達市、北広島市、石狩市、新篠津村、南幌町、由仁町、栗山町、白老町です。道南の多くは震度4から3ですが函館市では震度5弱を観測しました。

死傷者について、NHK1044時報道によれば少なくとも負傷者127名と 32名が安否不明となっています。1057時のNHK報道では北海道庁の発表として、むかわ町で1名の死亡が確認されたとのこと。また、札幌市災害対策本部がまとめた情報によれば、本日0800時の時点で負傷者87名が出ている他、札幌市内での被害通報は発表で399件に上るとのこと。

原発の情報です。北海道内には札幌市から西へ100km離れた泊村に北海道電力泊原子力発電所があり、3基の原子炉が現在東日本大震災後の停止状態にあります。原発は停止状態であっても冷却が停止した場合は崩壊熱により原子炉が暴走し炉心融解に至る危険がありますが、現在北海道全域が停電中で外部電源喪失状態にあり、非常用電源が冷却中とのこと。

停電、発災から七時間を経ても北海道内は地震発生と同時に稚内から函館までの全域で停電中です。これは震源に近い厚真町に北海道最大の苫東厚真発電所が操業しており、北海道電力総発電量795.7万kWに対し厚真町と苫小牧の三箇所の火力発電所だけで260万kWを発電しています。206万kWの泊原発が停止中で元々道内電力供給は逼迫していました。

苫東厚真発電所は施設が損傷している、1121時の菅官房長官記者会見で発表されています。北海道電力では火力発電所が地震発生を受けすべて同時に停止させたことで295万戸が停電した為、信号機や高速道路ゲートを含め広範囲に断水しているほか、携帯電話等も一部でつながりにくい状況となっており、JR在来線や第三セクター、地下鉄市電も停止中です。

停電復旧へ北海道電力では水力発電所を利用する事としており、道内は揚水式水力発電所として静内川の高見発電所、新冠川の新冠発電所、尻別川の京極発電所が合計80万kWの発電量を、石狩川系ダム水路式の滝里発電所、豊平発電所、雨竜発電所が合計16万kWの発電量がある為、まずこの電力を用いて順次道内の火力発電所再稼働を開始する方針です。

病院について、全域停電中の道内では災害拠点病院の内少なくとも20か所が自家発電装置により患者受け入れを行っていると0808時NHK報道にあり、1031時のNHK報道では加藤厚生労働大臣の厚生労働省災害対策本部会議の後に、災害対策拠点病院の自家発電等に触れたうえで、救急患者の受け入れ自体を中止している病院はない、と発表しています。

ここからは1245時追記分、千歳基地の写真とともに。札幌市内の被害では市内で液状化が確認されているほか、室内での店頭や落下物により負傷者が発生しています。札幌市の被害は清田区において水道管破裂による土砂流失が発生しており、報道映像を見る限りには勾配に沿って道路上を土砂が流れ出て堆積している事から、水道管破裂という情報と共に液状化の特性と一致、液状化現象の可能性があります。

札幌市ではこのほか、北区において大規模な道路の陥没などが発生しています。札幌市北区は小樽市に近く、震源から若干距離がありますが、北区を中心に87名の負傷者が発生しています。苫小牧港では液状化による沈下が確認されました。NHK1046時報道によれば東港区コンテナターミナルと西港区埠頭で液状化が確認され、埠頭が10cm沈下したとのこと。

新千歳空港は閉鎖、旭川空港は通常運航となっています。新千歳空港は航空機発着が可能で航空自衛隊千歳基地を中心に航空救助拠点となる事が予想されます、滑走路などの発着施設や航空管制施設は機能しますが、千歳空港ターミナルビル管理会社によればターミナルビルに被害が生じ、本日6日一杯閉鎖するとのこと。旭川空港は自家発電で運行中です。

帯広空港も自家発電により旅客機の運行と空港ターミナルビルの運営が可能とのことで、旭川空港と帯広空港の羽田便は予定通り運航するとNHK報道がありました。一方、1240時時点でJR北海道は停電により北海道新幹線を含めたすべての列車が運行できず、NHKの札幌駅からの中継によれば券売機も停止しているとのこと。復旧の目途も立ちません。

