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北大法学研究科公開講座「アジアと向き合う」③ & ④

2018-08-25 20:45:45 | 大学公開講座

 「日中戦争」がなぜ起き、なぜ拡大していったのか?日中双方がその資料を公開しないまま歴史認識をめぐる争いが絶えない状況があった。講義では最近になって公開された資料をもとにその実相に迫るという興味深い内容だった。

                

 北大法学研究科の公開講座「アジアと向き合う ~温故知新~」の第2回講座のレポ(8月7日)から日が経ってしまった。その後、8/9に第3回、8/23に第4回の講座が開講され、4回シリーズの講座の幕を閉じた。

 

 第3回講座は「日中の法文化論:法規範の現地化とその論争」と題して法学研究科の講師である郭薇氏が講師を務めた。郭氏はその名前からも類推されるように中国人の方である。

          

          ※ 講師の郭薇氏は非常に表情豊かに講義されました。

 この郭氏の講義が私には難解を極めた。

 講義前の案内では、日中両国は近代化の過程において西洋の法制度や法学を導入しようとした際、両国は訴訟による解決よりは儒教的な伝統が強いため刑罰より教化を重視してきた伝統があったという。そうした中で、日中両国がいかにして西洋的な法制度や法学(法文化)を導入してきたのかを解き明かすこと、と理解していた。

 ところが実際の講義において、郭氏は突然のように日本の法学者である「川島武宣」を登場させて、川島理論を中心として日中両国の変遷を説き始めたのだ。「川島武宣」なる法学者についての予備知識のない私にはお手上げだった。

 ということで、私は第3回目の講義についてのレポは諦めることにした。

 

 お盆を挟み、最終第4回の講義し8月23日(木)に法学研究科の岩谷將教授「日中戦争」と題して講義された。

          

          ※ 講師の岩谷將教授です。

 岩谷氏はリード文で触れたように日中戦争に関する新たな資料が公開されたと話したが、具体的にどこから提供されたについては触れなかった。

 講義は、満州事件から塘沽停戦協定、日本軍の華北分離工作、盧溝橋事件、そして全面戦争と時系列に沿って詳細に解き明かしてくれた。

 

 講義の詳細をレポすることは割愛するが、一連の流れを見るかぎり、その節目節目での日本の判断に誤りがあったことは率直に認めねばならないのではないかと思った。

 軍内部において、戦線の拡大を主張する派と、不拡大派が存在していたが、国民の声が後押しするなどして深みにはまっていったことが、その足跡(歴史)から見て取れた。

 

 歴史においてタラレバは禁句だというが、今だから当時の判断を誤りだったと指摘するのは簡単である。しかし、当時の世相、風潮においてはやむを得ぬ判断だったとする見方もあるのだろう。

 こうした微妙な問題に私がコミットすることは控えるが、今回の講義のように新たな資料をもとに史実を見直し、より実相に迫ることは非常に興味深いことである。

 

 以上、4回シリーズの法学研究科の「アジアと向き合う ~温故知新~」が終わったが、私の中ではいま一つ四つの講座の関連性について理解できない思いが残った…。