北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自民党総裁選二〇一八:安倍総理が石破元幹事長乗越え三期目,日本憲政史上最長政権実現へ

2018-09-20 20:03:49 | 国際・政治
■安倍総理大臣党総裁三期目
 日本の将来へ選挙民へ国政選挙に際し指針を示す与党、その総裁選は非常に大きな関心事です。

 自民党総裁選が本日投票日を迎え、安倍総理大臣と石破元幹事長が論戦と遊説を通じ、安倍総理大臣が国会議員票八割と党員票六割弱を獲得し石破元幹事長に勝利しました。しかし、石破元幹事長も国会議員票の苦戦に対し党員票は四割強を獲得しており、次の総裁選に自信をつけるかたちとなりました。安倍総理は三期目、今回が最後の総裁選となります。

 長期政権を実現した安倍内閣、総裁任期は三年間である為、基本的に明治憲法下と日本国憲法施政下において、最長の在任期間となるでしょう。総裁選の勝利を受け内閣改造や政権運営などに着手する事となります。今回は総裁選に敗れた石破元幹事長は、しかし自民党の多様性を示す事が出来たと成果を自負し、保守政党の安定性を示す事にもなりました。

 憲法問題が総裁選の大きな論点となった事は非常に時代の変容を感じさせるものです。石破元幹事長の非常事態条項盛り込みを優先しての自衛隊憲法明記の延期は言い換えれば災害や戦時等の有事の際には憲法九条を含め非常事態条項として憲法を停止させる事に含みを残しましたし、安倍総理は日本国憲法改正へ自衛権保持と自衛隊明記を主張した訳です。

 安全保障環境の激変は、冷戦時代の超大国間の全面核戦争脅威から変容し地域的脅威や国際公序の変容という不確かな時代を思わせるものとなっていますが、特に中国海洋進出強化と南シナ海地域への海洋閉塞への戦力投射、台湾問題での台湾友好国への債務漬問題と一帯一路経済圏によるインフラ投資を通じた内政干渉の拡大、転換点を越えたといえる。

 日米安全保障協力は冷戦時代、特に国土防衛特化した防衛力を求められ、周辺地域の安定維持は在日米軍と在比米軍の投射力に依拠した地域安定が維持されていましたが、中国の海洋進出増大と冷戦終結直後の在比米軍全面撤退はその均衡に影響を及ぼしており、現在の平和主義を維持し平和の変容を呑むか、平和の維持を第一とするか、首相の責務は重い。

 日米首脳会談が月末にも予定されていますが、安全保障協力とは対照的に日米自動車交渉という課題が残ります。米国利上げ政策とECB欧州中央銀行資産買入終了が間近になり、為替は円安に大きく進む可能性もある事から日米の貿易摩擦は更に大きなものとなる可能性があります。変動相場制の神の見えざる手により重要な日米関係へ摩擦が膨らむという。しかし、何を買うか、アメリカ製自動車は関税なしで現状です。すると、必要なものは何か、と。

 財政再建と異次元緩和金融政策、大量の赤字国債発行は対内債務であり各国が悩む対外債務とは異なるものであるとは認識されていますが、財政健全化の視点から歳入を大幅に上回る歳出については大きな論点となってきました。しかし、今回の総裁選では国土強靭化計画筆頭とした防災インフラ整備では安倍総理も石破元幹事長も理解を示した構図でした。

 西日本豪雨、台風21号災害、大阪府北部地震、胆振東部地震、安倍総理は国土強靭化計画の三年間延長を10日の総裁選演説会で発言し、石破元幹事長も災害時の代替路線確保の観点から日本海側新幹線高速道路未整備区間解消の必要性を示しています、これは同時に緊縮財政からの転換も意味する。この緊縮財政路線見直しと対米貿易赤字解消、F-35やAH-64E,イージスへ連接する可能性もあるでしょう。

 現代史に残る長期政権となる安倍政権、国内の財政問題、大規模災害への対処能力拡大の急務、日米貿易摩擦という戦後史を一貫する論点の再燃、中国海洋進出と一帯一路地域への干渉拡大、日ロ戦後交渉と欧米ロシア摩擦の日本への影響、向かうべき課題は山積していますが、危機に際し安定政権が臨むという結論を自民党員は選びました。今後の辣腕を期待しましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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防衛予算二〇一九検証【2】航空機&艦艇調達計画,17機&3隻取得と13機&40隻改修延命

2018-09-19 20:14:33 | 国際・政治
■F-35A六機&3900tFFM二隻
 平成31年度防衛省概算要求、その主要装備調達概要を視てみましょう。

 航空機について、新規調達は17機となっており、この他に延命や改修が13機です。陸上自衛隊が新多用途ヘリコプターUH-Xを6機110億円のみ。海上自衛隊は新規調達なし。航空自衛隊はF-35A戦闘機6機を916億円、C-2輸送機2機457億円、新早期警戒機E-2Dが2機544億円のみ。共同運用機にRQ-4B無人偵察機1機81億円です。

 航空機調達は延命改修が中心となっており、海上自衛隊は固定翼哨戒機P-3C機齢延伸を5機23億円、哨戒ヘリコプターSH-60KとSH-60Jの機齢延伸が5機76億円、この他にP-3C哨戒機搭載レーダーの能力向上等が盛り込まれています。なかでもSH-60Kの延命改修は3機63億円で要求されており、いよいよ新型といわれたSH-60Kの延命も開始された訳です。

 戦闘機F-15の能力向上が2機101億円、早期警戒管制機E-767の能力向上が改修費用1機で129億円、となっています。航空機の要求については以上の通り。陸上自衛隊はV-22可動翼航空機の調達が終了し、UH-Xの調達が開始されていますが、一方でUH-60JA多用途ヘリコプターとAH-1S対戦車ヘリコプター延命改修はそろそろ必要となるかもしれない。

 V-22の調達がひと段落しましたが、陸上自衛隊では対戦車ヘリコプター隊のAH-1Sが対戦車ヘリコプター隊の数がそのままの状態で後継機無き耐用年数限界に伴う用途廃止が進み、観測ヘリコプターOH-6Dも同様の状況となっています。任務がなくなるならば兎も角、現状で災害派遣には毎年多数が運用されており、遠からず重大影響となる可能性もあります。

 海上自衛隊艦艇取得は、護衛艦2隻995億円、潜水艦1隻711億円です。護衛艦は3900t型護衛艦、30FFMと呼称され毎年二隻建造を実現するために費用を抑えた、かつてコンパクト護衛艦と呼ばれつつ基準排水量でミサイル護衛艦たちかぜ型と同じ大きさとなった護衛艦を2隻、昨年度に続いて要求されています。この他小型支援船等も要求されている。

 艦艇延命は、あさぎり型護衛艦の艦齢延伸工事2隻と部品取得に3億円、あぶくま型護衛艦の艦齢延伸が工事1隻に0.1億円、こんごう型護衛艦の艦齢延伸が2隻分の部品取得に26億円、むらさめ型護衛艦の艦齢延伸に部品取得1隻が32億円、となっています。おやしお型潜水艦の艦齢延伸が工事4隻と部品取得3隻で62億円、潜水艦22隻体制へと進む。

 延命改修は更に、ひびき型音響測定艦の艦齢延伸が工事2隻に11億円、とわだ型補給艦の艦齢延伸が部品取得1隻と工事1隻で3億円とのこと。また部分改修に当る能力向上に、たかなみ型護衛艦の短SAMシステムの能力向上が工事1隻で0.6億円、護衛艦CIWS高性能20㎜機関砲の近代化改修、あきづき型護衛艦等のマルチスタティック対潜能力向上など。