フェリー海路での北海道への移動ですが、青森と大間から航路が運行中です。NHK1133時報道によれば津軽海峡フェリーの函館青森航路は運休中ですが、津軽海峡フェリーの函館大間航路は運行されているとのこと。青函フェリーは函館と青森の航路を運航している他、ハートランドフェリーの道内奥尻と江差航路と奥尻とせたな航路も運行中とのことです。以上が1244時までの更新です。

1255時更新、空港について、釧路空港と中標津空港は自家発電装置により通常運航するとの事ですが、釧路空港からの関西空港への便は関西空港閉鎖に伴い運休されるとのこと。女満別空港は1000時の便を最後に自家発電燃料が少なくなり運休になり空港は1400時に閉鎖されるとのこと。函館空港は新千歳空港便や成田便と中空便等、8便のみが欠航となっています。

泊原発は三号炉のみ外部電源が復旧しました、NHK1252時報道です。外部電源復旧は1213時とのこと。ただ、一号炉と二号炉の外部電源復旧はまだとのことで、非常用ディーゼル発電機が稼働しているとのこと。この他燃料貯蔵プールなどの冷却も非常用ディーゼル発電機により対応しているとのことで、東京電力などが電源車の派遣準備に当っています。以上が1255時の更新です。この他は第二北大路機関防災情報をご覧ください。


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【京都幕間旅情】平野神社,“桜”の神紋と三十六歌仙絵冠す入母屋造拝殿の台風21号被害前

2018-09-05 20:08:09 | 写真
■二十二社,天変地異凶兆に奉幣
 平成三〇年度台風21号により京都は昨日多大な被害を受けましたが、個人的に親しんだ平野神社拝殿も倒壊してしまいました。そこで早春に撮影の在りし日の本殿を復興を祈念しつつ紹介します。

 平野神社、桜花名所は洛中洛外数多いけれども、平野神社は“桜”を神紋として奉じる。北大路通りを金閣寺道経て西大路通りに至り尚進んでゆきますと平野神社と大書された境内が西大路通り沿いに佇んでいまして、鎮守の森が鬱蒼と茂る情景は静寂を大路に伝える。

 大鳥居は平野皇大神の扁額と共に比叡山の方角から愛宕山の方角へ本殿を拝する仕切りとなっていまして、実は西大路通りの境内情景は本当に鎮守の森を見上げているだけであるのですが、本殿と拝殿へと続く。しかし南門の方角を向けば桜並木が集い深く広がります。

 桜を神紋に奉じる平野神社ですが、創祀は奈良時代以前と花見が梅花の時代まで遡る永い歴史を有し、平野の地に創建されたのは平安京遷都から延暦年間の794年から806年とされます。歴史永い社殿は、今木皇大神、久度大神、古開大神、比売大神を祀っています。

 比翼春日造という平野神社本殿、参拝に礼し平常大安天下安寧を願うとともに見上げる本殿は四殿二棟という比翼春日造の独特の造りとなっていまして、江戸時代前期の寛永年間に造営された様式です。四殿二棟は神々を一つ一つに祀る平野神社独特の神々に由来する。

 桓武天皇、平安遷都として都を京都へ遷した桓武帝の皇太后高野新笠、その祖神今木皇大神を主神として第一殿に祀る社殿は、第二殿に久度大神、第三殿に古開大神、第四殿に比売大神を、と北の第一殿から一柱を祀り詣でるという平野神社古来の参拝作法があります。

 春日造檜皮葺薫る社殿は初期に二殿二棟第一第二殿連結第三第四殿連結様式、安土桃山時代には四棟第一第二殿第三第四殿独立様式、江戸時代初期に三棟第一第二殿連結第三第四殿は独立様式、変容繰り返していまして四神を如何に神威祀るかの試行錯誤がみえるよう。

 今木皇大神はこうした由来がり、古くから皇太子守護という神威を以て奉られている為、朝廷からの崇敬も桓武帝以来永く続いています。そして創祀が奈良時代まで遡ると先述しました通り、ここ平野の地に創建の前に平城京へ鎮座していたとの研究が近年ありました。

