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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

道産小麦の実状を学ぶ

2016-06-23 18:31:47 | 大学公開講座
 俗に北海道の畑作産品(ジャガイモ、ビート、小麦)の一つとされる小麦だが、その生産量は国内の7割を占めているそうだ。その道産小麦の品種改良に取り組んできた北海道農業試験所の研究員、さらには小麦を製品化・販売する側の方からの話を伺った。 

            

 6月21日(火)夜、北大農学部が主催する「時計台サロン」が時計台ホールで開催され参加して話を聞いた。
 この日のテーマは「進化する道産小麦」ということで、二人の講師の話を伺った。
 一つは、「おいしさ求める品種改良」と題して、北海道農業研究センターの田引正氏がお話した。
 二つ目は「意外に楽しいコムギな生活」と題してコムギケーション倶楽部を主宰する佐久間良博氏がお話した。

 しかし、私は田引氏の話はほとんど私には理解できなかった。というのも、専門の話を専門的にそのまま話すのである。そのうえ発音が不明瞭なためマイクを通した声は何を言っているのかまったく分からない場面が多すぎた。一般市民を対象とした講座の場合、もう少し専門的な話は噛み砕いて話をしてくれることはできないものなのだろうか?
 私が田引氏の話から理解できたことは、小麦には硬質小麦と軟質小麦があるということ。これまでは国内産小麦はうどんなどに供する軟質小麦が主であったが、国民のパン志向などもあって硬質小麦の生産も盛んになってきた。その硬質小麦は田引氏など関係者の努力によって品質が相当に向上してきたということである。
 しかし、それでもまだカナダ産やオーストラリア産と比較すると、品質的にそのレベルには至っていないということだった。

                     

                

 品質で追いついていないうえ、生産量では国内消費量の1割しか生産できていない国内(道産)小麦に未来はあるのだろうか?

 そのことについて一つの答えを提示してくれたのが、次に話された佐久間氏のお話だった。佐久間氏は江別市にある製粉会社の営業を担当していたようだが、同時に小麦の消費拡大を目ざしたさまざまな取り組みを展開されてきた方との紹介があった。
 佐久間氏は言う。小麦は世界中で約7億トンが生産されていて、穀物生産としては最大生産量であり、世界各地の食文化を形成している食物である、と強調された。
 氏によると、小麦にはさまざまな楽しみ方があるという。「育てて」、「調理して」、「食べて」、「読んで、観て」、「買って、交流して」とそれぞれの楽しみ方があると話された。
 そして今、道産小麦に魅せられた人たちが北海道へ移住し、道産小麦を材料としたさまざまなレシピづくりに挑んでいるという。
 コムギケーション倶楽部とは、小麦をキーワードとしてさまざまな業種、業界を結びつけて交流を図り、小麦の消費拡大を目ざして活動している団体のようだ。

                   

               

 佐久間氏の話から見えてくるのは、小麦を介して食文化の向上を図り、そのことで国内産小麦の生産拡大に寄与したいということなのだと私は解釈した。
 TPPが実施されることで、最も打撃を蒙るのではと思われる小麦であるが、田引氏たちの研究によって、外国産を凌駕するような高い品質の小麦生産を実現させ、佐久間氏たちのような活動によって諸外国が及ばないような美味しい料理を開発し、海外に発信する。 
 そうしたことで、収量的には外国産に及ばないまでも、高級化路線に舵を切ることによって国内小麦生産の灯を守り続けてもらいたい、と私は思ったのだが…。