過去を振り返ってみてうまくいったなどと思ったことはほとんどない。私の学位論文になった研究などは無理やりでっち上げたものだったし、生まれて始めて書いた英語の論文だってそうであった。
一見うまくいったように外から見えるというのと自分の内面とはまったくちがう。どうも自分で考えてみてもいつもアンバランスなのである。博士課程を終える3年の年限で学位をとったのだから、世間的にはうまくいっていると思われるが、どうも実感としてはそうではない。いまでも思い出すのだが、論文の公聴会で副査の先生の質問にうまく答えられなかったし、その後の面接でもうまく質問に答えられなかった。
偏に当時の指導教官だったYさんの後押しによって学位をやっともらったような気がする。それらは私の上の先輩たちを見ていたら、彼らは私などよりずいぶんしっかりしている。どうみても私はアンバランスだった。
いまでもアンバランスなのかどうか。それは自分ではわからない。いくらかアンバランスを克服したようにも思うし、いやまったく克服していないようにも思える。