 官幣大社として、戦後は神社本庁別表神社として列せられています。実はこうした歴史を湛えつつ、しかし中世以降荒廃した時代もあったとの事で寛永年間に入り公家参議西洞院時慶の呼びかけで幕府からの社領100石の寄進があり、本殿拝殿中門再建した歴史がある。

 拝殿は江戸時代慶安年間の1650年に東福門院徳川和子より寄進を受けたものといい、接木様式の桁行二間梁行一間という構造です、丁度ここの情景を魅入っていた処ににわか雨があり、霧雨が衣笠山から舞った刹那の雨滴とほんの一瞬に虹が掛り、深く印象的でしたね。

 三十六歌仙絵が入母屋造の拝殿に気風を示していますが、関白近衛基煕の書と海北友雪の画と共に17世紀中期、平松時量の寄進として飾られています。帝国海軍重巡洋艦衣笠の写真も奉納されていますが、衣笠の威容は平野神社から艦名由来の衣笠山を近くに望むため。

 平野神社の大鳥居は、北野天満宮から指呼の距離にありますが、実は皇太子守護と共に源氏や平氏と高階氏に大江氏、中原氏と清原氏や菅原氏の秋篠氏と臣籍降下氏族の豪族貴族の氏神としても信仰を集めて、平野神社と北野天満宮の近い鎮座はこうした所縁がある。

 二十二社として11世紀以降天変地異や凶兆に朝廷から奉幣を受ける神社一つに数えられる平野神社、桜花溢れる境内は桜の神紋由来考えるのですが、この社殿を氏神として湛える諸氏が桜花と共に全国で活躍した事が花見を観梅から観桜としたのか、と考えた次第です。

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台風21号本土上陸:第二室戸台風越える高潮と大阪湾過去最大潮位,西日本蹂躙し日本海北上

2018-09-04 20:18:59 | 防災・災害派遣
■台風21号,能登半島沖を北上
 台風21号、第二室戸台風や伊勢湾台風と共通点の多い、非常に危険な台風が本日西日本を縦断しました。

 NHK報道等によれば本日1900時の時点で台風21号による被害は死者2名、負傷者126名で、大阪府堺市での屋根修理中の転落、滋賀県東近江市での倉庫倒壊による下敷き、により亡くなったとのこと。京都でも京都駅で駅ビルの大型ガラスが落下し負傷者が、また嵐山では渡月橋の欄干が強風で破損しました。現在台風は能登半島付近を北上中という。

 日本海を進む台風21号は現在中心気圧970hps、速度は北北西へ65km/hの速度で進んでおり、このまま予報円の中心を進んだ場合、明朝0500時頃に北海道留萌沖の日本海上を北海道に上陸する事無くロシア沿海州方面に向かい、そのまま大陸へ上陸するものとみられていますが、台風が去った後も北日本、東日本を中心に豪雨への警戒が必要とされている。

 台風21号は非常に強い勢力を維持し本日1200時頃、徳島県に上陸しました。非常に強い勢力を保っての上陸は平成5年、実に25年以来という事から厳重に警戒されていました。特にこの台風21号は当初経路が5000名以上の犠牲者を出した1959年の伊勢湾台風と共通点の多い勢力と進路であり、大阪湾や伊勢湾沿岸部での高潮被害が懸念されていました。

 第二室戸台風、1961年に上陸し大阪湾沿岸に広く高潮被害を及ぼした台風、次第に予報円が定まると共に31平方kmが浸水した台風と共通点が指摘され、京阪神紀伊地区を中心に沿岸部へ避難指示が発令される事となりました。高知県室戸を掠め、正午ごろに徳島県に上陸した台風は45km/hと早く、台風進路上の関西国際空港は早々と滑走路を閉鎖します。

 高潮被害、2013年フィリピン台風30号被害、海上自衛隊から国際緊急援助隊としてヘリコプター搭載護衛艦いせ、が派遣されました巨大台風では突風被害や豪雨被害と共に高潮被害が非常に大きな脅威となりました。2005年ハリケーンカトリーナ被害や昨年大被害が出たプエルトリコのハリケーンマリア被害も、高潮に呑込まれ多くの犠牲者がでています。

