満点の星空ならぬ、漆黒の闇の中に赤く燃え盛るたき火を囲み、酒を酌み交わしながら二人の男はいつ果てるともなく語り合った。聞こえるのはたき火が爆ぜる音だけ、静かに佇む朱鞠内湖を前にして至福のひと時を過ごした男二人だった。
行ってきました! 朱鞠内湖!
札幌市内から片道200キロ超! 遠かったぁ!(もっとも、運転は全て息子任せだったが…)
遠かったけれど、行った価値を十分感ずることができた朱鞠内湖畔のキャンプだった。
幌加内町が発行するパンフレットに「北欧の湖畔にいるような錯覚をもたらす…」と表現されているが、まさに森と湖の絶妙のマッチングがそう言わせたのだと思う。
ちょうど湖ではカヌーを楽しむ人を見かけたが、カヌーがとても似合う湖である。
そんな湖の湖畔に展開するキャンプサイトも素晴らしかった。湖と森に包まれるような形でキャンプサイトが展開していた。
その一角に私たちはテントを設営したのだが、平日とあって張られているテントの数も数えるほど…。私たちは他をまったく気にすることなく、キャンプを楽しむことができた。
テントを設営した後、ボーッと湖を眺めたり、貸しボートで湖に漕ぎ出したりした後、夕食は多くのキャンパーがそうするようにBBQを楽しんだ。夕食が終えるころには、夜のとばりが降り始めた。
すると、BBQコンロはたき火台に早変わりである。用意してきた薪を放り込み小さなキャンプファイヤーだ。
私たちはたき火を眺めながら、酒を酌み交わし、あれやこれやと話し合った。家族のこと、趣味のこと、将来のこと、etc.…。暑くなく、寒くなく、風もなく、静かな夜が更けてゆく。それはそれは至福の夜だった。
いつ果てるともない、二人の静かな会話は続いたが、はっ、と思って時計を見ると、時計の針はまもなく10時を指すところだった。
すっかり酔いもまわり、瞼も重くなってきた二人はたき火を始末し、テントに潜り込み、ぐっすりと寝込んだのだった。
※ ボート上から見た私たちのテントです。左側にある二つのテントが私たちのテントです。左側は食事などをするタープテント、右側が睡眠をとるテントです。
それは私が記憶するかぎり、20数年ぶりのテントでの夜だった…。