すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

また光を見つめて

2008年09月08日 | 読書
 『写真俳句のすすめ』(森村誠一著 朝日文庫)が面白かった。

 以前購読していた俳句の月刊誌に「写俳」というコーナーがあって、感心しながら眺めていたことがあった。自分自身はそれを短歌でやってみようと、つい去年あたりまではボツボツ作っていたのだが、どうも長続きできない性分のようだ。
 NHK教育放送で、時々「写真俳句」は取り上げられていたように思う。
 著者の森村誠一氏がでていた記憶もある。改めてまとまったものを読むと、私のような万年初心者はまたクイクイとその世界に惹かれてしまうことを感じる。
 永遠の憧れの世界なのか…。そういう気分で本の中の句を引用すると、次の二句になる。

 暮れ残る光の破片(かけら)胸にあり

 遠き峰動かぬままに人は老い

 俳人の著書も結構読んだ気がするが、それ以上に日本人の機微がわかる本だと思う。
 例えば、次の一節はどうか。

 湯豆腐の侘しさは宿命的な侘しさである。
 
 ここを読み、私の胸にずっと残っている句を思い出せるのも、ああいいもんだと思ったりする。
 久保田万太郎の句だと記憶しているが。

 湯豆腐やいのちのはてのうすあかり