 護衛艦戦闘指揮システムの近代化改修、短SAMシステム3型等の計算機能力の向上、護衛艦の戦闘指揮システムと電子計算機等更新といった護衛艦の能力向上は部品調達と工事を併せ9隻に49億円の費用が、おやしお型潜水艦戦闘指揮システムの近代化改修が工事1隻2億円、この他に潜水艦救難艦ちはや改修として部品1隻分が23億円で要求されました。

 海上自衛隊はP-1哨戒機について多年度分一括取得を実施した関係から今年度の調達がありません。一方、戦闘機並みの費用を要する哨戒ヘリコプターについては継続的に延命を実施し、艦載機としての能力維持を持続的に進めています。護衛艦については、システム改修を中心に延命が続けられる一方、掃海艇の新規取得が停滞している点が気になります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G7X撮影速報】小松基地航空祭/'18航空祭inKOMATSU,観衆12万3千名(2018-09-17)

2018-09-18 20:06:05 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■F-15第6航空団&飛行教導群
 F-15戦闘機の迫力を実感するべく、日本最大のF-15戦闘機部隊基地、石川県は小松基地航空祭へ行ってきました。

 小松基地航空祭2018、月曜日は昨日敬老の日に盛大に挙行されました。小松基地は第6航空団と飛行教導群が展開する日本海防空の中枢ですが、併せて北陸空の玄関口である小松空港と併用、北陸新幹線金沢開業後は旅客数は落ち込むも東京九州沖縄北海道とを結ぶ。

 G7X撮影速報、CANONのコンパクトデジタルカメラPowershotG7Xmark2にて速報です。実は雨天予報さえなければ、久々にEF300mmF2.8ISのレンズを担いで、と考えていたのですが今回は機動性重視、EF28-300mmISとEOS-7Dmark2での撮影に甘んじたしだい。

 '18航空祭inKOMATSUとして盛大に開かれた航空祭では、小松基地発表で来場者12万3000名と大変な盛況となりました。最大の目玉F-15大編隊飛行は本年10機が参加、その編隊が組みなおす最中を飛行教導群2機のF-15が刺激的な機動飛行連続で盛り上げました。

 石川県小松市、北陸の天候は変わりやすいという事、本年の小松基地航空祭も秋雨前線の影響から航空祭前一週間、航空祭挙行の敬老の日は北陸地方が悪天候という一点のみ、しかし降水確率は80%から20%まで乱高下しており、気象予報に一喜一憂するひと時が続く。

 第6航空団と飛行教導群が展開する小松、雨天予報ですが小松マジックは本年も健在で当日黎明まで北陸自動車道も敦賀付近では物凄い豪雨が続き、二年前に豪雨の狭間で曇天を縫い取った航空祭、あの日の鯖江付近の記録的短時間豪雨程ではないも、雨雲が心配事だ。

 小松マジックは信じつつ、しかし万一の雨天の際に全身冠水器材壊滅、の憂き目だけは回避したく、ゴアテックス雨衣上下、靴防滴カバー、カメラバック防滴カバー、カメラ防水カバー、予備撮影機材個別完全防水包装、万一のゲリラ豪雨へ備えた事はいうまでもない。

 日本海を望む小松基地は霊峰白山とともに日中順光の立地となっていまして、曇天でも雨天よりは次善とはいえ、やはり快晴の青空を背景に航空機を撮影したいもの、確かに曇天と雲が流れる事はありましたが、F-15大編隊の時間帯だけは完璧な青空に恵まれています。

 白山を借景に小松空港から撮影、という事も考えた一方、本年の航空祭は第6航空団F-15航空祭記念塗装と共に茨城県百里基地より第302飛行隊F-4がファントム運用終了記念特別塗装機として小松基地へ展開しており、この優美な地上展示も注目の一つとなりました。

 12万3000名の来場者ですが、小松基地の運営は航空自衛隊屈指の技量で、航空自衛隊広報の主力ブルーインパルス前を子供専用席として開放し、また脚立や椅子席の管理を重点化することで、この規模の来場者でも過ごし易く飛行展示を堪能できるようなっています。

 飛行教導群の宮崎県新田原基地より小松基地移転後は航空祭の機動飛行が更に冴え、その精強ぶりを一目見ようと会場は開門前に物凄い行列でした。基地南門付近の会場前行列は遠く滑走路エンド付近まで延び、正門行列も基地沿道と遠く小松駅へ二又に延々と続く。

 F-15戦闘機航空祭特別塗装とともに機動飛行が大きな魅力の航空祭、成程最前列から滑走路を羽ばたく瞬間を撮影するには早朝から並ばなければなりません。開門一時間前の時点で開門待ちの行列は滑走路エンド付近という頭上を旅客機が飛ぶ立地まで延びていました。

 ブルーインパルスも早朝からの行列が遥か続く中、当方一行はロードバイクによる“こころ旅”方式での駐車場から10km展開となり、自転車併用方式が威力を発揮です。小松基地を文字通り一周、三連休の有終の美を飾る航空祭を小松マジックで堪能できた次第です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【映画講評】ゴジラvsビオランテ(1989)【2】無人攻撃機スーパーX2と老兵61式戦車

2018-09-17 20:16:53 | 映画
■ゴジラvs自衛隊の軍事検証
 先週までリバイバル上映となっていましたゴジラvsビオランテ、今回からは軍事検証の視点からみてみましょう。

 ゴジラvsビオランテ、自衛隊撮影協力体制が過去にない規模で組まれています。演習場などで撮影された様子や木更津第1ヘリコプター団の大編隊等もV-107輸送ヘリコプター時代の貴重な映像、なにしろ大型のCH-47に機種転換後は32機定数となっていますが、V-107時代にはヘリコプター団の定数は40機、機数が大きくなればその分、迫力も凄い。

 怪獣映画といえば61式戦車でしょう。1964年公開のモスラ対ゴジラにて特車隊の新兵器として登場して以来、怪獣映画の定番となりました。90mm戦車砲はソ連軍のT-55戦車へ対抗する事を念頭に開発され、1970年代にはソ連軍の新型T-62戦車へ対抗する事が若干難しくなっていますが、車幅を3m以下、2.95mに抑えた為、貨物列車で輸送可能です。

 75式自走榴弾砲がゴジラvsビオランテ小説版では沿岸部において運用されていました。護衛案の127mm艦砲よりも強力な30口径155mm榴弾砲で射程は19km、自動装填装置により毎分6発の射撃が可能という、長砲身化したらばまだ世界で第一級の性能を有しています。自衛隊では既に2013年に引退しました。射程が長く、間合いも取れて理想的です。

 61式戦車、四式戦車や五式戦車という第二次世界大戦末期に本土決戦へ開発され、75mm高射砲を転用した高初速砲を採用、M-4戦車に対抗可能、M-26戦車に対しても従来の日本戦車以上に対抗できる性能を持ちつつ実戦を経験しなかった戦車、戦後初の国産戦車61式戦車は技術的延長にある戦車です。一度61式戦車で怪獣をやっつける映画を撮ってみたい。

 61式戦車、第3戦車大隊と第10戦車大隊の61式戦車が多数並ぶ様子も作品中に示されていました。当時の映画パンフレットには富士総合火力演習にて大規模なロケを実施した、とありますが、富士総合火力演習は富士教導団戦車教導隊に加えて第1戦車大隊と第12戦車大隊が支援に参加する事はあるようですが、第3戦車大隊と第10戦車大隊はどうか、と。

