ご存じ健さんの出世作「網走番外地」である。網走番外地シリーズは計18作が制作され上映されたが、その第一作目を観賞し、「北の映像ミュージアム」の理事が解説してくれた1月の「北のシネマ塾」に参加した。
1月19日、今年最初のシネマ塾には17~8名の参加があった。半数以上は「北の映像ミュージアム」に関わっている方のように見えたが、解説は高村賢治さんという理事が務められた。
映画の内容・ストーリーについては3年前に「シネマの風景フェスティバル」で見たときの投稿に譲ることにして、ここでは高村理事からお聞きしたことを中心にレポートすることにします。
まずこの「網走番外地」シリーズが誕生した背景についての説明があった。
この映画のヒントは、実際に網走刑務所に服役した伊藤一という人が体験を元に著した小説に石井監督が映画化を会社側に懇願したのですが、当時の東映社長の大川博(小太りな体格、胴長短足、丸眼鏡、出っ歯、チョビ髭といった独特の風貌で有名だった)はけんもほろろに却下したそうだ。
そこで石井監督は当時のアメリカ映画でスタンリークレイマー主演の「手錠のままの脱獄」の日本版にするとの再度の要請でようやく許可を得たそうだが、予算難からシロクロ映画の上、二本立て映画の抱き合わせという扱いで上映にこぎつけたそうだ。
そうしたところ思わぬ大ヒットとなって、それからのシリーズ化が実現したということだ。
続いて、ロケ地についての話があったが、冒頭に主演の高倉らが網走刑務所に護送されるために降り立つ駅が網走駅に模した北浜駅だった。北浜駅は私が現職時代に3年間在職した(2001年から2004年まで)網走市北浜地区に立つ古い駅舎である。映画は1965年制作だから映画が制作された当時から現在まで変わらぬ姿でオホーツク沿岸に建っているということだ。
その他、トロッコのシーンは今はない新得の森林鉄道を、あるいは根室本線のベカンベウス付近、川湯の硫黄山など北海道各地をロケハンしてイメージに合ったシーンを撮影したということだ。
まだまだたくさんのエピソードや裏話をうかがった。
こうして映画に詳しい方のお話をうかがうことによって、その映画を深く味わうことができることは非常に興味深いことである。