対数とは何か。
森毅さんの「指数・対数のはなし」(東京図書)によれば、常用対数はある数が10の何乗かを示すとあり、自然対数はeの何乗かを示すとある。これが対数の意味である。
また「対数と指数とは同じものだ」という北海道札幌の藻岩高校の中村文則先生の指摘は正しい(注:下の説明も参照)。
また対数のいろいろな法則というか性質は指数の法則から導かれる。それを知らないと対数の理解はできない。
しかし、その焦点は指数と対数では違っているし、また指数と対数が同じものであるのならば、なぜ指数での表し方(「指数表示」)と対数での表し方(「対数表示」)があるかということも歴史をある程度知らないと理解できない(注)。
対数表示はまだ指数表示があまり一般的でなかったときに考えられたのだ。数学史の本を読むと現在では普通になっている、小数という数の表現法も対数が考案されたときにはまだなかった。
その事情をすでに愛媛県の数学協議会の機関誌「研究と実践」に発表したが、まだ説明が不十分であったと思った。その補足説明を近いうちに書きたいと考えている。
(2013.5.23付記)
その後、「対数とはなにか」というエッセイを『徳島科学史雑誌』(2008)に発表した。
私が以前に対数についての考えを発表した機関誌『研究と実践』(愛媛県数学協議会)ほどマイナー雑誌ではないが、それにしてもこの雑誌を見る機会は日本の一般の教師にはないのだろう。
しかし、『徳島科学史雑誌』は国会図書館に納められている。私のところにもまだ少しだけだが、このエッセイの別刷が残っている。私に請求のメールを頂ければ、そのコピーを送ることができる。
(注) 「対数表示」とか「指数表示」という用語は数学では一般には使われていない。しかし、それらの用語を使ったほうが対数と指数について理解しやすいと思う。