 今津駐屯地においてロケをおこなったのではないか、整列していた第3戦車大隊と第10戦車大隊の規模は小隊規模というような参加ではなく、もっとおおきなものです。1989年といいますと、90式戦車の開発が進む中、一応劇中には実車ではありませんが90式戦車とよく似た複合装甲を有する戦車は参加していました、しかし、あのころの主力は74式戦車だ。

 61式戦車でゴジラと立ち向かうのは嫌だなあ、率直な印象です。90mm戦車砲はステレオ式照準器を採用、測距に時間を要すると共に74式戦車に搭載される砲安定装置が搭載されていない為に行進間射撃も出来ません、その上に狭軌貨物鉄道輸送を念頭に車幅を抑えた代償に車高が高く、重量も74式戦車の38tに対して61式戦車は35tしかありません。

 74式戦車よりも61式戦車は車高が高いという事で前方投影面積が大きくなっているのですが、その分重量は一割ほど軽い、要するに装甲が薄い、という事です。勿論ゴジラの熱線に74式戦車の避弾経始構造の敵戦車砲弾を滑らせて反らす構造がどの程度有効かは未知数ですが、それでも距離次第で、薄い装甲よりは厚い装甲の方がまだ生存確率が高くなる。

 ゴジラとの戦闘で61式戦車が有する最大の脆弱性はNBC防御能力の低さでしょう。1985年ゴジラ襲撃後の新宿副都心が放射性降下物により汚染されている様子が作品世界冒頭に画かれていますが、可能性として核燃料をエネルギー源とし、そのエネルギーを元に高熱の熱線を放射する生物であるゴジラは、相当量の放射性物質を蓄積している可能性が高い。

 旧式戦車でゴジラに立ち向かう以上、少なくとも掩砲所を構築し、地形防御と反射面陣地を徹底し、戦車をゴジラに正面から向き合わぬよう戦闘するべきです。残念ながら劇中、若狭湾決戦にて戦車部隊は待機位置に大隊規模で集合、陣地構築の時間が無かった事を意味します。無人攻撃機スーパーX2が配備される予算がありながら、61式戦車も残っている。

 スーパーX2、ゴジラvsビオランテにおける象徴的な装備です。運用は陸上自衛隊ですが、潜水艦としての機能を有し、超音速巡航も可能という。恐らく物凄い予算を要する装備で、陸上自衛隊が運用している様子は、余り者維持費に他の正面装備取得を圧迫するとして海上自衛隊や航空自衛隊が管理を嫌がった為、押し付けられたとの構図なのかもしれません。

 ファイヤーミラー、原理は不明ですがゴジラの熱線を反射する装備を有しており、極めて有用な装備といえます。空対艦ミサイルや大口径機関砲、長魚雷までを搭載する無人攻撃機です。全長34mと全幅16mと全高11mということですので、重量は発表されていませんが、軽量ならばヘリコプター搭載護衛艦はるな型からも大きさの上では運用可能です。

 防備隊に配備されていた11号型魚雷艇が全長35mと全幅9.2mで自重を示す基準排水量100t、前型にあたるスーパーXは全長27mに全幅20mと全高11mで最大離陸重量が150t、はるな型護衛艦等に搭載される54口径127mm単装砲の総重量が58tです。巡航速度はマッハ1、無人機ながら電波が通じない海中で潜水艦としても運用できる陸上自衛隊の装備だ。

 イージスアショアの陸上自衛隊管理、と昨今の情勢を比較しますとゴジラvsビオランテの作品世界でも陸上自衛隊は押し付けられたのかもしれません。そしてこの無人航空機スーパーX2は1985年に東京に上陸したゴジラを迎撃し、最終的に撃墜破壊されるも一定の足止めを実現した自動炊飯器型VTOL攻撃機スーパーXの後継機、という位置づけです。

 正式名称は陸上自衛隊幕僚監部付実験航空隊首都防衛移動要塞T-1号、という長い正式名称のVTOL攻撃機が1985年のゴジラ襲撃に際し出動、元々は核戦争に際しての政府中枢退避用航空機として開発され、設計時点でゴジラを想定していないものの核攻撃を想定し全体をチタン合金により装甲化し、熱線に耐える構造と共に多数の火器を搭載している。

 スーパーXと呼称される首都防衛移動要塞、緊急追加搭載のゴジラの核反応を抑える新型化学剤カドミウム弾を搭載し一定の効果を挙げましたが、恐らく追加搭載の際に当初施されていた核電磁パルス対策の防護材が外されたのでしょう、暴発したソ連核ミサイルと迎撃に当った米軍ミサイルとの高高度核爆発により核電磁パルスが発生、一時不時着している。

 スーパーX2は後継機として開発、主契約企業は三友重工とのこと。三友重工とは、恐らく三菱重工と住友精密工業の合弁会社なのでしょう。要求仕様はスーパーXが首都防衛用航空機という設定であったのに対しスーパーX2は元々から巨大生物災害を想定し開発された専用航空機です、こうしますと特殊器材となり企業連合による開発を行う方が合理性は高い。

 三友重工が企業連合体の合弁企業であるという推測ですが、世界を見ますとこうした実例はあります。欧州共通攻撃機となったトーネード攻撃機等も開発参加国となるイギリスとドイツにイタリアが国際合弁会社パナヴィアエアクラフト社を創設しましたし、我が国でも過去には国産旅客機YS-11開発製造の際にも合弁会社日本航空機製造が創立されている。

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【日曜特集】岐阜基地航空祭2014【6】飛実団,異機種大編隊第一飛行展示(2014-11-23)

2018-09-16 20:07:31 | 航空自衛隊 装備名鑑
■岐阜航空祭多機種の最大名物
 岐阜基地航空祭、いよいよ戦闘機から練習機に輸送機まで多機種の航空機が編隊飛行、異機種大編隊が展開される瞬間がやってまいりました。

 日本は専守防衛だからこそ戦闘機を始め主要な装備の自主開発能力を持つ必要がある、自主開発できなくとも開発を行う姿勢を見せなければ、第一線航空機を供給する国からの政治的圧力に屈しやすく、専守防衛を堅持する事への政治的な空隙を醸成しかねない。

 一方で、日本は武器輸出三原則を拡大運用した事で、海外への装備供給という選択肢を敢えて封じており、結果的に量産効果のうすい割高な防衛装備品を調達することしかならなくなりました。しかし、規制を行う国の兵器輸出は購入側からも厳しいものがあります。

 スウェーデン製軍用短機関銃はヴェトナム戦争中にアメリカ軍の准制式火器となっていたのですが、スウェーデンはヴェトナム戦争に反対する立場から輸出を中止し、アメリカはS&W社に代替装備開発を依頼しています。これは受け手からすれば重大な問題でしょう。

 中立国などには供給を維持していましたが、スウェーデン装備は近年の武装中立政策転換まで、それ程の多くは売れていません。その後は例えばCV-90装甲戦闘車が成功し欧州共通装甲戦闘車の地位を射止めたように、傑作装備を多数輸出するようになっていますが。

 日本の防衛産業は、レーダー等の汎用品や情報処理装置での躍進、画像素子と映像システム等は大きな評価を受け、多くの海外製装備品の基幹技術として転用されていますが、完成品としての装備品輸出は事実上不可能となっており、自衛隊専用ともなっています。

