岩波のPR誌『図書』9月号で池澤夏樹さんが書いている。
「誕生日は、年に一度、すべての人に平等に巡ってくる」
と。これは真か。この命題は真ではない。偽である。
頭のいい人なら、ははあ、うるう年の2月29日に生まれた人のことを言っているのだなと思うであろう。
閏年の2月29日生まれの人は自分の誕生日は4年に1回しか回ってこない。
最近ではそういうことのないようにと産院では2月29日に子ども産まないようにすることもできるだろうが、実際にはどうしているのだろうか。
別に誕生日が4年に1回しか回ってこないからといって、4年に1歳年をとるわけではないが、正確な意味で誕生日は4年に1回しか回って来ないことは確かである。
もっとも2月29日の生まれだと言っても誕生日の祝いを3月1日にしてもいい。
また、こういう運命にある人の数は例えば日本でどれくらいいるのだろうか。これは一種のFermi問題と考えることもできる。
コメント有難うございます。
Fermiは世界最初の原子炉をつくったイタリア生まれのアメリカの物理学者ですが、Fermi問題というのは彼がよく話題にした種類の問題です。
特に有名な問題は「Chicagoに何人のピアノ調律師がいるかをいくつかの仮定を立てながら、推測する」というのがあります。
何軒に1台の割でピアノをもっているかだとか、どのくらいの期間に1回調律するか等のもっともらしい仮定を立てて推測していくのです。
もちろんChicagoの人口のおよその人口は知っているとしています。
Fermiはこういう推論をも得意としていたようです。
Fermiは実験家でもありましたが、理論家でもあり、たぶん一人でこの二つを体現できた最後の物理学者といわれています。
物理学の歴史上で一番有名なFermiの業績はベータ崩壊の理論です。
ノーベル物理学賞を受賞したのは中性子による新放射性元素と原子核反応の研究です。