 高潮は水位上昇でも高波でもなく、海水面が台風の気圧に吸い上げられることで上昇し、また台風の暴風に押されて速度とともに沿岸部に襲い掛かるという、台風30号被災者の表現を借りるならば、津波の様に海が押し寄せてきた、という。1959年伊勢湾台風でも犠牲者の多くは高潮により流失した貯木場材木などが次々と木造家屋を圧潰させたためのもの。

 神戸市内沿岸部に台風が四国から再上陸したのは1400時頃、この時点で大阪湾沿岸部は台風による高潮が引き起こした3m以上の異常潮位に見舞われており、大阪港では第二室戸台風の過去最高潮位である2.9mを上回る極めて危険な状況が報じられるとともに、京阪神地区からは次々に河川氾濫情報が発令、この頃には台風の速度は65km/hへ早まっていました。

 関西国際空港は瞬間最大風速58kmを観測するなど強風被害を受けると共に海抜の低いA滑走路が冠水し、続いて誘導路、駐機スポット、貨物ターミナル、業務用搬入路、バスターミナル等が冠水、また、関空連絡橋は走錨の航空機用燃料タンカーが衝突し橋梁施設とタンカーが共に破損する被害を受け、現在のところ関西国際空港は孤立状態にあるもよう。

 暴風被害、大阪府南部を中心に家屋の屋根が飛ばされ、鉄筋構造の頑丈な建物もガラス破損飛散被害、また倉庫や看板などが飛散し浸水被害により救助を求める通報が多数警察消防へ寄せられたとの事ですが、暴風下では救助活動が不可能であるとして救助見合わせ、となる状況が相次ぎました。京都府と滋賀県を中心に広い記録的豪雨の観測もこの頃です。

 しかし、大阪港等台風の北上に併せ潮位は下がり、最も警戒された夕刻の満潮時刻と大夫接近が重なる状況は回避できたようです。それでも大阪港で観測された潮位は第二室戸台風の1961年に記録された過去最高の潮位を上回っており、これがもし満潮時刻と台風直撃が重なったら潮位は、と考えますと、まさに僥倖であったとしかいいようがありません。

 教訓として。今回、大阪府南部を中心に救助要請が出されたものの、暴風下では救助活動を行えないとの判断から警察や消防が救助を見合わせる、という事例が報じられました。警察にも消防にも限界がありますので、この判断は正解であったと考えますが、避難準備情報、避難勧告、避難指示、警戒情報に一つ、今回の教訓は反映できないものでしょうか。

 救助等一時中止、この警報を避難指示に併せて発令する事は出来ないでしょうか。要するに、避難勧告と共に避難所に避難しなかった場合、被災しても自己責任、というものではなく現実問題として避難所以外の被災者を自治体は警察や消防により救助する事が暴風下で物理的に出来ない、という通知で、避難指示の重大性を広く周知する為に必要では、と。

 職員避難命令、避難勧告と同時に新たに自治体首長から発令する新しい命令に、自治体職員へ首長が権限として職員に避難命令を発令するというもの。避難指示では分りにくいという非難が西日本豪雨災害時にありましたが、憲法上の財産権等の基本的人権から家屋という財産を放棄し退避を強制する権限は首長にはありません、しかし緊急度を知らせたい。

 警戒区域、として災害救助法に基づき政府には首相の権限で強制退去を命じる権限は、例えば原子力非常事態等に際し付与されていますが、ここまでの権限を首長に持たせる事は現行憲法では難しい。しかし、首長は自治体職員に対しては命令権限遭有りますので、住民に対しては自己判断を含め避難勧告、一方職員には避難命令を発令する事は、できます。

 避難こそが唯一の防災への王道、と考える中で、職員避難命令と救助等一時中止、という方法は、勿論遮二無二救助を中断し避難所運営職員も退去させるというものではなく、防災職員や可能な範囲内での救助は継続する例外は含めるべきですが、警察や消防でも救助出来ない状況がある、これを直接選挙で選ばれた首長が命じる事は避難を促進しましょう。

 台風21号、今年最大規模の勢力を以て日本に上陸した台風は平成でも有数の破壊力を有していました。その被害の全容はまだ把握されていません。報道以外に通信不通の地域もあり得ます、実際に友人知人からの情報だけでも家屋損壊や鉄筋構造物の破損、相当に上ります。従って明日以降、判明する新たな被害もあるかもしれません、こうした中で言あに安全を確保するか、簡単ですが大きな課題です。

