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ウクライナにはまった男の話

2016-06-11 22:21:01 | 大学公開講座
 関西人のノリというのだろうか?ロシアとの関係で危機に瀕しているウクライナの現状が聞けるのでは、と思って参加した講演会だったが、あれよあれよという間にウクライナ政治の中枢と付き合うことになった大学研究者の話を聞いた。 

               

 6月10日(金)夕刻、北大スラブ・ユーラシア研究センターが主催する「北海道スラブ研究会」の講演会があった。テーマは「体験的ウクライナ論:人々との交流から見る政治・社会の変化」と題して、神戸学院大学経済学部准教授の岡部芳彦氏が講演した。
 スラブ&ユーラシアの現状について多角的に紹介してくれる北大スラブ研の講演会である。私は危機に瀕するウクライナの現状を少しでも知る機会になるのでは、と思い受講を決めた。

 ところが講演会は終始笑いに包まれたものになった。というのも、一つは関西人の常に笑いを取ろうとする話し方にあった。というようにステレオタイプに見るべきではないのかもしれないが、実際に氏の話し方には笑わずにいられなかった。
 もう一つの理由も、やはり関西人のノリといおうか、はたまた岡部氏のキャラクターがそうさせるのか、あれよあれよという間にウクライナ中枢と付き合うことになった、その経緯が笑いを誘ったのだ。

          
          ※ ウクライナの民族衣装ヴィシュバンカを身に纏い講演する岡部氏です。

 岡部氏の専門は「イギリス検認遺産目録研究」という、イギリスの社会経済史を研究することが専門だということだ。
 しかし、修学時代にロシア語を学んだことがキッカケとなり、隣国ウクライナに興味を抱いたということだ。
 そして氏がウクライナの中枢に近づく大きな契機となったのが、「ウクライナ登録コサック軍団」に入団したことのようだ。この登録コサック軍団というのが、ウクライナ国内では相当の信用と権威を氏に与えたようだ。氏は軍団において少将、中将、大将と瞬く間に昇進し、現在は上級大将の任にあるという。ウクライナにおける氏は軍隊服に身を包み、軍団を閲兵している写真の提示もあった。
 聞いていた私には、こうして軍団に入団するということが、いわゆる関西人のノリなのではと思うのだが…。以前に聴いた大阪の某大学の講師はアフリカの集落の酋長に任命されたという話も聞いたことがある。

              
              
 コサック軍団に入団したことにより、氏はウクライナ中枢に近づくことに繋がったようだ。ウクライナはロシアとの関係もあり、政治的な状況はきわめて流動的なのだが、氏は時の政権とも上手く付き合ってきたようである。
 経済的基盤の弱いウクライナは、日本の経済力に頼ろうとする傾向があり、氏に仲介を依頼することもあるそうだ。今年4月にはウクライナのポロシェンコ大統領以下10数名の政府首脳が来日した際も、氏がその交歓会の一部をお手伝いしたということだ。
 そうした政府中枢と接する中で、氏はウクライナが国としてまだまだ未成熟であることを感ずるという。

 ウクライナにおける岡部氏は、経済学者、歴史家、活動家の三つの顔をもっているとのことだが、三番目の顔が突出しているのではないだろうか?氏は話の中で明らかにはしなかったが、これからも日本とウクライナの橋渡し的役割を楽しみながら(?)続けていこうとしているように私には思えた。

           
           ※ ウクライナ首脳が来日した際の晩餐交流会の際に岡部氏が手作りしたネームプレートだそうです。

 受講前の私は、ウクライナの社会的、文化的側面のウクライナの現状を知りたいと思って講演会に臨んだ。期待とは反したものではあったが、それなりに興味をもって話を伺うことができた。

 なお、文中ウクライナの言語がロシア語であるかのように誤解される向きもあるかと思われるが、ロシア語がウクライナ国内で通ずるということで、ウクライナ国内ではウクライナ語が話されているそうです。