『巨人たちの星』
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ジェイムズ・ホーガン、1983、『巨人たちの星』、東京創元社 (創元SF文庫 (663-3))
シリーズ3作目。
原作が書かれたのは、1981年。まだ、ソヴィエト連邦が健在であった時代を背景にしているので、ホーガンならずとも西側の見方からすれば、ソ連は悪の根源である。月や木星の衛星ガニメデで発見された遺物から始まる近未来のハードSFも、時代の制約を受けざるを得ない(まあ、作者の想像力は、現実を超えることは難しい)。自然科学上の想像力については、本書は、太陽系のシステムの起源と人類の起源、そして、人間性の特徴を弱肉強食の進化論を踏まえて展開しているので、その点の限界はあるものの、ハードSFの旗手らしく、その想像力は時空の限界をこえる。しかし、その楽観的な未来観はおそらくは、冷戦克服の可能性が見えたというデタントの時代を踏まえているはずで、やはり、作品の書かれた時代制約を超えるのは難しい。
かといって、個人的には、嫌いではない。物語は、一気にタイムパラドックスに突入、謎はどんどん深まっていく。ファンタジー物よりもこの手のハードSFやソープオペラが好みというのも、読者(私のこと)の想像力の制約を物語っていて、われながら、苦笑しながらも眠るまでの数刻の読書を楽しんでいる。
シリーズ3作目。
原作が書かれたのは、1981年。まだ、ソヴィエト連邦が健在であった時代を背景にしているので、ホーガンならずとも西側の見方からすれば、ソ連は悪の根源である。月や木星の衛星ガニメデで発見された遺物から始まる近未来のハードSFも、時代の制約を受けざるを得ない(まあ、作者の想像力は、現実を超えることは難しい)。自然科学上の想像力については、本書は、太陽系のシステムの起源と人類の起源、そして、人間性の特徴を弱肉強食の進化論を踏まえて展開しているので、その点の限界はあるものの、ハードSFの旗手らしく、その想像力は時空の限界をこえる。しかし、その楽観的な未来観はおそらくは、冷戦克服の可能性が見えたというデタントの時代を踏まえているはずで、やはり、作品の書かれた時代制約を超えるのは難しい。
かといって、個人的には、嫌いではない。物語は、一気にタイムパラドックスに突入、謎はどんどん深まっていく。ファンタジー物よりもこの手のハードSFやソープオペラが好みというのも、読者(私のこと)の想像力の制約を物語っていて、われながら、苦笑しながらも眠るまでの数刻の読書を楽しんでいる。
![]() | 巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3)) |
ジェイムズ・ホーガン | |
東京創元社 |
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