復刊プロジェクトで朝永振一郎「スピンはめぐる」が復刊された。予約注文していたら、今朝出版社のみすず書房から宅急便で届いた。新版では江沢洋さんが注をつけている。
「素粒子の本質」(岩波書店)で武谷三男が朝永に量子力学IIIでもいいし、そのほかの本でもいいから対応原理的考えにもとづいた物理の本を書いてくださいと要望していたが、「うまく書けないよ」と朝永が答えていた。
そういう要望にもとづいた訳ではないかもしれないが、「スピンはめぐる」が書かれたといういきさつがある。
晩年の科学行政の世界での朝永のすこしあいまいな姿勢に厳しい批判を与えた武谷も朝永の物理学の長所をしっかりとつかんでいた。
この「スピンはめぐる」は少し難しいので腰を落ち着けて読まないと読むことができないと思う。それでまだきちんと読んだことはない。
ただ、この新版では雑誌の連載時には載っていた写真のいくつかはそのままではないだろうが、つけられている。それを眺めるだけでも楽しい書である。