憲法集会5.3が県民文化会館であった。予想していたよりも多くの参加者があった。実数はわからないが、1000人を越えていたと思う。
渡辺治さんの講演は思ったよりもいいものであった。はじめに憲法が改訂される動きについての歴史的な説明があり、それがなぜ自民党から提唱できなかったか。これは主に60年安保の改定のときのような市民の反対運動の広がりを恐れての遺産であるという。
つぎに中国と北朝鮮の脅威はあるかという点についての具体的な説明があり、中国の17年つづけての軍事費の成長にもかかわらず、インフレで軍備を増強するには費用は十分ではなかったこと等により中国からの攻撃はありえないとのことであった。一方日本はさほどのインフレなしに20年の長きにわたって防衛予算の増大が行われてきたという。軍事国家とは日本もまたそういう風に言うことが出来る。
また北朝鮮の40万の軍隊の大部分は韓国との国境沿いに配備されている。北朝鮮の総予算は沖縄県の予算よりも小さいことそれも北朝鮮が日本をもし攻めてきたら、すぐに撃破が出来るくらいの装備と要員を自衛隊はもっている。特に北朝鮮の艦艇というのは漁船に毛が生えたくらいのものでとても貧弱なものだという。
中国が日本をもし攻めるということであれば、攻め入るための船舶とか大型輸送機のような輸送手段が必要であるが、そういうものをもっていないために日本を軍事的に攻めることがその意図がもしあったとしてもできないこと、尖閣列島や竹島のような領土問題は軍事的な手段では歴史的に解決した例はないこと等が日本が9条を廃止する必要のないことを示しているし、過去の中ソ国境紛争も結局は外交的な手段で結着を見たとのことである。
つづいて現在の9条の廃止を自民党や政府が言い出した背景の説明と9条を守る闘いの展望と仕方を渡辺さんは語った。
ただ、現在の状況では世界の国が相互に依存しあっており、日本としてはそういった軍備でもってアメリカと世界の警察を気取るような状況にはないということを国民や経営者が知っているのかという点については特に説明はなかった。経済とか技術とか貿易とかによって世界は相互依存をいままでかつてなかったほどに深めていることが認識をされていない。
ならず者国家を制誅するということをアメリカ大統領ブッシュはいうかもしれないが、それはあくまでアメリカのいうことであって、資源のないまた食料の自給できない日本の取れる道ではない。そういう総合的な視点が必要ではないかと思った。