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【G7X撮影速報】横須賀サマーフェスタ2018,最新潜水艦-砕氷艦-イージス艦(2018-08-04)

2018-09-03 20:07:28 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■最新潜水艦せいりゅう初登場
 真夏の活況から一ヶ月ほど経ってしまいましたが、横須賀サマーフェスタ2018の様子を紹介しましょう、サマーフェスタは毎年恒例の横須賀基地一般公開行事です。

 潜水艦せいりゅうSS-509SEIRYU、横須賀サマーフェスタで一般公開されていました。乗艦公開も為されていましたが、潜水艦上での撮影はご遠慮ください、という。せいりゅう竣工は今年3月12日、そうりゅう型潜水艦の今年就役したばかりの最新鋭潜水艦だ。

 横須賀サマーフェスタ2018、清水港祭り2018からの転進です。砕氷艦しらせ、護衛艦たかなみ、練習艦せとゆき、逸見桟橋に並ぶ。到着時間から、横須賀サマーフェスタの艦船一般公開が間に合う時間に何とか到着できたというところでしょうか。清水から少し遠い。

 JR東日本の横須賀線が田浦駅を出て横須賀駅へトンネルを一つ二つと通過しますと、目の前に海が広がると共に護衛艦が眼前に屏風絵巻のように並ぶ威容が見えます。吉倉桟橋に停泊する護衛艦を三秒四秒の刹那でも眺めますと、横須賀へやってきたなあ、とおもう。

 しらせ一般公開、砕氷艦しらせ艦上へ早速乗艦しました。舷門で一礼し艦首旗へも一礼、昨年の横須賀サマーフェスタでも見学した砕氷艦しらせ、ほぼ一年ぶりの探訪となりました。しらせ建造はユニバーサル造船舞鶴事業所ですので京都出身の砕氷艦、となりますね。

 横須賀地方隊所属砕氷艦しらせ、基準排水量12650t、満載排水量22000tの大型艦で、しらせ二代目として初代しらせ代艦として建造されました。探検家白瀬矗が発見した白瀬氷河というリュツォ-ホルム湾最奥部に位置する全長85kmに及ぶ氷河が由来となっています。

 初代しらせ、は基準排水量11600tと1981年に竣工し海上自衛隊では補給艦ましゅう竣工までは最大の自衛艦でした。建造当時最大の護衛艦は基準排水量5200tの護衛艦くらま、1993年竣工のイージス艦こんごう、も基準排水量7200t、しらせ、は本当に大型でした。

 ひゅうが竣工により基準排水量13500tの護衛艦は、砕氷艦を遥かに上回るものとなり、19500t型護衛艦として続いて護衛艦いずも型の、いずも、かが、が建造されています。しかし、興味深い事に新砕氷艦設計当時、基準排水量20000t型とする案があったのですね。

 20000t型砕氷艦構想、砕氷艦建造予算は文部科学省所管、年々厚みを増す南極の氷海を進むにはより大型の砕氷艦が必要であるという認識でした。しかし、艦名の命名は運用を担う海上自衛隊が自衛艦命名規則に依拠して付与します、砕氷艦は地名か名所旧跡、となる。

 大和雪原、やまとゆきはらと読むこちらも探検家白瀬矗が発見した南極の地名ですが、一部には基準排水量20000tとなっていたらば、艦名は現行の砕氷艦しらせ、ではなく、砕氷艦やまと、と推す声があったともあくまで噂の範疇ですけれども、自衛艦やまと、という。

 みずほ高原という地名もありますが、巡視船みずほ、が名古屋港を母港として海上保安庁の任務に当っていますので、重複してしまいます。しかし、砕氷艦やまと、であれば重なりません。基準排水量20000tであれば満載排水量は30000tに近いものとなり、大きい。

 かが基準排水量が19500tですので、護衛艦よりも砕氷艦の方が大型、という時代が再来した事となります。平和国家日本らしい、といえるかもしれませんね。もっとも、大型砕氷艦、ここまで大型となると輸送力を重視し全通飛行甲板を採用していたかもしれませんが。