 結局近年の野田内閣による緩和措置までほぼ全ての防衛装備品を輸出できなくなりました。ただ、この政策の難点は日本製電子機器や汎用品には兵器転用可能な技術が多く、武器を輸出していないわが国でも、その政策は思った程の世界から評価を受けていない点です。

 その一方で、これは輸出による量産効果を目指すには破滅的な禁止政策なのですが、これをもとに高コスト化を擁護する究極の保護政策ともなりえる、海外へ輸出を自制するのだから海外から輸入も自由自在としない、いわば防衛装備品の鎖国政策ともいえました。

 限られた予算ですが、日本は防衛装備開発を、それこそ草創期は国産戦闘機などもってのほか、作業服や防寒着などの被服の開発や、缶飯はじめ糧食関連の装備開発など、いわば太平洋戦争で灰燼に帰した軍需産業の生き残り、小規模なものに限られる事となりました。

 そして連合国により廃止されることなく民生事業へ転換した新興産業を再編し協力しての防衛産業育成でした。しかし、1950年の朝鮮戦争勃発とともに国連軍装備整備や補給などの日本における重工業復興の端緒についたことから、転換点を迎える事となります。

 日本の装備開発は、戦後の自衛隊草創期こそ分野は限られていましたものの、将来はすべての分野で国産化を志向し、その一例で航空防衛では世界最高水準の戦闘機を含め航空機開発を目指す、という防衛力整備と防衛産業の一体化により進展していったわけですね。

 F15戦闘機を航空自衛隊は最終的に213機導入しましたが、F-15、この施策は日本の防衛政策をその後30年以上にわたって大きく貢献することとなりました。これを調達費用が半分程度であるといってF16を導入した場合ではこのようになったかはわかりません。

 F-14戦闘機が導入当時には大きな競争相手として認識されていますが、長距離迎撃能力があるとして有力視されつつ費用面で導入にいたら無かったF14を導入していた場合でもここまでの実績は残せなかったでしょう。それはF-15の高い発展性が裏付けていました。

 アメリカ空軍が将来戦闘機として当時は戦闘爆撃機として航空阻止能力が重視されていた戦闘機開発に敢えて一線を画し、1960年代に開発を開始したF15は迎撃専用の戦闘機を一歩凌駕し、航空優勢を喪失している空域へ長大な航続距離をもって展開する戦闘機です。

 敵制空権下へ進出するF-15戦闘機は相手の迎撃戦闘機をすべて撃墜することで制空権を確保するという、制空戦闘機、という性能を期して開発された戦闘機です。このため、長大な航続距離を有する戦闘機として開発され、火器管制装置も最高度の物を搭載しました。

 しかし、当時は戦闘機に様々な性能を盛り込んだ場合、機体が重く鈍重となり軽量戦闘機との格闘戦に勝てない、という問題を含んでいました。航続距離を稼ぐには大量の燃料を搭載、遠距離戦闘を行うには空対空ミサイルの大型化とレーダーを受け入れねばならない。

 この点についてはアメリカ空軍もヴェトナム戦争においてF4ファントムが遙かに格下のMiG21戦闘機やMiG19戦闘機に格闘戦を挑まれ苦戦した経験があります。空軍には軽量戦闘機もありましたが、軽量戦闘機は戦闘行動半径の問題から主流とはなり得ていません。

 F4ファントムは、当時としては長距離レーダーを搭載し専門のレーダー管制要員を搭乗させる複座型を基本としています。これにより軽量戦闘機の攻撃を受けた場合は高度なレーダーによりその接近を長距離から捕捉し、専門のレーダー管制士官が追尾してゆきます。

 長射程のスパローミサイルにより一方的に撃墜する、という運用を基本としていました。しかし、混戦となりますと遠距離を隔てた目標が味方のF100スーパーセイバーが戦闘爆撃任務に当たっているのか、敵のMiG19が攻撃を行っているのか、簡単にはわかりません。

 識別、そこでIFFという敵味方識別装置を搭載し、レーダーを照射した場合に味方戦闘機であれば応答する自動識別装置を搭載したのですが、これがよく故障する。結果、あてにならないので肉眼で目標を確認することとなり、この確認の間隙で格闘戦になってしまう。

 F4ファントムはF104スターファイター戦闘機が一基搭載するJ79エンジンを二基搭載しています。このJ79はアメリカがジェットエンジン草創期から高性能と世界の第一線を担っていたイギリスのロールスロイス社製エンジンを初めて上回った高性能エンジンでした。

 F-4戦闘機はそのJ79エンジンをF4は二基搭載しています。機体は大型レーダーの搭載で確かに重い機体ですがJ79の双発でこれを上回る高性能を発揮できましたので、MiG21に対抗することは充分可能でした。空対空戦闘でも運動性能は当時の戦闘機として充分です。

 ただ、当初F4はミサイルキャリアーとして格闘戦を想定した訓練が不十分であったことから、訓練を転換するまでは苦戦を強いられました。初期型には機関砲不要論の影響があり、これも設計時点で格闘戦不要論が海空軍の要求仕様に影響していたとも言えるでしょう。

 ここでF4を運用していた海軍は専門教育課程として有名なトップガンをミラマー航空基地に設置しますが、同時に海軍と空軍が次期戦闘機の開発を開始しました。作戦運用環境と航空戦闘の様相転換へ対応する、文字通り世代交代を期した戦闘機を欲した訳ですね。

 F111アードバークとして海軍と空軍の共通戦闘機を開発していましたが、これはミサイルキャリアー時代の象徴するような航空機として開発されていまして、実体は戦闘爆撃機、いや爆撃機が戦闘機の形状をしている、多少自衛戦闘は可能な爆撃機、という設計だ。

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中央観閲式2018:平成30年度自衛隊記念日行事自衛隊観閲式,埼玉県朝霞駐屯地で実施へ

2018-09-15 20:12:37 | 北大路機関 広報
■中央観閲式,陸上自衛隊発表
 平成時代最後の自衛隊記念日行事、平成30年度自衛隊記念日行事は中央観閲式となるようです。

 平成30年度自衛隊記念日行事として自衛隊観閲式が挙行される事となりました。これは陸上自衛隊HPに自衛隊記念日行事として“自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣(観閲官)の観閲を受けることにより、隊員の使命の自覚及び士気の高揚を図るとともに、防衛力の主力を展示し、自衛隊に対する国民の理解と信頼を深めるもの”と紹介されています。

 自衛隊記念日観閲式は東部方面総監部の置かれる埼玉県朝霞駐屯地において挙行され、三年に一度の実施となっています。そして三年に一度、陸上自衛隊を主力としてほぼ同規模にて東部方面隊記念行事が執り行われており、自衛隊記念日観閲式の前年に東部方面隊記念観閲式が行われ、一種自衛隊記念日観閲式の前年予行行事の様な印象をもっていました。

 航空観閲式が昨年度実施される事となりましたが、実任務増大を背景に予行行事を充分行う事が出来ず、式典にはアメリカ空軍B-1B,B-2戦略爆撃機が参加する事となっていましたが、航空加熱式会場である百里基地周辺が本番当日に悪天候による視界不良から観閲官が航空観閲部隊を観閲できないとの事情もあり、自衛隊史上初の悪天候中止ともなっている。

