一日中粘土をこね、紐を作ってそれを重ね、私はひたすら土器を作ることに没頭した。その器に縄目の模様を入れ…。私は一日縄文人になった? のだった…。
6月12日(日)、北海道博物館が主催する「縄文土器をつくる」というちゃれんがワークショップ(誤字ではない。道博物館の愛称を建物の壁から連想して「ちゃれんが」と称するらしい)に参加した。
道民カレッジ連携講座ということで、道民カレッジのポイントアップという目的もあったのだが、はるか昔の古人(いにしえびと)の気分になってみるのも一興かな?との思いもあり、参加してみることにした。
※ ワークショップの様子を2階から俯瞰した様子です。
参加者は親子連れも含めて、年代的には多岐にわたり、50名近くが参加する盛況の講座(ワークショップ)だった。
講座は、本日の工程である縄文土器を成型するまでの過程について簡単にレクチャーを受けた後、早速実技に入った。
本来は、〔粘土とり〕、〔粘土のねかせ・乾燥〕、〔粘土くだき〕、〔粘土こね〕、〔粘土ねかせ〕という工程を経なくてはならないのだが、そのところの作業は主催者がすでに行ってくれていた。
私たち参加者は、そこまで終えていた粘土を改めてこねることからワークショップは始まった。
※ ワークショップはまず右代学芸員がデモンストレーションをして。それを模倣する形で進められました。
配られた粘土をこねること約20分、ひたすらこねることで粘土全体がしっとりとしてきて、人の耳たぶのような柔らかさになったところで〔こね〕の工程が終了した。これは粘土の中の空気を抜く作業ということだった。
※ 右代学芸員が輪積み法で、器の高さを上げていくデモンストレーションをしているところです。
続いて〔形づくり〕に入った。縄文土器の形づくりには普通、(1)手づくり法、(2)巻き上げ法、(3)輪積み法、と三つの方法があるとのことだが、今回は初心者でも失敗しない(3)の輪積み法が採用された。
輪積み法は、粘土をひも状にして輪を作り、それを積み上げていく方法である。一段ずつ積み上げ、それを手でならして粘土と粘土を接合させていくことを繰り返し、高くしていくのである。
私は何を作ろうかな?と思ったが、高くするには技術もいるし、大きなものを作成しても完成した器を持ち帰ったときに邪魔者扱いされかねないので、小物を作ることにした。
まず取り組んだのが、口を少し広げた鉢状のものである。
この作業が楽しかった。ひたすら粘土と格闘し、少しでも形の良いものをと邪念を排し集中しているとあっという間に時間が経った。私はすっかり縄文人になりきっていたのである。
他の方の出来を意識する間もなかったが、一つ完成して他の方を見ると、私よりは大きな器に挑戦している人が目立った。
時間もあり、粘土も余っていたので二つ目の器づくりに取り掛かった。
今度は、器の口を絞った花瓶状の形に挑戦した。これも楽しく作ることができた。
二つとも満足できるものではないが、美的センスのない私にとっては精いっぱいの出来といっていいだろう。
続いては、この日の最終工程である〔文様つけ〕である。
〔形づくり〕に精力を使い果たした私には、この工程にあまり意欲が湧かなかった。したがって、ありきたりの文様を付けて完成とした。
※ 粘土と苦闘の末、私が整形した二つの土器です。はたして上手く焼けるでしょうか?
〔形づくり〕、〔文様つけ〕を終えた土器は、この後乾燥させ、2週間後に〔土器焼き〕を行うことになっている。これもまた楽しみである。
粘土と格闘すること3時間、楽しい時間を過ごし、私はひと時縄文人になったのだった。