 たかなみ、せとゆき、は入港中ですが一般公開は為されていませんでした。しかし、吉倉桟橋に接岸していますアメリカ海軍ミサイル駆逐艦ベンフォードが一般公開されていまして、まだ乗艦時間内という。アメリカのイージス艦は久しぶり、そちらへと向かいました。

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【日曜特集】金沢駐屯地創設63周年記念行事(1)第14連隊,もののふ群像(2013-09-08)

2018-09-02 20:02:39 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■金沢,戒田重雄連隊長へ敬礼
 日曜特集、今回からは金沢駐屯地祭、戒田重雄連隊長が指揮する第14普通科連隊の記念行事を紹介しましょう。

 第14普通科連隊、金沢駐屯地に駐屯する陸上自衛隊の普通科連隊です。京阪神と北陸とを結ぶ歴史的所縁を思い起こせば伊丹市千僧の第3師団との所縁を想いますが、第14普通科連隊は東海北陸地方を警備管区とする名古屋第10師団隷下の普通科連隊となっています。

 もののふ群像、かや書房出版の書籍ですが陸上自衛隊普通科部隊について、物語形式にて訓練や日常風景と自衛官という個人や指揮官の視点から描いている書籍です。部隊の舞台は冷戦時代の金沢、第14普通科連隊です。この本、図書館などにも並んでいる事が多い。

 金沢駐屯地、実は行事を見に行こう、と思った背景には高校生時代に読んだこの本の影響がありまして、106mm無反動砲や64式小銃の時代、現行軽装甲機動車や79式対舟艇対戦車誘導弾の時代よりも前の情景が広がっていますが、この一冊で普通科連隊を知ったもの。

 普通科連隊、といいましてもインターネット普及前の時代には、なかなか福知山駐屯地や信太山駐屯地に行くには難しく、なにしろ駐屯地祭がいつ行われているかは地連の掲示板に頼るほかなかった、という時代です。そんな中で一冊丸ごと普通科連隊紹介は貴重だ。

 加賀百万石、歴史情緒あふれる地域の普通科連隊、というのではなく、十年以上前に初めて金沢駐屯地祭へ歩みを進めた背景には、高校生時代に読んだ“もののふ群像”の舞台を自分も歩んでみたい、という認識が大きかった。そして行事の規模が凄かったのですよね。

 痛車に初めて乗せてもらったのもこの時でした。訳が分からない、と北海道から九州まで返されるのですが、当日、地元の方に駐屯地行かれるのでしたら一緒にどうですか、とお誘いいただきまして、ありがたい、と。その車が偶然魔法少女的な自動車だった、という。

 兼六園も散策しましたし、とにかく行ってみた金沢は面白かった、そして、何故か当方、金沢大学の研究会の方々とご縁が出来まして、金沢がぐっと近くなったのが当時でした。ご縁、というものは大事でして、そして重ねて金沢駐屯地祭撮影へ展開したという構図だ。

 小松空港から首都圏の研究会などに出席していまして、当時はブルートレインの寝台特急北陸、夜行急行能登が運行中でしたし、新潟まで上越新幹線で出れば東京からの帰路は早いとも思ったのですが、北陸地方と東京の距離感というものを感じたのもこの頃でしたね。

 大阪駅にて先日サンダーバードの終発を見送りましたが、金沢行の特急は指定席が満員、対して四月に新幹線かがやき乗車の際に以外に指定席に空席が多かった点から、首都圏と北陸の繫がりよりも、京阪神と北陸の繫がりを痛感しました、そんな金沢でのおはなし。

 古都金沢、加賀百万石の前田家が治めた北陸の金沢は北陸最大の都市として、また今日では、石川県県庁所在地として栄え、歴史と伝統の街との機運豊かに兼六園と金沢城が広がり、そして旧制四高が置かれ泉鏡花始め文学と学問の気風が薫る街並みが広がっています。

 金沢第九師団、近現代史に造詣の深い方ならば、この陸軍精鋭師団をご存知でしょう、日清戦争後の三国干渉等情勢緊迫化を背景に創設、日露戦争において旅順要塞攻防戦において膨大な犠牲を経て遂に制圧、太平洋戦争では最終的に台湾を戦場から守り抜きました。