 朝霞駐屯地での自衛隊記念日観閲式は中央観閲式と伝統的に親しまれ、自衛隊記念日行事とされる以前は毎年挙行されていましたが1995年より自衛隊記念日行事は陸海空自衛隊持ち回りとなり、陸上自衛隊だけの観閲式典から陸海空自衛隊の観閲式、陸海空自衛隊員と海空自衛隊の航空機や装備も観閲行進および観閲飛行へ参加、と大きく変容した次第です。

 明治神宮外苑において自衛隊中央観閲式が挙行されていた時代もあり、車両部隊待機位置の朝霞駐屯地から明治神宮外苑へ延々機械化部隊が進む様子は国民と自衛隊が接する貴重な機会ともなっていましたが、1970年代から都心交通量増大を受け大規模交通規制が難しくなったことから、式典会場を朝霞駐屯地へと改め訓練場地区において行われています。

 お台場地区で行う事は出来ないか、かつて石原東京都知事時代に自衛隊記念日行事が国民と自衛隊との重要な関わりであったものが、朝霞駐屯地での実施により接点がなくなった事への疑問符から、都心で当時比較的余裕のあるお台場再開発地区ならば自衛隊部隊が待機し式典挙行も可能であるとして検討はされたようですが、残念ながら実現していません。

 自衛隊観艦式、本年は当初海上自衛隊艦隊を相模湾に多数展開させ、内閣総理大臣を観閲官として執り行う自衛隊観艦式が予定されていました。しかし、春ごろの報道により、本年は自衛隊観艦式を来年度実施とし、自衛隊記念日観閲式を行う、と報じられ、観艦式も三年に一度の国威発揚行事であり、その延期は少々驚かされた一方、中々公式発表がない。

 報道に驚かされると共に、公式発表がありません。自衛隊観艦式が挙行されるならば公募制にて一般見学も可能である為、横須賀基地や横浜港より宿泊先の確保等が必要という事で、早く公式情報を出すようにとこちらへも催促が寄せられるほどの状況でしたが、今回、陸上自衛隊が平成30年度自衛隊記念日行事自衛隊観閲式を行う公式発表になった訳ですね。

 東京五輪二〇二〇開催に併せ、報道では陸上自衛隊朝霞駐屯地では射撃競技が実施される事となっている為、競技会場準備の関係上で来年度予定の自衛隊観閲式を朝霞駐屯地では実施出来ないという事情があるようです。一方自衛隊観艦式を行うにも警戒監視任務とミサイル防衛任務により年次業務計画画定時に余裕が無いと事情もあったのかもしれません。中央観閲式日時はまだ発表されていません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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平成三〇年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.09.15-09.17)

2018-09-14 20:10:36 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 この日はついに来た、三連休です。皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事紹介です。

 小松基地航空祭、月曜日開催です。毎回降雨予報や台風接近の中で敢行されるのですが、昨年は台風18号接近下で行われました。しかしなぜか晴れる、小松マジックと呼ばれるのはお天気運の強さから、悪天候予報でも降らないという。白山の女神くくり姫に愛される航空祭ではないか、と考えてしまう僥倖が続く航空祭なのですが、本年は台風22号が大きく外れ、しかし秋雨前線が近い。

 日本海側唯一の戦闘機部隊基地である小松基地、第6航空団のF-15要撃飛行隊2個と飛行教導群のF-15部隊が展開し、千歳基地や那覇基地を越える自衛隊最大のF-15戦闘機部隊基地、F-15総数では沖縄のアメリカ空軍嘉手納基地と同等、編隊飛行規模に期待ですね。本年はブルーインパルス飛行展示、TVアニメガーリーエアフォースイベントが行われる。

 横田基地日米友好祭、本年も土曜日と日曜日に実施されます。在日米軍司令部、アメリカ第五空軍司令部、航空自衛隊航空総隊司令部、日米指揮調整所、日本と極東地域防空司令部機能の中枢で空軍第374輸送航空団のC-130J-30輸送機が配備されています。昨年は台風影響でB-1B爆撃機等の参加が軒並み中止、本年目玉は空軍の新鋭CV-22可動翼機です。

 金沢駐屯地創設68周年記念行事、日曜日に行われまして月曜日の小松航空祭と掛け持ちも可能、第14普通科連隊の駐屯地です。北陸三県を防衛警備管区とする第14普通科連隊は別名北陸方面隊と称される精鋭普通科連隊で、訓練展示ではガラスを突き破る迫力の市街戦展示や火炎放射器が大地を焦がすほどの迫力と共に普通科隊員は戦車と共に突撃を行う。

 第5施設団創設57周年小郡駐屯地祭、西部方面隊の方面隊直轄部隊で、隷下に小郡駐屯地第9施設群と飯塚駐屯地第2施設群、第103施設器材隊や第303水際障害中隊及び第305ダンプ車両中隊がある。西部方面隊は本年三月に第8師団を即応機動連隊へ改編、西部方面特科連隊と西部方面戦車隊を統合新編し、新しい時代の新しい脅威へ直面しています。

 八戸航空基地祭、海上自衛隊八戸航空基地の航空祭行事です。ただ、先週発生しました北海道胆振東部地震の影響を受け行事自粛と縮小開催となりました。行事を航空基地祭から八戸航空基地一般開放と改めまして飛行展示全般は中止、地上展示のみ実施されるとのこと。航空基地HPには基地司令から胆振東部地震被災者の方へお見舞いが掛かれています。

 湯布院駐屯地創設62周年記念行事、西部方面特科隊の創設記念行事です。多連装ロケットシステムMLRSを装備する方面特科部隊で、前述の西部方面特科連隊とは別の全般火力支援部隊です。また駐屯地には水陸機動団特科大隊が本年三月に新編、本部中隊と第1中隊に火力誘導中隊、また団本部からの後方支援直接支援小隊や通信分遣隊が駐屯しています。

 さて撮影の話題。ゆるきゃん、という作品が少し前にアニメーション化されましたが、女子高生がキャンプするという日常系作品です。そして、此処で紹介されていたものにウルトラライトギア、という登山用に軽量化した、しかしその分費用も若干高めのキャンプ用具が紹介されていまして、原作によれば登山用という事で徹底的に圧縮され容積を抑える事が可能という。

 実は自衛隊行事撮影に際して、登山用品は意外と重宝され、特に雨天などに着用している方が多いものです。重要な視点はやはり雨天時の防寒防滴、そして登山用品の場合はかなり軽量化されているものが多く、万一雨天とならない場合でも重さをそれほど気にしなくて良いという利点があるのですね。カメラバックを防滴カバー付ザックとする人も居る。

 新京極のmont-bellを探してみますと中々興味深いものが見つかりますが、驚いたのは登山用防水一眼レフカバーという商品、水没すると厳しいですが、思い切り滝の飛沫が降り注ぐ程度ならば、短時間ですとなんとかなりそうなもの。カヌーなどで移動する際に撮影する方へ、ということなのでしょうか、雨天で使えそう。駐屯地=キャンプ、ですので、ね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・9月16日:八戸航空基地祭2018…http://www.mod.go.jp/msdf/hatinohe/
・9月15-16日:横田基地日米友好祭2018…http://www.airliftmagazine.com/
・9月16日:金沢駐屯地創設68周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/butai/sta/kanazawa/
・9月17日:小松基地航空祭2018…http://www.mod.go.jp/asdf/komatsu/
・9月16日:第5施設団創設57周年小郡駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/5eb/5ebhp/bcg/dantyou.html
・9月16日:湯布院駐屯地創設62周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/yufuin/


