昨日にちょっと粒子性と波動性について述べたので、これについてもう少し考えてみたい。
古典物理学における粒子像は質量がある小さな箇所にかたまってあり、それらが空間全体に広がってはいない。そういうものとして私たちは粒子というものを考えている。
一方、波は空間に広がっているものとして考えている。波といっても一番よく見てわかるものは水面上の波である。海の沖の方から押し寄せ海岸に打ち上げる波だってそれを利用してサーフィンをする人には小さな場所に固まった波などはない。それだったら人が波乗りなどできないからだ。
海岸に打ち寄せる波はそれほど空間に広がっているわけではないが、それでもある種の広がりを空間的にもっている。これはなかなか目で見ることができないが、ラジオ波の電波だとかテレビの放送を伝える極超電波でもこれはすくなくとも空間に広がっているイメージであろう。
ちなみに波って何と言われれば、ある場所での振動現象がその周りの空間に広がっていくことである。振動と波動とは親戚である。もっとも振動自身はある箇所に留まったくりかえし(周期的な)の現象であるのに対し、波はその振動がつぎつぎにまわりの空間的に伝わっていくことである。
だから古典物理学的には粒子像と波動像とは全く別の現象であると考えられてきた。だが、電子のようなミクロの実体entityになるとだが、電子は古典的に粒子と考えられてきたが、どうしても波動的な性質をも持ち合わせた実体であるという風に考えなくてはならない現象が見つかったのである。
その証拠に物質(この場合に結晶を考えるのが普通だが)に電子線を当てると波動性の電磁波(たとえばX線)を当てたときに得られるような結晶による電子線の回折像が得られるのである。このような結晶の観測手段は電子線回折といわれている。
波動による現象としては波の干渉だとか回折の現象がある。粒子にはこういう干渉とか回折の現象は起らない。だが、粒子と思われていた電子にもこういう回折現象が起こることがわかったのだ。さてどう考えたらいいのだろうか。
逆に、光とか電磁波は古典的には波であると考えられてきた。ところが光にも粒子性を認めなければならない現象が存在することがわかってきた。
それは光電効果であった。その上に電磁波の一種であると思われてきたX線にもその粒子性を表していると思われる、Compton効果が存在することもわかった。
ミクロの世界での対象は粒子性と波動性との両方を持つことがわかった。このことをどう理解するのか、これは20世紀のはじめのころには深刻な物理学のテーマであった。これを理解するために量子力学がつくられたのであった。
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