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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

高齢者の生涯学習の目的って?

2016-06-21 21:44:35 | 講演・講義・フォーラム等
 高齢者が生涯学習に取り組む目的は? 高齢者の生涯学習を実践している先達から話を聞いた。また、高齢者の生涯学習を指導する立場の方からの話も伺った。 

             

 毎月受講している「かでる講座」の6月講座は「特別講演」と銘打って、「道民カレッジ生」の取得単位数で常に先頭を走っている榎本聰子氏の講演を聴いた。
 榎本氏は道民カレッジの単位取得数が1万単位を突破したという方で、先日は高橋知事(道民カレッジ学長)から表彰を受けたという方である。(私などは榎本氏の足元にも及ばない)
 その榎本氏は現在78歳ということだが、放送大学に学び、その卒業論文として「高齢者の生涯学習の現状と課題」と題する論文をまとめたものを発表された。
             
 その内容は、私たち道民カレッジ生100人に対してアンケート調査を実施したものを分析・考察したものであった。(ちなみに私は被アンケート者にはなっていない)
 榎本氏は、論文などを書くことは初めての経験だと自ら吐露していたが、アンケートの内容、その分析・考察ともに私には目新しいものではなかった。しかし、78歳にして未だ学び続け、論文作成にも果敢に挑戦する姿勢には敬意を表したい思いである。

 アンケート結果から見えてくるものは、「道民カレッジ」で学んでいる方々は、人生を前向きにとらえ、より良く生きようしていることをはっきりと表す結果だったということである。
 榎本氏の分析で「道民カレッジで身につけた知識等が社会的評価を受けているか」という問いに対して73%が否定的であったとし、このことに対して榎本氏は「北海道の高齢者にとっては重要な学びの場であるが、社会的にはあまり評価されていないことが確認できる」と述べるにとどまっている。

 私が道民カレッジで学んでいることは、せいぜい雑学の知識を増やす程度ことだと心得ている。つまり頭の体操であり、老化防止なのである。
 いくら単位をかき集めたとしても、そのことで誰かを指導したり、あるいは集団のリーダシップを取りえたりするほどの技量が備わるわけではない。
 もし、そうした社会的評価を得たければ、正式な教育機関などで学んで資格等を取得すれば良いのである。
 
 その後にお話された町井名誉教授は、「道民カレッジ」の設立当初からかかわり、その後の運営にも関与されたそうだ。その町井氏が、「当初は道民カレッジの学びを北海道のために役立てたい」という理想を掲げたのだが、その後推移する中で「道民カレッジは『学び』に喜びを、生きがいを感じる」学びとすべきだと方向転換したことを明かされた。

             
         ※ こちらの町井名誉教授の写真もウェブ上から拝借した。写真の講義も私は拝聴している。
  
 私の皮膚感覚ではあるが、高齢者の学びに対する欲求はますます高まっているように感ずる。いろんな講座に集う高齢者がますます増えてきたように感じられる。
 そうした状況にあって、学びの幅にも、深さにも、多様性が出てくるだろう。しかし、それは社会的評価を受けるためでなく、偏に自らの生き方を豊かにするためのものであることを個々人が自覚することが必要なのではないかと、今回の講演を拝聴して思ったことだった。