おかげさまで順位が上がってきました。
前回の続き
新年早々自分に試練になるかも知れないルートを課して山頂を目指し登り始めたが、そこはやはり、というか予想をはるかに上回る急角度の斜面で、さらには倒木もあったりで自転車を担ぎ上げるのがやっとの箇所もあった。体中に汗をかきながら頑張ったがそれもすべては頂上からの展望と楽しいダウンヒルの為、という期待のための苦難だと自分に言い聞かせていた。
それにしても先ほどからなにか動物の匂いがする。これまでの経験で家畜系の匂い、それもニワトリ関係の芳香だというのは判るのだがここは山の上、野生動物の匂いなのでは?という不安が襲う。この急角度ではふいに獣が現れても対決どころか逃げることも出来ない。(これは後で分かったのだが山の下の養鶏場の匂いが風に乗ってくるようだ)
それでも四苦八苦しながら登ること数十分、ようやく展望のいい山頂に到着した。
この尾根はずっと左右の街を眺めながら走る(担ぐ)ことが出来たが、この頂上はその眺望がさらに良かった。八畳ほどだろうか、割と狭いその頂上で休憩していると、私とは反対方向からおじさんが息をきらせながら登ってきた。挨拶を済ませた後、これから私が向かうであろう方向の様子を尋ねてみる。
おじさん曰く「こっち(これから向かうであろう方向)は急だから自転車じゃ下れないよ。」
「まぁどうせ担いだり押したりして行くつもりですから」と私。
「いや、押しても降りられないかもしれないよ」
「ええっ!?私はあっちから担いで登って来たんですが…」
「あっちよりもこっちのが長いからねぇ…」
という会話で、これから楽しみにしていたダウンヒルの希望はなくなってしまった。というか担いで下ることも難しいらしい。しかしこれまで登って来た急坂を何の意味もなく下るというのはすなわち敗北ということになる。そしてさらにもう一方ある登山道に行くと実家とは反対方向の町に出てしまうようだった。
おじさんの意見を適当にあしらい、私は当初予定していた通りのルートを進むことにした。
ハンディGPSForetrex101と手作り風の案内標識を頼りに下り始めると、早くも困難な場面に出くわした。マウンテンバイクの前輪を持ち上げ、後輪のブレーキをかけながらゆっくりと下りていく。次第にそれも出来なくなるほどの急坂になり、自転車と体を交互にずり下げるような方法しか出来なくなってしまった。さらにこのあたりで森も深くなりGPSが受信できなくなってしまった。
そしてその先は、冬でもやはり青々としているアオキが密生している杉林の谷になってしまい、とても歩きにくく、角度も急という最悪の状況になってしまった。もう戻ることも出来ない。自宅でウェブ上の地図を見た時のあいまいな記憶ではこのまま進めば道路に出る筈である。もうこうなると写真を撮る余裕もなく、ただただ下を目指すのみだ。
倒木だらけのところを抜けたと思ったら、その下はちょっとした岩があり自転車なしでも降りるのが困難な場所だった。
写真では判りにくいが岩の下に自転車を先に降ろし、自分は回り道をして岩の下へ。正直自転車をこの場所に放置して歩いて降りようかと思ったぐらいだ。その後もしばらくは絶望的な斜面が続いたがようやく林道と合流し、道路に出ることが出来た。途中から汗だくだなぁと思っていたのだが、落ち着いてみると汗をかいていたのは顔と頭だけ、すなわち冷や汗ということだった。
そして帰宅してGPS(Foretrex101)のログを確認してみると、山頂の分岐で反対方向の町に出ると思っていた登山道が比較的なだらかな、当初予定していたルートだった。
今回のトレイルライド、地図を手に入れなかった時点で敗北していたようだ。
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