作者の愛犬がモデルだという。ラブラドールレトリバーの模型(?)がさまざまな表情で鎮座していた。美術音痴の私がギャラリー展に顔を出すとは、我ながら珍事である。
あっちの講演会、こっちのコンサートと忙しく歩き回っている私だが、本日は珍しくスケジュール表が空白だった。「さて?」と思ったのだが、某日新聞の片隅に「ギャラリー創」という民営のギャラリーで「見てくる犬」という作品展が開催中であることが頭の片隅に残っていた。戌年生まれの私は、多少は犬に関心もある。私はウォーキングも兼ねて「ギャラリー創」を目ざした。
「ギャラリー創」は中島公園に近い旭山公園通に面したビルの1階にコンパクトながらシャープな印象を与えるギャラリーを構えていた。
※ ギャラリー創は旭山公園通に面していたが、注意深く歩かないと見過ごしてしまう恐れもある。
※ 作品が展示されていない状態での「ギャラリー創」の全景です。(HPより)
※ 作品が20~30cmと小さいので、全体で見ると写真のような感じです。
入館するとDirectorの Chiaki Honjoさんが柔和な笑顔で出迎えてくれた。
ギャラリー内には佐藤一明さんが制作した犬の模型とスケッチがおよそ25~6点展示されていた。
※ こちらは佐藤さんの犬のスケッチです。
材質はHonjoさんによるとブリキだという。新聞で見たときは「厚紙かな?」と思っていたのだが…。解説によると「曲線とエッジが効いたシンプルなかたちの中に込められた計算された造形の美しさ」が見どころとされているが、なるほど私から見て犬の表情を曲面ではなく、エッジを効かせたところに佐藤氏の主張があるように見て取れた。
作品はいずれも20~30cm程度の小さな作品が多かったが、中には大きな作品もあったが、そちらはブリキではなく鉄板を使用しているとのことだった。
※ 床に展示されていた作品は5~60cmあり、鉄板制とのことでした。
Honjoさんによる作者の佐藤さんは大変な愛犬家でモデルとなったラブラドールレトリバーを10年以上飼われているとのことだった。また、作品中にこげ茶色の犬の作品が2点あったが、それは佐藤さんの母親が10年以上飼われたトイプードルがモデルだという。佐藤さんの母親が逝去されたことから、現在は佐藤さんが飼育しているらしい。「まだ同居してから少ない年月のため2点だけの作品なんです」とHonjoさんは教えてくれた。
※ こげ茶色の彩色されていたトイプードルの作品です。写真写りが悪いですね。
Honjoさんはまた佐藤さんの図録を見せてくれ、「こちらは山口県の県立美術館に展示してある3mもの大きさのラブラドールレトリバーです」とその写真を見せていただいた。3 mとは大作である。いつか札幌でも見られる日か来るのだろうか?
※ こちらは佐藤さんが飼われているモデルとなったラブラドールレトリバーだと思われます。(HPより)
今回は他に観覧者がいなかったこともあり、DirectorのHonjoさんといろいろとお話することができ、とても意義深い鑑賞となった。こうした小さなギャラリーで作者やDirectorの方とお話ができると展覧会も楽しいものだということを発見した「見てくる犬」展だった。いつもそういうわけにはいかないのかもしれないが…。