夏の陽が照りつける青空のもと、PMFアカデミー生たちが奏でる音色が札幌芸術の森に響き渡った。それにしても暑かった。昨日の札幌の最高気温は34.4度だったという。素晴らしい音に酔いながらも、私はすっかり疲労してしまった。
今年のPMFも終盤である。終盤にはいつも札幌芸術の森・野外ステージにおいて「ピクニックコンサート」が開催され、私はいつも楽しみにしている。
今年も年に一度しか使用しない観賞用の椅子(寝椅子のような椅子)を持ち出して札幌芸術の森に急いだ。天気は朝から戸外へ出るとムッとする暑さである。
私は比較的早く入場できたため、芝生席の中で木陰となっている絶好の席を確保できた。
※ 野外ステージの上にはけっこう雲が広がっていたのですが、暑さは尋常ではありませんでした。
※ 演奏開始を待つ聴衆の皆さんです。
※ 芝生席後方には写真のようなカラフルなテントが並び立ちました。
開場から1時間待ち、12時から第1部が開始された。
第1部はまず、PMFアカデミー生のパーカッションメンバによる和太鼓から始まった。曲名は「Uto(宇土)」という曲である。おそらくふだんは扱わない楽器だと思われるが、6人の若者が力強くリズムを刻んだ。
※ パーカッショングループに÷和太鼓の演奏です。
続いて、「ARK BRASS」という金管アンサンブルの6人が登場した。私は知らなかったが「ARK BRASS」とは、金管楽器奏者としては日本最高峰の人材が終結したグループのようである。彼らは現在のNHK大河ドラマの「どうする家康」の金管アンサンブルも手掛けているという。彼らの中にはPMFアカデミー生を経験したメンバーも3人含まれていた。
彼ら「ARK BRASS」が演奏した曲目は次の通り。
◆ジョブリン/エンターテイナー
◆サイモン・キャビ―、セシル・コルベル/アリエッテイズ・ソング
◆ピアソラ/リベルタンゴ
◆R=コルサコフ/歌劇「サルタン王の物語」より「熊蜂の飛行」
◆J.ホロヴィッツ/ミュージック・ホール組曲
と硬軟織り交ぜての選曲で、彼らの軽やかで確かな演奏を楽しませてもらった。
最後に他のオーケストラメンバーも加えて◆ウォルトンの「スピットファイア」前奏曲とフーガを披露して第1部が終了した。
20分間の休憩を挟んで第2部が始まった。
第2部の最初の曲メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」の注目は、なんといっても世界的に活躍しているヴァイオリニスト金川真弓さんのソロである。さらにここからはデンマークの名匠トーマス・ダウスゴーさんがステージに立った。バックを務めたのはPMFアカデミー生はもちろんのこと、指導陣であるPMFアメリカも加わった総勢80名を超えるオーケストラだった。金川さんのヴァイオリンは、そのオーケストラの音にも、札幌の大空にも負けることのない力強い音を響き渡らせた。演奏時間約25分という長丁場の中、その力強さは変わることなく弾き切った力量は聴衆をくぎ付けにする十分に演奏だった。
※ 演奏会の最後ブルックナーの交響曲第9番を演奏するPMFアカデミー生らです。
最後の曲がまた凄かった。ブルックナーの「交響曲 第9番 ニ短調(第4楽章補筆完成版)」である。なぜ(第4楽章補筆完成版)かというと、実はブルックナーは第3楽章まで書き上げ、第4楽章を創っている途中で逝去してしまったという。ブルックナーの逝去から87年後の1983年に4人の作曲家によって補筆され完成された作品だということである。
この作品は演奏時間が80分間という壮大な曲だった。80名を超える大オーケストラは、若々しさを伴い力強く、堂々とこの壮大な曲を演奏し切った。もちろん私には第4楽章に違和感などまったく感ずることができなかった。そして大観衆と共に素晴らしいフィナーレを迎えた。
実は私はこの日が今年のPMF第5弾で、最終日と考えていた。ところが友人のS氏が「本日のガラコンサートのチケットを購入したが都合が悪くなり、チケットを譲る」と言ってくれた。ピクニックコンサートとガラコンサートは演奏される曲目は同じである。せっかくの申し出だったので、戸外と室内では同じ曲目がどれだけ違って聴こえるのかという興味も手伝いS氏の申し出を快く承諾した、これからガラコンサートが行われる札幌コンサートホールKitaraに向かいたいと思う。
それにしても夏の青空の下での4時間30分は疲れましたぁ~。歳ですなぁ~。