 陸上自衛隊創設と共に第10師団隷下にあって第14普通科連隊は北陸地方の石川県全域と共に福井県と富山県を防衛警備管区とし、一個連隊にて北陸三県を担当するという、その広大な警備管区から第14普通科連隊は北陸方面隊と云われるほどの重責を担っています。

 北陸方面隊、との別名がもたれる北陸地方ですが富山県に隣接する新潟県は高田の第2普通科連隊と新発田の第30普通科連隊が担当していました。これは新潟県に万一着上陸を許せば本州を縦貫し首都東京まで敵脅威下に置かれるという防衛上の観点からの措置でした。

 専守防衛の我が国、しかし日本海の対岸には自由主義の価値観を必ずしも共有しない脅威が存在し、冷戦時代、対岸のソ連からの着上陸は我が国最大の防衛課題でした。日本本土へ着上陸を行う際には絶対に兵站中継地と策源地、そしてその連絡線が不可欠となります。

 北海道北部、最も着上陸の蓋然性が高かったのは沿海州に最も近く樺太島を兵站中継地と出来る立地です、ここには陸上自衛隊は最精鋭師団の一つ、第2師団を駐屯させ防衛警備に充ててました。北海道の北部方面隊には戦車団や特科団が置かれ今日も機甲師団が在る。

 北海道東部、北方領土から中口径火砲の射程内にある道東地区も着上陸の蓋然性が高い立地です。ただ、万一の際は宗谷海峡を封鎖する事で兵站連絡線を抑える事は出来た。道東地区は第5師団が守りを固めていましたが地形障害が少なく増援を受けにくい地形でした。

 青函地区、冬季にも航行が可能である津軽海峡、その両岸の青函地区は道南の第11師団と東北北部の青森第9師団が抑止力を利かせていましたが、万一この地域に脅威が及んだ際には北海道全域が孤立化する懸念があり、冷戦下、我が国防衛上の最重要地域の一つです。

 北陸地方ですが、日本本土全域を制圧する着上陸、とは可能性が非常に低かったのですが、限定戦争、つまり我が国一部を占領し、その制圧下に置く事で有利な外交交渉の条件を引き出す、善隣条約締結や日米安保破棄の圧力、港湾租借等強要という可能性がありました。

 能登半島、第14普通科連隊と第10師団が最も想定していたのは日本海に突き出た能登半島北部を兵站策源地とし、北陸地方全域に対し圧力をかけるという限定侵攻の可能性でしょう。同じことが新潟の第12師団管区には佐渡島への限定侵攻の可能性も考えられました。

 勿論、水陸両用作戦とは兵站拠点と兵站連絡線、そして水陸両用部隊と航空部隊の連携に続く主力部隊の上陸、これらを陸海空御支援下で推進するという一大事業です。着上陸予定地に例えば一個中隊が布陣しているだけでも、実行可否は非常に大きな影響を与えうる。

 第14普通科連隊の重責は、冷戦時代に日本海沿岸への軍事圧力の増大へ、日本海のどの地域に対しても限定侵攻を許さないという姿勢を示すと共に、有事の際には脅威正面へ即応し転地可能な体制を維持し、北陸の地から必要な抑止力を北陸と全国へ轟かすことでした。

 基盤的防衛力整備、1976年の防衛大綱において明示され、統合機動防衛力の2010年代まで続きました防衛戦略は、全国に画一的防衛力を配置し防衛基盤とする、その上で有事の際には防衛基盤を急速に強化する事で抑止力を実的防衛力へ昇華させる、という指針です。

 普通科連隊の配置は、この基盤的防衛力整備を確たる水準とする為の基本であり、併せて近接戦闘部隊の極致である普通科部隊を全国に駐屯させるという施策です。実際、戦闘の本質は土地の収奪、直接戦闘にて敵に銃剣を突きつけなければ、戦闘に決着はつきません。

 もののふ群像、戦闘の本質云々の上記は、この作中にあった一つでもあるのですが、ね。金沢駐屯地は、金沢市の高台にあり金沢駅からも路線バスが運行されています。市の中心部から少し距離がありますが、この一冊の舞台となった駐屯地というのが感慨深いですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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