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ボストーク2018演習と日ロ平和条約無条件締結提案,30万兵力展開下の東方経済フォーラム

2018-09-13 20:16:30 | 国際・政治
■北海道対岸の三〇万巨大演習
 ロシア軍は現在中国軍と共にあのザーパト81演習上回る、過去40年間で視ても最大の演習を極東において展開中です。

 北海道地震から一週間、胆振東部地震の影響により自衛隊は北海道において10日より実施予定の日米合同演習中止を決定しています。この時期に予定された背景にはロシア軍が極東地域において大規模演習を実施する為で、過去にもロシア軍極東地区での大規模演習に併せ、北海道では航空部隊や戦車部隊を演習場に集結させ待機態勢を取った事があります。

 ロシアのプーチン大統領は安倍総理大臣とウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムに併せて共同記者会見に臨み、日ロ平和条約締結について、日本側が求める締結条件、北方領土返還を棚上げし無条件で年内に締結する提案を行いました。一見ロシアが日本へ平和を求めているように見えますが、極東地区では現在30万名が参加する演習が実施中です。

 ロシア極東地域において9月11日より大規模な軍事演習ボストーク2018が開始されました。東シベリア地区の演習場において開始された演習は15日まで実施され、ロシア国内へ侵攻した大規模な地上軍兵力をロシア軍が中国軍と協同し撃退する、という大国間の大規模戦闘を想定したものです。近年までテロ勢力掃討が主眼で、大きな転換といえましょう。

 軍事演習を背景に年内と期限を区切り平和条約締結を迫る。一方日本政府は北方領土が第二次世界大戦太平洋戦争の戦闘停止後に継続されたソ連軍の攻撃に対しその当初から抗議しており、千島列島の北海道に属する択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島、これらを北方領土としてソ連へ返還を求め続け、ロシアへ国家継承後も政府はこれを原則としています。

 ボストーク2018演習は極東地域での四年に一度の大規模演習という位置づけですが、今回の演習は30万もの大規模、実際陸海空自衛隊の総数よりも遥かに多い、規模であると共に中国軍が3200名という自衛隊旅団規模に当る参加となっている点が特色でしょう。中ロ関係、実際の友好関係以上に第三国がこの地域へ関与する場合への牽制が目的と思われる。

 本日13日にはプーチン大統領も演習を視察、ロシア軍と中国軍の演習参加要員を前に“ロシアの軍人に課せられた祖国に対する責務とは、国家の主権、安全、それに国益を守り抜くことだ。もし要請があれば、われわれは同盟国を支援する”(NHK13日1805時報道)と演説、この演習は原子力巡洋艦も参加しオホーツク海と北方領土周辺地域でも展開中です。

 ボストーク2018演習、現在実施中のロシア極東地域における最大規模の軍事演習です。その規模は人員30万名と車両3万6000輌及び航空機1000機、 艦艇80隻が参加するもので、中国人民解放軍3200名と車両1000両も参加している。ロシア軍は陸軍兵力35万名、戦車だけでも現役2560両と予備役に12500両を保管しており、今を以て大きな水準です。

 ザーパト81演習、ソ連時代の新冷戦期にソ連軍が実施した欧州正面における最大規模の軍事演習ザーパト81と比較しても、このボストーク2018演習は大規模である事が分ります。実際、ロシアのショイグ国防相もこのボストーク演習の規模を説明する際にザーパト81を明示しているほど。このザーパト81演習の参加規模が10万名ですので30万名は規格外だ。

 冷戦時代のザーパト81演習はその規模の大きさと共に着上陸訓練を伴っていたことから、北海道に軍事脅威を抱えていた陸上自衛隊も大きな関心を以て情報を収集していました。ソ連、そして現在のロシアにとり、北海道は太平洋へ向う宗谷海峡に面する戦略上の要衝です。ボストーク2018と比較されるザーパト81演習ですが、その概要を視てみましょう。

 バルト海沿岸白ロシア地方で実施のザーパト81演習は1981年9月4日から12日にかけ実施され、訓練統裁官にウスチーノフ国防相が陣頭に立ちました。ソ連軍は北軍と南軍の対抗方式で演習を実施、4日から9日までは大規模渡河訓練を含む機動訓練と物資集積や防空演習、艦隊運用と制空訓練を実施、9日からは陸上における対抗訓練が実施されています。

 白ロシア地域に展開の北軍は状況開始と共に大量の戦車装甲車を以て縦深攻撃を実施し南軍防衛線を突破、南軍の逆襲部隊を撃破すると共に河川強行渡河訓練を実施、対する南軍はグダニスク湾東部バルチースク付近へ逆上陸を実施、空母キエフ、ヘリコプター巡洋艦レニングラード、強襲揚陸艦イワンロゴフを中心とした艦艇80隻による逆上陸を行う。

 バルト海沿岸部での逆上陸は空挺部隊と呼応し南軍は北軍の侵攻に対し第二戦線構築に成功し、両翼包囲の機動を採りつつ北軍防衛線突破に成功、第一梯団による防御線突破に続く装甲戦闘車による第二梯団による戦果拡張というソ連軍電燈の縦深攻撃を成功させ、白ロシア北部の西ドビナ川を南軍戦車部隊が架橋渡河したところで、状況終了となりました。

 ザーパト81演習は当時ソ連衛星国であった東欧諸国の東ドイツ、ブルガリア、ハンガリーポーランド、ルーマニア、チェコスロバキア、そしてソ連友好国のモンゴルやヴェトナム、キューバの国防大臣が招かれ、一方1973年の全欧安全保障協力会議ヘルシンキ宣言に基づく大規模演習事前通知制度に反するとして4日、アメリカはソ連政府へ抗議しています。

 ボストーク2018演習、その演習状況の概要はまだ発表されていませんが、注目するべき点は冷戦時代、ソ連極東軍は中国人民解放軍の北上を警戒していた点に対し、今回は大規模な陸上侵攻への反撃を想定する演習で、中国人民解放軍を、非常に大きな規模で参加させている点に注目するべきでしょう。参加させる事は対中想定でない事の明示ともいえる。

 中ロ関係は安定状態にありますが、中国が求める先端兵器の中国引渡にロシアが応じない、中国へ供与装備の納期が異常に長く遅れる、など友好関係はあっても蜜月関係とは言い難い状態があります。その上で友好関係を強調する事は、アメリカなどの第三国がこの地域の一つの国と緊張状態に及んだ場合にもう一方がアメリカに組しないことの強調でしょう。

 アメリカに組しないとは、朝鮮半島情勢で米ロが緊張状態に陥った場合に中国はアメリカ支援に当らない、同時に、南シナ海緊張で米中間が摩擦状態となった際にロシアがアメリカへ支援しない、という、いわば中ロ関係の間に付け入る隙間は無い、という事を強調する事が、今回のボストーク2018演習へ中国軍3200名が参加した事の背景と考えられます。

 しかし、30万規模という演習は異常です。また、前述の通りこれまではISILのような武装勢力の大規模浸透等、テロ対策を訓練場の名目としてきたロシア軍大規模演習が国家間戦争を念頭に転換された事は、アメリカに対する示威行為である解釈した場合も、アメリカが掲げる自由主義と開かれた海洋原則という国際公序を共有する日本へも向けられている。

 安倍総理へ東方経済フォーラムにて平和条約を無条件で突き付けたプーチン大統領はそのままボストーク演習を視察しています。もちろん、国家間関係とは安易な友好関係と防衛安全保障を明確に区分して考える必要がある一方、ロシアとの友好関係の重要性は改めて強調するまでもありませんが、北海道の隣、こうした軍事力の存在を認識すべきでしょう。

