ホモサピエンスの視覚は他の動植物と比較すると決して優れたものではない。ミツバチのように4原色を感知できず3原色しかできないのは、哺乳類として長い期間夜の生活をしすぎたのかもしれない。
脊椎動物としても本来あった頭頂眼も退化し、カナヘビやヤツメウナギのように三つめの眼があるわけではない。まあ、松果体としてホルモンを司る機能は残っているけど。
しかし、この視覚。現代においては科学技術のお陰で、デジタル化の恩恵もたくさんあり視覚によって、表面的には多くの恩恵を受けているようだ。
視覚で美しい数式を見たり、古典を読んだり、そして絵画や彫刻の美に触れたり、はたまた何千前の祖先の芸術に触れる。そんなことを考えていたら、この連休に急に上野に行きたくなった。
「生き甲斐の心理学」をU先生から学ぶようになってからは、美術館や博物館ではなるべく説明書きを見ず、こころに響くものに集中するようになった。見ることで湧き起こる喜怒哀楽を楽しむことでもあろう。
国立西洋美樹館は実に久しぶりだった。多分30年ぶりとか。特に常設展をじっくり見ることは今まで余りなかったかもしれない。今年はウクライナやコロナなどのこともあり、私自身はクリスチャンであるため復活祭を迎えるにあたり十字架の道行きなどに関心をもったこともあり、西洋博物館のキリスト教関係の美術に足がとまった。今まで素通りしていたものが前景になる。少し大人になったようだ。
縄文関係では石棒や土偶に眼がとまる。デフォルメされた作品を見ていると、大木が生い茂る縄文の森を思わずイメージしてしまう。写真は奥多摩で観た大木。
磨製石器で直径10センチ程度の木は簡単に切り倒せた縄文人も、直径が1mを越えるような大木が生い茂る森を見てどのような感情が湧き起こったのだろうか。現代の日本で森や大木に対する畏れ、自然や神仏に対する畏れを味わう機会は少なくなっている。
4/10 五感と喜怒哀楽
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縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。
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森 裕行
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