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【映画講評】ゴジラvsビオランテ(1989)【1】岐阜の名画座ロイヤル劇場にて上映中

2018-09-12 20:13:10 | 映画
■平成ゴジラが挑む科学の倫理
 平成も本年で新しい元号へ転換する訳ですが、今回の映画講評は平成元年の映画、今週いっぱいリバイバル上映中の名画を考えてみたい。

 激動の昭和史沖縄決戦、先月岐阜市の岐阜駅より繁華街高島屋方面へ15分の映画館ロイヤル劇場にてリバイバル上映されました話題を紹介しました。今回も同じ映画館で娯楽の中に社会的命題を織り込み改めて観ますと考えさせられる映画という表現手段から考えてみようと思います。この映画は娯楽作ですが“科学の暴走と科学の倫理”を織り込んでいる。

 ゴジラvsビオランテ、1989年12月16日に公開されたゴジラシリーズ第17作です。間もなく公開から30年となりますが、この程岐阜県岐阜市の名画座ロイヤル劇場にてリバイバル上映となり、9月8日土曜日から今週金曜日まで公開されています。名画座へ延々と電車、青春18きっぷ期間が9月10日までで、木更津駐屯地祭が中止となった為、行ってみた。

 東宝映画を名画座で。北海道胆振東部地震災害派遣の影響で木更津駐屯地創設50周年記念航空祭が中止となりました、この為に代わりにゴジラの名画座へ、木更津よりも随分近い所へ休日を過ごしたわけですがこのゴジラvsビオランテでは木更津駐屯地格納庫が無人攻撃機スーパーX2格納庫として登場しています。大雨警報発令下で帰れるか心配でしたが。

 ゴジラシリーズ、平成ゴジラシリーズと後に区分される本作は1984年の“ゴジラ”続編に当り五年ぶりの制作となりました。“ゴジラ”は其の前作が1973年公開メカゴジラの逆襲、作中にF-4戦闘機が活躍し一方東宝映画名物ともなったメーザー兵器を登場させない等のリアル路線を“ゴジラ”は継承したものですが、事実上9年ぶりの制作という背景もある。

 ゴジラ、1984年世界観は1954年に初めてゴジラが出現して以降に一度も巨大生物が出現していないという平和裏な世界で、東宝映画が培った日本沈没や地震列島に東京湾炎上といった災害主題映画の描写様式を元に巨大生物災害という、1995年以降の平成ガメラシリーズが描いた状況を彷彿とさせる内容で描かれ、社会派作品ともなっている作品でした。

 冷戦時代の1984年、ソ連原潜をゴジラが撃沈し米軍攻撃と誤解したソ連軍が欧州NATO正面で第三次世界大戦一歩手前の緊張状態となる、1962年キューバ危機や1983年大韓航空機撃墜事件という偶発核戦争危機をゴジラに絡め、そして当時のSDI構想も絡め事故により東京へ向け発射されたソ連核ミサイルを米軍が宇宙空間で迎撃する踏み込んだ描写が。

 ゴジラvsビオランテはその続編に当るという世界観で、前作では晴海埠頭の自衛隊防衛線を突破し上陸したゴジラは国産VTOL攻撃機スーパーXの攻撃も排除し新宿副都心を蹂躙、動物科学に基づきゴジラを伊豆大島三原山へ誘導、大量爆薬同時炸裂により局所人口噴火を誘発させゴジラを三原山河口へ転落、一時的に脅威から回避、という終幕を迎えました。

 1986年チェルノブイリ原発事故では爆散した原子炉四号機を石棺として大量の鉛とコンクリートで封印しましたが、ゴジラvsビオランテの世界観は此れと似たもの。四号炉は黒鉛減速炉であった為に軽水炉の福島第一原発以上に被害は燦々たるものでしたが、ゴジラvsビオランテの世界観では、ゴジラが一時的に火口中に停滞しているのみ、という状況です。

 新宿副都心1985年、ゴジラvsビオランテ冒頭は前回のゴジラ被害後、廃墟の中から飛散したゴジラ外皮破片を自衛隊化学防護部隊が回収する描写から始まります。強力な自己修復力と全ての現代兵器や核爆発にも耐え溶岩中にも生存可能なゴジラ細胞は遺伝子工学上の革命をもたらす可能性を秘めており、各国遺伝子資本もこれを狙い、戦闘さえ起きた。

 抗核エネルギーバクテリアANEB、放射性物質を短時間で分解無力化する一種の生物兵器、放射性物質を熱量に転換する生物ゴジラの細胞からはこうした新遺伝子兵器を開発できる構図となる、仮に実現していれば福島第一原発事故も鎮静化出来たでしょう、付随被害が無ければ、という前提で。ゴジラvsビオランテはこの架空の遺伝子兵器が軸となります。

 核兵器は圧倒的破壊力や防護手段不在という視点から絶対兵器であり、また一旦使用すれば相互に非常な被害を及ぼすという最終兵器でもあります。抗核エネルギーバクテリアANEB、しかし核関連施設に対し散布したならば核兵器そのものを発射前に無力化する事が可能ですし、広範囲が放射性物質で汚染された場合にも短期間で完全除染が可能となる。

 相互確証破壊に依拠した核兵器秩序を根本から破綻させる可能性がある、ゴジラvsビオランテにおける抗核エネルギーバクテリアANEBとはこうした意味があった訳ですね。勿論、作品世界ではゴジラは1954年と1985年に出現したのみ、培養しようにも原料はゴジラが握っており、しかし、核兵器国を含め抗核エネルギーバクテリアANEBを欲する声は強い。

 産油国にもゴジラ細胞を核兵器、むしろ原子力という石油資源への脅威への牽制手段として、同時に自己修復力を持つ穀物細胞を開発出来れば砂漠を穀倉地帯に代えられるという建前とともに抗核エネルギーバクテリアANEBを手中にしようとする動きがあり、ゴジラvsビオランテは遺伝子戦争という、既に1980年代に現出した将来の不安を描いている。

 日本政府のゴジラ災害への取り組み、三原山火口直下にはゴジラが眠り、対策は画定されていました。ゴジラ対策立法が1985年のゴジラ災害後に制定、国土庁特殊災害研究会議として各省庁横断型の対策機構を設置、防衛庁も、統幕会議直轄の、しかしゴジラが出現しなければ全く仕事が無い防衛庁特殊戦略作戦室を置き統合運用体制と新装備を開発します。

 1990年に入り、三原山直下のゴジラに僅かな蠢動が確認されるようになり、ゴジラ再出現という脅威が現実鉄橋意図して認識されるようになります。抗核エネルギーバクテリアANEBの実用化を急ぐ必要が生じるのですが、一旦完成させてしまえば科学者の手を離れ政治の道具として暴走しかねない、1954年ゴジラのオキシジェンデストロイヤーと重なる。

 抗核エネルギーバクテリアANEB争奪戦は、しかし各国情報機関や遺伝子巨大資本との摩擦と衝突が結果的に日本国内での最初の完成に至るのですが、この強奪を巡る衝突の中で三原山火口部分が大規模なテロ攻撃を受け爆破、ゴジラが再出現してしまう。しかしその頃、抗核エネルギーバクテリアANEB開発を托した研究所近傍の芦ノ湖に巨大な植物が。

 科学の暴走と科学の倫理、とはANEBという本作の中軸そのものの背景にあります。信仰のない科学は不完全だ-科学のない信仰は盲目だ,とのアインシュタインの名言がありますがANEB開発を引き受けた日本人科学者は招聘先の海外研究所にて最愛の長女をゴジラ細胞巡るテロで失い、失意の中で遺伝子だけ生かしていたという、バラの細胞と融合させて。

 本作は防衛庁の協力を受け木更津駐屯地や東富士演習場でのロケ実施、実物装備が多数登場します。これはつまり富士総合火力演習が聖地巡礼になるということか。また演習画像などの提供を受け制作されています。そして、その場面想定にはいろいろ考えさせられる描写もありまして、勿論謎新兵器や謎の無人攻撃機も登場しますが、お勧めできる映画です。

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9.11米本土同時多発テロから17年,自民党総裁選論点に“憲法自衛隊明記と非常事態条項明記”

2018-09-11 20:02:40 | 北大路機関特別企画
■9.11,日本安全保障の転換点
 世界貿易センタービルへ旅客機が体当たりし炎上する様子が日本でもテレビ中継、その後世界中が非常事態の緊張に包まれた9.11、皆様はあの時何をしていましたか。

 9.11、本日は2001年同時多発テロから17年目の鎮魂の日となります。ただ、2005年のWeblog北大路機関創設当時と異なり、やはり17年の月日は長い。その上で明記しますと、9.11同時多発テロは当時の我が国安全保障政策の転換点となったことは確かです。有事立法さえ未整備であり、集団的自衛権行使に関する国会討議は一種禁忌に近かった時代です。

 自民党総裁選2018、あの同意多発テロから17年となりますが、安全保障環境はその後大きく変容を続け、自民党総裁選の公約に大きく憲法問題が掲げられ、安倍信三代議士の憲法改正による自衛隊明記、石破茂代議士の自衛隊明記を時期尚早としつつ非常時に憲法を停止する非常事態条項盛り込み、実のところ戦後憲政転換点となる論点が上がっています。

 アメリカ本土同時多発テロ、ハイジャックした旅客機をハイジャッカーがアメリカ本土中枢施設へ体当たり攻撃を行うという、外征型のアメリカ本土防衛の空隙を衝いたテロは、ニューヨーク世界貿易センタービル、アメリカ国防総省庁舎へ旅客機が衝突し、世界貿易センタービルは崩落、要塞構造の国防総省庁舎も旅客機衝突部分が大きく破損しました。

 テロとの戦い、東西冷戦構造終結後に新しい脅威は国家主体同士の戦いではなく、非国家主体の従来型軍事行動の定義外で行われる非対称の戦い、として新しい時代の戦争が始まり、これは我が国を服得た世界中の軍事機構や防衛戦略の根底に大きな影響を及ぼしました。そして我が国も1996年日米新防衛協力指針に続く安全保障法制の転換を迫られます。

 武力攻撃事態法が1998年の周辺事態法に重ね制定されたのは、9.11同時多発テロ後の海上自衛隊対テロ海上阻止行動給油支援としてアラビア海派遣を常続的に実施、また、テロ支援国家による大量破壊兵器拡散阻止を主務としたアメリカのイラク攻撃、2003年イラク戦争に伴う緊張とともに当時最大野党、民主党の賛同を以て有事法制三法が成立しました。

 日本政治は、自民党総裁選が現在進められ、現在二期目にあたり内閣総理大臣を務める安倍信三代議士と自民党幹事長や防衛庁長官を歴任した石破茂代議士が党首選に臨んでいます。実のところ武力攻撃事態法を制定した小泉内閣を継承した第一次安倍内閣が当時掲げたのは戦後レジームからの脱却、当初から憲法改正を志向し首相の職責に臨んでいます。

 安倍氏の憲法観は、憲法改正による自衛隊の存在明記を強く掲げ、次期国会に自民党改正案を提出できるよう取組、早期の発議を目指す、としています。自衛隊は合憲であるという反論はありますが、果たして自衛隊の装備が陸海空軍に当らないのか、集団的自衛権行使を伴う防衛強力が憲法上禁じられた国権の発動たる戦争に抵触しないかは議論の余地が。

 自衛隊は合憲と考える声が現在既に多く憲法改正の必要はない、という論調に対しては自衛隊の任務を含めて一国で脅威に対応できる最大限の防衛力を整備するか多国間防衛協力枠組を構築する、この部分まで含め合憲かは余地があり、自衛隊の存在理由たる外敵直接侵略に対する防衛へ武力攻撃事態法や平和安全法制を含め合憲かと問われれば一概には言えません。

 自衛隊を憲法に明記する事は、当然自衛隊の任務も含む。即ち現状司法府が統治行為論として政治問題は行政府の判断が司法府の判断となる旨に対し、我が国は自衛権を有する事を憲法上明記する、という憲法上曖昧とされた部分への明確な意思の表明であると共に、自衛権の上限を明確に示す事で事勿れ主義的な運用へ新しい指針を示す事となるでしょう。

 石破氏の憲法観は、自衛隊の憲法上明記に緊急性は無いとしつつ、参議院合区解消を挙げつつ、併せて大規模災害に対応するための緊急事態条項新設を優先するべき、としています。自衛隊明記の緊急性なし、とは言い換えれば緊急性生じた場合には、緊急対応する手段を内包している事が、緊急事態条項新設の優先性に盛り込まれている、とも考えられる。

 緊急事態条項新設、実は比較憲法として各国憲法を研究しますと、緊急事態条項とは非常事態に際して憲法上の財産権や基本的人権において明記されている条項を、勿論日本国憲法も公共の福祉という視点で留意させる条文となっているのですが、各国緊急事態法制では憲法を一時停止できる部分を盛り込んでいます。非常事態、平常ではない状況という。

 災害対策基本法として1961年には災害時の緊急時法制が整備されています。2011年の民主党政権時代の原子力災害特別措置法原子力緊急事態宣言も強制移住等を盛り込む一種の非常事態法制でしたが、憲法に盛り込むという意味は此れとは比較にならない。憲法上に非常事態宣言を盛り込むという改憲案は、自衛隊の明記以上に幅広い非常事態対処を、なにしろ憲法九条を停止できる、幅広く盛り込むといえる。

 安全保障は、有事法制制定以前は非常時に防衛庁内局が緊急検討し政府へ一括提出し、国会で速やかに成立する、として第一類、第二類、第三類が示されるという冷戦時代の枠組がありました。実は防衛庁部内で研究されているのではないかとの建前、緊急時に即座に成立するとは言っても非常時は短期的に超法規措置を強いられる可能性も指摘されました。

 同時多発テロは日本にとって、イスラム過激派の目標となる可能性は当然ありましたが、それ以上に日本ではオウム真理教による1995年地下鉄サリン事件を筆頭としたテロ事件の記憶が新しく、日本国土が戦場となる可能性を、実際に緊張度はありつつもその着手以前に冷静な議論が可能な時機に討議する、いわば一つの転換点となった事だけは確かでしょう。

 自民党総裁選は9月20日に国会議員票と党員票を以て新しい自民党総裁が選ばれます。これは即ち議院内閣制の我が国では最大与党党首は内閣総理大臣の選出を意味するのですが、その総裁選に臨む二人の候補が憲法観に憲法改正を共に提示し、一人は長らくの課題であった自衛隊の明記を、もう一つはより進んだ非常事態条項明記を提唱、時代は変わったものだと痛感します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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